食事にまつわる五つの話。

お礼小話その1・DQ[〜野宿編。
ユルト 「ククール、僕たちのパーティはたとえ料理ができなくても食事当番は持ち回りって決まってるから。覚悟しておいてね」
ククール「……マジかよ」

ユルトの場合。

ククール「へぇ、うまいじゃないか。クズ肉とクズ野菜のスープか……お前さんなかなか料理上手なんだな」
ゼシカ 「上手は上手なんだけどね……(げんなり)」
ククール「……どうしたんだ、ゼシカ?」
ゼシカ 「ユルト、食事当番の時にはこれしか″らないのよ……」
ククール「…………」
ユルト 「これしか作れないわけじゃないよ? でもこれが一番リーズナブルで体にもいいんだもん」
ククール「……飽きないのか?」
ユルト 「僕、粗食でも耐えられるタチだから。毎食パン半個とかでも文句言わないよ」
ククール「そういう問題じゃなくてだな……」

ヤンガスの場合。

ククール「いや、うまいよ? うまいけどな? なんでどれもこれも焼いたのしかないわけ?」
ゼシカ 「ヤンガスって、基本的に焼くしか料理法知らないから……」
ヤンガス「これぞ漢の料理でがす。熱いうちに食ったほうがうまいでがすよ」
ククール「熱いうちしかうまくないの間違いじゃないのか……?」

ゼシカの場合。

ククール「………(からーん)」
ユルト 「あー、ククール、大丈夫? 慣れてない人にはきついよね、これ」
ヤンガス「アッシも初めて食ったときは目眩がしたでがすからなぁ」
ゼシカ 「人の作った料理を毒みたいに言わないでよ!」
ククール「……ゼシカ、すまない。俺には耐えられない。君には悪いと思うが……」
ゼシカ 「なによ」
ククール「これは人間の食う食べ物じゃないっ!」
ゼシカ 「なんですってー!? じゃあアンタ作ってみなさいよ! 料理って難しいんだからね! 下手くそだったら笑ってやるから!」

ククールの場合。

ユルト 「おいしーい! ククール料理上手だったんだ!」
ヤンガス「うまいでがす! なんつーかこう、お袋の味って感じでがす!」
ククール「キモいこと言うな。修道院は基本的に粗食だからな、貧乏料理しか作れねえんだよ」
ゼシカ 「………(ふるふる)」
ククール「さて、マイディア、ご感想は?」
ゼシカ 「……この、イヤミ男ー! あんたより料理が下手だと思うと猛烈に腹立つー!」
ククール「それは失敬」
ゼシカ 「あーもーはいはい、わかりました参りましたっ! 私の負けよ、ホントにもう。なんでこんなキザ男が作る料理がこんなにおいしいわけ?」
ククール「料理は下っ端の修道士の仕事だったからな……ガキの頃から騎士団に入るまで、ずっと厨房で働かされてたから」
ゼシカ 「ククール……」
ユルト 「僕も厨房で働いてたよ。最初は小間使いだったから。おかげで料理覚えられたんだ。僕たちラッキーだったねっ、料理が作れればどこでも基本的に食いっぱぐれはないよ、ククール!」
ククール「(苦笑)……そうだな」
トロデ王「うむ、見事じゃククール! これからは料理当番はお主に任せることとしようぞ!」
ククール「………はい?」


そんなわけで、野宿の時料理を作るのはククールなのです。

お礼小話その2・DQ[〜宿屋編。
ユルト 「あ、ククールまたお酒ばっか飲んで。駄目だよちゃんと食べなきゃ」
ククール「うるせえな。俺はお前みたいに味覚がお子様じゃねぇんだ」
ゼシカ 「でもユルトは好き嫌いなくなんでも食べるからいいじゃない。確かにお子様だけど」
ユルト 「ひっどーい! そういうゼシカだってものすごい辛いもの好きじゃない。パスタにはタバスコがんがんかけるし、カレーはいつも激辛だし。胃を悪くしても知らないからね」
ゼシカ 「あら、辛い方がおいしいでしょ?」
ヤンガス「やっぱりうまいものといえばその土地のものでがすよ。四季折々その地方にあったものを食うのが一番うまいでがす」
全員  『…………』
ユルト 「一番好きな食べ物いってみようか。僕ホワイトシチュー。お菓子だったら、一度姫様に分けてもらったミルクレープ」
ヤンガス「アッシはやっぱり一番は焼肉でがすかね」
ゼシカ 「白菜の唐辛子漬け」
ユルト 「ククールは?」
ククール「…………言いたくねえ」
ユルト 「えー、なんで。聞きたいよ。教えてよ」
ククール「いやだ」
ユルト 「教えてよー。教えてってば。教えないと街中の女の人にククールは十三歳まで蒙古班があったって言いふらしちゃうから」
ククール「………! なんでんなこと知ってんだよ!?」
ゼシカ 「……え、本当にあったの?」
ユルト 「修道院の人に教えてもらった……あ、内緒だよって言われてたんだった」
ククール「……あのやろ………」
ユルト 「えーと、内緒だよって言われてたから言いふらすのはやめるけど、なにが好きなのかは教えて」
ククール「………笑うなよ?」
ユルト 「え、なんで? 笑わないよ。おかしい食べ物なの?」
ククール「おかしいっつーか………」
ゼシカ 「気になるわね。早く教えてよ」
ヤンガス「別に笑わないでがすから」
ククール「………くさやの干物」


ゼシカとヤンガスは微妙な顔を見合わせ、ユルトはどのへんがおかしいの? とククールにしつこく聞いたそうです。

お礼小話その3・九龍。
朝、遺跡で取れた卵、穀物、etcを使って白米卵焼き自家製漬物魚の切り身ジャガイモとわかめのお味噌汁という日本の朝ご飯。

昼、重箱いっぱいにバラエティ豊かなおかずを。おにぎりフライドチキン(当然手作り)ポテトサラダ肉じゃがコロッケ等々。バディたちと一緒に。

夜、二百八十万円で買った霜降り肉を使ってスタミナ定食。さらにリヨン風サラダ、ハーブ入りオムレツなど。匂いに惹かれてやってきた奴らにも振舞う。

皆守「……これは男子高校生が自分で作る食事なのか?」
九龍「ほら、俺トレジャーハンターだし」
皆守「それとこれとは話が違うと思うが」


それが九龍≠ニいうものです。

お礼小話その4・DQU。
マリア「……おいしい……なんでサウマリルトはこんなに料理が上手なの?」
サマ 「料理は身につけておいて損はない技術だって思ったから、宮廷料理人に頼んで教えてもらったんだよ」
マリア「いいわね……私、お料理ってほとんどしたことがないの……王女がすることじゃないってやらせてもらえなくて」
ロレ 「なんだよ、てめぇ料理もできねぇのか? 女のくせに」
マリア「……女のくせに? 女だったら料理や家事ができて当然だというの?」
ロレ 「それが女の仕事だろ」
マリア「ローレシアではそうかもしれないけど、ムーンブルクでは男女は平等なのよ。家事も仕事も平等に行うわ。自国の価値観でものを言うのはやめてちょうだい」
ロレ 「はぁ? 男も家事やって女も働くのか? なんか……妙な話だな」
マリア「妙だと思うのはあなたがローレシア人だからで……」
サマ 「まぁまぁ。いいじゃない、別に。ロレが自国の価値観でしかものを見れないのはよくないことだけど、この場合はどちらにしろ同じことだよ」
マリア「どういうこと?」
サマ 「だってロレは女だったとしてもきっと家事できないもの」
ロレ 「………………」
マリア「………………」
サマ 「?」


そのあとサマはロレに一発殴られましたとさ。

お礼小話その5・ガンパレ。
滝川「………どうでしょう、師匠」
速水「………(くわっ)ばっかもーん!」
パーンチ!
滝川「いてっ!」
速水「出汁の取り方が甘いっ! 言ったはずだよ削り節を躍らせちゃ駄目だって! 一枚一枚、けれど手早くほぐすように入れるんだ!」
滝川「は、はいっ、師匠!」
速水「家事の道は遠く険しいんだ。そんな覚悟じゃやっていけないよ! 君はまだまだ主夫としては半人前なんだからね!」
滝川「すいません師匠!」
速水「舞とひなたちゃんと大河くんにおいしいご飯を食べさせてあげたいんでしょ? 気合入れて家事の一番星を目指すんだよ!」
滝川「はいっ、師匠!」

大河「かーしゃ、とーしゃとおじさなにしてるの?」
舞 「あれか……あれはな、世界で最も手ごわい敵と闘うための訓練をしているのだ」
大河「てごわいてき? だいまおー?」
舞 「違う。真に手ごわい敵とは常に我らの日常に潜んでいるものなのだ……私も昔は毎朝の手作り弁当に死ぬほど苦労させられたものだ……(遠い目)」


滝川が速水から免許皆伝をもらえたのは、十年後のことだったといいます。

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