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しかし、サンジは可愛いけれども、その愛撫はやたらと手慣れていて巧みだ。 根元に絡んだ指が、ゆっくりとそこを揉みだす。 何本かの指は茂みの方に残り、くすぐるように撫でられて、ゾロは何度も背筋を震わせてしまった。 サンジは、ゾロと視線を合わせながら、顔をゾロのものの先端に寄せてくる。 ゾロはたまらず、ごくりとのどを鳴らしてしまった。 そこへの愛撫の期待と羞恥、それから、サンジは楽しそうに微笑んでいるのに、何故か妙にその笑顔が艶めかしく見えたからだ。 薄い唇が開いて、赤い舌がのぞく。 何もされていないのに、ただ開いているだけの脚の付け根がじりじりと震えて、ゾロは閉じてしまわないよう、腿に力を込めた。 「んあっ。」 ぺろ、と、一舐めされて、全身の肌が泡立つ。 ゆっくりと、短い距離を何度も舐める。そんなふうにふれてくるサンジの舌は、まるでゾロを味見しているかのようにも思えて、ゾロのうずきは止まらない。 恥ずかしいのについ見てしまうサンジの表情は真剣で、コックの舌がゾロの味をどう感じているのかと、そんなことを考えたらますますいたたまれなくなった。 しかし、ゾロが何か云うより先に、サンジが次の愛撫にうつった。 少しずつ舌をふれさせていたサンジは、いきなりゾロのものの裏側を、根元から大きく舐めあげたのだ。 「あああっ。」 急激に走った快感に、ゾロは大きな声をあげてしまう。 広げた舌で舐めあげ、尖らせた舌先で下って、また広面積を舐めあげる。 そのたびに違う種類の震えが襲って、ゾロはびくびくと体を跳ね上げた。 ゾロの腰が揺れるのを止めようとしてか、サンジは脚の付け根をぐっと押さえつけてくるが、それはかえって逆効果で、感じる手の強さに余計にゾロは悶えてしまう。 サンジはゾロのものの裏側だけでなく、首を傾けて側面を舐めたどり、舌を細かく震わせたり、ところどころを唇に挟んで、揉むように唇を動かしながら強く吸ったりした。 その間にも、先の方のふくらみを手の中に包まれ、蜜の零れ出る口を、指先が掠める程度の弱さで絶え間なく撫でている。 砲身を舐めしゃぶる口は激しくゾロを追いあげるのに、指はゾロの性感を研ぎ澄まさせるばかりで、それ以上の刺激を与えてくれない。 「ゾロ、……ね、きもちい?」 はあ、と熱い息を吐いて、サンジがささやいた。 唇をゾロのものの張り出した部分にふれさせたままで喋るものだから、微かな唇の動きが絶妙な刺激になって、ゾロに声をあげさせる。 「ああっ、は、あ……。」 サンジに答えた訳ではなかったが、何よりも雄弁な返事であったかもしれない。 既にいきたいとねだってしまっているゾロは、もう充分に感じ切り、サンジの愛撫に身をゆだねきっているのだ。 ゾロだって女を買ったことくらいはあるし、口腔の愛撫だって幾度も受けたことがある。けれどこんなふうに、変な声が出てしまうような感じ方はしたことがなかったし、唇や指にふれられただけで腰が砕けそうになる快感何か知らなかった。 「てめえ…っ、なんで、こんな、うまいんだよ…っ。」 「え、そお? へへー、ゾロに褒められちゃった。嬉しい。」 半ば八つ当たりのような苦情だったのだが、サンジは素直に受け止め、満面の笑みだ。昼間もこうなら喧嘩になんかならないのに、と微かに思いつつ、結果的に賛辞になってしまったことにゾロは赤面した。 「気持ちいいとこは大体判るし、……それにね、愛情を込めれば、ちゃんと伝わるんだよ。」 大好きだよ、とささやいて、サンジはゾロのものの先端に、恭しく口づけた。 性欲処理のためではなく、愛情の行為なのだと、そう告げ、優しく微笑むサンジの表情に胸のどきどきが激しくなる。 心臓も、サンジの手の中にあるものも、どっちも激しすぎるほど脈打って、ゾロの全身からどっと汗が吹き出した。 「もっと気持ちよくなって、ゾロ。」 サンジは甘くささやく唇を開き、その中に、ゾロのものを迎え入れた。 「あ、あ、んんっ。」 生温かい口内に先端を含まれ、感じやすいそこを濡れた音を立てて舐めしゃぶられる。 ゾロの全部は含み切れないようだったが、唇で締めつけながら頭を上下に動かしたり、舌を当ててねぶったり、吸ったりしながら、根元の方にも緩く指を絡めて、撫でたり扱いたりしてくる。 もう充分に感じ、興奮しきっていたゾロのものは、サンジの愛撫に激しく反応して、脈打つたびに快感の雫をあふれさせた。 腰が動いてしまって、もうゾロは自分ではそれを止められない。 情けないほどの甘ったるい声も、いやらしく揺れてしまう腰も、サンジは喜んでくれる筈だからと、ゾロは自分の反応を全て許す。 快感の全てを受け入れると決めれば肌の鋭さは更に増し、ゾロはびくびくと全身を跳ね上げた。 直接的な愛撫だけでなく、サンジの手が内腿や下腹部の周囲の肌を撫で回すのを止めないでいるから、とろけるような肌の震えが広がっていく。 「あ、あ、も……、コック、あ、ああ…っ。」 大きな震えの波がくる。 前兆を感じて、体に力がこもる。 なのに、あともうほんの少しのところで、サンジの口がいきなり離れた。 「――――や、あ、ああっ。」 多分あと一舐めしてもらえれば達することができたのに、そんな寸前すぎるところで止まった愛撫に、ゾロは一瞬呆けて、それから、吐き出せずに逆流してきた快感に悲鳴混じりの声をあげた。 「う……、あ、あっ……。」 全身が焼けるように熱くなり、胸が重苦しくなって、ゾロはどっと涙を零した。 それと同時にこみ上げる嗚咽に、自分で驚きながらも制御が聞かず、抗議の言葉も出せずにしゃくりあげて泣いてしまった。 「え、あ、ゾロ!? うわ、ごめん、えと、あの、意地悪じゃなくて、この体勢だとゾロのいく顔よく見えないから、ちょっと変えようと思って……うわあああ、ごめん悪かった泣かないでゾロっ!」 サンジがものすごく動揺しているが、ゾロも自分でびっくりしている上に、嗚咽が止まらなくて云い訳ができない。泣いてしまった自分が恥ずかしいと思うのに、腰が淫らに揺れてしまい、ずきずき脈打って痛い自分のものから気を反らすこともできない。 ゾロは焦りながらも、両腕で自分の顔を隠した。 「ね、今、いかせてあげるから。……ゾロ、だから顔見せて、ごめんってば、隠さないで。」 一生懸命話しかけてきながら、サンジはゾロの膝の下に腕を入れ、両脚を持ち上げた。尻が浮くくらいに持ち上げられ、汗に湿っていた肌が外気にふれて、一瞬ひんやりする。 けれどもその温度差さえも今のゾロには苦しくて、必死に息を吸うのどがひどく震えてしまった。 「ゾロー、ねえ、お顔見せてってば。」 サンジは甘ったれた声で、ゾロの脚の間に顔を突っ込んでくる。 ゾロはこっそりと、腕の間からサンジを見た。何度も瞬きして、視界を歪ませる涙を落とす。 困った顔のサンジは丸く巻いた眉を情けなく下げていて、そんな顔さえも、ゾロにはやっぱり可愛らしく見える。 ゾロは、顔を隠していた腕を、左右に投げ出すしかなかった。 涙まみれのぐしゃぐしゃの顔をしている自覚はあったが、サンジが見たいと望むから、ゾロには隠すことができない。 ゾロと目を合わせたサンジの表情が明るくなり、それからゆっくりと、幸せそうな笑みに変わっていく。 「ゾロ、かわいー。」 にこーっと、それはもう、ゾロの嗚咽がびっくりして止まってしまうような笑顔で、サンジは云った。 そんなサンジの方が、何倍も、それこそ、ゾロの知っている一番大きな数字よりもたくさん、可愛いと思った。 ゾロはぼーっと、そんなサンジの笑顔に見惚れてしまったが、それが許されたのはほんの数秒の間だ。 「ひっ、……あああっ。」 サンジの口に含まれた途端、中断されていた快感が、一気にあふれだしたのだ。 もう焦らすこともなく、サンジはゾロのものに舌を絡め、すすりあげる口腔の動きに合わせて、根元から揉みあげる。 頭が真っ白になり、全身の末端に至るまでを駆け巡った快感が、息も詰まるほどの勢いで中心に凝縮する。 サンジがゾロをじっと見つめているから、ゾロも、サンジから顔を背けることができない。 「あ、あ……っ。」 がくがくと全身を跳ね上げ、ゾロはサンジに吸い上げられるままに、絶頂に登り詰めた。 達している間も、サンジが口と指の動きをやめてくれないものだから、精を吐き出す自身が焼けきれそうで、腹の内側から弾け飛ぶのではないかと思うほどだった。
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2010/10/30 |
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