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患いの恋3
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「乗れ」
高圧的な言葉にすら疼く身体を持て余したままにベッドにあがると、蓮池がゆっくりと横になる。
その身体を跨ぐ百瀬の動きは慣れたものだ。
毎回流れが同じだからだ。
即尺からの口内射精、顔にかけられてからの騎乗位での性交。
動くのは殆ど百瀬で、蓮沼は愛撫と呼ばれる類のことは滅多にしない。
本当はもっと触れて欲しかったしセックス以外のこともしたかったが、我が儘を言えば呼んでもらえなくなる。
だから百瀬からなにかを求めることはなかった。
会えないことはなによりも辛いから、煩わしく思われることは絶対にしない。
百瀬はそう決めていた。
蓮沼が幸せならばそれが百瀬の幸せだ。
蓮沼さえ満たされるならばそれでいい。
幸いにして満足させるだけの手管は持ち合わせていた。
「んっ、……」
腰を落とすと堪えきれずに掠れた声が漏れた。
予め準備をしてきても時間が経てばまたきつくなる。
元々が受け入れるための場所ではないから粘膜が開かれる度にひきつるような痛みが走る。
「相変わらずキツいな。最近は遊んでいないのか?」
馬鹿にするような笑みさえ滲む言葉が耐え難く、すぐに否定が口から出た。
「遊んだりなんて……あなたがいるのにそんなことしません」
ほかの男など欲しくはない。
欲しいのは蓮沼だけで、彼と付き合いはじめてからは誰の誘いも受けていない。
蓮沼相手でなければ反応しないのではないかと思うほどに他の人間には欲を抱かないし、蓮沼が抱いてくれる身体をほかの人間に触らせたいとは思えない。
蓮沼だけのものでありたいと思う。
独占されたいし縛られたい。
自由など欲しくはない。
だが、蓮沼は執着してくれることはない。
それが虚しいことだと知りながら、蓮沼だけだという状態を自らつくっておきたいがために、百瀬は頑なにほかの人間をみることはなくなった。
そんな百瀬の恋心を蓮沼は信用していないようで、身から出た錆とはいえ悲しくて仕方がない。
「俺はずっとあなただけのものです。蓮沼さんでなければ駄目なんです」
愛しているのだと、一番言いたい言葉は言葉にできなかった。
蓮沼は百瀬からの執着を嫌う。
困らせたくはないからそんな自己満足しか満たせない告白はしないと決めていた。
会いたくても会いたいなどと我が儘は言わない。
蓮沼の望むように。
彼に迷惑がられないように。
嫌われたくないから百瀬はどこまでも彼の言葉だけを実行し続ける。
「可愛い奴だ」
「蓮沼さん」
不意に抱き寄せられ、壊れたのかと思うほどに胸が締めつけられる。
散々消沈させられた後に甘く囁かれ、恋する心は単純なほどに男の意のままに高ぶってしまう。
「お前のそういうところが好きだよ」
「蓮沼さ……ん、っ……」
「本当にお前は具合がいいな」
掴まれた腰をそのまま引き下ろされ、痛みに思わず眉が寄る。
だが、蓮沼が与えてくれたものだと思えば痛みすらも陶酔を呼んだ。
好きだと言いたくて、それでもその言葉だけは言えなくて、せめて想いだけは伝わればと銜え込んだ性器をしめつけると蓮沼が動けというように腰をはたいた。
「満足させてみろ。従順にしているなら愛してやる」
「はい、蓮沼さん」
言われずともそのために百瀬はいるのだ。
促されるままに腰を揺らし、とうに覚えた蓮沼が好む締めつけ方で粘膜を絡ませる。
「お前は最高だ。愛しているよ。だからずっと俺のことだけを考えていろ。ずっとだ。お前にはそれ以外いらないだろう?」
「ん、ぁ……はい……俺は、あなたさえいれば……」
「それでいい。愛されたければ聞き分けろ。望まれたことだけをしていろ。お前の価値などその綺麗な顔とこの身体くらいのものだ。ああ、頭も使えるか。愛されるには理由がいる。なにもなくして大切にされることなど有り得ない。そうだろう、裕也」
「……は、い…」
言葉に静かに頷く。
激しく腰を動かしているから呼吸が乱れ、そう返すだけで精一杯だ。
だが、そのおかげで誤魔化すことができた。
声が途切れがちなのはそのせいなのだと偽り続ける。
蓮沼の言葉に痛む心があるなど知られるわけにはいかない。
我が儘を言えば嫌われるのだ。
愛されるには対価がいる。
わかっているのにぽっかりと心に穴が空いていくようだ。
しかし、恋愛など初めての百瀬にはそれが何故なのかわからない。
ただ蓮沼の言葉は百瀬の心を緩やかに殺していくようだ。
そんな不安定な百瀬とは裏腹に、受け入れた熱は百瀬が従順な態度を示す度に膨れ上がり、狂ったように火照った粘膜を押し広げる。

      

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