2009.11.14.

ボクの中のワタシ
03
羽佐間 修

*この物語に登場する人物、企業はすべてフィクションです。

■ 第1章 目覚め 03


 ― 女の子の股間


 立ち上げたサイトは、設定したコンセプトがよかったのか、竜之介が思った以上の反響があった。

 同じような女装を扱うサイトにありがちな倒錯的な趣を除外し、普通の男の子が純粋に”女装を極めていく”のを第三者的な視点で書くスタイルが閲覧者の共感を得た。

 Hit数が1000件を超える日もあり、数多く寄せられる熱心なファンのコメントにも丁寧にコメントを返す姿勢が好感をもたれる所以でもあったのだろうが、何よりも更新するたびに、可愛い女の子に変わっていくその容姿がその人気の理由だ。
   

 竜之介自身もどんどんそれらしく見えてくる”鏡の中の女の子”が大好きでことが楽しくて仕方がない。

 ある日、サイト内の掲示板に女装を趣味とするファンからのコメントに、股間の処理はどうしてるの?と質問があり、ワタシはこうしてるわと参考サイトを紹介する書き込みがあった。

――股間の処理?!

 さっそく紹介されていたホームページを開いてみると「女の子の股間を作る」という普通の人が聞けばまったく意味のわからない名前のサイトだったが、トップ画面が開いた瞬間、竜之介は思わず声を上げるほど驚いた。

 サブタイトルが『女装したときに水着やレオタードの着られる股間を作りたい』なっている。
――ってことはこの写真も男?! マジ?! いくらなんでもこれは女性でしょ、、、

 サンプルで掲載されている写真は、股間の割れ目まで浮き上がりどう見ても女性がレオタードを穿いた写真にしか見えない。

――ホントかよ?! これが”作られた女の子股間”なの?!、、、

 度肝を抜かれた竜之介は食い入るようにサイトを開いていった。

 タックという技が図解入りで解説され、幾人かの体験者のコメントと、その技が施された写真やコツが記載されていた。

 それぞれの人のショーツを穿いた写真は、どれも女性が穿いているとしか思えないシルエットばかりでため息が洩れる。

 竜之介はむさぼるように読み進んだ。

【股間整形(テーピングの基礎)についてのレポート】
-基礎-
大腿部の付け根に睾丸が入る部分があって、そこに睾丸をいれなければなりません。
陰嚢の下から手をあてて、指先で強く押し込むように睾丸を押し込みます。これはかなり痛かったのですが、最初の入り口が狭いだけでそこを抜けてスポッと収まってしまうと痛みはありません。
まるで睾丸が消えてなくなってしまった感じです。

-手順-
1:睾丸を体内に入れる
2:内側になる部分に接着剤を塗る、
3:ペニスを後ろにたたんでテープで固定
4:袋の皮でペニスを包んむ
5:皮の合わせ目に瞬間接着剤を少量つけて割れ目を形成

※引用 レポート:でんでんさん(http://kokan.tvlife-net.com/contents/cont04.htm)


――テープ・タック、、、 接着剤タック、、、 ボクにも出来るかなあ、、、

 読みながら竜之介はペニスの付け根を指で触り”睾丸の入る部分”を探ってみる。 指で強く推してみてもそれらしき穴は見当たらず、竜之介は少しがっかりした。

――そんなの、ないじゃん、、、

 竜之介が女装するときは、ペニスを股に挟み、固いガードルで股間に押さえつけるだけで、着る物によっては鏡に映るそのシルエットに満足できない時があった。

 ローウェストのスカートを穿くとお腹のあたりに覗いてしまうガードルは、まるで中年のおばさんのようで嫌で、女装するたびに、もっと小さなセクシーなパンティを穿けたらいいなあと強い願望が芽生えていた。

――最初は入口が狭く痛いがそこを抜けてスポッと収まるかあ、、、 コツさえつかめばいいんだよね

 矢も盾もたまらず、自分の体にもひそんでいるらしい不思議な穴を探してみることにした。


          ◆

 痛みに耐えながら悪戦苦闘しているうちに、レポートに書いてあったように、睾丸がすっぽりと入ってしまう場所があった。

「うむぅぅぅ、、、」
 下腹部を襲う鈍痛に呻きながらも、確かに睾丸が一つ、股間から消えている。
――これかっ?!

 夢中になってもう一方もその対称する場所にエイッとねじ込むと股間にはペ○スだけが垂れ下がった奇妙な股間が出来上がった。

 手順通りに部屋にあったガムテープで折りたたんだペニスを後ろで固定し、睾丸の皮でペニスを包み、合わせ目をテープで止めた。

「やったっ!」

 動き回ってもきれいな女の子の股間のシルエットは崩れず、なだらかな女性の恥丘を保っている。

 竜之介はチェストから小さなショーツを取り出して足を通した。

 レースに縁取られ眩く輝くTバックショーツは、憧れて買っていたものだが、女装を楽しむ時には股間を隠せないので一度も穿いたことがないものだ。

――うわっ!! 信じられない、、、

 鏡に映る自分の姿に驚き、感激すら覚える。

――わあっ!これならお尻の見せパンだって出来るぅ

 竜之介は、今まで買えなかったローライズジーンズを穿いた自分を思い浮かべると嬉しくて仕方がない。

 ウキウキ気分でいつものように鏡に向かってカメラのシャッターを押す。
――あっ! こんな写真、サイトにUPなんかしたら大変だ。 へへっ

 竜之介は服を着なくてもそれらしく見える鏡の中の女の子を映像に残しておきたくて、角度を変えて何回もシャッターを切る。

「明日、もっといいテープを買ってこよっと!」
     
 ショーツの上から触った股間は、ガムテープのゴワゴワした感触が布越しに指に伝わる。

――誰かに触られる訳でもないけど、やっぱりボクらしく完璧を目指さなきゃなっ。 うふふっ

 竜之介は次々とショーツを穿き替えては鏡に映し、憧れの女の子の股間のシルエットを明け方近くまで楽しんだ。



▲ BACKNEXT ▼



この小説は、完全なフィクションであり、実在の人物、
団体等と何の関係もありません。
この小説へのご意見、感想をお寄せください。
感想メールはcopyright下のアドレスまで


NEXTBACK TO INDEX


18's Summer : 官能小説、恥辱小説とイラストの部屋