2012.8.04.

悠美、大騒動
003
木暮香瑠



■ プレゼントは何?3

 夜道を二人並んで、悠美の家に向かって歩いている。あんなに怒っていた親父だが、悠美が帰るとなると賢一に、夜は危険だから送っていくようにと言ったのだ。もちろん賢一は剥れ顔である。
「なんでお前なんかを送っていかなくちゃいけないんだ。お前を襲うやつなんていないよ」
 賢一は、不満げに悠美に向けて言う。送っていくことに不満はないが、何か一言言っておかないと気が収まらない。
「花も恥らう乙女に向かって、何てこというの?」
「恥じらいなんてないだろ。セックスしようなんて夜這い掛ける女に……」
 言い始めたら一言では収まらない。
「それに、なんで親父に俺が脱がしたんじゃないって言わなかったんだ。親父のヤツ、完全に俺が脱がしたって思い込んじゃったじゃねえか」
「いいじゃん、いつかは脱がす気でいたんでしょ?」
「ムッ! お前なんて脱がさねえよ!」
 本音を突かれ、賢一は更に剥れ顔になった。

「お前、いつもはブラジャーにパッド入れてるだろ」
 賢一は、先ほどの光景を思い出しながらボソッと言う。
「え!? どうして?」
「さっき、スケスケのブラジャー、パッドが入ってなかったら、いつもより小さかった。お前のバスト……」
 乳首が透けて見えていたから、パッドが入っていなかったことは明白だ、そして今も……。
「ヒドイ! そんなこと言うなんて!!」
 悠美はプイッと顔を背けた。そしてスタスタと賢一を置き去りに歩く。賢一は、前を歩く悠美の背中を眺める羽目になった。

 前から見てもかわいいが、後姿はもっとかわいい。小さな背中に、大きくは無いがツンッと盛り上がったお尻。そこから真っ直ぐに伸びるちょうど良い肉付きの脚。身長が高ければ、ファッションモデルとしても十分に使えそうな肢体だ。そしてTシャツには、さっき見たブラジャーのラインが透けて見えている。

 Tシャツの下にはあのスケスケのブラジャーがあるんだ。その下には悠美のオッパイが……、乳首が……。あのミニスカートの下にはスケスケのパンティが、そしてその下にはオマ○コが……。親父の乱入がなければ、もしかしたらチ○ポを入れれたかもしれないオマ○コが……。ツンッと盛り上がったお尻を揺らしながら歩く悠美を見ていると、賢一は股間の物はムクムクと大きくなっていく。
(お前のケツ、エロいんだよ。真ん丸で、ツンッと上を向いていて……)
 フラッシュバックのように、先ほど見たスケスケブラジャー越しの悠美の乳首、スケスケパンティ越しの股間、陰毛が目の裏に映し出される。
(だめだ。もう我慢できない……)
 賢一は、前を歩く悠美の手を掴んだ。
「悠美、ちょっと付いて来いよ!」
 賢一は、悠美の手をとり歩き出した。
「ねえ、どこ行くの? そっち、何も無いよ」
「公園!」
「公園? 公園に行ってどうするの?」
 悠美は不思議そうに賢一に尋ねる。夜に公園に行ってどうしようとしてるんだろうと……。
「やらせろ! さっきはお前から誘ったんだから、いいよな!」
 真顔で答える賢一。その顔には賢一の本気が表れている。
「ええーーー、やだああ。誰に見られるか判んないじゃない。外でするのなんて絶対ヤダッ!」
「夜は人なんて来ない、きっと……。公園の向こうは山だから、通り抜ける人もいないだろうし」
「でもお、外でなんかヤダァ」
「いいから着いて来いよ。元はと言えばお前が誘ってきたんだぞ」
「そうだけど……、恐いよ。だってあそこ、暗いよ。夜は誰もいないんでしょ?」
「お前どっちなんだ? 人がいないところは恐い、人がいるところは見られるからいやだ。世の中そんなに甘くないんだよ!!」
 賢一は悠美の言うことなど無視し、強引に手を引っ張り公園に向かった。



 真夜中の公園には、誰もいないようだった。二人は、街灯の明かりに誘われトイレに来た。
「ここなら明るいから恐くないだろ?」
 賢一のせめてもの思いやりである。トイレの入り口前の広場は、街灯に照らされそこだけが暗闇の中に浮かび上がっていた。

「さあ、脱げよ。トイレの壁に手を着いて、ケツをこっちに向けろ!」
 そう悠美に言うと賢一は、ズボンとパンツを一緒に脱ぎ始めた。

 ズボンとパンツが太腿まで下ろされ、賢一の一物がボロンッと飛び出し悠美の目に晒された。
 賢一の一物は、悠美が思っているより大きかった。悠美の目が大きく見開かれる。
「む、無理……」
 悠美は引き攣った笑顔で首をチョコンッと横に傾げた。
「無理……、そ、そんな大きいの入らない!」
「今更何言ってんだ。最初は、お前がやろうって言ったんだろ」
 チ○ポをぶら下げた賢一が、情けない格好で言う。
「で、でも、無理! だって私、そんなに大きいの入れたことないもん」
「!? 何言ってんの? 俺の、標準サイズだぞ。特に大きいわけじゃないぞ」
 小さいのなら入れたことあるのかよと言いたい気持ちをグッと抑え賢一は言う。
「そ、そうなの? でも無理。私が入れたことあるの、これが最大サイズだから……」
 悠美はそう言うと、ポーチから親指くらいの太さのマッサージ機を取り出して見せた。そして賢一の物と見比べて言う。
「やっぱり無理。だってそんなに大きいと思ってなかったもん」
 目を、手に持ったマッサージ器と賢一の股間で反り上がった物に交互に視線を送りながら……。
「お前、そんなもんでオナニーしてんの?」
 賢一は、トホホと頭を項垂れた。
「きゅうりも使ったことあるよ。でも、膜、破れるのが恐かったから入り口だけで止めたけどね。だって……、この膜、破って欲しいのは賢一のだもの、うふっ……」
 悠美は甘えたような顔で、頭を賢一の肩に乗せようとする。
「だったらやろうぜ!」
 賢一は悠美の両肩を掴み、引き寄せキスをしようとする。キスしてしまえば、悠美だって欲情して受け入れてくれる。そう期待して……。
「今はダメ!! だって、まだ決心できないもん。恐いよ、そんなものが入ってくるって考えたら……」
 悠美は、両手で大きなバツを顔の前で作り、キスさえ阻止されてしまった。

 ガサガサ……。

 突然、トイレ脇の植え込みから音がする。
「やらないんなら、ちょっと静かにしてくんない?」

 !?

「おっぱじめるかと思って覗きに来たのに」
 植え込みから顔を出した痩せたおじさんが、あああ、残念! と落胆してる。
「そうそう、あんまり大きな声出されたら、他のカップルも逃げちゃうから」
 もう一人いた。ちょっと太ったおじさんが植え込みから顔を出す……。

 !?

 突然の男達の登場に唖然としている賢一。
「えっ!? ここって覗きの穴場なんですか?」
 口をポカンと開いた賢一に対し、悠美は驚きながらも賢一に代わって男達に尋ねていた。
「そうよ。今日は少ないけど、土日なんて、そりゃあ結構のカップルがやってるんだぜ」
「はあ……」
 悠美は曖昧な返事を返しながら、誰もいないって言っていた賢一を睨みつけた。
「これから、あっちのカップル覗きに行かなくちゃいけないから、ねっ、静かにして」
「おっ! もう始めちゃうよ。今からじゃ間に合わないよ。双眼鏡、双眼鏡……」
 二人のおじさん達は慌てて首から提げた双眼鏡を目に当てる。
「双眼鏡まで用意してんですか?」
「そうよ、今日みたいなこともあるからね。それに、一番カワイイ娘を見つけるのにも役立つから……。やっぱりカワイイ娘を覗きたいじゃん」」
 双眼鏡ではるか向こうのカップルを覗きながら背中越しに答えるおじさん。

 悠美は呆れながら、はるか向こうのベンチにいるカップルを双眼鏡で覗く男達の後姿を眺めていた。『一番かわいい娘』と言う言葉と、悠美達を見に来たことに少し嬉しさを感じながら……。

 四人の視線の先では、ベンチに腰掛けた男の上で女の人の身体が上下に揺れている。裸眼で見ている賢一と悠美には、はるか彼方の出来事のようで現実味がない。ベンチ脇の街灯に照らされ、そこだけが浮かび上がっているて、テレビを遠くから見ているようだ。
「君たちも見てみる? ほら、双眼鏡」
 痩せたおじさんが悠美に双眼鏡を差し出した。悠美は、興味津々で双眼鏡を受け取った。
 かなり遠くだと思っていたカップルのいる場所も、双眼鏡で覗くと目の前で行為が行われているように見えた。うなじを流れる汗、縦裂に突き刺さった肉棒、それが出入りするたびほとばしる愛液まで手に取るように見えた。
(すごーーーい、この双眼鏡。倍率、何倍あるの?)
 双眼鏡を褒める悠美であった。



 翌日、悠美と真由美はマックでお喋りをしていた。夏休みをどう過ごそうかが話題の中心だ。
「ねえねえ真由美、昨日ね、○○公園で凄いもの見ちゃった。カップルがセックスしてたんだよ」
 悠美は突然話題を変え、昨夜の出来事を真由美に話し始めた。
「えっ!?」
 真由美は驚きの声を上げた。
「それが凄いの。ベンチに座った男の上に女の人が跨って腰振ってんの。凄いでしょ」
「……」
 無言になり、瞳を閉じ悠美の話を聞く真由美。
「それでね、ふっといオチン○ンがあそこの中に入ったり出たりしてんの。チ○ポがヌラヌラに光って……。愛液に濡れてたのかな? ほんとに太いのが入ったり出たりしてんの。痛くないのかな? あんなに太いの入れたりして……」
 真由美の返事も待たず、一方的に話し続ける悠美。昨日見たことがあまりに衝撃的だったから、この衝撃を親友と共有したくて……。
「で、どんな格好してた? 服、どんな服着てた?」
「えーっとね、フリルの付いた白のキャミワンピ……。キスしながら腰がズッコン、ズッコンしちゃって、それから……、顔が見えなかったのが残念! 抱き合ってキスしながらしてたから……女の人は後姿しか見えなかったんだよね」
「へえ〜〜〜」
 真由美は震える声で相槌を打った。
(あのキャミワンピ、もう悠美の前では着れないな、気に入ってたのに……)
 真由美は改めて頭をガクリと折った。



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