ときめき胸いっぱい 6 

 サンジはゾロの様子を何度も確かめながら、ゾロの中を濡らし、解していく。
 中をサンジの指に撫でられるのが、気持ちよくてたまらない。
 表面は最初から感じてしまったけれど、内側も、サンジの指がふれた箇所に気持ちが集まり、快感を得る場所へと変えられていく気がする。
 ゾロが感じてサンジが喜ぶなら、好きなように開発してくれればいいと思った気持ちに嘘はないけれども。
 中をかき回す指が三本にまで増やされても痛みを感じなくて、サンジはどれだけ経験豊富なんだ、男はゾロが初めてのくせに、と、拗ねたような気分にならなくもない。
 けれども、サンジが何度も、好きとか素敵とか大好きとかささやいて、微笑みかけてくれるので、それで簡単に機嫌を直してしまうあたり、たぶんゾロもダメだった。
「あ、あっ、は…ぁ。」
 ゾロの脚はもう、完全にだらしなく開いている。
 サンジの手は気ままに、ゾロの脚や尻や下腹部を撫で回し、時には乳首にまで伸びて、ぐにぐにと揉まれたりする。
 いつまでこうしてるんだろうか、もう入れてもいいんじゃないかと、微かに頭の隅を掠めなくもないのだが、ゾロにも幾分は未知の行為への不安があり、この快感に浸っていたくもあったので、もう完全にサンジ任せであえいでいた。
 すっかり過敏になったゾロの秘肉は、動き回るサンジの指の動きを克明に感じ取っている。
 何度も足されたローションの粘っこい音は止まらず、ゾロはサンジの指を食い締めながら、自分でもびっくりするような甘ったれた声を何度も出した。
「ずいぶんやわらかくなったね、ゾロ。中もね、おれの指に合わせて吸いついてくるよ。」
 身悶え続けているゾロに、サンジが甘くささやきかけてきた。ゾロの中がどうのこうの、気持ちよさそうであーだこーだと、いやらしいことを非常に楽しそうに語っている。
 ゾロは半分内容を聞き流しつつ、低く甘く腰に響くサンジの声だけにうっとりしていたのだけれど。
「そろそろ、おれの入るかな……。」
 その言葉はさすがに耳に止め、ゾロはサンジに視線を合わせて、いつでも来いとうなずきかけようとした。
「じゃ、仕上げね。」
「……え、あ、あああっ。」
 しかし一瞬早く、サンジは大きく抜き差ししていた手を止め、ゾロの中の一部分を突然ぎゅうっと押してきた。
 びりびりと、全身を電流に打たれたような衝撃が走り、ゾロは激しく背をのけぞらせる。
「わーい、いい反応。さすがゾロ。」
 サンジは容赦のない指使いで、ぐいぐいとゾロのそこを揉み込んできた。
「ひ…っ、あ、ああっ、や……あ、あああっ、ああっ。」
 何がなんだか判らなくて、ゾロは盛大な嬌声をあげ、激しく身をよじらせる。
 びくびくと勝手に腰や背が跳ね、体内までしびれてざわめいて、質問をするどころか、呼吸をするのどすら震えが止まらない。
「ここね、前立腺っていうんだよー。聞いたことねえ? おれも未経験なんだけど、……すげーわおまえ、ほんとにこんなになるんだ。」
「ふ、ふざけっ、あ、あ、あああっ。」
 やたらと興味深げなサンジに、何か云ってやりたかったが、声は途中で快感の悲鳴になった。
 強く押すだけでなく、軽くつついたり、指を交互に曲げ伸ばしして撫でられたりして、次々に送り込まれる快感の波動にゾロは涙を流してよがるしかなかった。
 閉じられない唇の端から、唾液が伝い落ちる。
「コック、も、もうっ、でる、……なあ、いきてえっ。」
 ゾロはがくがくと腰を揺らして、サンジにせがむ。
 どうしようもなく感じきっているのに、前にはろくにふれてもらえていないから、快感が吐き出せない。
「なあに、もう限界?」
「頼むっ、早く、早く…。」
 ゾロは必死にサンジの手を引き、脚で体を引き寄せようともがいた。
「いいよ、してあげる。そしたら、おれの、ゾロにいれていい?」
「いい、いいからっ、早く、コック…!」
「ほんっと、ゾロは、可愛いなあ……。」
 サンジはとろけるような笑みと声で、ゾロのものを舐めあげた。
「ひ…っ、あ、や、ああっ。」
 舐めあげられ、口に含まれて、先端をくちゅくちゅとなぶられる。
 欲しくて狂いそうだった筈の前のものへの刺激だが、そこから生まれる快感の鋭さに、また違う意味でおかしくなりそうだった。
 しかも後ろからも、中の粘膜を擦られ、前立腺とやらを揉み込まれる。
 ゾロはもうひとたまりもなく、サンジの口中に快楽を吐き出していた。
「う…ん、っあ、…や…ぁ。」
 どうしていちいちサンジはそうねちっこいのか、放っている間も中を弄られ続け、すべて出し切るまで舌にねぶられて吸われて、腰が抜けたようになってしまっている。
 サンジはゾロを敷布の上に下ろすと、体ごと横を向いてしまった。
「コック…?」
 不安と不満を感じて呼んでから、サンジが、自分のものにもローションを塗りたくっていることに気づいた。
「ちょっと待って。」
 サンジはなだめるようにささやいて、ローションの瓶を台の上に置くと、ゾロに覆い被さってきた。
 ゾロも一生懸命脚を開き、腰を浮かせる。
 サンジのものが、ゾロのそこにぴたりと押し当てられた。
 とてもとても、熱くて、硬かった。
「入れるよ、ゾロ。」
「……こい。」
 真剣な、緊張した顔でささやくサンジに、ゾロからはむしろ力が抜ける。
 一生懸命なサンジはとても可愛くて、嬉しいから、ほっとする。
「……ん、は……、あぁ……。」 
 ゆっくり、熱の塊のようなサンジがゾロの中に入ってくる。
 指よりも大きくて硬いものの進入に、圧迫感はあったが、それよりも全身を満たすのは喜びだ。
 ゾロは一心にサンジだけを見つめ、ゾロの中を埋め尽くすサンジの存在感に幸せを感じていた。
「ん……、全部、入った。」
 サンジがゾロの脚の間に、体を押し付けてきた。
 太腿に挟みこんだサンジの脇腹の位置に、どんなにサンジが近くにいるかをゾロも感じ取る。
 それに何より、体の内側で脈打つサンジを直接に感じる。
 熱くて、中が痺れ切っていて、痛いとかきもちいいとか云うより、サンジのものを包み込んだ粘膜が焼けつくようだ。
 意識してゆっくり大きく呼吸をする、ゾロの上下する胸の上に、サンジが広げた手を置いた。
「ゾロ、すごいどきどきしてる……。」
 サンジは頬をほてらせ、額に汗を滲ませた顔で、穏やかに笑った。
 ぐるんと巻いた眉毛の渦巻が幾分下がり気味なのは、きっと、快楽に耐えているから。
 ゾロもサンジに、手を伸ばした。
 同じように胸にふれて、激しい心臓の鼓動を感じてみようかと思ったが、けれどわざわざさわらなくても、ゾロの中にあるサンジの熱が、その脈拍を伝えてきている。
 だからゾロはサンジの髪に手を伸ばし、後頭部に手を添えて、ぐいと自分に引き寄せた。
「ぁんっ。」
 そのせいで中にあるサンジのものの位置がずれ、ゾロが息を詰まらせるのと同時に、サンジが可愛い声をあげる。
 ゾロに甘ったるくささやきかける時よりも、更に甘い、高く掠れた声。
「っ……、何だよ、ゾ……。」
 ゾロにばかり濡れた声を出させていたサンジだが、自分も似たりよったりの声を出してしまったのが恥ずかしかったのだろうか。
 真っ赤になって、怒ったような顔を作ってゾロをにらんでくるが、唇が拗ねて尖っているのがむしろ可愛いだけだ。
 その、ちょっとだけ尖らせたような唇はキスをするのに最適で、元々それを目的にしていたゾロは、構わずサンジに唇を重ねた。
 むに、と擦りつけると、サンジの唇が薄く開く。
 その間に舌を割りこませると、飲み込まれるようにサンジの口腔に導かれ、ゾロが舐め回してやる予定だったのに、サンジにちゅうと吸いねぶられた。
 深く官能的な口付けに、ゾロの背筋に震えが走り、今全身の中で一番神経が集中しているだろう箇所が、ひくりと蠕動する。
「は…ぁ、も、たまんね……。」
 サンジは唇を濡らしたまま、うめくように呟いた。
 ゾロはその頬に唇を当てながら、サンジの背を撫でおろし、腰で手を止める。
 サンジの体もひどく震えていて、快感に耐えているのがよく判った。
「なあ、ゾロ、もういい…? 動いても、い?」
「だめ。」
 切なげな訴えを、ゾロは却下してみた。
 途端にしゅんと下がる眉毛が可愛くて、笑いをこらえた腹が震え、またサンジが濡れた声を洩らす。
 最初から痛みは全然なかったし、中から目一杯ゾロを押し広げているサンジのものの強烈な圧迫感にもすぐに慣れた。
 なのでサンジに動かれても支障は多分ないのだが、あともうちょっとだけ、サンジとこうなれた実感を、全身で噛み締めていたかった。
 
2010/11/05 






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