暖めてほしい 5 

 そのうちに、ゾロの手が動き、髪を撫でられる。
 サンジが一方的に繰り返していたキスを、ゾロは自分から唇に求める仕草をしてきた。
 どうやら落ち着いてきたようだ。
「好きだよ、ゾロ。」
 サンジは低くささやいて、ゾロの唇に口づけた。
 きゅっと金髪をつかまれ、ゾロはペロペロとサンジの唇を舐めてくる。
 唇や舌を吸われながら、サンジは強く、ゾロに腰を押しつけた。
 びく、とゾロの体が震えるが、サンジの口を舐めるゾロの舌の動きが一層熱心になっただけだ。
 大丈夫そうだと踏んで、サンジはゆっくりと腰を引き始めた。
「ん…っ、あ……。」
 ゾロが口を離して、小さな声をあげる。
 上擦った声は動揺してはいるようだが、痛がってはいないようだ。
「ゆっくり、すっから。」
 サンジはゾロの表情を伺いながら、半ばまで引いた腰をまた深く戻した。
 ゾロの内部はきゅうきゅうとサンジのものを締め付けてきて、非常に気持ちいい。
 挿入前に出しておいてよかったと、心の隅でこっそり思いながら、サンジはできる限りゾロを優先した動きを続けた。
「…ふ、は……ぁっ、んん……。」
 小刻みに突くと、ゾロは呼吸を乱して小さな声を混ぜる。
 きつく眉を寄せた眉間と額にくっきり筋が浮かんでいるが、眉尻は下がっていて、なんだかどきどきしてくるような表情だ。
 切なげに、そして、感じているように見える。
 震えるまつげの間から、時折ゾロの瞳がのぞき、濡れた瞳でサンジを見上げてきた。
 サンジはゾロの眉間と額を撫でて、顔の力を抜かせようとする。
「コック……。」
「痛くねえだろ? な、力抜いてな。一緒に気持ちよくなれよ。てめえん中、すげえよくって、溶けちまいそう。おればっかじゃなくて、ゾロも気持ちよくしてえよ。」
「コック。」 
 ゾロは何か云いたそうだったが、元々口の足りない男のこと、云いたい言葉がまとまらないらしい。
 その代わりのようにぎゅうっと抱きついてきたのが可愛くて、とてもいとおしくなったので、サンジも目一杯抱きしめ返してやると、ゾロは嬉しそうな顔をして微笑んだ。
 表情の解けた唇に、サンジはちゅっと音を鳴らす。
「ゾロの中は、あったかいな。先刻も云ったけど、ゾロがおれをあっためてくれるたびに、ゾロのことがもっと好きになるよ。なあ、好きだぜ、ゾロ。てめえは?」
「……好きだ。」
 何度も唇を啄みながらささやくと、ゾロは全身で恥じらいながらも、消えそうな声で応えてくれた。
 短い、小さな声だったが、ゾロが全力でそれを口にしてくれたのが判るから、サンジは嬉しくて仕方がない。
「ゾロ、動くぜ。なるだけ楽にしてろよな。」
 サンジはゾロの片脚を高く抱え直すと、もう少し大きく強い抽挿を始めた。
 ゾロの気持ちいいところを探して、サンジは少しずつ擦りあげる位置を変えていく。
「あ…っ。」
「ここ、い?」
 そのうちにゾロが濡れた声を上げたので、サンジはそこを中心に腰を使った。
 ゾロがまだ初めてだから、変わったことはせずに、単調な動きをくり返し続ける。
 狭いゾロの秘肉は、脈打って収縮を繰り返し、サンジを気持ちよくしてくれるけれど、まだ固さも残している。
 サンジはゾロの肌に手と唇を滑らせ、少しでも多くゾロの快感を引き出そうとした。
「うあっ。」
 ちゅう、と乳首を回りの肌ごと含んで吸うと、ゾロは大きく身をよじらせた。
 良い反応を示してくれるので、サンジはもう一方も、指でぐにぐにとこね回してやる。ぷつんと隆起したそこは、すでに今日サンジが散々いじり回したせいもあり、性感帯へと無事に進化を果たしたようだ。
「んっ、あ、ぁんっ、ああっ。」
 ゾロは大きく肩を揺らし、飲み込んだサンジのものをびくびく締め付けてくる。
 小さくゾロを突きながら、両の乳首をいじり続けているうちに、ゾロのものはいつのまにか、大きく反り返って蜜を滴らせていた。
「ゾロ、良かった。感じてくれてる。」
 サンジはすぐに、そこに手を伸ばした。
 初めてなのに、これだけ感じてくれれば上等だ。ゾロって素質あるのかも、と喜びながら、サンジは軽くゾロのものを扱いてやった。
「やぁ…っ。さ、さわんなっ…。」
「だいじょぶ、ゾロ。いいから感じてろ。嬉しいよ、こんなに感じてくれてて。」
 むぎゅう、と、強く抱きしめると、ゾロはすぐにおとなしくなる。
 嫌がったのは恥ずかしかっただけのようで、ゾロはぎゅっとサンジの背を抱き、サンジの髪に顔を擦りつけてきた。
 サンジはゾロのものの先端に、軽く丸めた手を当てる。
 ゾロの腰のうねりと、サンジが突き上げる動きとで、ぬめったゾロのものの先端が、勝手にサンジの手のひらに擦りつけられてきた。
「あっ、…あ、や、コ…ック、ん、ああっ。」
 ゾロは切なげな声をあげて、必死にサンジにしがみついてきた。
 あんまり抱きしめられると動きにくいのだが、ゾロが感じ入り、快感に没頭しているのが判るので、サンジは咎めもからかいもしない。
 ゾロの全身の震えが、大きく、頻繁になってくる。
「んんっ、あ、ああ…っ。」
 突然ゾロが大きな声をあげたかと思うと、サンジを加え込んだ秘肉が激しく締まり、手のひらに熱い飛沫を感じた。
「くう…っ。」
 サンジは必死に、歯を食いしばって達しそうな快感に耐える。
 何とか衝動をやり過ごして目を開けると、達したゾロは、ぐったりと身を投げ出していた。
「はあっ、…あぁ……。」
 サンジにしがみついていた腕も敷布に落ち、真っ赤に頬を染めあげたゾロは、胸を大きく上下させている。その突端の乳首だって、可愛く真っ赤だ。
「てめえ…、いく時は云えよ……。」
 ゾロの上にどっさり倒れて、サンジは苦情を告げてみた。
 ゾロは涙を浮かべた目でサンジをにらんで、それからふいとそっぽを向いてしまう。
 その拍子にたまっていた涙が流れ、すねきった様子のゾロに、サンジは怒りが吹っ飛んだ。
 そのかわりにいとしさがこみあげてきて、ぎゅううと抱きしめ、ぶちゅぶちゅと口を押しつける。
「や…、やめろっ。」
「んーっ、ゾロー。意地悪云ってごめんなあ。気持ちよくなってくれてありがとな。すっげえ好きだよおー。」
 そうなのだ、せっかくゾロが感じてくれたのだから、とがめたてるどころか喜んでしかるべきなのだ。
 ちゅうちゅう顔中に吸いついて愛情を訴えていると、ゾロも機嫌が直ったのか、サンジの背や髪にまた指を滑らせてくるようになった。
「ゾロ…、おれ、またいってねえから、さ。」
「あ、……おう。」
 軽く腰を揺らして示すと、ゾロは照れくさそうに、サンジの目を見つめてきた。
「手、とかなら、おれも……。」
 ゾロは恥じらいながら、手を使おうかとサンジに提案してくるが。
「なーに云ってんだよ。ゾロの中でいかせてもらうに決まってます。」
「え、おい待て、……んんっ、あああっ。」
「よーし、ゾロまだいけるよな。次は一緒にいこうな。」
 すっかりゾロが落ち着いたのをみて、サンジはまた抽挿を始めた。
 それと同時に、ゾロのものも握って扱く。
 指で先端部を撫で擦り、先刻よりも大きな動きでゾロの中を行き来すると、ゾロは必死にサンジにしがみついてきた。
 すっかり敏感になっているようで、慣れない快感に動揺している様子がたまらない。
 サンジはしっかりとゾロを抱きしめて安心させてやりながらも、愛撫も突き上げも、少しも緩める気はなかった。
 初心者に、いきなり何度もするのは良くないと先程自制を決めていたサンジだったが、けれどもまだサンジは達していない。と云うことは、ゾロ的には二回目であっても、サンジにはまだ一回目である。
 ということで、サンジは構わず続きをすることにした。達する時にゾロが教えてくれなかったのがいけないのであって、サンジは全然悪くない。予告してくれれば、焦らすなり急ぐなりして、ちゃんとゾロに合わせてあげられたのだ。
 なので今度こそ一緒に達するべく、サンジは腰を使いながらも、ゾロのものを扱き、もう一方の手もゾロが感じる場所をたどって、汗だくの肌のあちこちを撫で回した。
  
2010/05/29 






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