拍手小ネタ・マイナーゲーム紹介〜『サーカディア』

八十八「ええと、みなさんこんにちは。このサイトでは、P4の主人公をやらせてもらっています八十八在です。オタクです」
ローグ「DQ6の主人公をやらせてもらっているローグだ。今回は、前回同様、管理人の好きなマイナーゲームを紹介しようということで、1999年にソニーコンピュータエンタテイメントから発売されたアドベンチャー+<Qーム、『サーカディア』を紹介する予定だったんだが……」
八十八「だが?」
ローグ「なんで俺がいるんだ? もともと予定では八十八、お前がメインプレイヤーとして紹介をする予定だっただろが。だったら同じ作品のキャラから相方を選ぶのが普通じゃないのか?」
八十八「そうだな。確かに、その予定ではあったんだ」
ローグ「なるほど。つまり、予定外の事態が発生した、と」
八十八「予定外……か。むしろ予定調和、あって当然の事態だったんだけどな。ただ、俺が気づかなかっただけで」
ローグ「……というと?」
八十八「俺もな? 最初はな? 陽介とかと一緒に仲良くゲーム紹介する予定だったんだよ。オタクカミングアウトしたからとりあえず問題はないはずだと思ったし。……けどな? よく考えてみたらな? 少なくともサーカみたいなゲーム一緒にやるのは絶対ムリだってことに気がついて」
ローグ「どういうことだ」
八十八「だってさぁっ! サーカディアってAVGだぞ? さらに言うなら落としゲーだぞ? 分類するならばキャラゲー(キャラの魅力を最大限に引き出せるようにシステムとストーリーを創ったゲームという意味)にもなってしまうんだぞ反論を恐れずに言えば! そんなキャラの魅力の解説が重要になるゲームで……俺が、オタクが! 微塵もハァハァせずにいられると思うのかっ!?」
ローグ「………ほう」
八十八「無理だっ、俺には無理だっ! キャラにハァハァせずに解説を終えるのも無理だし、陽介にそんなところをモロ見せするのも無理だっ! いくらオタクカミングアウトしたからってまだまだ俺たちは微妙な関係なんだっ、あいつの前で微塵も容赦なく『うひょおおぉ主人公かっけぇぇやべぇマジ押し倒してぇわー、つーかパンツよこせパンツ!』だの『うおっこの子がヒロインか? ヒロインなのかっ? ひゃっほうシナリオライター万歳、この冷静さに可憐さ、そしてこのおっぱいとかもう愛するしかない』だの『くっ、このヤンデレゴミ虫が……エロ声を出すんじゃねぇこの毒電波……ちくしょう愛さずにはいられねぇじゃねぇか!』だの『うわぁこいつ本気どうしようもねぇ……どうすんだよこのヤンデレ卑屈っ子……俺が幸せにしてやるしかねぇじゃねぇか! 結婚してくれぇぇぇ!』だの『かわっ……かわ、かわっ……うおおたまらんマジ心臓止まるでぇこの子の笑顔……一生義兄弟として面倒見させてくださいっつーか××××』とか死んでも言えねぇぇぇ! ちなみに例示したキャラは全部一つの作品からだよ、あのゲームだと他にも八重歯ヘタレとか超好きです!」
ローグ「…………。まぁ、言いたいことは分かった。要するにオタク的に暴走しても恥を感じなくてすむ相手を選んだ、とそういうことだな?」
八十八「うん。まぁ、解説キャラにローグを期待してる来訪者さんがいらっしゃったせいでもあるけど。というわけで、今回は俺たち二人で紹介したいと思います、よろしくお願いします」
ローグ「どういう結果に終わるのかはわからんが、よろしく頼む」
八十八「さって、じゃあとりあえず前回同様最初からやってみるのがいいかな。じゃあ、はい」
ローグ「……俺がやるのか?」
八十八「うん。やっぱり初めての人がやるのがプレイ記的にもいいだろうし。ゲームアーカイブスでPSPでもできるようになったことだしな」
ローグ「まぁ、かまわんが。どういうゲームなんだこれは。俺はまったくこのゲームについて情報を持ってないんだが」
八十八「うーん。一言で語るなら……」
ローグ「語るなら?」
八十八「スルメゲー、かな?」
ローグ「………そうか」


ローグ「………すごいムービーだな。雰囲気は出ていなくもないが……これは、あれか。紙芝居か?」
八十八「しょーがないだろPS黎明期の作品なんだから。声だって、声優はやたら豪華だけど声ついてるシーンほとんどないし。戦闘でもなかなか声が出ないくらいなんだから。というか俺的には原画そのまま動かしてるから雰囲気壊れなくていいと思うくらいだけど」
ローグ「本当にほとんど声が出ないな……最初の一文で喋ったところからすると、この声は、あれか。檜山修之か?」
八十八「うん、当たり。他にも有名声優がごろごろ出てるぞ、一昔前に全力で活躍してた、ってぐらいの。ほとんど喋らないけど」
ローグ「意味があるのか、その声優起用」
八十八「しょーがないだろ、PS黎明期の作品なんだから。データがCD一枚に入らなくて、二枚組とか四枚組とか普通にあった時代なんだし」
ローグ「ふむ……しかし、海底都市ブルージェネシスにアカデミア学院にメトロライナーか……これはあれか? わざとなのか、十年前でもすでにかなりアレな匂いがしたと思うんだが」
八十八「それはもちろんそうだろうな。だが、そこで退いては勇者じゃないっ! ……っていうか、そういうコッテコテのノリを受け容れられないとこのゲーム楽しくないと思うぞ? ストーリーのジャンルがそもそも『近未来超能力もの』っていう今じゃなんか味付けを加えないと使い古されたものにもならないって代物なんだし」
ローグ「……まぁ、それはそうか。進めるか……ええと、とにかくこの主人公……片山弘樹は叔父と二人暮らしで、引っ越しを繰り返してきた、と。それで今回ブルージェネシスの、アカデミア学院に転校してきた、と。……しかし、どうでもいいがキャラ絵濃いな」
八十八「そりゃそうだよ。何度も言うけどPS黎明期の代物なんだから、今の流行とはずいぶん違うに決まってるだろ。まぁ、当時から濃いって評判ではあったけど」
ローグ「だろうな。……学校に着いて……お、こいつがヒロインか? 十年前のテンプレにしても古臭い感じだったろうヒロインだな。で、学校内を散策……いかにも後でまた出てきそうなキャラとすれ違って。叔父と合流して、家に向かって……と。……なんだこのゴミ屋敷……お、さっきのヒロイン登場。夕飯の差し入れか……いかにもヒロインっぽいというかここまでテンプレを堂々とやられるとむしろ新しい気がしてくるな。……しかし……」
八十八「なんだ?」
ローグ「この主人公、異常なまでに反応が淡白だな。普通この手のゲームでヒロインと関わったらもう少し積極的な反応を示さないか? 下心がないというよりヒロインにまるっきり興味がないようにも見えるんだが」
八十八「なにをおっしゃる。このゲームに関してはそこがいいんじゃないか!」
ローグ「………そうか」
八十八「いや実際、このゲームに熱烈な愛とか恋とか求めない方がいいと思うぞ。基本全員淡泊っていうか……そんなにいちゃいちゃらぶらぶとかしないから」
ローグ「……落としゲーなのにか?」
八十八「うん。むしろそういう距離感を楽しむゲームと思った方がいい」
ローグ「……なるほど……お、話が動いたぞ。緑のウサギが登場して、さらに化け物も登場……お? このゲーム戦闘があるのか。AVGだとばかり思ってた」
八十八「まぁ、おまけレベルの代物っていう感はあるけどな。基本コマンド選択型のRPGっぽい代物なんだけど、選択できるコマンドは基本三つの技のみであとは逃げるとか防御とかぐらい、っていうのと……HPとMPとかSPみたいな技を使う時に消費されるポイントがPPっていう同じポイントとして扱われてるのが特徴的と言えば特徴的かも」
ローグ「ふむ……」
八十八「ちなみに個人的なことを言わせてもらうと、そのHPとMPが同じポイントとして扱われるっていうのが初めてやった時はすごく嬉しかったんだよな〜。俺子供の頃ゲームブックみたいなのを作ってたことがあるんだけどさ、その中でもHP的な数値とMP的な数値を同じものとして扱っててさ、それはまぁ『同じ生命力なんだから同じ数値として扱うのが正しいだろう』みたいな厨っぽい思考があったわけで、実際HPとMPは分けた方がゲーム的にも正しいんだけど、そういう厨っぽい思考をゲームとして作ってくれるっていうのが個人的にすごく嬉しかったっていうか」
ローグ「そうか。まぁぶっちゃけそんなんものすごくどうでもいいわけだが……ふむ、なるほど。難易度的には本当におまけレベルなんだな、戦闘は。めちゃくちゃあっさり勝てたぞ、まぁ初っ端から難しい戦闘にするのはゲーム的にもアレだが」
八十八「……まぁ、ゲーム先に進めてくと進めようによっては相当厳しい戦闘とかあったりするけどな。普通の戦闘は普通にやってれば勝てる……ただ、このゲームってPP――HPとMPの兼用みたいなポイントが基本自然回復でしか回復しないんで、あんまりばかすかPP使いすぎると戦闘が厳しくなる、っていうか死ぬってこともあるんだけどな。あんまり大技使いすぎるのもアレっていうか……まぁ大技使わないと戦闘を速攻で終わらせられなくて被害が増えるってこともあるんだけど。そこらへんの塩梅が一応、戦闘のキモかな」
ローグ「なるほどな。……ふむ、まぁなんか知らんが大変なことが起きるから、この緑ウサギの言うことを聞いて、超能力者の仲間を集めなけりゃならんと……なるほど、確かにんなこと普通にやってたら頭のヤバい人扱いだな」
八十八「うん、この仲間集めっていうのがサーカディアの醍醐味のひとつでもあるわけだから、がんばってほしい」
ローグ「……ふむ」


ローグ「ヒロイン救出イベントをこなしたり、いかにも敵っぽい連中やら黒幕っぽい兄ちゃんやらと邂逅したりしつつ、仲間集めに取りかかってるわけだが……つまりこれはあれか、相手のいるところに向かってその相手と会話して好感度を上げて仲間にするわけか?」
八十八「まぁ、基本はそんな感じ。仲間にする時は普通に仲間にできるような会話しないと駄目だけど」
ローグ「なるほど……その合間に化け物――ナイトメアと戦闘してキャラを強化してもいくわけだな。さて……じゃあ、どいつにするか。全員どれもこれっていう押しがあるわけでもないんだよな……高校生脳外科医とかバイト苦学生とかお色気教師とかいっそ懐かしさすら感じるパターンのキャラは多いが。まぁそれが悪いと言ってるわけじゃなく特徴が薄すぎて顔と名前が一致しないキャラよりはよほどいいと思ってるが。そしてそういう顔と名前が一致しないキャラも仲間候補の中にはいるわけだが」
八十八「うーん……まぁ、確かにそういうキャラもいるんだよな……」
ローグ「お前のお勧めは?」
八十八「え、俺の? そうだなー、男キャラだったら要……バイト学生とか五十嵐さん……グラサンカメラマンとかかな。あと影守……高校生脳外科医はキャラ的に人気があるのみならず、ちょっと本筋のストーリーと関わってきたりもするので早めに軽く仲間にしておくとストーリー展開がスムーズかも。別に仲間にしなくてもぜんぜん支障はないんだけど、話の流れ的にきれいっていうか」
ローグ「なるほど。女子は?」
八十八「んー、そーだなー……このゲームって基本女子キャラが弱いんだよな。戦闘で。なのであんまり積極的に仲間にする気にはならないんだけど……キャラ的な好みで言うと、美海ちゃん……お団子ロリっ子とか、あと実はストレートに優美……メインヒロインが好きかも。俺、王道好きだから」
ローグ「ふむ……桐生院兄妹はどうだ?」
八十八「ああ、あの二人ね。俺的にロン毛の男はアウトなんで綾彦の方は初回はスルーしたんだよな。美雪ちゃんもいきなり精神操作してきたりしたから初回はスルーしたんだけど……つきあってくと意外に可愛げがあるとこ見せたりするから、キャラ的にはけっこう好きなんだ、美雪ちゃんの方は。綾彦はストーリー的な楽しみのためにしか落としてないけど」
ローグ「ほう……そこまで言われると落としてみたくなるな。まぁ成り行き次第だが」
八十八「え、そういう反応なんだ……」
ローグ「……お? 強制イベントか……ぐわっ、綾彦に攻撃された! まぁ能力を知られたから記憶を消そうとするのは超能力者ものではわりと鉄板ではあるが……おのれ。イベントでは和解したが……これは報復をせざるをえんな……!」
八十八「だろー? そーいう性格面も気に食わないところ多いんだよな。まぁ、そういうところのある奴は綾彦だけじゃないけど」
ローグ「とりあえず報復として真っ先に綾彦のところへ行って……お、戦闘だ……よし、選択肢出たな。ナイトメア誘因体質の綾彦に『大変ですね』と『ナイトメアホイホイですね』か……ならばここは『ナイトメアホイホイですね』を選ばざるをえまい」
八十八「え、そういうことするんだ……」
ローグ「普段は俺はこの手の選択肢は選ばんが、これはゲーム紹介だしな。あえて罠に踏み込むぐらいの気概を持つのも面白かろうと。……しかし一日でけっこうな数の人間に会えるんだな。すさまじくさくさく何人も仲間にできるんだが」
八十八「まぁ、普通に仲良くなれそうな選択肢選んでたらだいたい一発で仲間にできるからな」
ローグ「ふむ……なにやら裏がありそうな気がするが」
八十八「………(こいつやたら勘がいいな)」
ローグ「まぁ、進めるか……お、また推定黒幕男登場。案外腰が軽いな……『僕はこの世界が大嫌いだよ』、か。これまたストレートな……なんというか本当にアレだな、宿命とか運命とかそういう厨くさい言葉が似合うっぽい相手だな、雰囲気的に」
八十八「……ま、そこらへんはおいおい見えてくるから」
ローグ「ほう………。………ん? んん!?」
八十八「お、このイベント来たな!」
ローグ「………おい。なんか、綾彦が黒幕男の仲間になってしまったんだが? ナイトメアに精神を喰われたとかで」
八十八「うん、そうだな?」
ローグ「……お前、もしかしてそういう風になるように仕込んでたか?」
八十八「んなわけないだろ。まぁ、俺も初回は初っ端に取られた相手は綾彦なんで、ゲットしようとしてない限り綾彦は取られやすい相手ではあるんだけどな」
ローグ「……取られる?」
八十八「その通り! これぞサーカディアの仲間イベントの醍醐味、仲間取られシステム! いや俺が勝手に名づけただけだけど。このゲームではまずい選択肢選んだり放っておいたりで好感度を下げていくと、仲間が敵に取られてしまうというシステムを採用しているのだ! まぁ、好感度が低ければ即取られるってもんでもないけど、好感度低いキャラから取られていくのは確かだから、うかつに動くと落とす予定だったキャラを敵に取られて涙目、なんてこともありえるんだよな〜」
ローグ「ぬぐっ……。そして俺はそのトラップに見事に引っかかってしまったと、そういうわけか……」
八十八「まぁ、そうなるな。気にするなよ、ゲーム紹介としては引っかかる方が正しいし!」
ローグ「そうはいくか。俺も伊達にゲーム主人公なわけじゃない、二度とこんなことがないように仲間たちを見回ってやる!」
八十八「ふっふっふ……そううまくいくかな?」
ローグ「いかせてやろうと言っているんだ。舐めるな八十八」
八十八「(別に舐めてるわけじゃないんだけどな……)」


ローグ「……おい」
八十八「なんだ?」
ローグ「思うんだが。このゲーム、仲間にして好感度を上げていくと、ぐっと仲が近づくイベントがあるよな? トラウマ直撃イベントがあったりして不安定なところを、ナイトメアに襲われて精神を喰われそうになって、そこを主人公が助けに行くという」
八十八「うん、イデアイベントって言われてるな」
ローグ「そのイベントがあると、仲間はどうあがいても取られるようにできてるんじゃないか? 好感度の数値的な高低より、順位的な高低で一番下のキャラは、容赦なく敵に回ってしまうように」
八十八「お、気づいたか」
ローグ「しかも、だ。その対象は仲間にしてるキャラのみで、話しかけずに仲間にもしてないキャラは取られもしない、という仕様になってないか?」
八十八「その通り」
ローグ「……それはつまり、好きなキャラのみを仲間にして好感度上げをしていったら、好きなキャラをしっかり容赦なく奪い取られていくということになるわけか」
八十八「その通り! これぞサーカディア仲間勧誘の落とし穴にして地獄仕様! 仕様上仲間になるキャラを全員連れて行くことはできず、最低でも仲間と同数のキャラはしっかり敵に回る。仲間になるキャラを好きキャラだけに絞っていたら、その好きキャラすら奪い取られていくということに! しかもこのゲーム、一人相手には一日に一イベントしか起こせないんで、並行して好感度を上げていくと下にいたキャラがあっさり落とす予定のキャラの好感度を追い抜くということも起こりえるんで、下手をしたら落とす予定のキャラすら奪い取られるということにもなりかねないのだ!」
ローグ「ぐぅっ……! どうあがいても完璧クリアはできないという仕様になっているわけか……! 完璧クリア大好きな俺に喧嘩を売っているような仕様だな……!」
八十八「なので好きキャラを連れていくにはそれと同数の生贄用のキャラも仲間にしないといけないんだよな。まぁ、それは逆を言えば気に入らないキャラを敵に回してぶっ殺すってこともできるわけだけど」
ローグ「……つまり敵に回ったキャラはどうあがいても助けようもなくぶっ殺すしかない、とそういうわけか」
八十八「あ、ネタバレちゃったか?」
ローグ「いや、むしろここはネタバレしてほしいところだったから気にしないでいい。くぅ……おのれ、仕組みとしては単純だが単純だからこそ容赦がないな! 力業で完璧ハッピーエンドが不可能とは……!」
八十八「まぁ、当然だからこその切なさとか苦しさとか描かれてるんだけどね。基本このゲームって感情描写が淡白で、どんな重大事もわりとさらっと流されちゃうんだけど……このイベントもわりとさらっと流されちゃうんだけど」
ローグ「おい」
八十八「まぁそこらへんは行間を読むことでなんとかできるレベルだし。……『仲間と真の絆を結ぶと必ず誰かの心が喰われる』って考えると、確かに非常にアレなんだけどな」 ローグ「ぐぬぬ……まぁ進めるが。しかし、真の絆を結ぶと誰かが喰われるということは、真の絆を結んでないキャラは最後まで連れていけないわけか?」
八十八「うん、そうなる。ちなみに敵に回ったキャラはこれまで一緒に戦って強化された分をそのまま引き継ぐんで、下手なやり方するとめっちゃ強い敵キャラ登場っていうことにも……」
ローグ「む……なかなか面倒な仕様だな。ゲームとして燃えなくもないが」


ローグ「おお、都市全体が崩壊しそうで主人公も死にそう、という危ないところに仲間が助けに来てくれたか。こういうのはやはり燃えるな」
八十八「だろ!? 個人的にサーカはここからの仲間たちみんなで戦ってる感がすごく好きなんだよな! みんなで決戦前にご飯作って食べたり語り合ったり!」
ローグ「他のゲームでもそういうのはあるんじゃないのか?」
八十八「それはもちろんそうで、他のゲームにもそれぞれの楽しみはあるんだけど、このゲームはそういう会話が全部仲間にしたキャラの組み合わせで変化するっていうのが好きなんだよ。たとえば同じ研究チームに所属してるバイト学生と真面目眼鏡男子がいると、バイト学生がはしゃぐのに眼鏡男子が突っ込んだりとか、グラサンカメラマンと昔付き合ってたお色気先生がいると、先生が作った食事についての二人の関係を思わせる会話が入ったりとか」
ローグ「なるほど、物語に自分が影響を与えてるという感覚が楽しめるわけだ」
八十八「そうそう、そうなんだよ! もちろん敵になった相手とでもそういう会話があるんで、個人的にはここからがゲーム本番って気すらしてくるくらい! 物語的にもこれまでの伏線が一気に収束してきたりするし、展開的にも燃える展開多いしな!」
ローグ「ふむ、なるほど……崩壊を始める都市の中で、絆を結んだ仲間たちと世界を救うために敵本拠地に侵入するわけか……確かに燃える」
八十八「だろだろ!? その途中でも当然仲間の組み合わせで会話が違うし、仲間によっては意外な事実が判明したりするしな! あ、それと、真の絆を結んだ相手が一人だけの場合、特別な会話が発生したりもするんだ。普段仲間たちみんながいる時から一歩進んだ会話ができちゃったりもするし。そこらへんのあれこれもまた楽しいんだよな」
ローグ「なるほどな。……よし、では一気に進めてクリアといくか!」


八十八「というわけで、クリアおめでとう! なわけだけど。どうだった、プレイしてみて?」
ローグ「そうだな、面白かった。シナリオとしてはコテコテだが、俺はコテコテな話は嫌いじゃないし、ゲームのノリとしてこういう王道というか捻りのない話の方が合ってる気もするしな。が」
八十八「が?」
ローグ「地味だな。作品的に、どこもかしこも」
八十八「ぬぐっ……痛いところを……」
ローグ「そもそもキャラデザからして濃い上に非常に垢抜けない感が漂っているんだが、全編の印象もそのまんま変わらないというか。シナリオもコテコテだからこそおそろしく無難という印象を与えるし、文章も……AVGっぽく画面下側ウィンドゥに台詞が表示されるというタイプなんだが、その台詞回しが非常に地味だ。話している内容自体は自然で、普通に人間が話しているような雰囲気を感じさせてくれるんだが、それが悪く働いてるというか、ここは作品的に盛り上がるべきだろうというところでもものすごく淡々とした雰囲気になってしまっている。元はクラスメイトや友人や恋人だった相手が敵と味方に分かれて戦うという非常にドラマチックなシーンでも、全員反応が非常にさらっとしているように読めてしまうんだ」
八十八「う……それは、否定できないが……」
ローグ「AVGシーンではほぼ全員ボイスなしなせいも大きいだろうがな。キャストは豪華なのにEDでもまったくボイスがないというのはやはり悲しいものがある。戦闘も、まぁあまり凝りすぎてもこの手のゲームの場合アレだという面もあるにしろ、工夫はしているにしろほぼ全編紙芝居っぽい感じが拭えていないし」
八十八「ううう……だ、だけどな! だからこそイイっていう面もあると思うぞ!」
ローグ「ほう?」
八十八「コテコテで、無難で、地味なシナリオだからこそ、こう……味わいを感じさせてくれるんだよな。淡々とした台詞回しや反応なように読めるからこそ、こっちの想像を広げる余地を与えてくれるんだ。ボイスがないがゆえの頭の中で作品を補完させていく喜び、そういうものも確かにゲームにはあるだろ?」
ローグ「まぁ、それは否定せんが」
八十八「キャラづけやキャラデザも、なんていうかな、コテコテだったりテンプレだったりする部分も多いし、全体的に地味って言われちゃうような面もあるんだけど、そういう地味で小粒で無難な感じだからこその可愛げっていうのもあるんだよ、やっぱり。あんまり強烈じゃないからこそ愛せる部分っていうのかな、芋ケンピとか昔ながらのかりんとうみたいな、じんわりくる味。そういうのを味わうには、このシナリオとシステムが一番適してると思うんだ」
ローグ「ふむ」
八十八「それに繰り返しプレイも楽だしな。一回のプレイにかかる時間が、さくさくプレイを進めていくとかなり少ないし。何度もプレイをくり返してちょっとした違いをちまちま楽しんでいく、そういう落としゲーの楽しみ方にすごく合ったゲームだと思うんだよ、サーカディアって。それでいて基本のシナリオは王道の近未来超能力ものっぽい、骨太というほどじゃないけど戦闘込みでがっつりそういう雰囲気が味わえるつくり。だから戦闘込みのラノベ(一昔前のという注釈がつくかも)的シナリオで落としゲーがやりたいという人には個人的にはすごくお勧めしたい!」
ローグ「……なるほどな。だから最初にスルメゲーと言っていたわけか。まぁ、ゲーム性自体がスルメというわけじゃないだろうが、ある意味当たっていなくもない、か……まぁ、そこまで言うならもう一度やってみるか。今度はさっきとは違うキャラを仲間にしていく方向で」
八十八「! うんうんっ……ありがとう……っ!」
ローグ「感謝される筋合いの話でもないだろが」


八十八「……そろそろ好きなキャラとかできてこないか? もう何周もしてるんだし」
ローグ「そうだな。ま、それなりにはな」
八十八「お、どんなどんな? 俺と同じにしろ違うにしろ、ぜひにも語り合いたい!」
ローグ「男は速水と良太、女は美雪と沙耶香先生だな」
八十八「え! 本気でほとんどかすってない……特に良太って、マジで? 俺基本的に子供キャラって好きだけど、良太はあんまり生意気なクソガキって感じが強くって好きになれなかったんだけど」
ローグ「なるほど、だから美海は好きなのか。まぁロリコンということもあるんだろうが」
八十八「違うっつの! 俺はシスコンではあるけど、それは菜々ちゃんがあんまりにも可愛くて健気でいい子だからで俺自身にはロリ趣味は微塵もないっ!」
ローグ「ま、それはさておき。俺は子供キャラは子供であるというだけで言動からは二割ほど悪印象が薄れるからな。確かに生意気なクソガキではあるが、そういうクソガキを懐かせていくというのは個人的に非常に楽しい作業だし、なんのかんので男らしいところもあるしな」
八十八「む、そう言われるとそうではあるよな……」
ローグ「速水は謹厳実直な空手系マッチョというところで好印象だ。目元は涼やかだが、なのにがっちり体を鍛えている奴というのは男として嫌いじゃない。全体的な印象もスポーツマンスポーツマンしてて暑苦しくはあるがわりと爽やかだしな。最初から最後まで堅物スポーツマンの印象ぶれないし。それに戦闘でも強いしな」
八十八「あー、それはあるなぁ……じゃ、俺のお勧めの要と五十嵐さんは?」
ローグ「要は確かに一見お調子者ではあるもののいい奴なんだが、いい奴すぎてあんまりいじめられないというのが少しばかりな。父親のいない家庭で一家をバイトで支える苦学生をいじめたらこっちが悪者だし」
八十八「うわぁ、ひどい判断基準だ」
ローグ「五十嵐は別に嫌いなわけじゃないし、大人な男としていいキャラしてくれてるし、茂……叔父との関係も楽しいし、戦闘でも攻撃力アップはおいしいんだが、全体的にどうにもヘタレ臭が漂うのがな。先生との関係もこっちが後押ししてやらにゃならなさそうなのがついつい、しょうがねぇなぁこの兄貴は、と思ってしまうわけだ」
八十八「えー、そこがいいんじゃないか五十嵐さんは。基本大人な兄貴分なのにこっちが助けてやらなきゃならないっていうのが、すごく尽くしたい欲を刺激するっていうか」
ローグ「お前の趣味はともかくとして。残りの大塚と綾彦は……大塚はいい友達感が強すぎてそこから一歩踏み出せない印象があるな。綾彦はこっちを攻撃してくるような奴だし。まぁ、美雪との絡みもあって、シナリオ的にはおいしいんだが」
八十八「そうだなぁ……まぁ、そこらへんは人によるだろうけど。じゃ、美雪ちゃんと沙耶香先生が好きっていうのはなんで?」
ローグ「美雪は単純に好みだからだ。黒髪和風美人な容貌も素っ頓狂な性格も常識知らずなところも、そのくせこっちに好意をはっきり伝えてくる辺りも」
八十八「うんうん、わかるわかる! あと美雪ちゃんってイデアイベントこなすとさらに好きになるよな、こんな環境の中で育って俺に好意を持ってくれたのか……と俺が護ってあげなきゃ欲をそそるというか!」
ローグ「まぁな。で、先生は……ギャップかな。お色気お姉さん的な容貌に反したちょっと固いくらいの真面目な教師っぷりと、身内に対しての面倒見の良さや女としての家庭的な側面にこの人を放っておくわけにはいかんと思わせてくれた」
八十八「なるほどー……五十嵐さんとの関係はいいわけ? 先生も後押ししてあげなきゃならない大人っぽい感じあるけど」
ローグ「先生は女性だからまったく問題はない。で、あとは……美海と優美か、まず美海だが、俺には幼女趣味はないんでな」
八十八「俺にだってないわ!」
ローグ「(無視)で、優美は嫌いというわけじゃないんだが、全体的にヒロインヒロインしてるところが少しばかり鼻につく。で、残りの音楽コンビとスポーツ科は、揃ってどうにも印象が薄いんだ、シナリオ本筋にもそう絡んでくるわけじゃないし」
八十八「泉とか智美さんとか麻衣ちゃんとかちゃんと名前で呼んでやれよ……彼女たちにも魅力はあるんだぞ、ラストの敵基地潜入で意外なキャラと絡んでくれたりするし。好きな人もちゃんといるんだから。……あ、なんか一人だけ話題に上げてないけど、影守さんは?」
ローグ「ああいうクール系イケメンを見ると、俺はどうにも横っ面を張り倒して屈服させてやりたくなる。だからついつい、こんな結末ではぬるいとはわかっていても、何度も何度も敵に回して殺してしまうんだよな。俺の場合敵仲間キャラは綾彦か影守、ってくらい何度も殺してるぞ」
八十八「うーわー……影守さん身内には情深いしなんだかんだでカッコいいのに……まぁそういう展開になることもあるよな、やっぱり……あ、敵キャラの話題が出たところで、晃さんは?」
ローグ「敵キャラだろうが。いやむしろ敵ボスか?」
八十八「いやまぁそうなんだけど。敵ボスだからこその弘樹……主人公との殺し合い的関係やら憑けてるものとの関わりとかの悲哀とかそういうの込みでのカッコよさみたいなものが」
ローグ「俺は敵はまとめてきっちり畳むのがモットーなんでな。仲間キャラ以外で言うなら、茂の方がよっぽど好きだ」
八十八「ああ叔父さんね。叔父さんもカッコいいよな、駄目な大人臭全開だけど締めるとこはきっちり締めてくれて。弘樹のこと何気にすごい大切にしてくれてるし」
ローグ「ああ。あと主人公自体もそう嫌いじゃない。基本よくいる無個性流され型主人公なんだが、なんのかんのでけっこうイイ性格してるし、選択次第だがやる時はやるしな」
八十八「だよな〜。あ、あとナビなんだけどさ、あの人外非常識っぷりが逆に、絆を結んだあととのギャップが……」
ローグ「俺はあのウサギは個人的にヤキを入れたいな、あと桐生院家の……」


八十八「……で。何周もクリアしてみて、どうですかね。感想としては」
ローグ「そうだな……お前の言った通りかもしれん、という気になった」
八十八「というと?」
ローグ「このゲームは地味だからこそいい、ってことだ」
八十八「………! だよなだよなっ!」
ローグ「俺が言ったことは間違ってないとは今でも思うんだが、だからこそこのゲームは楽しめるんだ、というお前の理屈に納得した。基本地味で、どんなキャラとも全開でいちゃいちゃ〜とかラブラブ〜とかしない淡々とした落としゲーだからこそ、スルメのように何度も何度もちょっとした違いを味わえる、というか」
八十八「だろだろ? どのキャラのイデアイベントを起こすか、誰を仲間にするかでプレイの印象かなり変わるしな。特に桐生院兄妹はシナリオ本筋の裏設定的なところとかなり関わってくるし」
ローグ「だな。あと誰を敵にするか仲間にするかによる掛け合いの楽しさや、敵と仲間に分かれた時の台詞の変化、一人のところにひたすら通った時の会話イベント等々、そういうちまちましたところを味わうのがこのゲームの醍醐味だと思う」
八十八「だよな〜」
ローグ「まぁ、逆に言えばそういうちまちました作業が楽しめない人間はこのゲームをやってもまったく面白くないだろうが」
八十八「ぬぐっ……」
ローグ「戦闘自体は実際おまけ要素が強いというか、ほとんどフレーバーみたいなもんだし。シナリオも何度も何度もやればやるだけ楽しめる、っていう類のもんでもないし。キャラも全体的に王道かつ地味だから、そういうのが好きじゃない奴には受け容れられないだろうしな。万人受けするゲームじゃない、とは思う」
八十八「う、うう、それはそうだが……」
ローグ「だがまぁ、万人受けするゲームっていうのは、それこそつまらない人には全力でつまらないだろうし。王道で、地味で、淡々としたキャラ造形&シナリオだからこそ交流や、ちょっとした変化や、ちまちまとした会話の違いを見る作業ゲーが楽しめる人にはしみじみと楽しめるだろうしな。盛り上がりの少なさも想像で補えるレベル、というかむしろそういう想像の材料はしっかり与えてくれてる作品だと思うし。ゲームの情報を仕入れてみて、キャラやシナリオやシステムに惹かれるものを感じた方は、買ってみるのもいいんじゃないかと思う。ハマる人は果てしなくハマるゲームだ。今ゲームアーカイブスで超安いしな」
八十八「くっ……この駆け引き上手め……! この落として上げるテクニック、プロすぎる……! まぁとにかく、本当に好きな人は心底好きになれるゲームだと思うんで、古いゲームでもやってみたいと思う人は、PSストアで600円で売ってるので買ってみるのもいいと思います!」
ローグ「というわけで、今回はこのへんで。読んでくださったみなさん、ありがとうございました」


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