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「好きだ、コック。」 ゾロはサンジの腰に当てたままの手に、ぐっと力を込める。 「てめえに抱かれたかった。……すげえ、嬉しい。」 体の中の自分のものではない熱を感じていると、なんだか素直な気持ちになれた。 行為のはじめに云った言葉を、ゾロはもう一度口にして、噛み締める。 一度は逆の気持ちも決めたが、やはり、ゾロはサンジに抱かれたかった。それが叶って、とても嬉しい。 ゾロの中いっぱいに、サンジがいる。 サンジを受け入れた箇所がいっぱいに開かれ、やたらと落ち着かない気持ちにもなるけれど、サンジのものが脈打つたびに甘く広がるよろこびがあり、秘奥がひくついてサンジのものを締め付ける。それがまた、ゾロの快感を引き出すのだ。 「ゾロ……。」 「ん…っ、てめえのもん、すげえいい。」 何もしなくても、こうして繋がって、じっとしているだけでも、気持ちよくて、心も体も溶けていきそうだった。 じんわり全身に熱いものが広がっていくのが嬉しくて、ゾロはサンジを見上げて、自然に笑顔になった。 こいつが好きでたまんねえと、妙にしみじみと思う。 しかし。 「ゾロのばかあああっ!」 突然サンジが半泣きで叫んだ。 「なにいっ!?」 せっかく人が幸せに浸っているというのに、そんなことを叫ばれてはゾロも激高する。 「ふざけんなクソコック!」 「我慢してたのにっ! そんなこと云われたら、おれ、おれ…っ!」 甘ったるい気分も忘れて怒鳴り返そうとしたゾロだったが、サンジがまた叫ぶと一緒にいきなり動き出したので、ゾロは言葉を詰まらせてしまった。 「んんっ、ぐう…っ。」 サンジのものに強く中を擦られて、背筋に電流のような激しいしびれが走った。 「そんな可愛いこと、可愛い笑顔で云われたら、……でちゃうかと思ったじゃないか、ばかあああ。」 サンジは半泣きでわめき散らしながら、ゾロの中を突き上げてくる。 初めてのゾロを気遣う気持ちは残っているのか、大きな抽挿ではなく、小さく何度も突き上げる動きだ。 「んっ、あ、あっ、あっ。」 突き込まれるたびに、ゾロの口からは短い声があがり、引き抜かれる感触に全身に震えが走る。 「ああっ、ゾロ、ゾロ、ゾロ……っ。」 サンジは荒い呼吸でせわしなくゾロを呼び、すっかり夢中の様子だった。 肌を打ちつけ合う音と、中に塗り込まれたローションのぬめったような音、それから、ゾロとサンジの声が、にぎやかに入り混じる。 ゾロは必死にサンジの背にしがみつき、その肩に顔を擦りつけた。 サンジの手が、ゾロのものに伸びてくる。 「んああっ!」 ぎゅうと握り込まれ、ゾロは腰を跳ね上げた。 「ゾロ、ごめん、もちょっと、だから。我慢して。痛え? ごめんな、でも好き、すげえ好き、ゾロ、ゾロ…っ。」 サンジはゾロに口を擦りつけ、離すと、切なげな声で、慌ただしくそんなことを云う。 初めてのゾロを優しく気遣えず、強引な抽挿を止められないのを謝っているらしい。 けれどもゾロは充分感じているし、切羽詰まった状態でありながら、サンジも懸命にゾロのものに手を使ってくれたりして、大切に、愛されている実感はひしひしとあった。 「ゾロ、好き、ゾロっ、……んんっ、はぁっ。」 サンジは絶頂を懸命に耐えながらも、腰を振るのを止められないでいるようだ。 ゾロの中で、サンジが感じてくれているのが嬉しい。 サンジの顔が見たくて、快感に閉じてしまいそうになる目をゾロは懸命にこじあけた。 サンジは汗に湿った金髪を激しく振り乱し、青い瞳を薄い水幕に包んでいる。頬だけでなく全身を上気させ、唇を真紅に染めて、快楽に屈服した声をあげていた。 ……やばい、かわいい。 快楽におぼれたサンジの姿に、ゾロの全身にも激しい震えがくる。 腰の奥に強烈なうずきがきて、サンジの手に扱かれているものに、熱が集まっていく。 「あ、あぁっ、……いい、コック、もっと…っ。」 焼け付くような絶頂の前ぶれがきて、ゾロは必死にサンジにしがみつき、自分からも腰を揺すった。 「ゾロ、好き、好き…っ。」 サンジが甘く鳴き、ゾロの中を強く突く。 「んっ、あ、もういく、ゾロ、ゾロぉ…。」 そんな悩ましい声を耳元で聞かされたら、ゾロだってもうだめだ。 上からも下からも、ぞくぞくと快感が駆け抜け、身震いが止まらない。 「コック、コック…っ。」 ゾロはがくがくと腰を跳ね上げ、絶頂に達する。 「ああっ、ゾロ……。」 サンジの体も大きく震え、一際強く脈打つとともに、ゾロの中に熱い奔流がたたきつけられた。 「あ…、はぁ…っ。」 微かな切なげな声を洩らして、サンジは達しながらも、ゾロの中でゆるゆると動き続けている。 自分も弾けたばかりの状況でありながら、ゾロはサンジが感じてくれているのが、嬉しくてかわいくてたまらなかった。
「んぁ……。」 サンジはすべてを出し終えると、大きな息をひとつついて、すぐにゾロの中から抜き去ってしまった。 もう少しゆっくりすればいいのにと、ゾロは不満に感じたが、実際のところは半ば力尽きている。ぐったりと手足を投げ出し、開いたままの脚を閉じるのも面倒だった。 「ゾロ、……だいじょぶ? 痛かった……?」 サンジは心配そうに、ゾロの頬にふれてきた。 いつの間にか流れていたらしい涙やら、汗やら、どうやらよだれまで出ていたのか、口元まで拭われてしまった。 「いたくねえ。よかった。」 ゾロは少し落ち着いてきたぶん照れくさくなったが、サンジの喜ぶ顔が見たくて、正直に告げた。 「ほんと?」 しかしサンジはまだ不安そうに首を傾けたりしているので、ゾロは一生懸命言葉を探し、今の自分の体の状況を述べる。 「なんか少し変な感じすっけど……、満足した。まだてめえのが入ってるような気がする。」 抜かれてしまって物足りないのに、拡張感だけ中途半端に残っている。甘いような切ないような、変な気持ちだったが、サンジに抱かれたからこその感覚だと思えば、それさえもいとおしかった。 「……ひっ。」 「な、何!?」 サンジが真っ赤になったので、可愛いなあと頬を緩めたら、ついでに奥所まで気が抜けたのか、ゾロの中から、サンジの出したものがとろりと流れてきた。 快感の名残を刺激されて、体が勝手にぶるりと震え、変な声が出てしまう。 「てめえの出したの……、出てきた。」 今度はゾロが真っ赤になった。 サンジはむぎゅむぎゅと、ゾロの頭を抱え込み、顔中に唇を押しつけてきた。 「ごめん、今、拭くから……、だから、あんまり可愛いこと云わねえで。おれ、またゾロが欲しくなっちゃう……。」 「しろよ。」 「……だからあ! おれが我慢してんのに、何でそんなこと云うの!」 「てめえこそ、何で我慢なんかすんだよ。」 「……しなくていいの?」 「当たり前だろ。」 サンジがなんで駄々をこねているのか、ゾロには全く判らない。 ゾロは丈夫だし頑丈だし、とっても気持ちよかったし、サンジはすごく上手だからそんなに負担でもなかったし、何よりお互いやる気に満ちあふれた年頃なのだから、一度で終わりのつもりなんかゾロにはなかった。 それに、ゾロは先にもいかせてもらっているが、サンジは今のこの一回だけである。全然足りてなんかいないだろうと思うのだ。 ちらりと目をやれば、サンジは早速、新たな熱をたたえだしている。 「それならできそうだな。……今なら濡れてて入れやすいだろ。ほら、来い。」 ゾロは寝っころがったまま、サンジに両腕を差し伸ばした。 ついでに脚も、もうちょっと開く。 「うわああん、ゾロ、大好きー。でも情緒ないー。」 喜んでいるのか嘆いているのか判らないことを云いながら、サンジはゾロにぎゅうと抱きつき、覆い被さってきた。
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2010/11/08 |
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