この作品には男同士の性行為を描写した部分が存在します。
なので十八歳未満の方は(十八歳以上でも高校生の方も)閲覧を禁じさせていただきます(うっかり迷い込んでしまった男と男の性行為を描写した小説が好きではないという方も非閲覧を推奨します)。
それと少しばかり下品な表現もありますので、そういった表現を忌避する方はご注意のほどを。


おまけ
 ぐいぐいっ、とバルレルの腕を引っ張って使われていない部屋に飛び込むや、マグナはバルレルを抱きしめて、半ば体を持ち上げるようにしつつキスをした。ちゅ、ちゅ、と唇に唇で触れ、吸い、舌で舐めて、間に侵入させて舌をつつく。
 バルレルは最初嫌そうな顔をしていたが、キスを繰り返しているうちに(いつものように)顔がどんどんほわーんとしてきてキスに応えてきてくれた。こちらも何度も何度も、角度を変えながら唇をかぶりつくように、舐るように噛みつくように触れさせ、舌を絡める。
 しばしキスを楽しんでから、マグナはバルレルをそのままベッドに押し倒した。蕩けかけた顔でこちらを見上げるバルレルに、にっこりと微笑みかけてやる。
「さ、ヤろっか!」
 そう言うとバルレルは(いつも通りに)カッと顔を朱に染め、こちらを睨みつけ唸るように言ってきた。
「テメェ……なに考えてんだ。他にも人のいるとこで、しかもいきなり引っ張ってきてさぁヤろう、だァ? 俺のこと舐めてんのかよッ!」
「そーじゃないけどさー……だってここんとこずーっとご無沙汰だったじゃんかー」
 ベッドに横たわるバルレルの顔に、頬をすりすりすり寄せる。バルレルは予想通り「離しやがれ!」とばたばた暴れたが、全力よりはかなりに力が弱い、このくらいの抵抗なら押さえ込める。
「もー一週間だぜ一週間? トラブルの解決とネスへの言い訳でヤる暇もなくてさー、そうこうしてるうちにハヤトたちが来てなし崩しのうちに次の仕事に入って。そしたらずーっと大人数の移動でヤれる状況なんて全然巡ってこないし。俺はまだまだヤりたい盛りなのにぃ。こーいうちょっとのチャンスにも、全力で飛びついて当然だろー?」
「それになんで俺が付き合わなきゃなんねーんだよッ」
「そーんなつれないこと言うなよー。俺たちの仲じゃないかー。俺がヤりたくてしょーがない時に、ちょーっとくらい協力してくれたっていいだろ?」
「誰がするかッ! 離しやがれこの色ボケ野郎ッ。つかな、ヤりてーんなら、あの牛ガキでもなんでも連れてくりゃいいだろーがッ。喜んで相手すんじゃねーのかよッ」
 う゛、とマグナは言葉に詰まった。レシィに手を出したのは今から一年ほど前になるか。自分を慕い幸せそうに懐いてくるレシィが可愛くて、レシィも年頃の男なんだしちょっとくらい可愛がってもいいよな、むしろ性教育重要! という勢いでイロイロヤりはしたのだが。そしてそれからも何度かヤってたりはするのだが。
「レシィは……いろいろ、すごいだろ? 声も我慢できないと思うし。正直、レシィとヤったら俺次の日まともに腰が立つ自信ないし……」
 そう、レシィは本当にイロイロすごかったのだ。持ち物が顔に似合わぬ巨根というのもすごかったが、精力も凄まじかった。レシィが満足してやれるように、と精を蓄えていても、精根尽き果てるまで(男役にしろ女役にしろ)腰を振ってくる。
 そしてことに入るまでは相当に恥じらうのに、いったんその体勢に入ってしまうと「御主人さまぁ、ボクまだ満足できないですぅ」とか「もっとぉ、御主人さまぁ」とかエロエロモードで盛りまくるのだ。レシィとヤったあとは(たいていバルレルも交えるのだが、一人だと体力がもたないので)、全員穴が開きっぱなし、体中精液まみれで数日はまともに動けない、ということがほとんどだった。
 さらにレシィはヤってる時派手に声も上げまくるし、動きだけでもすごい音がするし。そんなメイトルパの半端でない精力を乗りこなして何事もなく誰にも迷惑をかけず仕事を続けられる自信は、マグナにはなかった。
「……よーするに俺なら手軽にヤれるから声かけたッてかよ」
「そうじゃないって……もう、拗ねるなよ」
 ふん、とそっぽを向いたバルレルのほっぺにまたちゅっとキス。ぷくぷくのそれをぺろりと舐めて、尖った耳をちゅむちゅむとしゃぶる。
「んぁッ……こらッ、てめッ、なにしやが……あ、ァゥッ」
「俺はさー、バルレルが好きで、すっごく好きで、すっごく可愛いと思ってて、だからバルレルとヤるのも好きなんだよ。わかるだろ? な、バルレル」
「耳ん中で喋ん……わッ、ばかやろ、なに脱がしてんだこのッ」
 長年の熟練の成果というか、ヤり始めた頃はなかなか苦戦したバルレルのボディスーツ脱がしも今のマグナにとってはお茶の子さいさいだった。あっという間に上着をはだけさせ、下半身を脱がし上半身を脱がす。もちろんその間も耳や体への愛撫は忘れない。
「んッ、やめ、あぅッ、ばかやろ、そこ握んなッ……指挿れんなッこのバカッ!」
「心配しなくてもちゃんと潤滑剤使ってるって」
「そういう、問題じゃ、んッ」
「……バルレル。ダメか? 俺はバルレルと、今すごくえっちしたいんだけど」
 じっ、と熱誠を(できるだけ)込めてバルレルの瞳を見つめる。バルレルは(たぶん快感に)潤んだ瞳で唇を噛みつつぎっとこちらを睨んだ。マグナは苦笑して、バルレルの唇をそっと指でなぞる。
「だから、唇噛むなって。傷できちゃうだろー?」
「……どーでもいーだろ、ンなの」
「そんなわけないだろ。バルレルの体に傷ができるの、嫌だぞ俺。傷なんてつけずにすむならそれにこしたことないだろ? 痛いんだから」
「…………」
 バルレルはぐ、と噛んだ唇からのろのろと歯を外して無言でうつむき、それからふん、と鼻を鳴らし仏頂面で言った。
「ヤりたきゃ、勝手にヤりゃいいだろ」
「……バルレルは? したくないか?」
「〜〜〜〜ッ〜〜〜〜」
 ちゅっ、と耳元にキスを落としながら言った言葉に、バルレルは思いきり顔をしかめ、ほんのり赤らめながらもぎっとこちらを睨み怒鳴るように返す。 
「ヤらせてヤるっつってんだからわかんだろーがッ、ぐだぐだくだんねェこと抜かしてんじゃねェ!」
 マグナは思わずくくっ、と笑ってしまった。本当にこいつってば、なんて可愛い奴なんだろう。
「うん、そうだな。あのさ、バルレル」
「……んッだよ」
「俺、バルレルのそーいうとこ、すごく好きだな」
「なッ……」
 絶句してこちらを睨むが、マグナがにこにこ嬉しげに笑っているのを見て旗色悪しと思ったのだろう、今度は自分の方からキスしてきた。
「っむ……ん……ふ、ぅ」
「ン……は、ァ……ふァッ」
 腕を首に、背中に回し、何度もキスをしながらお互い協力して互いの服を完全に脱がせあう。どちらも素裸になってから、一緒にベッドに倒れこんだ。
「ッ……く、ァッ……!」
「なんつーか、さぁ……っ」
 お互い舌を絡めあい、腰を擦りつけあい、尻やら穴やら脇やら胸やらとにかく感じる場所をたっぷり愛撫しあいつつ、マグナは囁いた。
「んッ……だ、よ、ふゥッ」
「もー、お互い、山ほどヤってんのにさ、それでもやっぱ裸見るとドキドキするし……っ、興奮してヤりたくなるのってさ、やっぱ、愛、かなっ?」
「知るか、ボケ……ッ。のやろッ」
「わ、バルレルっ」
 すっとぼけたことを言うマグナに腹が立ったのか、バルレルはふいに体を沈め、マグナの股座に顔を埋めた。うわーお口でご奉仕とかめったにやってくんないのに、と感動しつつ、自分の一物を口に含み、舌や頬の内側で擦ったり口から出して舌を絡ませ舐め上げたりふぐりを口に含んだり、と半ば陶然とし始めながら懸命に奉仕するバルレルの煽情的な姿を堪能する。
「ん、む、む、むふ……ふ、ァァ……」
「バルレル、すっごいやらしい顔してる」
「くだんねーこと言ってんじゃねェッ! 噛むぞこのッ……あッ」
「続けてくれって。バルレルのやらしい顔堪能しながら、こっちもバルレル触れるってすんげー贅沢なんだから」
 バルレルを、というか正確にはバルレルの後孔を、というべきか。バルレルは体が(マグナより)相当小さいので、腕を伸ばせば立て膝になったバルレルのお尻になんとか手が届くのだ。
 ちゅ、ぐちゅ、ちゅぐ、にゅちゅぐ。たっぷり潤滑剤(蒼の派閥の薬士に用意してもらった専用のもの)をバルレルの入り口に、中にたっぷり塗りつけながら、孔を弄る。息を荒くしよだれを垂らし瞳を潤ませ、とどんどん感じている時の顔になりながら必死にマグナの一物にしゃぶりつくバルレルに、マグナはぺろりと唇を舐めて唾を飲む。自身相当興奮してきているのがわかった。
「なぁバルレル、お尻気持ちいい?」
「はッ!? なに、言って、この、バカッ」
「気持ちいいって言ってくれよ。俺のちんちんしゃぶって、お尻弄られてすっげぇ気持ちいいんだろ?」
「てめッ、殺す、ァんッ」
「頼むよ、バルレル、言ってくれって。お尻弄られて気持ちよくてしょうがなくて、俺のちんちんしゃぶっててやらしい気分になってしょうがなくて、早く挿れてほしくて腰がぞくぞくしてるって。そう言わないと挿れてやんないぞ」
「馬鹿、言ってんじゃ、ァ、あ、ゥあッ、あッあ、やめ、そこォッ」
「ほら、早く。バルレルだって挿れてほしいって、気持ちよくなりたいって思ってるんだろ? 内側もうぐちゃぐちゃだし、指なんてもう三本咥え込んでるし、それで内側のとこ擦ったり中で広げたりしてるともう入り口のとこがきゅーって締まって」
「言う、なァ、ばかやろォ……ッ」
 だいぶ我を忘れてきているのだろう、バルレルは半泣きになりながらも必死に目の前のマグナの一物を舐めしゃぶる。駄目だ、このままじゃ気を抜くと出る、と感じたマグナは、ぐいっとバルレルを股座から引き放し、縦に半回転させてベッドに押し倒した。
 股間の無毛の小さいものからはだらだらと涎を垂れ流し、後孔はひくひくと収縮し、顔も涎と涙でぐちゃぐちゃになって、大きく股を開き自分に押さえつけられているバルレル――それが自分の顔になにを感じたのか、ぐじゃぐじゃの顔で小さく言った。
「早く、挿れろよォ、ばかァ……」
「っ」
 そんなことを言われて、マグナが自分を抑えることができるはずもなかった。バルレルの腰を抱え上げ、ずぬっ、と一気に奥まで挿入する。
「ひッあ!」
「ごめ、バルレル……けど、中ぐちゃぐちゃで、すっげー気持ちい」
「てめェがしたんだろーがッ勝手なこと言うなァ! ア、あ、あッあッあッ」
 耳、頬、唇、首、鎖骨。ちゅ、ちゅ、と唇の届くところすべてにキスを落とし、唇が届かないところは指で弄り触れる。乳首を抓り、尻を揉みしだき、股間の一物を摘み握り扱き。
 そして腰はずんっ、ずんっとバルレルの一番感じるところを突く。何度もマグナのものが全部入るような奥を突き、入り口で軽く抜き差しし、バルレルの感じるところを突き。
 お互いの呼吸がもうヤバいくらい荒くなってきた、と思うやマグナはぐいっと体を倒してバルレルの唇を奪い、舌で中を蹂躙する――や、バルレルの中と、自分たち二人の間で、ほぼ同時に互いの一物が爆発した。
「んッ、んッ、ん――――ッ!!!」
「んむ、うぁ、んぅぁ……」
 どくんっ、どぷんっ、どびゅっ、どびゅっ。自分たちの体の間と、バルレルの体内に、白い液体がぶちまけられる。
「あぅ……出てるゥ……すッげェ、出てるゥ……」
 蕩けきった顔でぼんやりそんなことを言うバルレルがもうたまらなく可愛くて、マグナがちゅっちゅっ、と顔中にキスを落とすと、バルレルは陶然とした顔でそれを受け、ほんわりと笑った。

「バルレルー、なにもそんなに落ち込むことないだろー?」
「……別に落ち込んでねェよ」
 我に返るやベッドで膝を抱えてずーんと縦線を背負い始めたバルレルに、マグナは苦笑して抱きつく。バルレルはえっちで我を忘れるといつもこうなる。自分がものすごく情けなくて恥ずかしくて今にも死にたい、という気分になっちゃうんだろうなぁということはわかるのだが、お互い愛はあるんだし、なにもそんなに落ち込まなくてもとマグナとしてはいつも思うのだ。
「いいじゃんか、愛があるんだから。俺たちがお互い好き同士だから、どっちも興奮して我忘れたりするんだろ?」
「……牛ガキだのソバ野郎だのともヤってやがるくせになに抜かしてやがる」
「え」
「っ!」
 マグナがぽかん、と口を開けるやバルレルはばっと口を押さえた。にやー、と顔が自然にやけてしまう。
「そっかそっかー、バルレルヤキモチ焼いちゃったのかー」
「ばッてめッ、なに笑ってやがる俺は別にッ」
「いいぜ? バルレルが妬くんだったら俺はバルレル一人に絞っても。他の人には謝っておくし。バルレルが俺一人に絞る、っていうんだったら俺は一生バルレル一人で」
「だーわーなに抜かしやがってんだクソボケ野郎俺は別にんなことされても嬉しくねーッつの!」
「えー? さっきバルレルすんげー寂しそうな顔で他の人とはしないで、って」
「んなこと言ってねーだろーがッ!!」
「俺の耳には聞こえたもーん」
「……テメェ、いい度胸じゃねェか」
 ずもん、と急激に魔力が集まりぼんっ、とバルレルの体が大きくなる。バルレルの本来の姿というか、魔公子状態とマグナは呼んでいるが、とにかくマグナよりはるかに体の大きい、大男の姿に変化したのだ。
「ちょ……バルレルっ、いきなり変化はずるいぞっ!」
「やかましいッ、俺をさんざんからかいやがって、さっきいいようにしてくれた分のお返しもあるしな、今度は俺が男役でもう一発だッ!」
「え、えぇー? 俺女役苦手だっていっつも」
「文句あんのか、あァ?」
「……わかったよ」
 マグナは苦笑して、魔公子状態になっても耳が少し赤い、愛しい護衛獣に抱きついてキスをした。
「その代わり、優しくしてくれよな」
「気が向いたらな」
 そんなことを言いながら、バルレルはその大きな掌で、マグナの体にそっと触れた。

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