燃える闘魂はところかまわず
 Sランク――つまりバトルロード最高の商品は、ドラゴンローブだった。
「………これだけ?」
 格闘場から出て賞品を確認したユルトは、むーっと唇を尖らせた。かなりご不満モードなのが仲間たちにはよくわかる。
「いい防具じゃない。呪文にもブレスにもここまで防御効果があるなんてなかなかないわよ」
「はぐれメタル鎧よりも守備力あるし。最高クラスって言っていいんじゃないか? ここまでの防具が賞品なら上等だろ」
 仲間たちはそう説得したのだが、ユルトはぷっぷくぷーと頬を膨らませて納得しない。
「だってさ。カジノの五万枚賞品と守備力大して変わんないんだよ? カジノの一日で稼いだコインの十六分の一とだよ? なんか超すごい特殊効果があるわけでもなく、爆発的な攻撃力があるわけでもない、地味〜にまあお役立ちかなって感じの防具なんだよ?」
 ぶんぶんと腕を振って、思いっきり不満そうに、というか悔しげに主張する。
「僕はこんな賞品のためにバトルロードを勝ち抜いてきたんじゃないやい! 全滅回数がついちゃうのが嫌だから万が一にも負けないよう慎重にチームの編成を決めて、とうほんせいそうして強いスカウトモンスターを必死になって集めて、負けそうになるたびに祈るような気持ちで見守って、そーいう必死な努力の積み重ねがこんな防具一個だなんてあんまりだよ!」
「……っつわれてもなぁ……」
「兄貴……ないものねだりはしない方がいいでがすよ」
「いいじゃないの、けっこう楽しかったんだし」
 三人にそれぞれ慰め(?)られても、ユルトはむーっとした顔を崩さない。
「そりゃ楽しかったけどさぁ。あんなにやきもきしながら直接経験値稼ぎできるわけでもないこと頑張ったのに、結局あれだけって……」
 と、ユルトはぽんと手を叩いた。不機嫌そうだった瞳をキラキラさせて、仲間たちの方を見る。
「いいこと思いついちゃった!」
『…………』
 ヤンガスとゼシカとククールは、なんとなく嫌な予感に顔を見合わせた。

 ――その日、エイムは憧れを見つけた。
 エイムは世界でも有数の金持ちである、ルネオス家の四男坊だ。ほしいものはなんでもすぐ与えられるのが当たり前、物も遊びも友達も、エイムに手に入らないものは何一つなかった。
 ベルガラックに本拠を置く貿易商であるルネオス家の人間として勉強しなければならないことも当然ある――だが四男坊のエイムは、課せられるものも大して重くはなかった。手に入るであろうものも上の兄弟たちよりははるかに軽かろうと予想がついた。
 将来は長兄の手伝いをして、周りに迷惑をかけないように、損をしないように小さな商売をするのがせいぜいのところ。責任はないが、仕事の、人生の意義もさしてない。夢中になれるようなものもない。手に入るなにもかもが、エイムの目には色あせて見えた。
 エイムは齢十歳にして、人生に心底退屈しつくしていたのだ。
 ――それが、一週間前。祖父に連れられて初めて訪れたバトルロード格闘場で、一変した。
 照明を落とされた観客席に充満する人、人、人。歓声と怒号、司会の大声。
 スポットライトで照らされたステージでぶつかりあうモンスター。飛び散る汗、舞う血潮。
 そしてその様子を、静かな顔で見つめるあの人。
『ユグドレジェンズ』という名のチーム(彼は世界でただ一人もう一つチームを持っているのだと聞いた)のオーナーである彼は、名をユルトというらしかった。まだごく若い。せいぜいが十代の後半、ひょっとしたらまだ半ばじゃないかと思えるほどだ。
 だが彼はずっと冷静な顔でじっと自分のチームの戦いぶりを見つめていた。観客席の人間たちは大騒ぎしているのに。
『アイラブネネさんズ』戦も『ホイミングレイス』戦も、終始『ユグドレジェンズ』のペースだった。的確な攻撃、うまいタイミングでの回復。どちらも決着は五分も経たないうちについた。
 そして、バトルロードの主、モリーのチーム――『モリーアップ』との戦い。
 すでに二戦して疲れているはずなのに、『ユグドレジェンズ』は一歩も退かなかった。むしろどんどん勢いを増し、苛烈な猛攻を『モリーアップ』に与える。
 力と力、技と技が激しくぶつかりあい、双方限界さえ乗り越えているのではないかという戦いを繰り広げ、そしてついに――
『ユグドレジェンズ』が勝った。
 湧き起こる大歓声、怒号と絶叫。ユルトが「っし!」と小さく叫んでガッツポーズをするのが見えた。
 その時の笑顔――
 エイムは泣いた。この世の中にこんなに素晴らしいものがあるなんて。
 魂が震えた。艱難辛苦を乗り越えた果てにつかんだ勝利。その時の笑顔はあんなにも、輝かしいものなのか。
 もちろん十歳なのでこの通りに考えたわけではないが、そのように感じたのだ。
 そしてその日から、エイムはモンスターバトルロードのファンになった。
 ルーラ便を雇って毎日格闘場に通い、試合を見て研究する。チームを持っている祖父と話し合い、どうやったらチームが強くなるか寸暇を惜しんで論じあう。
 それも全て、グランドチャンピオンに――あの人に近づくために。
 そしていつか、あの人に勝って、自分を認めてもらうんだ。
 そんな夢を、エイムは抱くようになったのだった。
 そんなある日。

 祖父と一緒にバトルロード格闘場の扉を開け、エイムは中に入った。入り口は酒場になっており、幼いエイムには臭いとしか思えない匂いが充満しているが、もう慣れた。
 今ではむしろ自分が少しだけ大人になったような気にさせてくれる、刺激的な匂いのように思えている。今でもいい匂いだとは思えないけれど。
 バトルロード格闘場の扉を開けることができるのは鍵――バトルロード参加資格を持つ人間だけ。ほとんどが相当の金持ちだ。
 なので酒場には高い酒と肴が山ほど用意してあるらしいが、エイムには関係ないことだった。高級感漂う、というにはほど遠い、エイムのような金持ちには慣れない雰囲気だが、そちらの方がなんだかカッコいいような気がしている。
 いつものごとくまずは酒場に腰を落ち着ける祖父を置いてコロシアムに向かおうとした時――声が聞こえた。
「チャンピオン!」
「チャンピオン、いらっしゃい!」
「チャンピオンのお出ましだぞっ!」
 わぁっという歓声、歓迎の声。わっと人が集まっていく――慌ててエイムはそちらの方向に走った。
 ――見えた。一瞬だが、確かに見えた。あの優しい顔と、オレンジ色のバンダナが。
 エイムは興奮してチャンピオンに駆け寄る――だが同様に駆け寄る人の群れに阻まれ近づくこともできなかった。
 輪の中心で、チャンピオンが話している声が聞こえる。
「チャンピオン! チャンピオンのチームの強さの秘訣はなんですか!?」
「んーと、強いモンスターを集めて、役割分担を決めておくことかな」
「どうしたらあんたみてぇに強いモンスターが集められるんだ!?」
「世界中を回れば、ある程度強ければモンスターは自然に集まるよ。本当に隅々まで回らなきゃだけど」
 興奮してまくしたてる周りの人間たちに柔らかい声で答えるチャンピオン。周りの奴らはその自然な行動にますます倒れんばかりに興奮する。
 自分も話したい、チャンピオンと話したい――そう思いながら必死に人をかきわけようとするが、十歳児の力ではそれはとても果たせなかった。
 チャンピオンが人の山をかきわけて少しずつ移動していく。奥へ、奥へと。いろんな人間と話しながら、扉を開けて、コロシアムへと――
 エイムは半泣きになってチャンピオンを見つめた。こんなに近くにいるというのに、自分とチャンピオンの距離は圧倒的に遠い。
 それでも必死に、もう姿さえ見えないチャンピオンに少しでも近づきたくて前へと進み――
「邪魔だ!」
 どんっと突き飛ばされて、床で膝をすりむいた。柔らかい膝に血がにじむ。
「……ふぇ……」
 痛みに慣れていないエイムは泣きそうになったが、こんなところで泣いていたらチャンピオンに叱られちゃう、とぎゅっと唇を噛んで立ち上がる。
 ――と、エイムの目の前にひょいととんでもない悪漢顔が飛び出てきた。おじさんなのに背の高さがそれほどエイムと変わらないほど低く、それでいて横は数倍近く広い、いかにも山賊という風体の男だ。
「坊主。大丈夫か」
 エイムは思わずびくんとしたが、こんなところで負けたらチャンピオンに顔向けができないと意地と胸を張る。
「平気だよ」
 その悪漢顔はニッと笑い(笑ってもやっぱり怖い、とエイムは怯えた)、エイムの頭を撫でた。
「そうか、偉いな坊主」
「坊主呼ばわりしないでよ。僕にはエイムっていう名前があるんだ」
 怯えながらも強がって言うと、男は笑った。
「そりゃ悪かったな、坊主」
「………もういいよ………あ!」
 エイムはばっと周囲を見渡してがっくりとうなだれた。チャンピオンはもう取り巻きの姿さえ見えなくなっている。
「どうした、坊主」
「……チャンピオン、もう見えなくなっちゃった……顔だけでももっと見てたかったのに……」
 この悪漢顔の男が恨めしくすら感じたが、さすがに罵ったりは怖くてできない。殴られるとかいうような心配はしていないが(バトルロードではオーナー間のトラブルは厳重に取り締まられている)、単純に顔が怖くてまともに見れないのだ。
「チャンピオンって……グランドチャンピオンか?」
「そうだよ」
 決まってるじゃないか。
「お前チャンピオンのファンなのかよ?」
「当たり前じゃないか! だって僕チャンピオンとモリーさまのあの戦いを見たもん!」
 恐怖も忘れてエイムは男に怒涛の勢いで語った。あの時自分がどんなに感動したか、どんなに興奮したか。チャンピオンがどんなにカッコよく見えたか――。
 男はうんうんと満足気にうなずくと、エイムに誘うように言った。
「チャンピオンに会わせてやろうか?」
「ホントっ!?」
 エイムは飛びつくように答えた。答えてからはっと、嘘に決まってるじゃないか、と気づく。
 こんな男がチャンピオンの知り合いなわけない。
 だが男はエイムのそんな疑いに気づきもせず、にやりと笑う。
「特別にな。兄貴もたまにゃあ純粋に憧れてる奴に会わせてやりてえからよ」
「…………」
「ついてきな」
 先に立って歩き出した男に、数瞬必死に迷って、結局ついていくことにした。万が一! という可能性を捨て切れなかったからだ。
 牢屋風の扉を開けて、階段を下りる。コロシアムの喧騒が耳を突く。今日はチャンピオンが来ているせいか、ひときわ声が大きいように思えた。
 男は今日も大入りの――といってもこの格闘場に入れる人数自体がけして多くはないのでたかがしれているが、それでもたくさんの人の間を迷う様子もなくすいすいと通り抜けていく。エイムもそのあとに続いた。
 歩いていくうちに、こっちは、とはっとした。こっちはバトルロードのグランドマスター、モリーの特等席ではなかったろうか。
 進めば進むほど人は少なくなっていく。モリーとお近づきになりたいという人間はくさるほどいるが、モリーの観戦の邪魔をするような度胸のある人間はまずいないからだ。
 本当に大丈夫なのかなぁ、とドキドキしながらも男のあとについて歩いていく、と―――
「あ、ヤンガスー!」
 チャンピオンが。グランドチャンピオン・ユルトが。
 こっちを向いて、笑顔で手を振ってくれた。
「兄貴ー!」
 自分の前で男――ヤンガスが手を振り返すが、エイムはそんなこと気づきもせず、真っ赤になって硬直してしまった。
 チャンピオンが、チャンピオンが、とそんな言葉だけが頭の中をぐるぐる回る。
「ほれ、何してんだ。こっちへ来な」
 ヤンガスに手を引かれてぼうっとしたままチャンピオンの目の前に引き出された。チャンピオンのくるっとした目が動いて、エイムを見る。
「君、誰?」
 チャンピオンが。チャンピオンが名前を聞いてくれた。
「えっ、エイムですっ!」
 裏返った声でそう言うと、チャンピオンはにこっと笑って言う。
「僕はユルトっていうんだ。よろしくね、エイム」
「はっ、はいっ!」
 知っている、なんて偉そうなこととても言えなかった。
 チャンピオンとヤンガスが自分のことについて話をしている。こいつ兄貴のファンなんでがすよ、えー僕のファンってバトルロードの、そうでがすだから兄貴と話させてやろうと思って、話かぁなんか面白い話できればいいけど、などという言葉が耳に入るが頭には入らずに抜けていく。
「えーと、エイム。なにか僕に聞きたいこととかある?」
「はっ、はいっ!!」
 緊張してコチコチになりながらチャンピオンを見上げ、必死に考えるエイム。こんな機会もうないに違いない、なにか、なにかないか、チャンピオンに自分を印象づけられるような一言――
 考えに考えて、出てきた台詞が。
「僕っ、いつか絶対、チャンピオンと戦えるくらい強くなります!」
『……………』
 その場が一瞬静まり返り、エイムは恥ずかしさにカーッと頭に血が上った。チャンピオンは僕になにか聞きたいことはあるかって聞いたのに。僕はなにを言ってるんだ。チャンピオンがせっかく僕に聞いてくれたのに、ああ死んじゃいたい――
 などと泣きそうになってうつむくと、ぽんと肩を叩かれた。
 顔を上げると、チャンピオンの優しい笑顔が目の前にある。チャンピオンは力強く自分にうなずきかけて、言った。
「待ってるよ。いつか戦おうね」
「…………」
 エイムはもう呆然となって、チャンピオンを見つめてしまった。
 こんなことが本当にあるなんて、信じられない。

 それからもチャンピオンはちょくちょく自分に話しかけてくれたが、エイムはそれなりに落ち着いて受け答えすることができた。その上モリーと親しげに話すチャンピオンを間近で眺められ、こんな贅沢な時間生まれて初めてだ、とたまらなく幸せな気持ちでにこにこしてしまった。
「モリーちゃんはね、ユルトくん――チャンピオンを、ある意味自分の息子みたいに思ってるのかもしれないわね」
 いつもモリーの隣にいる美女、マリーがじっと二人を見つめるエイムにそっと教えてくれた。
「自分の息子?」
「そう。たまらなく可愛い、自分が導いてやる存在にして、最大のライバル」
「ふうん……」
 まだ十歳のエイムは、そういう感覚はよくわからない。
 マリーは首を傾げるエイムにくすりと笑った。
「あなたもいつかそういう存在に出会う時が来るわ」
 そうなのかな、とエイムはとりあえず納得しておくことにした。
 チャンピオンとモリーはなにやら難しいことを話し合っているらしかった。最初モリーは渋っていたが、チャンピオンにお願いしますと何度も頭を下げられ、最後には苦笑しつつもうなずいた。
 なにを話してたのかな、と思っていると、チャンピオンたちは立ち上がった。軽く自分たちに手を振って係員通路の方に向かっていく。
 どこに、なにをしに行くんだろう。
 早く帰ってこないかな。モリーさまたちだけじゃなんだか落ち着かない……。
 じっと立ち尽くすモリーとそれに寄り添うマリーの隣で、居心地悪くそう思っていると、休憩時間だったステージにぱっとスポットライトが当たった。進み出てきたレフェリーが、朗々とした声で言う。
「本日は大変に興味深いエキジビジョンマッチをみなさまにお送りいたします! チャンピオンのたっての希望により………チャンピオンご一行とB〜Sランク、休みなしの九本勝負!」
「…………!」
 観客席がどよめく。エイムも驚愕していた。
 いかに無敗のチャンピオンとはいえ、これまで戦ってきたのは魔物。魔物相手に正面から、人間が戦う? それも九連戦?
 そんなことしたら、チャンピオンは死んでしまうのではないか?
 モリーを見るが、モリーはいつものいかめしい顔でじっとステージを見ている。ステージの赤コーナーにチャンピオン一行――チャンピオン、ヤンガス、赤い服を着た聖堂騎士、なんかすごい下着みたいな格好をしたお姉さんの四人が進み出る。
 青コーナーに『ドラゴンソウルズ』――ドラゴンバケージ、ドラゴンソルジャー、ドラゴンブッシュが進み出る。
 ひどくドキドキしながら野次と歓声の中、モリーの横でチャンピオンを見つめていると――
 戦い――というか、蹂躙が始まった。
 敵が攻撃するより早く、チャンピオンたちは動く。
「超パワフルスロー!」
「イオナズン!」
「蒼天魔斬!」
「バギクロス!」
 一分も経たないうちに勝負がつき、次のチームが呼び出される。
「ギガデイン!」
「マヒャド!」
「烈風獣神斬!」
「ザラキーマ!」
 またあっさりカタがつき、次のチームが。
 そしてまた次のチームが――
 圧倒的だった。圧倒的なパワーで、チャンピオンはモンスターたちを屠っていった。
 自分の十倍くらい大きいモンスターに殴られても屁でもないという顔をして。本当にたまにしか回復はせず。
 とんでもないパワーで次から次に、あっさり敵を倒していき――
 過去の最強チーム、『モリーアップ』でさえも、
「はやぶさメタル斬り!」
「大まじん斬り!」
「メラゾーマ!」
「グランドクロス!」
 一分ももたず撃破した。
 ――呆然とする場内の中で、一人チャンピオンだけが笑っていた。
「あーすっきりした!」
 と言いながら、輝くような笑顔で。

 モリーが苦笑しながらチャンピオンに言っていた。
「チャンピオン、君は本当に計り知れない男だな。君の力はバトルロードという小さな枠の中には収まりきらないようだ」
 その日はもう盛り上がらないだろうということで解散ということになり、エイムも祖父に連れられて家に帰ることになった。
「やれやれ……なんちゅーか、むちゃくちゃじゃのうチャンピオンは……とんでもないの一言じゃわい。本当に人間かと疑ってしまうな」
 ぶつぶつと言う祖父に、エイムは言った。
「おじいちゃん、僕、明日からバトルロードに来ない」
「へ? な、なんでじゃ。あんなに夢中になっていたじゃろうに」
「うん、でも僕決めたんだ。あの人は自分の力で戦ったから、あんな風に笑えたんだよね」
 エイムはきらきらと輝く瞳で空を見上げ、誓う。
「僕、戦士になる! チャンピオンと戦えるような、強い戦士に!」
「……………!」

 バトルロードで「あー馬鹿そっちじゃないなに考えてんだそうじゃないんだってのにんもうじれったい僕たちに戦わせろー!」というフラストレーションをぶつけるためにモリーにかけあって苦戦したBランクからのバトルを自分たちの力で勝ち抜いたせいで、一人の少年の人生が狂ったことなど、当然ユルトには知る由もない。
 だがまぁ、親兄弟の反対を押し切って流浪の戦士になったエイムは、最終的には剣聖と呼ばれるほどの腕を会得したのだから、悪い人生ではなかっただろうというのは、また別の話。

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