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愛玩奴隷4
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「泉川」
「はい」
恐らくは外にずっと控えていたのだろう。
泉川と呼ばれた男が肩までかかる白銀の髪をなびかせて男が中へと入ってくる。
まだ二十歳にもなっていないだろう、この店の従業員だ。
いつも髪は銀髪で、瞳はカラーコンタクトの効果で紫色をしている。
香芝とも親しい彼は、今は神近の意向に従い香芝のことなどほぼ無視をしている。
人間扱いなどされはしないとわかっていたために香芝もそれに何を思うわけでもない。
ジャケットを泉川に託した神近がシャツの袖を捲くり、ホースを顎で示す。
すぐにそれを手渡せば、消毒薬で手早くそれを拭き、また香芝に戻してくる。
それを蛇口へと繋ぎ終わると、また乱暴に髪を掴まれ顔を引き上げられる。
「…ッ……ひ、ぁ……っ」
ぷしゃっという音とともに、ホースから水が溢れる。
そのままホースを口に咥え込ませられ、冷たさと驚きに思わず変な声が漏れる。
「う…ぐ、……ぅ……げほっ……っ」
飲み込めない水流が喉を突き、気道を無理矢理塞がれ、変なところに水が入り込み
鼻の奥に疼くような痛みが走る。咳き込むたびに水を飲んでしまい、苦しさに
生理的な涙を浮かべても、神近の手は休まらない。
すぐに頭を下げるような姿勢を取らされ、頭から水をかぶせられる。
全身を濡らしていく冷たい水が体温を奪い、ガタガタと身体が震え、歯が鳴った。
目にまで水が入り込み染みる瞳を何度も瞬かせながらも懸命に水責めとも
呼べないような、洗浄に身を任せる。
靴を舐めた時は大抵何らかの形で洗われるので、こういったことはもう身体が
慣れていた。
だからこそ、神近もこの程度の行為を長引かせはしなかった。
蛇口を捻り水を止めると、神近が香芝から手を離す。
「泉川。連れて来い。髪は乾かしてやれ」
「かしこまりました」
道具だけを持ってさっさと隣室に引き上げた神近を見送ると、泉川が向き直る。
中性的なその表情には笑みが浮かんでいた。
「ほら、いこうか。……えーっと、今日はゲストがいるから名前は
呼んじゃいけないんだっけ。わんわんでいい?」
普段は敬語で話しかけてくる泉川が敢えて悪趣味な冗談を交えて話しかけてくる。
そっと髪を撫でられ、みじめさに唇を噛み締める。
人にこんな姿をみられるのは苦手だと痛感する。
通常のセックスならまだしも、この姿は未だに神近以外に見せるのは怖いのだ。
だからこそ、今日は名を呼ばれず、香芝はただの犬なのだろう。
社会的な立場もある香芝にとってこの姿は秘匿しなければならないものだ。
いくらここが保身から口が閉ざされる場所だとしても、無防備ではいられない。
そのための措置が、犬であり名前を呼ばないということなのだろう。
泉川に連れ添われて白い部屋に戻ると、神近は部屋の片隅にあるモニターの電源を
入れていた。
会場の様子が映し出されている。
調教の舞台となるのは、円形に近い形の部屋だ。
定期的に部屋のイメージは変えられるが、どうやら今はアンティークで
まとめられているらしい。
床には真っ赤な血の色をした絨毯が敷かれ、部屋の中心にどこかの城にあっても
おかしくはなさそうなキングサイズの木製ベッドが鎮座している。
ご丁寧なことに、天蓋つきだ。
その枕元斜め後ろには、前面ガラス張りの木製のショーケースがいくつも
並んでいる。
当然ながら、中にあるのは鞭であったりバイブであったりと、卑猥なものばかりだ。
四隅で部屋を照らすランプもアンティークな代物で、壁には火の灯らない蝋燭が
置かれている。
緋色のそれは、どう見ても低温蝋燭だ。照明目的のものではない。
なにより特徴的なのは、部屋を囲むように取り付けられた鏡。
この場所にあるものと同じものだ。あの鏡のすぐ向こう側に観客がいる。
観客側の音声を舞台に聞こえるようにするかしないかは調教者が設定できるが、
観客側へは舞台の音声は常に筒抜けている。
その精度は驚くほどで、下肢から伝う音すら逃さないほどに高音質だ。
聞くところによれば、指向性が極めて広いマイクを設置してあるらしい。
他にも水道設備がそれとなくあったり、何かをつるすための設備が天井や壁に
あったり、ベッドよりやや離れた場所にこれみよがしに太い柱があったりと、
それ以外にもあらゆる嗜好に対応できるようにまとめられている約20畳ほどの部屋。
何度訪れても落ち着かないその部屋の映像にまた動悸が激しくなってきて
それとなく目を背ける。
そんな香芝を一瞥した神近が薄く笑みを浮かべたが、この段階では特に何を
言ってくることはなかった。
泉川に四つんばいになるように言われ、その体勢のままで髪を乾かされる。
水で流しただけの髪は乾いてもいつもよりも少しだけごわごわしていた。

      

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