いつも仲良し 3 

「ん…っ、あ、はぁ、……入った……。」
 ぺたんとウソップの上に腰を落として、サンジは深く息を吐いた。
 ウソップはサンジの腿を撫で、落ち着くのをじっと待ってくれている。
 中でびくびく、ウソップのものが跳ねているのに、サンジは気持ちが収まらない。
 サンジの後ろは、もうすっかり、前のものに劣らない性感帯になっていた。
「ゆっくり、サンジ。」
 ウソップがそうささやき、宥めるようにサンジの腰をさするが、じっとしていられず、腰をくねらせてしまうのは、決して焦っているからではない。
 ただ、気持ちよくて、じっとしていられないだけなのだ。
「うるせー、…黙ってろ……。」
 サンジはウソップの腹に手を付き、小さく腰を上下し始めた。
 最初の違和感は残るが、体の芯から熱の点る感覚が、すぐにそんなものは吹き飛ばす。
「んっ、あ、…は、あ、あ…っ。」
 サンジは自分の気持ちのいいやり方で、腰を動かし、ウソップのものを締め付けた。
 ウソップはサンジのわき腹に手を添え、動くのを手伝ってくれている。
 誰よりも足腰は強靱なサンジだから、補助はあまり必要ではないのだけれど、ウソップの優しさは大好きだ。
 そのウソップのものも、サンジの中で硬度を増しているから、それをいい場所に擦りつけるように動くと、ますますサンジは気持ちがいい。
 時々下から、ウソップも呼吸を乱して突き上げてくるので、彼も感じていると思うと、サンジはますます快楽に夢中になる。

 その時だ。
「コック、まだ起きてんのか? 酒くれ――……。」
 突然扉が開いて、ゾロが入ってきた。
 明かりが付けっ放しだったから、サンジがまだ起きて何かしているのだと思ったのだろう。
 しかしそのサンジは、素っ裸でウソップの上だ。
 ゾロの目が、大きく見開かれた。
 サンジとウソップの方だって、当然ながら硬直してしまっている。
「……な、何してやがる、クソコック!」
 そして、ようやく我に返ったらしいゾロは、怒声を上げて二人に近づいてきた。
「てめえ、ウソップから離れろ!」
 ゾロはウソップの上に座り込んでいるサンジの腕をつかみ、乱暴にひっぱった。
 ウソップはもちろん、サンジも呆然としていたので、何の抵抗もなくゾロに体を引き上げられてしまったのだが。
「ひゃぁんっ。」
 腰が浮いたせいで、中にあったウソップのものがずるりと音を立てて抜けてしまい、サンジはその感触に、甘ったるい嬌声をあげてしまった。
 それから慌てて、こんな奴にいい声を聞かせてたまるかと口を塞いだ。
 ゾロはサンジの腕をつかんだまま、目を飛び出しそうなほど大きくしている。
 あまりにゾロが驚いているようなので、ついサンジはきょとんとし、ウソップは羞恥と動揺のあまり、死体と化していたのだったが。
「う……、うわっ。」
 突然ゾロは、変な声を上げてサンジから手を離し、ぱっと飛び離れた。
「わ、わりい。てっきりコックがウソップ強姦してんのかと思ったんだ。逆ならいいんだ、邪魔して悪かった!」
 そしてゾロは、風のようにダイニングから駆け出していったのだが。
 扉が閉まったと思った瞬間、また、ばんっと音を立てて開いた。
「そういう問題じゃねえ!」
 全くその通りである。
 ウソップは心の中で思ったが突っ込む気合いが無く、サンジは目をぱちくりとさせていた。


「てめえら、……つきあってんのか?」
「「いや、性処理。」」 
 ゾロの質問に、仲良く声を合わせて答えてしまったせいで、ウソップとサンジは、並んで座らされ、ゾロに説教を食らうことになった。
 ウソップはゾロに踏み込まれたショックで萎えていたのでいいが、熱の収まらないサンジは非常に不機嫌である。
 しかしゾロのあまりの剣幕にサンジさえも逆らえず、顔に似合わず貞操観念に厳しかったらしいゾロに、くどくどと叱られていたのだった。
「とにかくだ。そういうことは良くねえからやめろ。船の風紀にも悪い。じゃなきゃ、船長に報告してまじめにつき合え。」
 そしてゾロの結論は、そういうことらしい。
 サンジとウソップは、困惑した顔を向けあった。
「どうするよ。」
「いや、どうすると云われても。……やめる?」
「やめたくねえなあ……。」
 ウソップがもそもそとつぶやく言葉に、サンジは拗ねた様子でそう答えた。
「ウソップとすんの、目茶苦茶気持ちいーもん。せっかく色々おれ好みのやり方だって仕込んだのにさあ……、てゆーかてめえ、何あっさりやめるかなんて聞けるんだよ。てめえはこのおれのスーパーボディに未練はねえのかよ。」
「あ、あるよ、おれだってサンジとするの夢みたいに気持ちいいもん、……でも…。」
 途中から怒りだしたサンジに、ウソップはちらりとゾロを見て口ごもった。
 ゾロが、というより、クルーの誰かにサンジとの性処理関係を知られて、それで尚この行為を続けることに、抵抗と羞恥があるらしい。
「てめえら、そんなはしたない会話をするんじゃねえ!」
 そしてゾロは真っ赤になって怒っていた。
 つくづく本当に、顔に似合わず初心くさい奴だと、サンジが鼻で笑い、ますますゾロが怒ったりしていたが、さすがにサンジも素っ裸で蹴りを披露する気にはならなかったので、口喧嘩にとどまっていた。
 そもそも二人に服を着ろと命じていないあたり、ゾロの動揺っぷりが持続していることが伝わってくる。
 そしてその間に、ウソップは真剣な顔をして悩んでいた。
「……サンジ!!」
 突然強くウソップに呼ばれて、サンジもゾロもびっくりしてそちらを見た。
「あ、あのな、サンジ。……おれ達、つきあわねえ? だめ?」
 ウソップは真っ赤になって、けれどもとても真剣な顔をしていた。
 サンジは心臓が高鳴るのを感じ、手で胸を押さえた。
「おれ、サンジのこと好きだし、……二人であれこれしててもっと大好きになったし! サンジも、ちょっとでもやめたくないって思ってくれてんなら、その…、こ、恋人、になれたら、嬉しいなあって……。」
 ウソップはだんだん恥ずかしくなってきたのか、途中からもじもじしはじめたが。
 それは、サンジも同じようにもじもじしていたので、全く問題なかった。
「おう。つきあってやるぜ。」
 サンジは頬を染め、はにかんで笑いながらも、口だけは偉そうにそう答えた。
「ほ、ほんと!?」
「おれもウソップのこと大好きだしな。」
 サンジはふんっと、意味もなく胸を張る。
「おれもサンジのこと大好きー。」
 へにゃーとした笑顔でウソップももう一度云うと、サンジの笑顔もますます深くなった。
「えへへ。」
「えへ。」
 どちらからともなく膝でにじりより、手を取り合って、照れまくった笑顔を交わす。
「あのさ、その、だったら、サンジくん……。」
「なんだよ、ウソップ。」
 いちゃべたと手を握りあいながら、ウソップが照れくさそうに云う。
「えと……、キ、キス、……していい?」
 真っ赤になってささやくウソップの言葉に、サンジは目を丸くした。
 そういえば、口でもいろんなことをしあってきたけれども、口と口をあわせることは、今までしていなかった。
 すごいところまで舐めてもらったというのに、どうやら今まで、無意識の制限がかかっていたのだろう。
 それを意識したとたん、サンジは心臓がばくばくしてくる。
 そしてウソップが、そのことに思いついてくれたことを、とても嬉しく思う。
「よし、しろ。」
 サンジはぎゅっと目を閉じて、唇をほんの少しだけ寄せて、ウソップに顔をつきだした。
「え、お、おれがするのか!?」
 ウソップはなにやら慌てた様子だったが、握りあったままの手に、ぎゅっと力がこもるのを感じた。
 そろそろとウソップの顔が近づいてくるのを感じる。
 頬を微かにかすめた長い鼻の感触。
 豪快にぶちゅーとやってくれても良かったのだが。
 サンジの唇にふれたのは、羽のように優しい、甘ったるいキスだった。
「えへー……。」
 顔を離したウソップは、目をあけたサンジに、嬉しくてたまらないという表情をして笑う。
 サンジもそれを見て、ものすごく嬉しくなってしまったので、豪快で濃厚なキスは、サンジの方からしてやることにした。
  
2010/06/09 





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