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それは悪夢にほど近いなにか4
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「東明、可愛い!ああ、そっかぁ。東明の中では俺ってそんなんなんだ。天然さんで可愛い。食べちゃいたい」
勢いよく抱きしめられ、咄嗟の反応が取れずにいる一瞬の間に布団の中に引きずり込まれる。
そしてまた抱きしめ直すように香芝がじゃれてくる。
絡まる素足が予想以上に滑らかで、そんな必要もないのに心臓がどくどくと騒ぐ。
(なんでこんなにどこもかしこもすべすべなんだ。女じゃあるまいに)
悲しいことに女の身体など詳しくはないが、常日頃みている風俗嬢の肌とは雲泥の差だ。
見ているだけでも違う。
こんな風にほぼ全裸に近い状態で触れ合ったことは流石に多くはなく、うっかり触れてしまったその感触に驚く。
それがよくなかった。
隙をつくように調子に乗った香芝が物理的にも東明に乗ってきてしまう。
「ちゃーんと愛人のお仕事はしてたよ。どんな風だったか知りたい?」
「いえ……特には。そんな話をきいて次期会長の機嫌を損ねてもいけないですし」
和久井と香芝の関係は長らく箝口令が敷かれ秘匿されていたほどだ。
いまですら若手は知らない人間も多い。
そんな秘密を知ろうとしたなどといらぬ誤解は生みたくない。
それなのに特権階級の香芝はあまりにも無頓着でお気楽だ。
「大丈夫大丈夫。俺が東明を可愛がっていることは和海も知ってるから問題ない。だから教えてあげる」
「いや、きいてどうしろと」
「きけとは言ってないよ」
そっと耳元に触れた吐息に身体に緊張が走る。
艶やかな声。
そんな声を出す香芝を東明は知っている。
不本意だが、知ってしまった。
「教えてやるよ。その身体にたっぷりと」
項を柔らかな感触が伝う。
それが香芝の指だとわかり逃げようとすると、不意に両脚の間に香芝の太ももが割り込んだ。
「可愛すぎる東明が悪い」
「可愛くなんてないです。静貴さんの方がよっぽど可愛いです」
顔こそ綺麗な整い方だが、性格は可愛い。
それに比べて東明は常日頃から可愛げが足りないと対応に困る不満を重坂に零されている。
香芝こそ東明をどう見ているのかと見つめると、目を細めた香芝がふふっと吐息だけで笑んだ。
ぞくっと背筋が痺れ、魅入られたかのように視線が奪われる。
「東明にそう思ってもらえるのは嬉しいけど、それだけが俺ではないよ。東明にはもっと深く俺を知ってほしいな」
首筋からおりてきた指先がまるで身体を縛していくかのように鎖骨を辿り胸をなぞる。
心臓の位置をとらえた指先に僅かに力が込められ、形のいい唇が淫らな微笑を浮かべた。
「教えてあげる。俺はちゃんと和海を満足させられる愛人だったってこと。可愛いっていう印象だけでは不本意だ」
俺も男だからと笑うその言葉の意味を真に理解させられるまで時間はさほどかからなかった。

      

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