ときめき胸いっぱい 3 

 サンジはすっかり御機嫌で、嬉しそうにゾロに愛撫をしてくる。
 ゾロの顔中にキスをしまくったサンジは、少しずつ位置をずらし、今はゾロの胸に吸いついていた。
 男の乳首なんか所詮飾りだ。舐められても含まれても、何かされてるなあくらいの感覚しかないのだが、サンジが一生懸命ちゅっちゅと音を鳴らして吸っているから、ゾロの頬はどうしても緩んできてしまう。
 いやらしいことをしている筈なのに、妙に無邪気に見えてしまうサンジの表情をのぞき見ながら、ゾロはサンジの髪を丁寧に撫でた。
「男の乳首吸っても、何も出ねえぞ。」
「女の子だって、子供いなきゃ何も出ねえもん。」
 そんなことを云いながら、サンジは熱心に、ゾロの乳首を撫でている。
「それに、何も出なくたって、ゾロの乳首さんはおいしいもん……。」
「さんとか付けるな。」
 小さく笑ってしまったが、ゾロはサンジの可愛さにやられきっているので、そんなおばかなところも可愛いと、胸をきゅんきゅん高鳴らせるだけだった。
 ゾロの上に覆いかぶさり、開いた脚の間に身を置いて、サンジは嬉しそうにゾロの乳首をねぶっている。時々左右を入れ替えて、唾液に濡れた片方は細い指先の間へ、くにくに揉まれたり、ちゅうちゅう吸ったりしているサンジを眺めながら、ゾロは時にそぐわぬほのぼのした気持ちでいたのだったが。
「……は、ぁ……。」
 少しずつひりひりしてきた乳首は、いじられ過ぎのせいだと思っていたのだが。
 いつのまにか下腹部に溜まりだした熱に、ゾロがついたため息は、何だか変な声が混じった。
「ゾロ、乳首、気持ちよくなってきた?」
 サンジは濡れた唇を離して、ゾロにそう聞いてくる。
 むずむずするような変な感じはするが、しかしゾロには良く判らない。
「ね、こっちも……、おっきくなってきてる。」
 けれどもサンジが体を揺らすと、その腹に勃ち上がり出したゾロのものが擦れた。
 キスと、場の雰囲気に、熱くなってきてはいたものの、はっきりとした形を示しだしたのは、確かに、そうなのかもしれない。
「へへ、やったね。ゾロの乳首開発計画は大変順調に進んでおります。」
 にぱー、と笑って、やたらと自慢げに云うサンジは、脳味噌は軽そうだったが非常に可愛く、ゾロは思わず苦笑してしまった。
 それを見たサンジは、ますますにこにこする。
「すげえ嬉しい。ね、ゾロ。もっと感じて。」
 そしてサンジは、またゾロの胸に顔を伏せ、ますます一生懸命にゾロの乳首を舐めだした。
 むずむず、じんじんするような感覚は少しずつ大きくなってくる。
 芯の入ったようになってくるそこを、サンジは指と舌で熱心に転がし、押しつぶし、吸ったり揉んだりした。
「んん……、は……。」
 体が熱くなってきて、サンジの腹に当たっている自身も重苦しくなってくる。
 吐息に小さく声を混ぜるゾロを、サンジは乳首をちゅうちゅう吸いながらも、上目遣いに見上げてきた。視線が合うと、目を細めて笑うのが可愛くて、ゾロの熱は更に上がる。
 ゾロが感じてサンジが嬉しいのならば、ゾロはもっと感じるようになりたいと思った。
 なので、サンジの唇や指に全身の神経を集中させていると、どんどんぞくぞくしてきて、しまいには腰が揺れるようになった。
 一度サンジの腹に擦りつけてしまうと、たちまち我慢ができなくなって、ゾロは小さく腰を揺すり始める。
「ゾロ、ね、気持ちいいの? 我慢できなくなっちゃった?」
「んんっ。」
 サンジは弾んだ声でささやいて、ゾロに腹部を押し付けてくる。
 圧迫されて思わず声をあげてしまうゾロを見て、サンジの目は細まりっぱなしだから、恥ずかしさより嬉しさが上回った。
「何か……、よくなってきた……。」
 サンジを喜ばせたくて口にすると、羞恥に耐えた何倍もの御褒美が返ってくる。サンジの笑顔にきゅんきゅん高鳴って止まらない胸は、その突端の乳首をやたらと敏感にさせているのかもしれない。筋肉の盛り上がった胸をサンジの手全体で揉まれてさえ、妙な気分と、下腹部の鈍痛を高めているのだから。
「ああもう、たまんねえ、ゾロすげえ。……乳首さんももっとしてやりたいけど……、おれが我慢できないよ。」
 サンジは欲情した目をゾロに向けて、ぺろりと唇を舐めた。そんな扇情的な仕草は、けれどもたまらなく愛らしくもあり、どうにでもしてしまって欲しくてたまらなくなる。
 サンジはゾロの両の乳首をちゅっ、ちゅっ、と、一回ずつ吸うと、その唇を下の方へとずらし始めた。
 腹筋をなぞる唇はくすぐったく、へそを舐められたら思わずこそばゆくて体が逃げた。
「コック…っ、そこは、駄目だっ。」
「なんで? ゾロのおへそさんも開発したいー。」
「そこは、よく洗ってねえからっ。……次までに磨いとくから、今日は駄目だっ。」
「ん、じゃ、次回な。でも、あんまりへそいじりすぎると腹痛くなるからな。ほどほどにな。」
 子供の頃に云われたようなことをサンジに云われ、ゾロは複雑な気分になった。
 しかしサンジが、いつもチョッパー達に向かって年上ぶってる時のような、ちょっと偉そうな、そしてそれが嬉しくてたまらないような表情になっていたので、ついつい頬が緩んでしまい、逆らわずにうなずいた。
 そうするとサンジはますます嬉しそうで、にこっと笑うと、またゾロの腹部に唇を落としてくる。
 へその上下左右にひとつずつ、薄い吸い痕を残して、陣地を表明するようなことをしている。
 自分でつけた痕を満足そうに眺めたサンジは、少し位置をずらして、ゾロの脚の付け根に口づけた。
 そこから斜め下、大きくなったゾロのものへの愛撫を期待してしまうけれど、サンジは口も指もふれさせてはくれず、ゾロの膝を思い切り割り開いた。
「ん…っ。」
 内腿にふうっと息を吹きかけられて、ゾロは身をすくめた。
 くすぐったいような、全身に鳥肌が立つような感覚、けれどもサンジがそこに唇と舌を這わせ始めると、ぞくぞくと快感の芽生え始める気配がした。
 そのままにしていれば、感じる箇所になるらしいのは乳首で学習済みだから、ゾロは肌を這うサンジの手の甲にそっと自分の指を重ね、ぞわぞわする感覚に意識を集める。
 内腿の、脚の付け根に近いところは、開発されなくてもそれなりに感じるようだ。
「ん……は、あ……。」
 何度も息を詰め、小さな声を混ぜて大きく息を吐く、サンジの愛撫はそれなりに気もちよかったけれど、何度もくりかえしているうちに、じれったさの方が上回ってきた。
 震えも熱も、全部中心に集まってくるけれど、高ぶるだけ高ぶってふれられもしないそのものは、脈を打って透明な雫を滴らせはじめている。
「コック……。」
 ゾロはサンジに手を伸ばし、丸い頭に手を伸ばした。ちらりと目線を寄越すサンジをゾロは自身の方に押すが、サンジはふるふると首を振って、ゾロの手を振り落としてしまった。
「やー。」
 甘ったれた、駄々をこねるような声で、しかしきっぱりと拒否をされ、ゾロは反応できずに固まってしまう。
「こっちも舐めてから。」
 サンジはゾロのものを通りこし、反対側の腿の内側に口づけてきた。
 広げた舌に舐められ、軽く歯を当てられる。
 尖らせた舌先に脚の付け根を舐められ、背筋に熱いしびれが走った。
「んっ、あ……。」
 声がでる、が、やはり苦しい。どんどん高ぶるばかりの熱が捌け口を求めて集まるのに、刺激を貰えないそこはただ熱を溜めるばかりで、痛いくらいに張り詰めている。
 サンジの指と唇はその付近にしかふれないで、だからこそ余計に、ゾロの意識はそこにばかり集まった。
 愛撫は気持ちいいけれど、もどかしさばかりがどんどん強くなる。
 苦しくて息がつまり、耐えようとして腹部や脚に力が入るのに、脈打つたびにゾロのものの先端から滴る蜜が、膨張したそこからゾロを溶かしていくような気がする。
「んっ、あ、コック、……あ、あっ。」
 焦燥をあおるように、サンジの指がゾロの下生えを撫でた。
 ぞくりと、強烈な欲情が背筋を駆けのぼり、大きく腰が跳ねてしまう。
「ゾロ、ここいいんだ。」
 サンジは嬉しそうに、ゾロの滴らせる蜜にしっとりと濡れた茂みを、逆撫でし、撫でつける。地肌も撫でられ、反り返ったものの根元に指を絡められると、しきりに揺れてしまう腰の動きを制御できなくなってしまった。
「んっ、……あ、ああっ。」
 サンジはそこにも唇を寄せてきて、茂みに舌を這わせる。
 ぞくぞくと全身に広がる震えが止まらず、サンジの頬や髪がゾロのものに当たって、ますます焦燥がひどくなった。
「コック、……なあ、コック……。」
 ゾロはそろそろと、サンジの頭にまた手を伸ばす。金髪を一房つかんで軽く引くと、今度は振り払われず、サンジが目を上げてにこりと笑った。
「なあに、ゾロ。」
 云わなくたって判るだろうに、サンジはわざわざ質問してきた。
 一瞬口惜しいような気分になるが、あまりにもサンジが、期待に満ちたわくわくとした目をしているものだから、その可愛らしさにゾロは負けた。
「してくれ、コック。もう、いきてえ……。」
「うん! いいよ!」
 元気一杯の満面の笑みに、ゾロはもう、笑うしかなかった。どうやらゾロにおねだりされたかったらしいサンジは、きらっきらの笑顔で、どうしようもなく可愛かった。
 
2010/10/27 






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