海にまつわる五つの話。
滝川 「…………(デレデレした顔で舞を見ている)」 瀬戸口「こーらこら滝川ー。そんなだらしない顔して見てたら、いっくら恋人だって嫌われちゃうぞー?」 滝川 「え、ええ!? マジっすか!? 俺そんなにだらしない顔してました!?」 瀬戸口「してたしてた。太腿やら胸の膨らみやらをもー百年の恋も冷めるよーな顔で見てたぞー」 滝川 「ううう……だって、水着姿ってすっげ久しぶりなんすよ? すっげぇ好きな恋人が、すぐ目の前で、可愛い水着着て遊んでるんすよ? これで見ないほーが男としておかしいっすよ!」 瀬戸口「お前のそーいう臆面もないとこはある意味長所だと思うけどなー……女の子っつーのはそーいうやらしー顔で見られてると警戒するもんなんだって」 滝川 「そ、そーいう師匠はどーなんすか? 好きな子の水着見てやらしー顔になったりしないんすか? 師匠だって本気で好きだったら絶対なるっすよ!」 瀬戸口「……本気で好き、か。そうかもな」 滝川 「………師匠?」 瀬戸口「(にやりと笑って)けどそういう時でも俺は美少年だから顔が崩れないんだな〜。お前さんとはそこが大きく違うところだ」 滝川 「な、なんすかそれー! ひっでぇ!」 舞 「滝川! なにをやっている、水泳の時間だぞ!」 滝川 「お、おうっ!」 瀬戸口「……自分から誘っといて一度も滝川の方向いてないぞあの姫さん………」 速水 「そういうところが舞の可愛らしいところじゃないか」 瀬戸口「……速水。お前さんどこにいたの」 速水 「ちょっと青少年の交際の監視を、ね。節度をはみ出ることのないように」 瀬戸口「(……まだ滝川と姫さんの仲が進展しないよう妨害してんのか………)」 速水 「! 滝川が舞の手を握った………!」 瀬戸口「そのくらい前のデートでもやってただろ。かわいいもんじゃないか」 速水 「甘いよ瀬戸口。ムードに流されやすいからね滝川は、夏の海というシチュエーションに酔ってこれからどんどん大胆になっていくに違いない。今のうちに邪魔しておかなくちゃ!(走り去る)」 瀬戸口「おい、速水! ……まぁ、いいか。あいつに邪魔されんのは慣れてるだろうし」 |
速水の邪魔の甲斐あってか、滝川と舞はラブラブなのにも関わらず結婚するまでお互い清い体でしたとさ。
マスター 「………素晴らしい! やはり少年の水着の基本は海パンだなっ! その半ズボン風のベーシックな色味と体にぴったり張りついたフィット感があどけないセクシーさをかもしだして、もう辛抱たまらんというほど色っぽいぞランパートォォ〜ッ!」 ランパート「(げっそりと)……マスター……海に来た時ぐらいそれやめようとか思わないのか?」 マスター 「なにを言うんだランパート、海だからこそだろう! 水着という極めて露出度の高い衣装を違和感なく披露できる機会はこんな時ぐらいしかないんだぞ!? 心配するな、お色直し用の水着とパーカーはもう三組用意してあるからな!」 ランパート「………………」 |
もちろんマスターはランパートが満足するまで海の遊びにもつきあってあげました。
しんのすけ「へいへいそこのきれいなおねいさん〜、オラと一緒にどざえもんごっこしない?」 お姉さん 「また今度ね」 まさおくん「あ、あの、お姉さんっ……!」 お姉さん2「(気づかない)」 風間くん 「あ、あのっ……!」 お姉さん3「十年経ってから出直してくれば?」 まさおくん「……誰もひっかかってこないね……」 ぼーちゃん「(こくり)」 しんのすけ「んもう、俺がいればナンパなんて楽勝だぜってオラたちを男たちだけで海に連れ出したりしたのはどこの誰?」 風間くん 「お前じゃないかーっ! 『オラにまかしとけばきれいなおねいさんの四人や五人簡単にひっかけてみせるゾわっはっは』とか言ってたくせにっ!」 まさおくん「しんちゃんの言葉を信じた僕たちが馬鹿だったんだよ……しんちゃん成長して女の子にモテるようになったから大丈夫かな〜なんて思っちゃって……」 しんのすけ「うむうむ、素直でよろしい。これからは気をつけるのですぞ」 風間くん 「お前が言うなぁ―――っ! 僕は最初から気が進まなかったんだっ! 誘ってくれる女の子もいたのに、あっさり断ったりしてっ………!」 しんのすけ「だってオラ十代には興味ないし〜。でもちなっちゃんは別〜」 風間くん 「お前の好みなんて聞いてな――――いっ!」 ネネちゃん「なんの話をしてるのかしらぁ?」 全員 『ね、ネネちゃん………!』 ネネちゃん「あたしを置いていくってどーいうこと! この幼稚園からつきあってる大親友のあたしを!」 まさおくん「幼稚園からつきあってるからこそ置いていきたかったんだけど……」 ネネちゃん「(頭をわしづかみにして)なんか言ったかオニギリ………?」 まさおくん「うわぁーん、ごめんなさい〜!」 ネネちゃん「まったく、どうせ女の子みんなでナンパしようとか思ってたんでしょ? で、振られて落ち込んでたってとこね?」 全員 『……………』 ネネちゃん「しょうがないわねぇホントにもう。ここは大親友のあたしが一肌脱いで上げる!(と言って服を脱ぎ) どう? この磨きぬかれたナイスバディ! 他の女の子なんて見向きもできなくなっちゃうでしょ?」 しんのすけ「……みんな。帰ろうか」 風間くん 「そうだな……」 ネネちゃん「………おい(ドスの効いた声で)」 |
結局みんなで仲良く海で遊びました。
天野 「海なんて久しぶりですよ〜。今日はめいっぱい遊びましょうね!」 桃城 「おう! 練習の疲れをさっぱり洗い流すとすっか!」 リョーマ「……でもどーせ遊ぶったって体動かすんだから疲れは取れないと思うけど」 桃城 「う゛……いーんだよ精神的に気分が変われば! 遊ぶぞ天野越前っ、まずはビーチバレーだ!」 天野 「はいっ、桃先輩!」 リョーマ「……へーい」 桃城 「……っはー、泳いだーっ!」 天野 「そーですねー……さすがに疲れました」 リョーマ「……この程度で? まだまだだね」 天野 「う……ごめん……」 桃城 「なに言ってやがる越前、お前だって息荒くしてたじゃねーかよ」 リョーマ「気のせいじゃないの? 桃先輩もう若ボケ?」 桃城 「……んのやろ」 天野 「…………」 リョーマ「…………」 桃城 「…………」 天野 「……でも、どうせ疲れるんだったら……」 全員 『テニスで疲れたい(よな・よね・ですよね)』 桃城 「……ぷっ。お前らマジでテニス馬鹿だなーっ!」 リョーマ「桃先輩に言われたくない」 天野 「あはは。……それじゃ帰りにコートで一試合していきますか?」 桃城 「さんせー。……よっと」 女の子ズ『ねぇねぇ、あたしたちと一緒に遊ばない?』 桃城 「悪いな、俺たちこれからサイコーに面白いとこに遊び行くとこなんだ」 女の子ズ『えーっ、どこーっ?』 男子たち『テニスコート!』 |
でもやっぱり海は海で面白かったよな、桃先輩の泳ぐ姿かっこよかったし、とか思っている天野くんなのでありました。
……数年後、海水浴場に行ったなら。 男 「へいへいカ〜ノジョ〜、俺と一緒に泳がない?」 ルビア 「え………」 アディム「…………(無言でギロリ)」 男 「……というのは冗談です、あはは……」 男2 「お嬢さん、俺と海際の高級宿屋で食事でも……」 ルビア 「いえ………」 アディム「…………(殺気をこめてギロリ)」 男2 「ゴ、ゴ、ゴメンナサイ、嘘です、冗談ですぅ〜」 ビアンカ「……そりゃあなたの過保護は今に始まったことじゃないし、ルビアにまとわりつく男たちを追い払うっていうのは悪いことじゃないと思うけどね? 近寄る男全部に殺気立つっていうのはルビアの教育上よくないんじゃないかしら?」 アディム「僕は別にルビアが男慣れするのが悪いって言ってるんじゃないよ。でも、どいつもこいつもみんなルビアの肢体に野獣のような視線を送ってるんだもの! それを見過ごせると思うのかい!?」 ビアンカ「野獣って……」 アディム「ルビアのあの奇跡のようなバランスを保ったきゃしゃでかつ健康的な手足や、ほっそりとしているけれどしっかり育っている肢体を、芸術的に愛でるのではなく劣情をもって眺めるなんて万死に値するよ! ビアンカはそう思わないのかい!?」 ビアンカ「女は視線慣れしとくことも必要よ?」 アディム「う……それはそうかもしれないけど……危険じゃないか! もし万一襲われてトラウマにでもなったらどうするんだい!」 ビアンカ「それはわからないでもないんだけど……」 アディム「………は!」 ビアンカ「どうしたの? ルビアの近くには男はいないみたいだけど……」 アディム「セデルに飢えた獣のような女どもの群れが近づいていっている………! あんな女どもにセデルを穢されちゃあ僕は後悔してもしきれないっ!」 ビアンカ「……あなた、それは余計なお世話って奴だと思うわよ?」 |
「二人に近寄った奴は変態だーっ! 近寄らない奴は訓練された変態だーっ!」(By椎名崇志)とかアディムが叫んだとか叫ばなかったとか。