お礼対談その5.『これだけはと自慢できること』。

滝川「今回のお題は『これだけはと自慢できること』だってー」
セオ「え!? じま……自慢なんて、そんな、俺、そんなことできませ………!」
兄一「いつものごとく自信過小なセオはともかくとして、実際ちょっとやりにくいお題だよな。これだけは! って自慢できるほど誇れることっていうと、なにができるって自慢よりはまたのろけ合戦になっちゃうだろ?」
滝川「うん、だから誰かに対する感情自慢は禁止だって。あくまで能力についての自慢だってよ」
九龍「ふむふむ……ま、妥当じゃん?」
新次郎「うーん、つまり悪を懲らす正義の心! とかいうのもなしなんですね?」
滝川「なしなし。特技とか趣味自慢とかならいいってよ。……なんつーか、地味な対談になりそうだなー」
天野「……そうかなぁ?」

滝川「俺ゲーセンでワンコインでどこまで粘れるかっつーのにかけてはそんじょそこらの奴には負けねぇぜ! これかなり自慢!」
マスター「……せこい自慢だな」
滝川「うっせーなー、ゲームなかなか買えねぇ貧乏ゲーマー学生には必須特技なんだよ! 以前は茜とよくゲーセン行ったんだけどよ、茜にも感心されたんだぜ? 『お前のゲームにかけての粘り具合はゴキブリ並だな』って!」
しんのすけ「それ感心されてないゾ」
新次郎「世界最強の男としてはそっち方面での自慢とかないんですか?」
滝川「(沈んだ顔になって)……人を殺すための技術で自慢とか、あんま、したくないからさ」
新次郎「あ……ごめ……」
滝川「(急に明るい顔になって)まーそのおかげで今舞たちを守れてんだけどな! しつっこい刺客の相手すんのは面倒だけどよー、撃退したあとで『……感謝を』とか言ってこてん、とか頭もたせかけてきたりすんだぜ舞! ミスって怪我したらすんげー怒るけどすんげー心配もしてくれるしさー」
全員(……またのろけかよ………!)


マスター「少年の服飾の知識と技術だな」
アディム「……予想通りの変態的な答えだね」
マスター「服飾というだけですぐ変態的という思考にいく方がよほどやましいと思うが?」
兄一「……そこじゃなくて少年のってとこが問題なんだと思うんですけど……女性や成人男性の服についてはないんですか?」
マスター「もちろんそれなりに自信はある。だが、誰にも負けないっていうほどの熱意もなければ研鑽も積んでないからな。やはり自慢できるほど愛しているのは少年の服装だ! むろん少年の女装用の服についても自信はあるぞ、メイド服にゴシックロリータ、ナースに巫女にミニスカポリス……」
九龍「わー、すんげーマニアックなラインナップー」
アディム「やっぱり変態以外の何者でもないね」
マスター「変態なんじゃない、趣味の幅が広いんだ!」


兄一「……うーん。俺は自慢できるほどの能力っていうのはないなぁ」
ユルト「ないの? 全然? 少しも?」
兄一「少しもっていうか、俺は基本的に小器用な人間だから努力すればそこそこのレベルには達せられるけど。その道の天才にはどうしても勝てないんだ。だから自慢できるほどのものは……」
九龍「……お、ここに資料が。なになに、兄一さんはT大に現役、しかもトップ合格するほど成績優秀でスポーツ万能ゆえに、中学高校とバレンタインのチョコの数は校内トップだとか」
兄一「え、いやそれは、自慢できることじゃないだろう?」
ユルト「ふむふむ、おまけに超金持ちの美人の血の繋がらない妹が十二人いるってことで、男から何度も狙われたけど、兄一さんを狙うと女子から総スカンを食らうんで全員諦めた、と」
兄一「まぁそういうこともあったけど………」
滝川「……そこまでモテモテだったのかよ兄一さん……(じと)」
しんのすけ「……別にうらやましくなんてないもん……(じと)」
兄一「……なんで睨まれるんだ?(不思議そうに)」


しんのすけ「きれいなおねいさんの匂いをかぎつけることー!」
新次郎「に、匂いって……!」
マスター「すがすがしいまでに欲望に正直な自慢だな」
ユルト「具体的にどれぐらいすごいの?」
しんのすけ「んーとね、きれいなおねいさんだったら目隠しされてても十m先からわかるよ」
アディム「……百mとか桁外れじゃないところが妙に現実的で嫌だな……」


天野「テニスの試合でのスタミナと玉を拾う早さですね。俺、これにはちょっと自信あるんです」
九龍「テニスかぁ。やっちーとどっちがすごいかなー」
天野「八千穂さん……一度試合やってみたいですね。中一男子と高三女子だったらそんなに悪い勝負にはならないと思うんですけど」
九龍「……いや、やっちーを通常のテニスプレイヤーと思わない方がいいと思うな……マジ死ぬから」
滝川「そんなにすごいのかよ?」
九龍「……テニスの球で銃弾より高いダメージ叩き出す女だよ?」


アディム「肉体労働だね」
新次郎「? なんでですか? なんだかアディムさんのイメージと繋がらないんですけど」
アディム「奴隷を六歳の頃から、十年間やってきたからね……辛い肉体労働はお手の物なんだ。死ぬか生きるかぎりぎりのところで耐えてきたからね……」
全員『………………』(ずーん)
マスター「……だが、今あんたには愛している人が、愛されている人がいる。世界の誰より愛してると言える子たちがな。……それで少なくとも収支はプラスだろう」
アディム「(ふっと笑って)……そうだね」


九龍「サバイバルな状況下での料理!」
ユルト「あーそっかー、九龍料理得意だもんねー。宮廷料理よりうまいんじゃないかって思ったもん、前食べさせてもらった時」
九龍「いや、単に料理の腕だけなら俺より上の奴はいくらでもいるさ。けど、悪条件下でいかにうまく料理をするかってことにかけては、俺の右に出る奴はいないと思うぞ!」
マスター「ほう、なかなかの自信だな。俺も料理には自信があるんだが……たとえば?」
九龍「たとえば遺跡に閉じ込められてネズミしか食うもんがない時、ジャングルで村がなくて木の根や蛇とかしか食うもんがない時、いかにカレー粉を節約しつつ臭みを抜くかっていうのが……」
マスター「わかったすまん俺の負けだ負けでいい」


ユルト「うーん、そーだなぁ……寄り道した時にいいものを見つける能力、とか?」
天野「たとえばどんなのですか?」
ユルト「薬草とか魔法の聖水とか消耗品が多いんだけど、たまに武器とか錬金の材料とか」
滝川「ゲームの冒険中の話じゃねぇか!」
ユルト「えー、街中でも普通にいいもの見つけられるよ? 人の家に無断で入り込んでタンス開けたり
樽割ったりとかすれば」
兄一「それもゲーム中の話だろうが! ていうか犯罪だー!」


新次郎「えーと、剣術と柔術は一応免許皆伝をもらってますけど」
しんのすけ「つまんない」
新次郎「え、ええ!?」
九龍「うん、そんなんじゃつまらんなぁ。なんかもーちょいネタになる自慢ないわけ?」
新次郎「ネ、ネタって……」
ユルト「新次郎のネタっていえば女の子関係でしょ。女の子に関することで自慢ってないの?」
新次郎「そ、そんなこと言われても……あ、そうだ!」
九龍「なになに?」
新次郎「一時間でどれだけ多くの仲間の女性に声をかけられるか一郎叔父と話した時、『負けた』って言われました!」
全員『………………』
アディム「……新次郎くん……人としてどうかと思うよ?」
新次郎「そんなー!」


セオ「う……自慢とかそういうの、ない、です………ごめんなさい………」
マスター「まぁ予想してた台詞だが。得意なことはないのか?」
セオ「ないです……俺、本当に、なんにもできない、馬鹿で愚図で間抜けなどうしようもない人間、ですから……」
九龍「……ふむ。セオ!」
セオ「え!?」
九龍「(しゅばしゅばしゅばとナイフを投げる)」
セオ「(反射的にナイフを全部剣で叩き落す)」
九龍「大丈夫大丈夫、ちゃんと動けるじゃん! 少なくともちょっと修行すれば芸人で食っていけるよ!」
セオ「え……そ、そう、ですか?(照れ)」
兄一「待てそこは嬉しがるところじゃないだろうセオ」

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