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≪第4話≫
時計の針は時に恐ろしく早く動くものだ。気づけば日は沈み、あたりは闇に包まれた。蒼く不思議な夜が来た。
「月ヲ見テハイケナイヨ」
…そう言われても、月なんてあいかわらず分厚い雲の向こうのモノだ。見えるはずがない。
ただ、なんとなく月がありそうな場所から、気味の悪い青く深い光がこぼれているような気がした。
「あゥ…クゥ…んんんっ…もっと…突いて…かきまわしてよ」
この頃すでに夜はオナニーをしなければ寝付きが悪くなってしまっていた。
月のことなんて忘れてしまえ。早くイって、眠ってしまえ!!!
私の中指は膣の上の壁のザラザラしたところを軽くふれながら素早く動かす。
きっとどんなテクニシャンより中指が勝るだろう。
「あぁああっ!!」
最後にク●トリスをぐるりと触れた時、私の体は大きくのけぞり、寝返りを打った。そして間違って窓の方向を見たとき、
…見てしまったんだ…
……月を。…
すべての音が止まった。私の呼吸する音も、心臓が立てる音も、何も聞こえない。私の目は月から離れなくなった。目をつぶることさえできない。
月には、父の目があった。そのぎょろりとした目とあった瞬間、私の右手の中指は…
あっという間に肥大していった。
右手が融ける…熱い…熱いよ…熱い……
中指がどんどん伸びる。太くなる。色も赤黒くなる。先端がとがり、穴があいた。血管が浮かび上がり、スルメのような匂いまで放ち始めた。
そして私の右手は私が動かそうと思っていないのに、股間に入る。
ズブズブズブズブ…
中指が…いや、もはや指とは言えないものが、膣に入り、上下運動を始める。
さっきイったばかりだからうまく愛液が出ない…痛い……
ジュボジュボ…ジュコジュコジュコジュコ!!!
「う、んんんんんんんんんん!!!!!!! うわぁあああっ」
発狂してしまいそうだった。だけどここで声をあげては、ママにバレてしまう。
私は必死に左手でタオルケットを口に押し込み、声がでないようにした。
ズブ、ズボッ!! ギチャギチャギチャギチャ
中指だけでなく、もう右手自体、コントロールができない。月の中に光る妖しい目は、かすかににやけた気がした。
ブシューッ…。
やがて、中指から白い液体が出た。私の膣からこぼれ、シーツを汚す。
そしてそのまま中指は縮まり、もとに戻った。コントロールも効く。
ホっとした私の顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた。
私はそのままぐっすりねむりについたのだが、夢の中でも月の目はじっと私を監視しつづけていて、ちっとも疲れがとれなかった。
しかし、それはその日の夜に終わることではなかったのだ。
その夜は雨が降り、何もなかったのだが、次の夜また月が出た。
そしていつものようにかなしばりのような状態になり、月と目が合うと、私の中指はペニスになり、私を破壊するような勢いで犯しだす。
全然気持ち良くない。痛い。愛液が出なくなると膣の壁がこすれて破れてしまいそうになるので、その度に左手で必死にク●トリスをこすり、愛液を絞り出した。
それは月が出る晩の度に繰り返された。秋晴れが続くと体が壊れてしまいそうだった。
別に運動部をやっているわけでもない。アルバイトに精を出しているわけもない。
精を出しているといえば膣の中になのだが…
とにかく疲れるようなものは何もないはずなのに、授業中にぐったりと倒れて寝てしまう日も少なくなかった。
≪第5話≫
「ねぇ、どうしてシナの爪って中指だけ短いの?」
マキが訪ねてきた。マキとは結局同じ高校にあがって、クラスも一緒なのだ。
「え?」
それは、愛液が溶かしているからなのだが、そんなの言えるわけがない。
「あー…ふ、深爪しちゃってさ。」
あわててごまかしたが、再びマキが中指について聞いてくることはなかった。
しかし学校の問題といえば、タケシである。私が逃げ出した一件以来、タケシやしょげるかと思いきや、恨めしい目つきでこちらを見てくるようになっていたのだ。
決して話しかけてこない。総務の仕事は普段通りやる。けれどふとした瞬間に殺気を感じるのだ。タケシは一体何を考えているのだろう。背も高く、そこそこかっこいい。女子にもモテているだろう。けれどそこに初めて私というタケシの意志に反したオンナがでてきた。
どうせそれは今まで苦労せずに何でも与えられていた子供が、初めて与えられないという不快感を覚えたような感情だろう。くだらない。
けれどタケシの感情は、私の予想していない方向に行っていた。私はまだこの男の本当の怖さを知っていなかった。
「シナ、5限、化学だろ? 実験の準備は総務が担当することになったから昼休み弁当食う前に化学室に来いよ。」
タケシの声がいつもより気味悪いぐらい優しい。なんだか嫌な予感がしたが、こんな時にかぎってアソコがきゅーんと切ない声をあげる。
「いいよ。わかった」
私は即答していた。
「タケシ君? もういるの?」
化学室は遮光カーテンに覆われてしかも電気はついていなかったため、真っ暗だった。
「タケ……ヴッ……」
ガターン!! 何者かにねじふせられ、床に頭が押し付けられたとおもったら、
――ガッチャン。
ドアが閉まり、闇に閉じ込められた。
私はこの暗闇にいち早く目を慣らし、何か手掛かりをつかもうとしたが、目が慣れる前に、化学室の電気がパチパチとつけられた。
「実験タイムでぇーっす!」
タケシとつるんでいる隣のクラスの悪ガキが机の上に乗りながらおどけた声で言った。
ガラガラガラガラ…
どこから持ってきたのだろう。丁度中学校にあるような給食ワゴンにビーカー、フラスコ、アルコールランプ、薬品が乗ったものをタケシが準備室から押して入ってきた。
とっさに時計を見た。12時40分。5限は1時20分に開始、教室移動可能が10分前だから……
私はこんなときでもすばやく計算してしまう。
私が凌辱されるであろう時間は、30分。きっと恐ろしく長い時間となることだろう…。
私の乳房とおなかと股間がさらされるのに時間は要さなかった。私は別に抵抗しなかった。してもどうにもならないことぐらいわかっていた。それに毎晩のように右手に犯されているので、妙に冷静になれてしまっていたのだ。
…大丈夫、大丈夫、きっと生きて帰れる。
…だからお願い、跡を残さないで…。
眼隠しがかけられた。もうどこに何をされるのかわからない。その時初めて全身が恐怖に震えだした。
「大丈夫。ってか眼隠ししたほうがオンナは感じやすくなるんだろ? よかったじゃん」
私の右腕と右足を抑える男が楽しそうに囁いた。
感じるも何も…それは信頼できる人とエッチするときだけだよ。今、私は怖くてしょうがないんだから…!!
私は悔しさのあまり、唇を強く噛んだ。やっとマ●コも冷静になったらしい。熱くなる感覚は治まってくれた。
ギュッ!!
左の乳頭が何かに挟まれた。痛さに顔がゆがむ。けれど声があがらない。
いつものオナニーで声を抑える癖をつけてしまったせいだろうか。
しかしこの挟んでいるものは何だろう。ペンチ…? ペンチだったら潰される…!! どうしよう!!
やがて膣口に指っぽいのが入ったのがわかった。なぜなら切っていない爪が膣壁をこすって痛いから…。
――この…童貞どもめ…。爪ぐらい切っておけよ!!!!
頭が空回りしてわけのわからないことを心の中だけで叫んでいた。
「濡れないぜ?」
指の主だろうか。残念そうに言う。
――当たり前だ。所詮童貞テクニッ……
シュワーーーー…
その瞬間何かが股間にかかった。なにこれ? 冷たい、てか痛い…え?
ブチブチとした妙な感覚のあと、それは膣に侵入してきた。
「おまえ、ばかだなーそれは避妊手段だろ? あ、でも少しは滑りがよくなった」
――あ、コーラね。なるほど。
コーラが避妊の手段になると信じられているのは昔の話ではないらしい。
まったく、どこの情報だろう。中学で習わなかったっけ? コーラは避妊手段にまったくなりませんよ、って。
「きもちいいか? …黙ってないで答えろよ。」
「…べつに。」
思わず本音がでてしまった。「しまった」と思ったがもう遅い。男たちはいやにはりきりだした。
シュッ…
…マッチの擦る音。アルコールのつんとしたイヤな匂い…きっとアルコールランプがともされたのだろう。私は何かを焼かれるのだろうか。
恐怖で体が一瞬強張ったが、もうどうにもならない。諦めた。
サヨナラ、私。サヨナラ、右手に犯される日々。サヨナラ、サヨナラ…。
「なんだよコイツ、おとなしいな」
私の想いも知らず間抜けな男がつぶやく。
「いいじゃん、やっちゃえ」
その声を合図に、焦げくさい匂いがした。
チリチリ…チリチリ…
決して痛くはない。だけどなにかおかしい。
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