2003.6.22.

過ぎた好奇心
ボクらの秘密シリーズ
02
木暮香瑠



■ 過ぎた好奇心2

 翌日も、男子たちの話題は、昨日、女子が見たビデオの話で持ち切りだった。

「昨日のビデオ、判ったぞ。健、今日、俺の家でいいな」
 武彦がボクたちに集合をかけた。武彦はビデオの内容を掴んだらしい。それも、学校では話せない内容らしい。どんな内容なのだろうと、胸がドキドキとする。放課後、校庭で遊ぶのも止めてボクたち5人は、武彦の家に集まった。

 部屋に五人集まったところで、武彦が話し始めた。
「昨日のビデオって、メンスの話だったみたいだぞ」
「メンスってなんだ?」
「あそこから血が出るんだよ。女は一ヶ月に1回、あそこから血が出るんだよ」
「えっ! おしっこと一緒に血が出るの? 病気じゃん」
「そうじゃないよ。違う孔から出るらしい……。女は穴が3っつあるらしいぞ」
「おしっことウンコ……、もう一つは何だ……?」
「赤ちゃんが生まれる穴だよ。お前だって、ウンコやおしっこと一緒じゃあ嫌だろ」
「そりゃそうだ!」
「テレビで宣伝してるナプキンってあるだろ。あれの使い方や、どこから血が出るかとかの話だったらしいぞ」

 武彦は、自分のパソコンを操作しモニターに百科事典を映し出した。武彦は、画面に映し出された絵を指差し、
「ほら、穴が三っつあるだろ。ここと、ここと、ここ……」
と、説明を始めた。昨夜、ずっと調べていたらしい。ボクたちは、その不気味とも思えるイラストから目が離せなくなっていた。
「女ってこんなになってるのか? あそこ……」
「普段は違うんだよ。この絵は割れ目を開いたところだよ。普段は閉じてるんだって」
「へええエー−−」
 みんな曖昧に答える。知らない世界の話だ、女性の身体って……。説明をしている武彦だって、話は曖昧だ。実際に知ってるわけではないらしい。昨晩、調べた内容をさも知ってるかのように話してるだけだ。

「おしっこが出るのがここか……。ここからはウンコだな」
「ここから赤ちゃんが出るのか?」
「ああ、ここにチ○ポを入れるのがセックスだ」
 武彦は、調べた話を自慢げに話す。ボクたちは、セックスと言う言葉だけでドキッとしてしまう。
「チ○ポが入るのか? 美紀や彩ちゃんにもあるのかな、チ○ポの入る穴……」
「そりゃ、あるだろう……。あいつらだって……、女だもん……」
 ボクは、美紀たちの股間にある穴を想像し、顔を赤くした。他のみんなも想像してしまったらしい。紅潮した顔で床を見つめていた。
「ここにチ○ポを? じゃあ、チ○ポ入れる穴から俺たち生まれてきたのかあ」
 みんな神妙な顔で肯いた。

「俺たちにもあるのかな? 穴、3っつ……」
 一樹がポツリと呟いた。ボクたち4人は、ニヤッと素早く目配せし一樹に飛び掛った。
「なにすんだよ!」
 突然、四人に飛び掛られ押さえ込まれた一樹が目を丸くしている。
「確かめようぜ! お前も知りたいだろ?」
 気の弱い一樹は、いつも損な役回りだ。ボクたちは、一樹のズボンをパンツと一緒に引き下ろした。
「やっ、やめろよ! 自分の見ればいいじゃん」
 一樹は、必死で抵抗するが四人相手ではどうにもならない。
「亮太、押さえてろ!」
 身体の大きな亮太に押さえ込まれては、一樹も身動きできない。両足を捕まれ、頭のほうに折り曲げられ、でんぐり返しをするように押さえ込まれた。

 四人の目の前に、皮を被った親指ほどのチン○ンと皺々の袋と尻の穴がある。尻の穴以外は見慣れたものだ。皮を被ったチン○ンも、ボクのとさほど違わない。
「袋の陰にあるのかな?」
 実が袋を引っ張って確かめる。四人の目が一樹の股間に集中する。
「何もないね、やっぱり……」
「も、もういいだろ。放せよ」
 その時、一樹のチン○ンが少し大きくなった。
「一樹のチン○ン、立ったぞ。Hだなぁ、ハハハ……」
 四人の笑いの中、一樹は慌ててズボンを履いた。
「ひでえなー、お前らと一緒だろ?」
「一緒だった。やっぱ、男には三っつ目の穴、無いや」
 ボクたちは、お腹を抱え笑った。

 ちょっとしたいたずらの後、五人の目は再びパソコンの画面に向かっていた。興味の対象は、やはり男より女性に対してだ。
「これは何だ?」
「クリ○リス? チ○ポみたいな物かな?」
「バカ言え、おしっこはこっちの穴からだろ。でもなんだろう?」
 画面に映るイラストでは、どうも実感が湧かない。妄想を掻きたてるだけだ。ボクたちの興味は募るばかりだ。
「絵じゃぁなー、本物を見ないと判らないなぁ……」
 ポツリとボクは言った。みんな、コクリと肯いていた。

「美紀に頼んでみるか。見せてくれって……」
 ボクは、みんなに提案してみた。
「バカ言え。そんなこと言ったらぶん殴られるぞ。俺なんか、スカート捲っただけで殴られたからな」
 確かにそうだ。クラスで一番かわいい美紀だが、気の強さもクラスで一番だ。ここにいる五人は、美紀のスカートを捲っては頭を殴られている。
「じゃあ、彩ちゃんに頼んでみる?」
「あいつ、すぐ先生に喋っちゃうからな」
 美紀と親友の彩ちゃんは、美紀と違って優しくおとなしい。クラスでも人気だが先生と直結している。彩ちゃんに話したことは、先生に筒抜けだと思わなければならない。悪気はないのだろうけど、なんでも先生に喋ってしまう。また、美紀の耳に入ることも確実だ。それでは困る。
「ううんんん……」
 みんな思案を巡らした。しかし、いい案なんて出てくるはずもない。

 ボクは、一樹に向って言ってみた。
「お前のおふくろさんは……?。話の判るおかあちゃんじゃないか」
 一樹のお父さんはトラックの運転手で、家はおかあさんが切り回している。少々のいたずらは気にしない豪快な人だ。ボクたちのいたずらも、いつも笑い飛ばして大目に見てくれる。
「バカ言え。人前だけだよ、愛想がいいのは……。これこそ本当にボコボコにされるよ」
「だめか……。いい案、ないかな……」
 みんな黙り込んでしまった。

「健、お前、姉ちゃんいたよな」
 武彦が、ボクに向って言った。確かに、ボクには姉がいる。少し歳の離れた姉は、今、高校三年生だ。
「いるけど。それで? 姉ちゃんに頼んでも無理だよ。おれの姉ちゃん、恐えもん」
「頼んでも無理さ。でも、健の姉ちゃん、美人だもんナ。見るなら美人のほうがぜったいいいよ」
「頼んでも無理って……、無理やりしたら犯罪だぞ。そんなことしたら……」
「無理やりじゃあなければいいんだろ? 無理やりじゃあなければ……」
 武彦には何か考えがあるみたいだ。

「ちょっと耳貸せよ」
 武彦の部屋の中、誰に聞かれるわけではないが、悪巧みをする時はいつもこうだ。五人は顔を寄せ合って、武彦のヒソヒソ話を聞いた。

「絶対ばれるよ。うまくいくわけないよ、そんなこと……」
 とりあえずボクは反対はした。これは、姉への義理みたいなものだ。
「うまくやれば、ばれないよ。おまえ、見たくないのか?」
「そうだよ。見るなら大人だよな。美紀や彩子なんか、子供だよ。ガキの見ても、参考にならないよな。」
「ピチピチの女子校生のが一番だよ。小学生のなんか、毛だって生えてないぜ?」
 みんな好き勝手なことを言う。自分たちだって、生え揃ってないくせに……。武彦も実も、美紀や彩ちゃんが好きだと言ってのに……。亮太や一樹だって、口にはしないが美紀か彩ちゃんが好きに決まっている。ボクたちから見れば、理沙姉ちゃんは確かに大人だ。弟のボクが言うのも気が引けるが、確かに美人だと思う。ボクの自慢の姉だ。
「うっ、ううん……。見たいのは見たいけど……、姉ちゃんのは……」
 ボクには、みんなの悪巧みにきっぱりと反対する勇気はなかった。言い出しっぺの責任もある。みんなにのけ者にされることも恐かった。

 のけ者にされるのが恐いと言ったのは、いい訳だ。本当のことを言うと、女性に対する興味と好奇心のほうが、正義感や罪悪感より勝ってしまっていた。



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