八百万間堂キャラでガチ対談・2〜親バカ対談

マスター「ガチ対談第二回、親バカ対談。担当者は『ピノッチアのみる夢』より俺ことマスターと」
アディム「DQ5より僕、アディムでお送りします」
マスター「……しかし俺としてはこいつと一緒にされるのは心外だな。俺が親バカだというのは誰はばかることのない真実だが」
アディム「奇遇だね、僕も同じことを思っていたよ。……変態性欲と僕の子供たちへの愛を一緒にされちゃたまらないからね」
マスター「(ぴく)……そうだな。俺も愛というものの本質を理解せず格好をつけていればいいと思っている輩と一緒にされるのは至極不快だ」
アディム「(ぴく)……そうかい。同じでも少しも嬉しくないけどね」
マスター「同感だな。嬉しくないが」
アディム「ふふ」
マスター「はは」


アディム「まぁ対談らしいことも一応しておこうか。とりあえず、管理人さんの渡してくれた質問表の中から……君は君の子供……ランパートくんのためになにができる?」
マスター「どんなこともなにも、親というものの人生は子供のためにあるんだ。どんなことでもに決まっているだろう」
アディム「……まぁ、君でもそのくらいのことはわかるか。親としては当然の心得だけどね」
マスター「ま、俺自身の人生についてはまた別だが。愛する者といちゃいちゃしたり着せ替えしたりとかの人生の楽しみを味わったりしたいわけでな」
アディム「……やっぱり君はとっととこの世から消滅させた方がいい変態だね。我が子に劣情を抱くなんて奴は、人間として抹殺されるべきだ」
マスター「はっ、俺たちの愛の形をよく知りもせずに否定するような奴の方こそ一回子供から人生をやり直した方がいいんじゃないか?」
アディム「……ふふ」
マスター「……はは」


マスター「じゃあ、今度は俺から質問させてもらうぞ。お前はお前の子供たちである双子ちゃんやアルデちゃんのためにどんなことをしたいと思う?」
アディム「愚問だね。あの子たちが幸せになるためならどんなことでもに決まってるじゃないか」
マスター「お前の考える子供たちの幸せとはなんだ?」
アディム「……それは僕が決めることじゃない。あの子たちが自分で決めることだよ」
マスター「ほう、つまりお前はあの子たちの幸せがなんなのかもわからないというわけだ。それでよく『どんなことでもする』などと言えるな」
アディム「……僕なりにあの子達の幸せのために環境を整えることはできるよ。親が勝手に考えた幸せを押しつけるより、ずっとマシだと思うけどね」
マスター「そもそも『幸せを与える』みたいな考え方が不遜だと言ってるんだ。人が他人にすることはどんなに相手を思おうが結局は押しつけにしかならない。だったらそれを呑み込んで、お互いの感情のバランスを取りながら泥まみれになって愛する。人の愛し方なんてそれしかないだろう、たとえ親子でもな」
アディム「……そういう言葉を言い訳にして君は子供に着せ替えを迫っているわけだね?」
マスター「……ふふ」
アディム「……はは」


マスター「あー、不毛だ。なんでこんなところでおっさん相手に言い合いせにゃならんのだ。今日はランパートのために新コスチュームを作成する予定だったのに」
アディム「君におっさんと言われる筋合いはないよ。まったく、毎度毎度君はそれしか考えることがないのかい?」
マスター「もちろんランパートの教育計画のことも念入りに考えるが、ピノッチアには衣服も教育のひとつなんだ。それになによりっ! お前は親として子供たちに可愛い服を着せたいなー、という気持ちはないのかっ!? 微塵もっ!」
アディム「ぐ……! それはもちろんないわけではないけれど、でも」
マスター「セデルくんだったら基本は活発系ファッションだな……ちょっと大き目のプリントTシャツに半ズボン、オプションに野球帽とバット、それに加え鼻には絆創膏。そういうパターンなど似合いそうだ」
アディム「ぐっ……! そ、れは、確かに、そうだけどっ」
マスター「王子様ルックも非常に似合いそうだな、なにせ本物の王子様だ。制服は学ランよりもブレザーが、むしろ私立小学校のようなかっちりした子供ファッションが似合うだろうな。他にはチャイナ服などもいいかもしれん。薄緑の体にフィットしつつもゆったりとした前留めのチャイナ服で元気に駆け回るセデルくん……どうだ、お前は微塵も見たくないと胸を張って言えるのかっ!」
アディム「むぐぐぐっ……!」


アディム「み、見たくないとは言わないけれど、それとこれとは別だろうっ!? 親の子供に対する気持ちは、なによりもまず子供たちへの愛が優先されるのが当然で、子供たちの嫌がることをさせるようなことがあってはならないんだっ!」
マスター「お前は子供を教育する時嫌がられたことはないのか? それとこれとなにが違う。親の子供に対する押しつけなのは同じだろうが」
アディム「僕は子供たちにとって有益になることをなにより優先してるっ」
マスター「俺もそうだ。ただそれと同じくらいランパートに可愛い服を着せて楽しみたいという欲望があるだけで」
アディム「それが一番問題だということになぜ気付かないんだ君は」


アディム「……まったく。そんなことだから僕は君の子供への愛を信用できないんだよ。親の子供への愛は、命懸けて魂懸けて当然のものだろう!? それに欲望を介在させるなんて余裕があること自体甘いというんだ」
マスター「愛情に円熟味があると言ってくれ。はっきり言うが、お前のようにどこまでも親としての愛情を暴走させるのも決して正しくはないぞ。少なくとも普通の子供は引く」
アディム「なっ……!? なななにをなになになにを言うんだっ、僕は子供たちに引かれたことなんて一度も」
マスター「それはセデルくんとルビアちゃんが並外れていい子だからだ。両親不在の八年間の影響もあるんだろうがな。普通なら子供がある程度自立して人格を持ち始めたら、少し距離を置いて見守るということを覚えないと、子供に嫌われるぞ?」
アディム「きっ……!? ななななななにをなにをなにを言ってるんだ君はっ、僕は子供たちにキライと言われたことなんか」
マスター「どう思う。セデルくんに『お父さん……そういうの、やめてよ』と心底困った顔で言われたり、ルビアちゃんに『いやっ、お父さん、こっちにこないでっ』と恐怖と嫌悪に満ちた目で言われたりしたら」
アディム「……………!!!!(ムンクの叫びのポーズ)」


アディム「……っ考えてみれば!(立ち直った) 君に言われる筋合いはないよ! 君の方こそランパートくんに対して好き放題べったりくっついてるじゃないかっ」
マスター「というか……俺たちの場合は現在も旅のパートナー続行中だからな。親子で兄弟で相棒というか。対等な関係なんだ、既にな」
アディム「……庇護すべき対象ではないと?」
マスター「庇護欲はもちろんあるさ。あいつが赤ん坊の頃から育ててるんだ、どうしたってこれまであいつを育ててきた時の思い出が湧いて出てきて、与えたい守りたいと思わずにはいられない。だが、あいつも既に一人前の男だ。あいつなりの矜持がある。俺や弱い者を守りたいという強い感情がある。だから一から十まで面倒を見てやりたいという感情をぐっと抑え込んで、あいつが世界と戦うのを見守ってるんだ」
アディム「…………」
マスター「ま、俺の場合はあいつがもう子供とは言えない状態だからな。お前さんとはまた別だろうが」
アディム「…………」


アディム「僕は……それは嫌だ」
マスター「嫌か」
アディム「ああ……まだ子離れなんてしたくない。まだ親子でいたい、家族でいたいんだ。まだ僕の腕の中にいてほしいんだ。だってだってあの子たちと僕はまだ片手で数えられるほどの年数しか共に時を過ごしてはいないのに、まだなにもしてあげられてはいないのに、そんなに簡単にあの子たちを大人として放り出せるもんか!」
マスター「ふーん……ま、そうだろうな」
アディム「……なんだって?」
マスター「俺の言ったのは結局ただの理屈だからな。どんな親子のどんな時にでも適用できるもんじゃないさ。そういう理屈を知っておくにこしたことはないが、人間で、親子で、家族って、お互いの間に感情しか、愛しか、その積み重ねしかない関係なんざ、結局はがっつりぶつかって自分なりのスタンスを見つけていくしかどうしようもないもんなんだからな」
アディム「……じゃあさっきまでのその理屈の大演説はなんなんだい」
マスター「ああ、あれは単にひとつの思考方法の提示と……」
アディム「と?」
マスター「単にお前さんをいじめたかっただけだ」
アディム「………そうかい(高まった気でびしびしっとガラスにひびが入る)」


マスター「さて、そろそろ対談も終わりだ。親バカ対談ということで、ここはひとつはじけてみるか。我が子の魅力自慢をノンストップ制限なしでいってみよう」
アディム「! ……それはいい提案だね(ずおおおおと気を発する)」
マスター「さて、言いだしっぺの俺からだな。……ランパートの魅力……そんなもの言わずとも自明だろう! まずなんといってもその心根! いつでも元気で笑顔、そんなあいつはいるだけで周囲の人の心を明るくする! 時々暴走して周りに迷惑をかけるところがまた少年らしい稚気を感じさせてくれていいんだよなぁ。可愛らしさと微笑ましさと仄見える将来の男という存在への成長性のシンフォニーがもうたまらん可愛さをふりまいてくれるんだよ! もちろんそれだけじゃない、もちろん男の子らしく弱い者への優しさもちゃんと持っていて――」

――三十分経過――

マスター「ともうランパートはたまらん可愛い男の子なわけだ。そして性格のみならず容貌も可愛いんだよランパートは! あの男の子らしく適度に乱れた艶やかな髪、健康的な肌色でありながらベルベットのように肌理の細かい肌、そして顔貌のバランスもいいんだよなぁ! あのくりくりっと大きく可愛い瞳、時に大きく広げられ時に小さく結ばれる唇、すっと通った鼻筋に――」

――一時間経過――

マスター「とこんなにも可愛いんだランパートは。そんな可愛いランパートが笑ってくれた時の破壊力なんて、こりゃもうお前幸せ死にしそうになるぞ! 嬉しげにニカッと笑った時もいいし照れくさそうににこっと笑った時もいいし、恥じらいながら小さく口元に笑みを乗せておずおずとこっちを見上げてくる時なんてのもそりゃもうたまらん可愛いんだよなぁー! まぁ笑顔のみならずどんな表情でも魅力的なんだがランパートは! 最近はあまり泣かなくなったが泣き顔ですらあの子は――」

――二時間経過――

マスター「んだよわかるかランパートの可愛さっ! もちろんそういうあの子だから、卑怯なくらいどんな服も似合うんだよなぁ〜! いつもの普段着も本当可愛くてしょうがないが、たとえば軍服のような味も素っ気もない服でもランパートなら可愛く着こなしちゃうんだよ! もちろんそれだけじゃなく――」

――三時間経過――

マスター「っていうほど可愛いんだランパートは! それになぁ、あの子は心根がいいのみならず、俺の教育の成果を見事に発揮して周囲の手助けをしたり弱い者を護ったりしてくれるんだからこりゃもう愛するしかないだろう! 本当にまったくよくぞまぁあんないい子に育ってくれたと」
アディム「……頼むから、そこまでにしてくれないか」
マスター「む、なんでだ。無制限ってことでお前も承知したんじゃ」
アディム「いや、なんというか……僕もこういう風に見えてるのかな、と思うと正直耐えられないものが……」
マスター「どういう意味だ」


アディム「さて……今度は僕の番だね。悪いけれど、語らせてもらうよ?」
マスター「どうぞ好きなだけ」
アディム「いや、さっき三時間で止めたのは僕だ。だから、一人につき三時間、ということで六時間語らせてもらう」
マスター「……どうぞお好きに」
アディム「では……あの子たちの可愛さというのは本当に魂かけて讃えるにふさわしいものだというか僕の魂はきっとあの子たちのためにあるに違いないと断言できるよ! まずなんといってもあの子たちの心の清らかさといったらもう泣きそうなほどだよ、よくぞこんな天使のような子たちが僕の子供として生まれてきてくれたと! 優しいとか親切とかいうレベルじゃなく、まさに天使なんだあの子たちは! 具体的に言うと」

――一時間経過――

アディム「とまぁもちろんこれだけではないけれどこれほどにあの子たちの心は優しいんだよ! のみならずあの子たちは自分が泥をかぶっても戦う勇気を持っているんだ、もう本当に、我が子ながら人として尊敬できるほどの強さを持っているんだよ! あんなに小さいのに僕を探して旅をして、家族を探し魔王を倒す旅をしたというだけでもその心の強さは自明だけれども、勇気があるとかいうだけの話じゃなしに、芯が強いというか、自分の弱さを認める強さを持っているんだよ! あんなにちっちゃいのに、本当になんて健気でいい子たちなのかと」

――二時間経過――

アディム「というほどなんだけどあの子たちの美点はそこだけじゃあないんだ。もちろんあの子たちは二人とも頭がよくて運動神経もよくて本当になんでもできるって言っていいほどなのに、あくまで謙虚なんだよ。おごらず増長せずあくまで虚心なんだよ! 本当にもうあの子たちはどれだけいい子なのかと」

――四時間経過――

アディム「とこれほどの美徳を兼ね備えているから、あの子たちは誰にでも愛されるんだ。本当にいい子たちなんだよ……。生き物の価値は心だけれどあの子たちの心を映してるんだろうね、顔貌も本当に可愛い子たちでねぇ。セデルもルビアも、成長したらどれほどの異性から求婚されることか……もちろんそんじょそこらの相手にあの子たちを添わせるつもりはないけれど。それにあの子たちはさっきも言ったけど何事にも努力を惜しまない子たちだから学問も武芸もいちいち本当にできがよくて」

――六時間経過――

アディム「とこんなにもあの子たちは自慢のいい子……ってちょっと。聞いてるのかい?」
マスター「……ん? ああ、終わったか?」
アディム「寝ていたのかい……君は本当に、人として人生をやり直した方が(ズゴゴゴ)」
マスター「いや、途中までは一応聞いてたぞ。俺が話した分くらいは。それで、改めて実感したんだが……」
アディム「なんだい」
マスター「他人の子供自慢ほどつまらん話は、そうそうないな。本気で」
アディム「…………(反論できない)」
マスター「なので結論としては、親バカは時と場所を選んで、できるだけ規模が大きくならないように発現させた方がいい、ということかな。まぁ、そんなに器用なことができる奴はそもそも親バカになってないだろうが」
アディム「……そうだね……」

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