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「やだっ、……ゾロ。」 抗議の声をあげかけたウソップは、けれど続きをとねだることも恥ずかしくてできなくて、すがるようにゾロの名を呼んだ。 見上げる瞳も、にらむには程遠いものになっているかもしれない。 「相手、すんだろ?」 にやりと楽しそうに笑うゾロが憎たらしいが、ここで拒否できるほど、ウソップは快楽に耐久性がなかった。 そもそも自分でする時に、こんなふうに焦らしたり、寸前でやめてしまうなどしたことがないのだからどうしようもない。 「……する、から。」 だから、と、ウソップは半泣きで続きを願った。 しかしゾロの手はウソップの手に伸び、導かれた先は、彼の脚の間だった。 「ひっ。」 さわらせられた箇所が、硬くなり熱を帯びているのに、ウソップは思わず怯えた声を出してしまう。 「お前もしろよ。」 ほら、と擦りつけられ、ウソップは躊躇いながらも、自分の体の衝動に押されるように、ゾロの前をくつろげた。 取りだしたものは、半分くらい形を変えている。 通常時のゾロのものなら、その辺で小用を済ませていた時とか、サニー号になってからは風呂が広いので皆と入ったりすることがあるからその時などとかに、何度も見たことはあったのだが。 しかしそれはあくまでも形を変える前だったので、今のこの状態のものを、気になるけれども直視できず、顔を反らしながらもちらちらと見てしまう。 「何でもう勃ってんだよぅ……。」 どんな状況でも何か云わずにいられないのがウソップの性格だが、ゾロは小さく笑う声を洩らしただけだ。 「さっさとしろよ。」 「うー。」 ウソップは赤くなってうなりながらも、おずおずとゾロのものを握った。 サイズや色はともかく、基本的にそんなに自分のと変わるものでもないのだが、触った瞬間の熱さや硬さに、びくっとしてて思わず手を離してしまう。 しかしゾロがじっと見ているので、ウソップはそろそろとそれを撫で始めた。 軽く指を巻きつけるようにして撫でると、ゾロの手もウソップのものへと伸びてくる。 「ん…っ。」 途中で放置されていた快感が再びこみあげてきて、ウソップは大きく震えた。 「指止めんな。」 ウソップの指が止まったことをゾロに咎められ、慌ててまた手を動かす。 そうするとまたゾロの手も動いて、ウソップを気持ち良くしてくれたが、ウソップの手が止まるたびに、ゾロも刺激の続きをやめてしまう。それが判ってきたから、ウソップはやめて欲しくない一心で、懸命にゾロのものを扱き立てた。 自分にもそのようにして欲しいと、そんな下心があってのことだが、しかしウソップの指が作った空間を押し広げるように、ゾロのものがむくむくと育つから、また驚いて手を離してしまう。 「うわっ、でけ……。」 大きく反り返ったそれは、なかなか凶悪な感じですごかった。 畏怖と尊敬の入り混じったような驚きではあったのだが、ゾロが嬉しそうにしたのでちょっとムカついてしまう。 「……褒めてねーよ。」 「そうか?」 ウソップは気を取り直して、両手でゾロのものをつかんだ。 羨ましいサイズではあるのだが、初めてで扱うには大変そうだったからだ。 片手で砲身を扱きながら、もう一方の手で、先の方を包んで撫でる。 熱くて硬いそれからは、次第に透明な雫が滴り、指の動きを滑らかにした。 ウソップががんばっていじっていると、ゾロもウソップのものを扱き、先端を指で捏ね回してくる。 快感に全身が熱くなり、段々思考が麻痺してくる。 ウソップを握っているのはゾロの手なのだけれど、ウソップが自分にして欲しいようにゾロを弄れば、望んだ刺激が自分でする時以上の快楽で返ってくる。 段々思考が麻痺してきて、ウソップは夢中でゾロのものを握り、扱き立てた。 「も…、だめ…っ。」 我慢の限界が来て、ウソップは泣きそうになりながら、ゾロに訴えた。 このままだとゾロの手を汚してしまうが、離して欲しくもなくて、どうしようとウソップはゾロに目で訴える。 「手ぇ止めんなよ。」 ゾロは低くささやいて、ウソップの肩を引き寄せた。 耳孔を伝う低音に、全身の肌が震える。 「ん……、く…ぅっ。」 ウソップはゾロのものにつかまりながら、絶頂に達した。 頭の中が真っ白になるような快感に流されながらも、手のひらに感じるゾロの熱さが意識の隅にはっきりとある。 吐精の衝撃にぼんやりとしながらも、ウソップは緩慢に、指を動かし続けていたらしい。 「あ……。わり。」 ふと気付いたウソップは、慌ててゾロに謝った。 「いいから、続けろ。」 「ん。」 ぽんと肩を叩かれ、ウソップは恥ずかしさは残っていたものの、自分だけがすっきりする訳にはいかないので、一生懸命にゾロのものを追い立てた。 ゾロの脈動と、零れる雫の量が増していく。 ゾロはその瞬間、ウソップの肩を強く抱きよせながら果てた。 荒さを隠すようにゆっくり、けれど満足げな響きを帯びて、ゾロが深く息を吐く。 それを聞いたウソップは、何となくほっとしたような気分になった。 ゾロはウソップの肩を抱いていた手が背に滑らせ、腰に巻いた布を引き抜く 「……おい。」 「手ぇ出せ。」 ゾロはそれで自分の手を拭い、ウソップの手も綺麗に拭き取った。 それはいいのだが、その布はウソップのなのだが。 「洗って返す。」 ゾロはウソップと目を合わせてにやりと笑うと、汚れた布を手に立ち上がった。 「気持ち良かったぞ。またしような。」 そして、ひらひらと布を振りながら、階段を下りて行ってしまう。 「うー……。」 ウソップはまた真っ赤になったまま、うめくことしかできなかった。 あんまり認めたくないが、即座に断れなかったのはやはり、次回に対する期待があったからとしか、我ながら思えないのが恥ずかしかった。
こんなふうに始まった関係は、何だかんだで良好なものだった。 ゾロは強引ではあったが、ウソップが本当に嫌がることはしなかったし、慣れないウソップに対してとても優しくしてくれた。 2人だけの秘密を持ったことで、夜だけでなく昼も、ゾロともっと仲良くなれたような気がするのも、ウソップはとても嬉しかった。 顔は怖いし実際にとても厳しいけれど、根は優しくて、たまにものすごく可愛く笑う。 元々ゾロに対して持っていた評価が、ますます深まっていくのを感じる。 昼間の生活も、親しさが増したせいなのか、以前よりもよく構ってもらえるのが嬉しい。
いつものほら話も前よりじっくり聞いてくれているような気がするし、通りすがりにつついたりしても笑ってくれるし、時にはおやつを分けてくれたり、きのこをこっそり食べてくれたりもする。 一緒に何かする訳ではなくても、何となく目の端に、ゾロを映しておくことが増えた。 ゾロが昼寝をしているのは、日当たりのいい気持ちいい場所だから、近くで自分も作業をしたりとか。 つられて眠くなったら、ゾロの腹を枕にウソップも寝たりする。 離れた場所からでも、よく目が合うようになったので、そのたびにちらりと笑う。 何もせず、黙って2人で海を眺めていることもある。 ゾロとの新しい関係は、ウソップの毎日に、楽しみを少し追加してくれていた。 ――その筈だった。
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2008/10/28 |
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