2011.11.16.

狂喜への贐
002
非現実



■ くたびれた街2

「ただいまっと!」
「おい暖房付けろ、まずは暖房だ」
「はいはい〜」

数時間前まで暖かかった事務所も今は凍て付く空間となっていた。
ジャンパーを羽織ったまま五反田が慣れた仕草で暖房を付ける。

「コーヒーも頼む」
「インスタントで良いっすよねって、ヤベぇポットが空でした」
「んなぁにぃ・・・速攻で沸かせ」
「はいはいっと」

自分のデスクに座る目黒は顎をデスクに乗せてただ身を屈ませる一方、狭い事務所の中を五反田が動き回る。
転がり込んで来た時は面倒な事になったと思っていたのだが、この助手は家事や雑用にとよく働く。

「でも良かったっすね、契約取れて」

シンクに立って待つ五反田が言った。

「ま、いつもと変わらない不倫関連の仕事だけどな。
お前はどうだったんだ、客とのやり取りは初めてだったろ?。」

それが、と言葉を濁してから五反田は少し拗ねた口調で続けた。

「何か期待してたのと違ったんすよねぇ〜、結構勉強してきたのに」
「探偵の参考書なんてあるかっての」
「いやそんなんですけどね、折角PC持ってきたのに全く意味無いし」
「それは最初に言っただろう」
「調書とかそういうの、書くと思ったのになぁ」
「アホ」

大方漫画か小説、またはテレビ等で得た知識を勉強と言っているのだろう。
実際、依頼主や当事者から情報を引き出すのは当てにできない。
そう言った面々は隠し事や感情論が出てしまい、それをかえって鵜呑みにすると捜査は混乱を来してしまうからだ。
大体警察に相談すればいい問題を、公にしたくないという理由で探偵を雇う。
この時点からして素直に全部話してくれるとは言い難い。
五反田はそこら辺をまだ勘違いしている。

「ほいほぃっと、コーヒー入りますよ〜」
「おぅ」

元々猫舌である目黒には熱々のコーヒーはまだ口には出来そうにないが、手をカップに添えているだけでも十分な暖気だ。

「明日はって言うかもう今日か、何時頃動くんスか?」
「昼前ってとこだな、それまで十分寝とけよ?」
「・・・ ・・・え!?」

手にしていたカップが口に運ばれる前に動きが止まり、驚いた表情を五反田は見せた。

「行きたいんだろ?、捜査」
「はいっぃ、で、でも・・・その!」
「お前がここに入り浸って半年、タダ働き同然で家事ばかりやらせてるらな。
今回は・・・俺の邪魔しなければ連れてってやるが?。」
「行きます行きますっ、邪魔しませんし何でもパシリに使ってくださいっ!」

訳ありでここに転がり込んで来た五反田には文字通り高校生程度の小遣いしか与えていない。
最も住む場所を提供する代わりに家事雑用一切を取り持つ、という契約なのでこれはこれで間違いではない。
目黒が思う限りでは劣悪な環境なのに、よく付いてくるものだと感心してしまう。
丁度良い温度になったコーヒーを口に持って行ってゆき、手元の資料を眺めた。
(修行には持って来いの依頼だな・・・)
若干早とちりする所がある五反田だが要領は決して悪くないし、かなりいい大学に出てたほど頭も良い。
慣らしておけば仕事でも十分使えそうだ。
(どうせこの依頼はここまでだろうし、な)
残ったコーヒーはそのままに、ようやくコートを脱ぎ捨てて目黒は隣の寝室へと足を向けた。

「あ、オヤスミナサイっす」
「お前ももう休めよ?」
「あいっす」

ちなみに五反田のベッドは来客用のロングソファーである。
それでさえ文句一つも言わないのだ。
(ホント変わった奴だよ・・・ ・・・)
仮にこれが目黒の立場だったら1日も持たずに逃げ出しているだろう・・・。



その行為は貪るもの。
お互いが正に必死に感じ合い、ただただ摺り寄せる。
ギシギシとベッドは激しく音を立て、不定期な淫靡なる吐息が漏れる。
男女はその行為に耽る。
上になる男は腰を振るい両手で揉みしだく。
下の女は身を委ねるとは程遠く、結合部分が離れないように男の腰の動きに対して激しく同調させる。
逞しい男の両手で揉みくちゃに変形する乳房の先端を自ら摘み、更なる刺激を求める。
それを意図した男は口で先端を弄ぶ。
舌でコロコロと転がし・・・甘噛みでジワジワと弄り・・・吸い・・・。
其の度に女は激しく声を上げて自らの感情を高ぶらせてゆく。
男の腰の動きが更に激しさを増した・・・それはまるで壊れた機械のように・・・。
荒い息と肌と肌がぶつかり合う乾いた音が早くなる。
迸る汗と様々な体液で2人は濡れまくる。

「っぉ!?」

途端、男がビクビクと痙攣するように震え・・・ ・・・ゆっくりと体がお倒れ、女の体へと崩れ落ちた。
まるで糸が切れたマリオネットのようだ。
下になったままの女はゆっくりと左手を動かし、男の頭を撫でる。
息切れ気味の男が目を瞑り幸せな表情に変わった。
それは母性を感じる行為であり、いくつ年を重ねても男というものは女の乳房を欲しがるもの。
だが、間もなくそれも「また」終わる。
女の右手が動く。
見えないものを探り、探り当てる。

「ぅく!」

男がビクッと再び波打つように動いた。
女の右手は、先ほどまで中に入っていた男根が握られていた。

「またしよ・・・?」
「はぁはぁはぁ・・・ふぅっ、はぁはぁ・・・す、凄いね君、ホントに高校生?」
「ふふふ、こんな淫乱な高校生・・・嫌い?」

女・・・少女は、右手を優しく男根に添えながら耳元で囁いた。

「嫌いじゃないさ・・・でも、ちょっと疲れたよ、オジサンは・・・」

少女の右手がゆっくりと男根を上下に擦る。

「フフ、ココはまた元気になっちゃった、み・た・い・よ?」
「はぁはぁはぁ・・・やれやれ、こんな可愛らしい女子高生にはもう少しお仕置きが必要かな」
「してぇ」

甘えるシナはとても女子高生には見えないほど官能的で・・・ ・・・。
男根は再び臨戦態勢へとなる。
男が両腕で体を持ち上げて、もう何度目となる濡れた少女のソコに自らのを挿入させた。



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