拍手小ネタ・マイナーゲーム紹介〜『キャプテン・ラヴ』

八十八「みなさんこんにちは。このサイトでは、P4の主人公をやらせてもらっています八十八在です」
陽介「その相棒兼親友の花村陽介でっす」
八十八「前回に続き、今回もマイナーゲーム紹介いってみたいと思います。年度が変わってからも同じ拍手小ネタを続けるというのはこれが初なんですが、管理人もなんだかんだで私生活にいろいろと変化がありまして、サイト運営ものんびりペースで続けていこう、という気分になってるみたいでして」
陽介「管理人の小説を楽しみにしてくれてる来訪者さんたちには申し訳ないんだけど、うちのサイトの基本方針が無理はしない≠チてことなんで。のんびりですが一度書き始めたものはなんか突発事態でも起こらない限りきっちりオチがつくまで書き終える予定なんで、細く長く相手してもらえると嬉しいっす」
八十八「そういうわけで、今回紹介するゲームは1999年に東芝EMI(現EMIミュージックジャパン)から発売された恋愛アドベンチャーゲーム、『キャプテン・ラヴ』をいってみたいと思います」
陽介「へー、けっこう前のゲームだな。恋愛アドベンチャーゲームって……ギャルゲーってやつ? 俺そういうのあんまやったことないけど」
八十八「そうだな、PS黎明期のゲームのひとつなんで、あちらこちらに粗は見られるよ。ただ……普通に想像できるギャルゲーとは、相当……ある意味百八十度真逆のゲームかもしれないな」
陽介「へー……たとえば?」
八十八「このゲームの流れを端的に言うと……『自分に惚れてくれる女の子を振って振って振りまくり彼女との真実の愛を求める特撮系おバカ論撃バトルアドベンチャー』っていうところとかかな」
陽介「………へ?」
八十八「まぁ、そこらへんは説明するよりやってみた方が早いよ。はい、PS」
陽介「うっわ、俺PSとかすっげー久しぶりに見たわー……小学生の頃親父の持ってたの見て以来かも」

陽介「……へー、主人公大学生なんだ……ゲームじゃわりと珍しいかもな……って、うわ、けっこうヘビーな過去持ちだな。モテるせいで女の子の恨み買って虐待されるとか……って! ナニこの愛の共産化って!? 道行くカップルを口喧嘩で言い負かして別れさせるとか、ラブラブ党とか……いっくらなんでも阿呆すぎだろ!」
八十八「まぁ、そーいうゲームだしね。……お、ヒロイン登場だな」
陽介「へぇ、ヒロインわりと可愛いな……って。……あのさ、このヒロイン、なんか声、変じゃね? 演技もそうだけど、なんか、声質とかも……」
八十八「うん、ヒロインの声は遠藤久美子っていう、当時はそれなりに知られてたアイドルがやってるんだけど、まぁアイドルだから演技も声の出し方もかなり素人くさいんだよな。ヒロインに対する悪印象を醸成するのに一役買ってると思う。まぁ、このゲームではそっちのが正しいかもしんないけど」
陽介「いやアイドルだから演技下手ってのは偏見じゃね? まぁ俺もあんまりうまいとは思わないけど……。……ん? なんか、これって、バトルシーン? 画面が……」
八十八「出たな、このゲームを大きく特徴づけるシステムのひとつ、論撃バトル! まぁ要するに時間内に選択肢を選んでいく口喧嘩なんだけど、相手の台詞は全部フルボイスだし、ノリも理屈も勢いも全力でおバカなんで、やってて楽しいんだよ、これ」
陽介「へぇ……。うはっ、なんだこれ、マジでバカだ! モテないから悪の組織やってる戦闘員をボロボロに言い負かすとか……バカすぎてなんか逆に楽しいわ」
八十八「そうそう、このゲームはそういう真面目に全力でバカやってるところが楽しいんだよな。……まぁ、それだけじゃないんだけど、このゲームの真価は」


陽介「おー、ここで第一話終わりか……ヒロインは悪の組織にさらわれて、それを助けるために主人公が特撮ヒーローのコスプレして口喧嘩頑張る、と。しかも悪の組織の首領が父親とか、マジでバカすぎだろー」
八十八「そうだな。……さて、第二話だぞ」
陽介「うん……え? なに、なんか、女の子のモノローグ……?」
八十八「そう。パン屋でアルバイトしてる女の子の、初めて店に出した自分のパンの感想を言ってくれた男の人への思いを切々と綴ったモノローグだよ」
陽介「へぇ……童顔だけど、けっこ可愛いな。まぁ妹みたいな感じだけど……あれ。あれ……なんか、この子、主人公に惚れて……っつか、がっつりアプローチしてきてんですけど?」
八十八「…………(内心ニヤニヤ)」
陽介「や……でも、主人公には彼女いるしな。これから彼女のために悪の組織と戦おうってのに、ほいほい流されるわけにゃいかねーだろ……ゴメンだけど、お断りします……と」
八十八「…………(さらにニヤニヤ)」
陽介「……え。なにこの展開。うわ、ちょ……振ったのにずっと待っててくれたとか……しかも責めもしないとか……んで可愛く笑ってアプローチとか……なに、この子ちょっと健気すぎんですけど!?」
八十八「…………(ニヤニヤニヤニヤ)」
陽介「えー、ちょ……でも俺彼女いるし……ごめん、ホントゴメンだけど……うわ、可愛いよこの子、健気だよ……いやでも……うっ! やべぇ、彼女にバレた……!」
八十八「…………(内心満面の笑み)」
陽介「いや、誤解だって俺は別になにもやましいことは……いや、言いたいことはわかるけど……うう、なにもそんな風に言わなくても……ちょ、あーもうだから違うってのに……ううう。……くう、のどかちゃんマジ癒される……優しい……ちょ、修羅場かよ! うわぁ……そ、そこまで……な、なんで俺この彼女とつきあってんだっけ……?」
八十八「……ふふふ。陽介、お前もきっちりハマったな。このゲームの基本パターンに……!」
陽介「………へ?」
八十八「言っただろ? このゲームは自分に惚れてくれる女の子を振って振って振りまくるのが基本的な流れだって。これから一話ごとに魅力的な女の子たちが出てきて、主人公にガチでアプローチを仕掛けてくる。それに対して嫉妬しまくり、時に理不尽な八つ当たりを仕掛けてくる、ぶっちゃけ他の女の子たちのが可愛いんじゃないか、って感じの恋人に耐え、それでも愛を貫き通せるかっていうのがこのゲームの肝なんだ。貫き通せなかったらその話でゲームオーバー、クリア不可。まぁ別の相手と幸せになることはできるからバッドエンドかどうかは議論の余地があるけど」
陽介「う、うわー……な、なんかある意味リアルっちゃリアルだけど、怖ぇ〜〜………」


陽介「え、これって隠しシナリオなん? なんか普通に出てきたけど。上遠野かぁ……無愛想だなー……この子も主人公に惚れるわけ? 全然そんな気配ないんだけど」
八十八「まぁ、そこらへんは進めてけばわかるよ」
陽介「まぁそうだけどさ。……う。うわ。これって……なんか、この子に積極的にアプローチしていかないと、話が進まない……?」
八十八「別に男としてアプローチしなきゃなんないわけじゃないだろ? アマチュアバンドの仲間として誘ってるだけなんだし」
陽介「いや、もうバンドなんかしないって言って心閉ざしてる子にここまで全力でアプローチするとか口説いてるも同然だろ! うわぁ……ヤバいヤバい……うわ、やっぱりこのお姉さんも可愛い……っつかセクシーだし美人だし、今なんか弱ってるし、男として力になってやりてぇ……!」
八十八「そうなんだよなぁ。カミイはこのゲームの中でもこっちから口説いて惚れさせてしまった感が一番強いキャラなんだよな。それを最終的に振らないと先に進めないわけだから……」
陽介「うああ罪悪感半端ねぇぇぇ! こ、応えてやりたい、というか男として応えないわけにはっ……だ、だけど彼女がいるし、応えたら先に進めないしっ……!」
八十八「そこの葛藤がこの話の味になってると思うんだよな」
陽介「ちくしょぉぉこのゲーム作った奴絶対鬼だ!」


陽介「……ちょ、ちょ。な、なんかこれ、彼女の嫉妬理不尽すぎじゃね……? 俺マジでそんなつもり全然ないんですけど。少なくとも隣のお姉さんのアプローチ全力で断ってるよな!? なんでここまで怒られてんの、俺!?」
八十八「青野さんシナリオは特にそういう感じ強いよな〜……」
陽介「お、俺影ですっげー頑張ってんですけど。せ、せめてもうちょっと優しくしてくれても……」
八十八「彼女が特撮系のヒーローが大嫌い、っていう設定があるから、論撃バトルで活躍するキャプテン・ラヴと主人公は別人だってことになってるし、ますますそういう感じが強くなるよな」
陽介「ううう……い、癒しがほしい……」


陽介「ふ……双子の女の子に同時に好かれるとか……普通だったら羨ましいシチュかもだけどこのゲームだともう勘弁してくれ感満載だろ……!」
八十八「双子の姉妹の間のどろどろした感情とか、二人の関係にヒビを入れちゃってる感じとかがモロ見えで、やってて生々しさがかなりキツいよな。まぁ、このゲームってそういうゲームなんだけど」
陽介「この子たちをどっちも振って、傷つけて彼女のとこに行かなきゃなんないとか……ま、マジ勘弁してくれ……」
八十八「論撃も声優さんの演技と台詞回しが相まって生々しさ満載だしな。すごく熱いんだけど。ちなみにこの話を恋人よりに終わらせると、双子の関係は冷え込んだままだから」
陽介「そーいうことマジで教えてくれなくていいから!」


陽介「う、うわぁぁ……! や、やっぱり香織も俺のこと好きだった……! これまでさんざん世話になった、仲いい、これからもつきあってくだろう相手を今までみたいにきっぱり振らなきゃなんねーのかよぉぉ……」
八十八「そうなんだよなぁ。女の親友を振らなきゃならない、っていうのはよくある話ではあるけどやっぱりキツいよな。それに男友達との間に行き交う感情も……感情的に切羽詰まってるというか、こっちの気持ちを煮詰まってこさせる感が強いんだよな」
陽介「た、助けてくれ、マジで………」


陽介「う、うわぁぁぁ……! これまで振ってきた女の子に寄ってたかって責められるとか……! お、俺だって好きでここまで振ってきたわけじゃ全然ないんだって……!」
八十八「ここ、山場だよな。これまでやってきた行為の是非が一気にどーんと来て。主人公の心がどんどん不安定になってくのに共感できるっていうか」
陽介「うあぁもーマジで勘弁してくれよぉぉ………、っ、う」
八十八「…………」
陽介「こ、こ、ここでそういう優しい言葉かけてくるとか……! 傷つけるようなことは絶対にしないとか……! なんでここでそういう言葉……! ゆ、揺らぐだろぉぉ卑怯だろこの人……!」
八十八「この展開がうまいよな。こういう展開だからこそこの相手との心の通い合いに説得力が出てくる」
陽介「……だよな。そうでもなかったら、普通にお断りしてるよな……嘉藤先輩、男だし」
八十八「……まぁな」
陽介「でも、うぅ、今みたいに心が荒んでる時に言われるとマジぐらってくる……彼女はもうこっちのこと嫌ってんじゃねーのってくらいの雰囲気だし……! そこでこういう優しいこと言われるとぉぉ……! マジ卑怯だろこのゲーム作った奴!」
八十八「よくできてるゲームだよな、実際」


陽介「うぉ、こうきたか……! ここで、ようやく……! そうか、なるほどなー……ようし、やってやるか………!」

八十八「……クリアおめでとう。どうだった、感想としては?」
陽介「やー……なんつーか、精神的にけっこきついゲームだけど……面白かった! なんかある意味すげーゲームだよな。ちっとマジで感動したとこもあったし」
八十八「そうなんだよな。一見バカゲーで、実際バカゲーなんだけど、シナリオはその実真実の愛≠チてやつと真正面から向き合ってるある意味すごい話だし」
陽介「なんつーか、女の子との関係がリアルっつーか、生々しいっつーかさ、普通ゲームとか漫画とかに出てくるのと違ってかなりドロドロしたとことがっつり向き合うことになんだけど、そーいうのを乗り越えたからラスト感動するっつーかさ。これまでの苦しみが報われた……っつーか、これまでのいろんな過去があったから今があるんだ、みたいなちっと深い話みてーな気分になったりもしたしさ」
八十八「それでノリはどこまでもおバカだから、強烈なカタルシスがあるんだよな。論撃バトルゲームっていう戦闘モードもそれに一役買ってるし」
陽介「まぁ、あんまメジャータイトルにはなんないだろうけどさ、面白いゲームだよな」
八十八「そうだな。今じゃもう普通の手段じゃ入手困難だったりするようなゲームではあるんだけど、もし手に入ったらやってみるのもいいと思うよ。もちろん好みは人それぞれだけど、アドベンチャー系のゲームが好きな人は楽しめはするんじゃないかな」
陽介「だな〜」
八十八「そういうわけで、今回はこのへんで終わりということで。読んでくださったみなさん、ありがとうございました」


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