俺って変態なんじゃなかろうかと、自分を疑ってた頃はまだよかった。 今じゃ俺は紛うことなき変態で、高校生に手を出した犯罪者。 おまけに彼との関係は、いつまで続くかわかったもんじゃない、人目を忍んだ関係。 しかも参るのは、それでも俺は彼と一緒にいるのが心地よいってことなんだよな、これが。 最初に出会ったのは十月のはじめ。夜の校内をうろつきまわっていた俺は、偶然見た顔を見つけた。 送られてきた資料にあったロゼッタ協会の宝探し屋。瑞麗にも会ったと写真を見せられたことがある。 ちょっと考えて、少し探りを入れてみるかと思い立った。ロゼッタ協会の奴らが出張ってきたってことは、仕事が増えるってことだ。その仕事がどんな仕事になるか知っておきたかった。 そのためには、この宝探し屋がどんな奴か知っておいたほうがいい。 で、声をかけてみると。 そいつは(写真で見るより妙に男前に見えた)じーっとしばらく真剣な目で俺を見た。そしてそれから急ににっこーっと、こっちがびびるくらい満面の笑みを浮かべた。そして、 「はじめまして!」 と元気な顔で言って、俺の手を握ったんだ。 ……その場は軽く流したが、俺はけっこう驚いていた。普通武器を使って戦う宝探し屋たちは、利き腕を簡単に他人に預けることはしないもんだ。それになんでこんな笑顔を浮かべるのか。初対面で俺にどんな好感を持ったってんだ? それで試すつもりで、宇宙刑事の話をしてみた。これを聞くとたいていの奴はからかわれたと思って怒り出す。器を量るつもりだった。 だが、話してもそいつは小揺るぎもしない。興味深そうに俺の話を聞いて、じーっと妙にピュアな目で俺を見る。 結局耐えきれなくなって俺が先にオチをつけてしまった。なんか、俺の方が器を試されたような気がする。 そして別れ際。去っていこうとする俺の服の袖を笑顔でがっしとつかみ、彼はこう言った。 「鴉室さん。アムさんって呼んでいいか? なんか、俺あなたのこと愛称で呼びたくなった」 「ほう。まあ君がそんなにも俺のことが好きだっていうんなら、別にかまわないぜ」 からかい混じりの俺の言葉に、そいつ――九龍はにっこーっと顔全体に笑顔を浮かべて、うなずいたんだ。 「ありがと。またな、宇宙刑事さん」 ――なにか企んでるのかとも思いはしたが、ここまで無防備に、開けっぴろげに俺に接近してくる奴に、俺は初めて出会った。 変な奴。そう思うと同時に、少しばかり興味が湧いた。 それでそのあとちょくちょく、出会うたびにちょっかいをかけた。お喋りしたりからかったり、なにかものをねだったり。 だが九龍はどんな時も嬉しげに受け答えし、俺の言うことを聞いてくれた。心の底から俺のことを信じている、という感じの開けっぴろげな顔で。 罪悪感を感じるほど俺はきれいな人間じゃない。今までだって何度もやってきた、いまさらだ。 だが、俺にあからさまに好意を示してくるこの宝探し屋に、一緒に話すのが楽しいと、好意と言ってもいいだろうものを感じ、自分の素性に知らん顔してお喋りしてることを自覚するたび、胸がちくちくするのもまた、事実だった。 十一月二十二日。この日は生徒会主催の夜会があった。 俺は以前もらっていたメールアドレスで九龍を呼び出した。それは単純に九龍がいた方が便利だと思ったせいもあるが、罪滅ぼしのような感情もあった。彼に情報を提供することで、彼を騙している罪悪感を少しでも軽くしたかったんだ。……俺らしくもなく感傷的だが。 九龍は嬉しそうな顔でやってきて、俺の言うことにいちいちうなずいて、墓を暴こうという俺の誘いに俺をじっと見つめて、「アムさんがそれが必要だって思うなら、俺、協力するよ」と言った。 掘るのを交代しないかという俺の言葉に、なぜかにこにこしながらうなずいて素直に真面目に墓を掘る。俺はそんな九龍を見ていて、なぜか――苦しくなってきた。 こいつ、本当に俺のことを少しも疑ってないのか。俺の言ったことを全部信じて俺を慕ってるのか? 俺はそんなきれいな人間じゃないってのに。 そんなことを考えて――こんなことを言ってしまった。 「葉佩君は? 俺に興味とかないの? 貧乏探偵っていうのは世を忍ぶ仮の姿で、実は……とか」 その言葉に、九龍は少し首を傾げて。 「だって、アムさんって宇宙刑事なんだろ?」 「………は?」 「自分でそう言ってたじゃん。銀河の彼方からやってきた宇宙刑事だって」 「…………」 本気か? このガキ。 だとしたら天然記念物並みに子供な宝探し屋だぞ、と思いつつ頭を押さえると、九龍はくすりと笑った。 「アムさんの正体がなにかなんて、俺どうだっていいよ」 あっさりとした口調だった。だから俺も一瞬聞き流しそうになった。 だが、一瞬後、俺は気づいた。九龍の本気に。 「アムさんが宇宙刑事だろうが、私立探偵だろうが、実は妖怪だろうが敵だろうが。俺は今俺の隣にいて、煙草咥えてにやついてるアムさんが好きなんだもん。正体がなんだろうが、今俺と向かい合ってる時だけ真実ならそれでいいよ」 ――こいつ、真剣だ。心の底から。 いや、こいつはいつも真剣だった。真剣に、心から、ずっと俺に好意を示してきてたんだ。 それこそ、正体がなんでも別にいいってぐらいに。 「………真実じゃなかったとしたら? 今まで俺が言ったことはもしかしたら、嘘ばっかりかもしれないぜ?」 「嘘でもいいよ。嘘ついてるかどうかが重要なんじゃないんだ。俺はアムさん、俺とちゃんと向き合ってくれたって感じた。だからそれでいい」 「そういう考え方してると、長生きしないぜ? いつか裏切られて痛い目を見ることになる」 「別にいいよ。俺裏切られようがなにされようが、信じないより信じる方が好きだ。そっちの方が楽しいもん。そりゃ裏切られりゃ腹立つだろうけど、裏切られてもいいやって思える奴しか信じないからさ、俺」 「……君は俺を裏切られても信じたいと思ってるのか?」 「うん。俺、アムさん好きだもん」 俺は呼吸をむりやり整えて、煙草をくゆらせ、一応の格好をつけて言う。 「やれやれ。モテる男は辛いねェ。俺のどこがそんなに気に入ったんだ?」 俺の言葉に、九龍はふっと笑った。 「理由なんているのか?」 「……君はいらないと思うのか?」 「うん。だって好きって説明できるもんじゃないだろ? 説明したってしきれるもんじゃない。俺、初めて会った時、この人は信頼できる人だって思ったんだ。顔も嫌いじゃない顔だし、なんかいいなって思った。だから近づいて仲良くしようとしたんだよ」 そして、九龍はにっと、人好きのする、気持ちのいい、男前な笑顔を浮かべて言った。 「俺、たぶん裏切られても、アムさんのこと好きだぜ」 ――そこで九龍が墓を掘り終えて、話はそこまでになった。 決定打になったのは、十二月の十日ごろの事件だった。 俺はその時、腹が減ってしょうがなかった。財布を落としてメシが食えなかったんだ。 銀行に行こうにもカードがない。人のいる銀行に行こうにも、そこまで行く交通費がない。瑞麗にたかろうとしたら蹴り出された。つうか腹が減って考えがまとまらねえ。 ふらふらしていると背中を叩かれた。振り返ると、そこにいたのは九龍だ。 「……よう」 手を上げると、九龍は厳しい顔で俺のあごをつかんだ。 「うわ、いきなりなにすんだ」 「頬がこけてる」 「……へ?」 「アムさん、最近ちゃんと食事してないだろ?」 「………まあ」 「なんかあったの?」 真剣な顔で見られ、俺はうまいごまかしも思いつかず事実を口にした。財布を落としてメシが食えず、にっちもさっちもいかなくなっていると。 すると、九龍はきっと柳眉を逆立てた。 「アムさん! そういう時は人に頼れよ! 意地張って体壊したらなんにもならないだろ!」 ……驚いた。九龍が怒ったのを見たのは、それが初めてだった。 こいつ、本気で俺のことを心配してくれてる。 そう思うと腹が減って弱気になってることもあって、柄にもなくじわっときそうになったが、大人の意地でそこはこらえて苦笑を浮かべる。 「いや、それがこの学校の知り合いには金貸してくれっつったら蹴り出されちまってさ」 「だったら俺のとこくればいいだろ!」 「………………君の?」 「なんだよ、アムさん俺のこと信用してないのかよ? 言っとくけど俺、アムさんの助けになるぐらいの甲斐性はあるぞ。金だってそこらへんのサラリーマンよりは稼いでるし、料理も得意なんだからな」 「いや、そういうことじゃなくてだな……」 「じゃあどういうことだよ」 ――君は本当に俺が困っていたら助けてくれるほど、俺のことが好きなのか? 俺は、その言葉を言おうと口を開き――結局そのまま口を閉じた。 こいつの真剣な眼差しを見てもそんな台詞が吐けるほど、俺は朴念仁じゃない。 その代わりに、俺はちょっと面白がるような笑みを浮かべて九龍に言った。 「いや。じゃあ、君がそこまで言ってくれるなら世話になるかな。うまいメシ食わせてくれよ?」 そんな俺の調子のいい言葉に、九龍はにっと頼もしげな笑みを浮かべ、胸をドンと叩いてこう言った。 「まかせなさい!」 ……そして、九龍の部屋で、俺は三日ぶりのメシをご馳走になった。 お粥から始まった、柔らかくて消化のいい、けれどしっかりボリュームのあるメシは、九龍の言葉通り非常にうまかった。 そして俺がメシを食ってる間中、九龍はそばでいろいろと俺の世話を焼いてくれた。邪魔にならない程度に。嬉しげに笑いながら。 俺は不覚にも、ちょっと泣いてしまった。目に涙が浮かんだ程度だからサングラスに隠れて九龍は気づかなかっただろうが。 誰かに、見返りとか損得勘定とか抜きでこんなにも優しくされたのは、ひどく久しぶりな気がした。 それから俺は、自分でも信じられないことに、九龍にすっかり参ってしまったわけだ。 男に惚れるなんて生まれて初めての経験だし、俺は今でも自分がホモになったとは思っていない。ただ、九龍があんまり俺にとって特別になっちまっただけなんだろう、と考えている。 九龍以外の男の裸なんて見るだけでおぞましさに鳥肌が立つが、九龍の服の下を想像すると興奮して勃ってきちまうんだから、重症だわな。 その後俺は顔が見たくなって何度も影から九龍を観察してその笑顔が自分に向けたものじゃないことに悲しくなったり、思いあまって会いに行ってアムさんアムさんとスキンシップを受けて平気な表情の裏でじーんとしたりした。あいつが風呂に入るのを見計らってこっそり一緒に入り、肌を垣間見てドキドキしたりもした。 九龍を思って自慰に耽り、したあと自己嫌悪のあまり死ぬほど落ちこんだことも何度かある。 まあ、この年になって、高校生がするような青い片思いをやっちまってたわけだ、俺は。 この恋が成就するなんて最初から思ってなかった。あいつが俺を他の奴らと同程度にしか思ってないのは明らかだったからだ。 九龍は他の奴らにも同じように笑いかけ、親切にし、愛を振りまいている。俺はその他大勢の一人にすぎない。 だから、本部から撤退命令が出た時は、いい機会だと思った。 最後の思い出に、九龍に別れを告げに行って。九龍がクラスメイトの女の子と話をしてるのを見て、お邪魔かな、と諦めかけて。 九龍が珍しく一人になったのを見て、清水の舞台から飛び降りるつもりで話しかけた。 クイズにかこつけて俺のことをどれくらい覚えているか確かめて。俺のことをどう思っているか探って。 最後に自分の正体を明かし、去っていこうとした。 「アムさん、たぶんアムさんは、すぐまた俺と会うよ」 確信に満ちた声で九龍は言った。俺の正体を聞いても眉も動かさず、ふーん、の一言ですませて。 「ほう。そりゃまたなんで?」 「なんとなく。俺、勘には自信があるんだ。なんか、アムさんとこれでお別れっていう気しない。だから、アムさんとはすぐまた会えるよ」 「……そうだといいな」 もう会わないと決めたのに、そう微笑まれて心が揺れた。未練がましく最後に女子寮をのぞいて、なんてやっているうちに学園から出られなくなって。 それならせめて、この学園を去るまで。その短い時間の間だけでも、できるだけこいつのそばにいたい。 そんなおセンチなこと考えちまって、俺は九龍に協力を申し出た。 さっそく誘われた遺跡で、初めて見た九龍の戦いぶりは、とんでもなかった。 俺の《力》を何発当てても倒れないような化け物相手に(いや、そりゃ俺の《力》は当たり外れが大きいんだが)、九龍は平然とした顔で立ち向かい、次々に撃破していく。 狭い部屋で顔に箱をつけた奴やら長い爪を持った奴やらがうじゃうじゃ出てきた時も、九龍は冷静に、素早くランチャーを敵の顔面に叩きこみ、そいつらが消滅するや炎の剣で爪持つ敵を焼き払ってみせた。 四体の敵を撃破するのに三十秒もかからなかっただろう。そのあと出てきた兵隊どももあっさり叩きのめして、九龍は「いっちょあがり!」と爽やかに笑った。 技術、身体能力、戦術眼、どれをとっても一級品。同僚にもこういう現代武器を使う奴がいなくはないが、そいつよりおそらく九龍は強い。 のみならず、彼は逆境にも強かった。学園を襲撃してきた奴らのボスを次々叩きのめし、でかいのが出てきて。攻撃をかわしきれず、吹っ飛んで壁にぶち当たった時。 「九龍!」 思わず叫ぶ俺に、九龍はに、と凄絶な笑みを見せた。 今まで見たことのない、強烈な意思。負けてたまるか∞死んでたまるか∞絶対勝つ≠サんな意思をひどく雄弁に瞳で語ってみせて、化け物が再度攻撃する前に走り出した。 「アムさん、夷澤、俺から離れてろよ!」 ひどい傷を負った体で、俺たちの方に攻撃がいかないように、敵をひきつけるように、それでいて自分も攻撃を食らわないように走り回り、敵の弱点に銃弾を叩きこむ。その姿はあまりに鮮烈で、手出しができなかった。 俺も命根性は汚い方だが、こいつには負ける。こいつと本気で戦ったら負けるのは俺の方だろう。生きようとする気合が半端じゃなさすぎる。 九龍は、死にそうになっても、いやむしろ死にそうな時だから余計に、男らしく、カッコよく――なにより俺にはひどくきれいに見えた。見てると背筋がゾクゾクした。興奮してペニスがエレクトした。 彼の傷を舐めて、血を啜り、押し倒してペニスを突っ込みたい――そう思っちまったんだ。 そんなわけで、前よりさらに九龍にいかれちまった俺は、ある決意をもってクリスマスイブを迎えた。 「俺と一緒に、《秘宝》じゃなく―――この世の《真理》を追いかけてみないか?」 俺の一世一代の賭け。九龍の隣の位置を手に入れるための大勝負。 上の方も報告書を読んで、九龍に興味を持っていた。能力も折り紙つきだと言い切れる。 九龍がうんと言ってくれるなら、俺は誰にはばかることもなく九龍のそばにいることができる――― が、九龍は、首を振った。 「悪いけど、俺、宝探し屋好きなんだ。性に合ってるんだよな。宝探し屋じゃない自分なんて想像できない。アムさんと一緒にいるのは楽しそうだけど、俺、仕事変える気ないんだ」 ごめんな。 そう言って頭を下げる九龍に、俺は――笑ってごまかすしか方法を思いつかなかった。 「俺は、こう見えても結構君に本気だったんだぜ?」 年考えろってくらい本気だったよ。本気で君にいかれてたよ。 「いっその事、このままさらっていっちまおうか?」 本当にさらっちまいたいよ。犯罪者になってもいいから、君を俺のそばに置いておきたいよ。 「―――なんてな」 そう言って、いつもの笑みを浮かべてみせた。そんなことができないのは、誰よりも自分がよくわかってるんだ。 「いつかどこかで、再び歩む道が交わる事もあるだろう。その時を、楽しみにしてるぜ、九龍」 それじゃあ―――またな。 そう言って、俺は九龍に背を向けた。 我ながら未練がましいな、と思ったが、もう出会わない方がいい、と思いきれるほど、俺は潔くないんだ。 その後、学園を去り際にせめてもの思い出にと思ってキスしたり、ああなんであんなことしちまったかなぁと後悔したり、泊まるあてがない時についついふらふら〜と九龍のところに行っちまったりして。 俺は九龍を抱いた。九龍の方から俺にキスしてきて、九龍も俺とセックスするのが嫌じゃない、と直感したからだ。 九龍に抱く直前、軽く愛してると言うと、九龍も俺もと返してくれた。 その夜は、心底惚れた相手を抱けたんだから、そりゃもう燃えまくったわけだが(男を抱いたのは初めてだったが、女と後ろでヤったことはあったし、九龍が潤滑油を持っていてくれたので、戸惑う事はなかった)。俺は九龍は俺のことを、俺が九龍を好きなほどは好きじゃないんだろうなと思っていた。 というか、抱かせてくれたのは確かだが、それでも九龍は俺をその他大勢と同じように思ってるんだろうなと思っていたのだ。九龍があんまり奔放に、思いきりよくセックスするから、彼にとってはスキンシップと大差ないんだろうな、というのがなんとなく感じられたのだ。 それでも、俺は九龍を抱きたかった。惚れた相手の体だけでも手に入れる機会があるんなら、手が伸びちまうのが男ってもんだろう? そう思っていたのに、九龍は昨日(いや、もう一昨日か)俺を恋人だと言った。 俺は正直信じられなかったが――それでもやはり、ちょっとばかし舞い上がってしまった。 なんとしても九龍の誕生日のうちに帰るぞ、と燃え上がって仕事を片付け、死にそうになりながらも走って九龍のところにたどりつく。 こっそり指のサイズを測って、いつかはめてもらうことを夢見て買った指輪。考えに考えて、やっぱり時期尚早だろうと諦めかけ、それでもやはり指輪を送りたくてペンダントに加工してもらった。 ――いつか。君のために買った指輪を、堂々と君に渡したい。 すぐ隣で寝ている九龍のあどけない寝顔を見ながら俺は思う。いつかその時が来てほしい。 前ならせめて希望だけでも繋ぎたい、といういじましい思いを抱いてのことだったろうが、今は少し前向きになっている。 この博愛主義という言葉じゃ足りないほど広く深い愛を振りまく少年が、俺のことを恋人だと言い切ってくれたのだから。 いいのかい、九龍。俺ちょっと自惚れちまうぜ? 俺は一度自惚れると調子に乗りやすいんだ。後悔しても止められないぞ? 俺はそうほくそえんで、愛しい恋人の可愛い寝顔にそっとキスを落とした。 |