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戯れ少年2
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「腰がだるい……」
少しぬるめの湯の中で呟くと、重坂が馬鹿にしたように鼻で笑った。
「あんな体位でやりたがるからだ」
「湯を汚すのはどうかと思ったんだよ」
「ああ、それで終わってからもずっと自分で栓をしていたのか」
「……見ていたならなんとかしろよ」
体勢を変えてあてこするように言うと、重坂が寛いだように岩に肘をついて笑う。
むかつくほどに整った身体と向き合いまた岩に突っ伏す。
やはり少し身体がだるい。
こんな場所で二回もするのではなかったと思っても後悔はしていないのだから
始末におえない。
「セックス以外してくれなくていいから抱けといってきたのはお前だろう。
人がせっかく外に出してやろうとしていたのに生中出しでないと嫌だと
わめいたのもお前だ」
いちいち覚えのあること過ぎて嫌になる。
いつだって自分の首を絞めるのは自分だとわかっている。
「誰かさんのせいで俺は中出しが好きなんだよ」
「よそではゴムをつけさせているのに?」
「静貴め……」
どうやら余計なことを喋りすぎているらしい香芝に舌打ちすると、
僅かに視界が揺れた。
一瞬だけ目の前が暗くなり、ぼんやりと光が戻ってくる。
そばで水音がして、腕が掴まれた。
湯から引き上げられ、気づいた時には整えて敷き詰められた岩に座った重坂に
しなだれかかるように座らされていた。
重心が彷徨う身体を支えるように回された腕は百瀬の細いそれとは違った。
血管の浮いた男の腕に、動悸ではない速い鼓動が混じる。
大丈夫かと気遣いをみせるわけでもなく、のぼせるまで入るなと馬鹿にするわけでも
なく、水の音しかきこえない沈黙が場を満たしていく。
負けてしまう悔しさに唇を噛み締めた後、そう望んでこうなったのだと諦めて
百瀬は熱に浮かされているように装いながら口を開く。
「……苦しくないか」
「なにがだ」
「その立場は苦しくないのか」
身体だけの関係。
友人であるわけでもなければ、特別な感情があるわけでもない。
無理やり百瀬の身体を開き、誰にも踏み込ませなかった場所を暴いた男。
自分の愚かさが原因なだけに恨むに恨めない。
そもそも、こんな得体のしれない男を挑発するような真似をしたのは百瀬自身だ。
結果として得てしまった肉体を繋ぐという行為。
知った瞬間に囚われ、溺れたのは重坂のせいではない。
きっとどこかでわかっていた。
だから、していなかった。
そうでなければ無節操に遊んでいた百瀬が抱かれることだけを回避していたことは
不自然だ。
全ての説明はつく。
誰にも抱かせなかったことも。
重坂を挑発してその怒りを買ったことも。
思考など走っていなかった。
全ては後付けの理由だ。
しかし、何故それが重坂だったのか。
答えは簡単だ。
重坂は百瀬に価値を見出さない。
情は残さない。
必ず終わる、感情など関係なく肉体を貪れる相手。
それが重坂だった。

      

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