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「ひ…っ。」 サンジは悲鳴を上げて身を引こうとするが、ゾロは構わず、顔中のサンジの涙を舌で舐めまくる。 ざっと舐め取り、口に、キスをした。そのやわらかさに陶然とするが、それだけでは足りない。
舌をねじ込んで、口内も舐める。少ししょっぱいのは泣いているせいで、少し苦いのは喫煙したことのないゾロは知らない煙草の味なのだろう。 そして甘く感じるのは、きっと。 乱れた金髪を撫でながら、舌を吸う。コックの舌を好きなだけ啜る。光を弾くさらさらの髪を指に絡めて存分に梳く。気持ちよくて体が震え、中心が熱くなった。
ずっとしてみたかったこと。けれど、やりたいことはまだたくさんある。夢からさめてしまわないうちにと、気ばかりが焦る。 「ふぁ…っ。」 ゾロが口を離すと、サンジは大きく胸をあえがせ、荒い息をついた。 上下する胸の、シャツのボタンを外す。ここもやはり真っ白な肌。淡い桜色の乳首に目が惹かれ、ゾロはそこに吸いつく。
まだやわらかい突起をぺろぺろ舐めて小刻みに吸って、固くなったら唇に挟んでひっぱり、そのまま更に舐め回す。 「やっ、……ゾロ、ちょっと……んんっ。」 サンジの体が熱くなってきた。もぞもぞと身じろぐのを引き寄せ、乳首を含んだまま顔を見上げる。 もうサンジは泣いていなくて、困ったように眉を寄せ、頬を赤く染めていた。その目に嫌悪の色がないから、やっぱり夢だと、悲しいような嬉しいような気持ちになった。 視線を今度は下にやる。 先刻果てたサンジのものは、また、角度と大きさを増してきていた。 ゾロはごくりと生唾を飲み込む。 欲しいと、強烈な欲望に、全身が妬けるように熱くなり、その熱が急激にゾロのものに流れ込んで、痛いくらいに張り詰める。 唇が震え、口の中に唾液が湧いた。 わななく唇を大きく開いて、ゾロはサンジのものを深く口の中に入れた。 「うわっ、ゾロっ、……やっ、ああっ。」 サンジはうろたえた声を上げて、ゾロの頭を押しのけようとしたが、口腔全体でぎゅっと締めつけると、びくびくと腰が跳ねて抵抗がやむ。 こっそりと妄想していたよりも長いものがゾロの喉の奥を突いたが、構わずに吸い、舐めしゃぶった。 浅く咥え直して指も使うと、熱くなったサンジのものから、薄い味がし始める。 舐めとって飲み込めば、のどを通って腹の奥まで焼けるように熱くなった。 ずきん、と、痛いほどの脈を打った自身に、ゾロはたまらずに手を伸ばす。
ゾロの口の中のものよりもっと濡れているような気のするそれを握り締め、けれどもすぐに離して、もっと奥へと指を進めた。 先刻果てたサンジの残滓が、ゾロの脚の間をまだ濡らしている。 それをかき集めるようにして、秘奥へと塗り込めた。 口中で脈打つものにそこを貫かれることを思いながら、性急に指を押し込み、開かせる。 強引な慣らしに痛みはあるが、興奮と、口腔の気持ちよさが先立っている。 自分の中をかき回しながら、ゾロはサンジのものに舌を擦りつけ、唇で扱いた。 「や…ぁ、あんっ、ゾロ…っ、あ、ああっ、ゾロ……。」 サンジは真っ赤になった顔を両手で覆って、緩慢に首を振りたくっている。けれども青い目は快楽に潤みきって、ゾロから視線が離せない様子だ。 荒い息と、掠れて上擦った声。ゾロの愛撫に力強くそそりたったサンジのもの。口の中に広がる味。 サンジが感じてくれている証。 このまま口の中で果てさせて、その精を飲み干したい、と思った。 けれどもきっと時間がない。急がないと夢から覚める、と、ゾロは気を焦らせている。あのサンジが、ゾロの愛撫に感じてくれる筈はないと、ゾロは信じている。 ならば自分の中に放って欲しいと、ゾロは充分すぎるほどに硬くなったものを口から出した。 名残惜しく先端に口づけ、ちらりと上を見上げれば、サンジは呆然とした表情でゾロを見下ろしていた。 ちくりと痛む胸のうずきは無視をする。 ゾロは奥所から指を引き抜き、サンジを押し倒してその上にまたがった。 すぐに位置を整え、サンジのもののくびれた部分を指で挟んでひっかけて、その上に腰を落とす。 「ゾ、ゾロ!」 嫌がる声は聞きたくない。 ゾロはサンジの先端に秘奥を擦りつけ、深く息を吐くと、一息にそれを体の中に受け入れた。 「あああ……っ!」 ゾロと、サンジと、二人の叫びが重なる。 慣らしが足りなかったから、引き連れるような痛みはある。けれどもそれ以上の歓喜が、ゾロの快感を生み出した。 座り込んだサンジの腹の上で、回すように腰を擦りつける。 体の中に感じる惚れた男の熱。その脈動を感じ取り、ゾロは泣きそうになる。 ずっとこうしてみたかった。どうせこれも、朝には覚める一夜の夢なのだろうけれど。 「ん…っ、は……。」 ゾロは悲しくなる前に、サンジの上で、腰を動かし始めた。 秘肉を擦るサンジのものの硬さに、全身が震える。 中でぎゅうと締め付けると、サンジのものが更に大きさを増した。 「や…っ。ゾロ、待…。」 拒否の言葉なんか聞きたくない。 ゾロが激しく腰を弾ませると、サンジは息を詰まらせ、快楽を耐えるような表情になる。 そう、それでいい。感じてくれる表情を見たい。そんな顔をするのかと、夢のように思う。 「ああっ、や…ぁ、ん、はぁ…っ。」 ゾロが腰を揺らし、くねらせ、締め付けるたびに、サンジは甘い声をあげる。 白い頬が真っ赤に染まって、涙をいっぱいに溜めた青い目を揺らして、サンジはゾロを見上げている。 「ゾロ……。」 涙混じりの、掠れた声が、耳孔を震わせ腰の奥までしびれさせた。 ゾロは無意識に体を折り、サンジの目に唇をふれていた。 吸い取った涙さえ、甘く感じて舌を焼く。 「好きだ。サンジ。」 云ってはいけない筈の言葉。どうしても呼べなかった名前。 あまりにも幸せすぎる夢の中だから、刺すような胸の痛みを無視して、禁忌を口にする。 腹を打つほど高ぶっている自身と、サンジを飲み込んだ部分が、苦しいくらいに熱い。 ゾロは我を忘れて、腰を上下に動かした。 硬く張り出したサンジの先端が、ゾロの気持ちいいところを擦るようにして動くと、サンジももう、荒い息と快楽のあえぎばかりだ。 サンジも下から、ゾロを突き上げるようにして動きだした。 サンジも動いてくれるのが、嬉しくてたまらないと思う。 ゾロの動きをサンジの突き上げが乱し、更に強い快感を呼ぶ。 「好きだ…っ、サンジ、サンジ、好きだっ、好きだ…。」 ゾロはいつの間にか泣いていた。 泣きながら、何度も云った。 腰を弾ませ、体を震わせ、気持ちいいと思った分だけ、それを訴えながらもっと腰を振った。 「……っん、は……、やぁ、も、だめ、ゾロ、いっちゃう……。」 絶頂を訴える切ない声。 ゾロの中で、サンジのものがいっぱいに膨れ上がる。 「だめだ…っ。」 けれどもゾロは、無我夢中で、背を反らし、背後から、自分の中に埋め込まれているサンジのものの根元をつかんだ。 ゾロのものももう、止まらない滴を零して、どうしようもなく震えている。 けれども、達してしまったら終わりだと、この幸せな夢から覚めてしまうと、ゾロは思った。 まだ起きたくない。この夢の中におぼれていたい。せめて後もう少し。サンジと肌をふれあわせていたい。 「やああっ、……ん、ああっ、ゾロ、ゾロ…っ。」 絶頂をせき止められたサンジは、悲鳴のような嬌声をあげる。 サンジの手が、ゾロに伸びた。 さまよいながら胸にふれた手が、斜めに走る大傷を撫で、腰をつかんだ。 サンジはゾロの腰をつかんで、揺さぶり、突き上げる。 その突き上げの激しさと、ゾロに襲いかかる快感の強さに、戒めていた指が外れた。 「あんっ、ゾロ、ああっ、ゾロ、ゾロ…っ。」 サンジの声が切なく上擦り、きつく、ゾロの奥深くを突き上げる。 一際強い脈動を感じ、サンジの熱がゾロの奥に弾けた。 その衝撃が、吹き飛ばされるようにゾロの快楽をも押し上げる。 「ああっ、ああ……っ。」 ゾロは全身を激しく震わせながら、前にふれられもしないままに果てた。 全身を快楽に染めあげられながら、これできっと惨めに夢から覚めるのだと、胸の奥で悲しく思っていた。
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2010/04/20 |
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