暖めてほしい 3 

 久々の島、二人きりの宿の寝台の上。
 しばらくはキスだけの可愛らしいお付き合いをしていたが、クルー達と離れて、ゆっくり閉じこもれる場所があるならば、そういう雰囲気にならない方が嘘である。
「ああ!? 待てよこらグル眉、おれが下か!?」
「そうだよ。おまえがおれに告って来た時、おれ、おまえのこと抱いていいかって聞いたらうなずいたじゃん。」
 しかしどうやらゾロは、自分が抱く側だと思っていたようだ。
 けれどサンジはそれを予期していたので、わざと、あの時のゾロの様子を口に出す。
「泣きながら、おれに好きだって云ってきたゾロは、すげえ良かったなあ…。」
「あ、あれは、てめえが無理矢理云わせたんじゃねえか…っ。」
「だって、云って欲しかったんだもん。」
 思い出すと恥ずかしいのか、ゾロは真っ赤になって睨んでくるが、ベタ惚れされている自覚のあるサンジにとっては可愛いものだ。
 言質を取っている安心感もあり、サンジはここぞとばかりに攻めた。
「約束しただろ。抱かせてよ。男に二言があるなんて、ゾロらしくないぜ。」
 サンジが甘ったれた声を出して体を押しつけると、ゾロはじたばたあたふた、焦りまくっているのが面白い。
 告白までは、自分がやられちゃうのかなあと思っていたサンジだったが、どうにかなりそうだと意欲を燃やした今、上をゾロに譲る気は全くなかった。
「あ、あれは……、抱きしめるとか、そういう意味の、つもりで……っ。」
「ゾロ、おれにだっこしてもらいたかったの?」
「だっことか云うな!」
 真っ赤になって怒鳴るゾロの頭を、サンジは強引に抱え込み、よしよしと撫でた。顔を肩に押し当てさせるようにすると、途端におとなしくなってしまうのが可愛らしい。
 そう。可愛らしいのだ。
 ごついし顔も怖いゾロだが、恋愛ごとには非常に不慣れだったようで、サンジの言動に一々初々しい反応をするのがたまらない。長く片思いをしてくれていたせいもあるのだろうが、たとえばキスをするたびに、感動を噛み締めているような様子だったりするのである。
 そんなふうにされたら、サンジの方だってどきどきしてしまうではないか。
 それでも、今もものすごい速さで脈打ちまくっているゾロの鼓動には、敵わなさそうだったりするあたりが、また可愛いのだ。
「おれも、おまえにだっこされんの好きだな。あったかくて気持ちよくて、幸せ感じる。ゾロもおれにだっこされるの嬉しい? 大好き?」
 緑の髪を撫でながらささやくと、ふてくされたような拗ねたような顔をして、ゾロはサンジを睨んできた。
 しかし残念ながら目元が赤かったりして、ますますサンジを微笑ませるにしかならない。
「ゾロに抱きしめられてあっためてもらうたびに、おまえのこと好きになったよ。これからもそうして欲しいと思ってるし、だから、今はおれにおまえのこと抱かせてよ。そんで、ゾロがおれのこともっと好きになってくれたらすげえ嬉しいなあ。」
 サンジはここぞとばかりにいい声を出してゾロの耳元にささやきかけながら、強引に話を持っていこうとした。
 そうしてもう一回ゾロを強く抱き直すと、サンジの肩に顔を擦りつけてくる。
「……てめえの方が、細いし、白いし、可愛いじゃねえかよ。だから、おれが、って……。」
 サンジの肩口で、もじもじしながらゾロが呟いた。
 細いとか白いとかのあたりで、一瞬怒りそうになったサンジだったが、続いた言葉を聞いてびっくりする。
「おれ、可愛いの?」
 思わずゾロの頭を引っぱり起こして聞くと、ゾロは恥ずかしそうに顔を背けたが、すぐにちらちらと視線を向けてくる。
「……笑うと、かわいい……。」
「へえ。」
 それならばと、御要望にお応えしてにっこり笑ってやると、ゾロは盛大に赤くなった。
 そんなゾロの方がサンジよりもずっと可愛いと思うのだが、ここで余計なことを云って、恋人の機嫌を損ねるようなサンジではない。
 むしろサンジはますます笑顔を浮かべてゾロを喜ばせようとした。
 ゾロはもじもじちらちら、横目でサンジを何度も見ながら、真っ赤になって汗を垂らしている。
「ねえ、おれ、ゾロ抱くの、すげえ楽しみにしてたんだよ? ちゃんと男同士のやり方も勉強したし、ローションだって、専用の高級な奴買ってきた!」
「ろ、……ろー、しょん?」
「塗るもん用意しとかねえと、痛えじゃん。」
「……痛えのか。」
「そりゃ痛えだろ。下準備もきっちりしないとだし。」
「………………。」
 ゾロは突然、難しい顔になって考え込んだ。
 どうやら男は未経験、知識もなさそうだとサンジは踏む。
 サンジに対する、もしかしたら初恋なんじゃないかという覚束なさもあり、レディとの経験もどうせお仕事の方とだけなのだろうと推測できるところである。
 もうひと押しいるかな? と、とりあえずはゾロの反応を待っていると。
「判った。……てめえが痛えのはいやだ。好きにしろ。」
 ゾロは赤くなりながらも胸を張り、堂々と断言した。
 やったあ! と叫びたい衝動を、サンジは笑顔に変えてゾロに向ける。
「ありがとな。すげえ嬉しい。好きだよ、ゾロ。」
 笑顔のままささやいて、顔を近付けていく。
 唇のふれる寸前、ぎゅっと目をつむるゾロは、やはりとても可愛いとサンジは思った。



 サンジは、それはそれはもう丁寧に、ゾロの全身を舐め回した。
 もちろん舐めるだけではなくて、撫でて擦って噛んで吸って揉んで、ついでに噛みついてみたりなどもした。
 ゾロはこそばゆいだの気色悪いだの云ってもがいていたが、サンジは気にせず好き放題に愛撫しまくった。泣き言のようにぞわぞわするから嫌だと訴えていたのは性的な快感に慣れていないだけだろうし、くすぐったいというのはまだ未開発だからだ。
 羞恥や快感がすぎると、ゾロは嫌がって逃げ出そうとしたが、その度にサンジがぎゅうっと抱きすくめてやると、泣きそうな顔になりつつも大人しくなる。
 どうやら経験は皆無に等しいと悟ったサンジは、とてもがんばった。それはそれはもうじっくりたっぷり、ゾロに御奉仕しまくった。ねっちりこってり、ゾロが恥じらう余裕をなくして声をあげるようになるまで、ゾロの全身を愛で尽くした。
 ここまでの間に、ゾロは三回、サンジもゾロの手を借りて一回果てていたが、まだまだ、合体までにするべきこと、したいことはてんこ盛りである。
 それに、丹念な奉仕と存分な快楽をゾロに与えて、サンジを抱きたいなどとはもう万一にも云わせないぞと、意欲を固めていたりもする。
 そして何より、ゾロが敏感に反応を返してくれるのが嬉しくて、サンジは丁寧にゾロの体を愛撫しまくったのだ。
「ん……ぁ、は…あっ、あ、ああ…。」
 ゾロの全身を舐め回したサンジの舌は、一番最後に、サンジを受け入れてくれるゾロのそこへとたどりついていた。
 四つん這いにさせたものの、すぐにゾロの肘は折れてしまって、尻だけを高く掲げたまま、敷布に突っ伏してあえぎまくっている。
 サンジは双臀を手で割り開きながら、熱心に秘奥を舐めた。
 サンジの舌が這うたびにきゅっと窄むそこを、たっぷりと舌で擦り、舐め濡らす。
 ゾロの腰が揺れ、脚の間のものからは、透明な蜜が滴りシーツに大きな染みを作っていた。
 そろそろいいかなと、尖らせた舌先に力を込めて秘奥に突き立てると、きゅっと締め付けられ、吸い込まれるような収縮をする。
「んっ、…は、ぁうっ。」
 ゾロは小さく切なげな声を洩らしながら、サンジの舌に合わせて何度も腰を振りたてた。
 内腿が大きく震えていたから、そこを撫でてやると、きれいな背中が大きく反る。
 会陰にも吸いつき、舌で強く押してやると、ゾロは必死に敷布を握り締めていた。
「な、ゾロ。指、入れるぜ?」
 一応声をかけると、ゾロは両腕に顔を隠してしまいながらも小さくうなずく。
 自らもう少し膝を開く様子に、サンジは激しくときめいた。
 用意したローションを、指に絡めてゾロのそこにふれる。
 一瞬、緊張したように秘奥が縮こまったが、すぐにゾロは息を吐き、自分でそこを緩めた。
 なんだかものすごく一生懸命で、とても協力的なゾロの態度が、サンジはもうときめいてどうしようもない。
「好きだぜ、ゾロ。」
 ちゅ、と尻の丸みにキスをして、サンジはそろそろと、指を進めた。
 
2010/05/27 






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