2004.04.10.

保健室の闇
〜女子生徒の告白〜
02
ドロップアウター



■ 1

 三日後、迎えた日曜日、私は不安な気持ちを抱えながら、再検査を受けるために学校へ行きました。事前に指示があったので、その時の私は、上下体操服、上にジャージを着た格好でした。
 係の人の指示で、私はまず体育館へ行きました。中に入ると、意外に人が多かったので、私だけじゃないんだと思ってほっとしました。
 最初に受付のところへ行き、名簿に自分の名前を書きました。その時受付の人に、「身長と体重の測定があるから、今のうちにジャージと靴下は脱いでおいてくださいね」と言われました。私は言われた通りにジャージと靴下を取って、上下体操服に素足の格好になりました。脱いだ靴下を丸めて靴の中に入れ、ジャージを畳んで壁際に置いてから、私は中の方に入っていきました。
 体育館では、身長、体重、それに血圧の測定、そして血液検査が行われていました。尿検査はしないのかなと疑問に思ったのですが、測定を終えた子が玄関には戻らずに右側の扉から出て外階段を上がっていくのが見えたので、別の場所でやるんだなと納得しました。

 私はまず、身長、体重の測定場所に行き、列に並んで座って自分の番を待ちました。体重を量る時は、体操服を脱がなければいけない様子なので、少し恥ずかしいなって思いました。でも、小学校まではそうだったし、嫌な感じはしなかったです。
 自分の番が回って来たので、私は立ち上がって、測定係の女の先生に検査カードを渡しました。
「最初に身長計に乗りましょうね」
 先生に言われて身長計に上がると、足の裏がひんやりして何だか気持ちが良かったです。
 私が下りると、先生は私の検査カードに書き込みながら、「じゃあ、シャツとハーフパンツを脱いで体重を量りましょうね」と言いました。
 少しだけ、周りの視線が気になりました。後ろの方では、順番待ちの女子生徒が何人もいます。女同士とはいえ、自分が服を脱いでいるところを見られるのは何だか気恥ずかしいものがありました。それでも、あまり気にしてもしょうがないかなと、シャツの裾に手をかけ上着を脱ぎ、続けてハーフパンツを一気に下ろして足元から抜き取りました。
 ブラジャーとパンツだけの格好で体重計に上がり、先生に記録してもらいました。その時ちょうど部活の先輩が目の前を通りかかって、私と目が合いました。先輩がいたずらっぽく笑ったので、私は気恥ずかしくて、はにかむように笑ってしまいました。

 体重計を下り服を着て、私は次に血圧と血液検査のコーナーに向かいました。検査をしていたのは三人でしたが、そのうちの一人は四月の健康診断で診てもらったお医者さんでした。その人はわりと年配な男性で、自分の下着姿を見られたかと思うと恥ずかしくなりました。
 自分の番が回ってきて、お医者さんの前へ行き、椅子に座って左腕を出しました。まず血圧を測ったのですが、「お嬢ちゃん、少し高いよ。気を付けなさい」と言われました。その親切な物言いに、さっきまでの嫌悪感は吹き飛んでしまいました。
 次に、血液検査をしました。そのまま左腕を出して、ゴムで肘の辺りを縛られ、アルコールで湿らせた脱脂綿で拭かれました。
「ちょっと我慢してね」
 お医者さんはそう言いながら、私の腕に注射針を刺しました。
 刺された部分がチクッと痛んで、私は一瞬歯を食いしばりました。
 その時、予想外のことが起こりました。血がなかなか出てこないのです。
「おかしいな・・・ちょっとごめんね」
 そう言いながら、お医者さんは注射針を抜き取りました。私は少し不安になって、彼の顔を見つめました。
 お医者さんは私の腕をもう一度脱脂綿で拭きながら、「血管のないところ刺してしまった。よくあることだから、心配しなくてもいいんだよ。悪いけど、もう一度やってみようね」と言いました。そして、もう一度私の腕を注射針で刺しました。
「ツッ・・・」
 私は思わず声を上げてしまいました。明らかに、さっきよりも強い痛みを感じたのです。
 それでも今度は無事に血液を採取でき、私は痛みを堪えながら立ち上がりました。
 お医者さんは心配そうに言いました。
「悪かったね、二回も痛い思いさせてしまって」
「いいえ、大丈夫です」
「いや、本当にすまなかった。・・・今度は別の先生に診てもらうから、右側の扉を出て外階段を上がって、保健室に行きなさい」
「はい、分かりました・・・」
 私はお医者さんにペコッと一礼して、その場を離れました。

 この時私は、強い焦燥感が胸の奥底からこみ上げてくるのを感じていました。さっきまでは、何だか普通の健康診断を受けているようで感じなくなっていた緊張感が、血液検査の時のアクシデントで甦ってきたのです。三日前、検査結果を知らされた時に感じた「私は病気なのかもしれない」という不安が、再び私の心を支配し始めていました。
 そして、本当に辛い出来事は、この後に起こったのです。



▲ BACKNEXT ▼



この小説は、完全なフィクションであり、実在の人物、
団体等と何の関係もありません。
この小説へのご意見、感想をお寄せください。
感想メールはcopyright下のアドレスまで


NEXTBACK TO NOVELS INDEX


18's Summer : 官能小説、恥辱小説とイラストの部屋