>> site index

 INDEX NEXT

『顔のない男』イザベル・ホランド

---------------------------------------- あらすじ
 主人公は男の子でチャールズ、14歳。勉強は苦手で、母、美人の姉、妹の4人でアパート暮らし。 しかし、家庭の事情が複雑で姉妹、自分も含めて父親が全て違っていた。母も姉も自分を嫌っていて、苛めている(特に姉は美人で頭もよくできる、それに引き換え自分は勉強が出来ないし、彼の父親が酷い男だったと何かにつけて罵るから)が、妹のメグだけは自分のことを理解してくれる人だと思っていた。だが、その彼女も頭がよく、自分にやさしいのは哀れんでいるからだと、ヒネて思ったりもする多感な少年だった。 彼はそんな状況でも、ぐれたりとか歪んだ風には考えないで、いつか父と同じ職業のパイロットになりたいと、夢を抱いていた。それには、自分を取り巻く環境がパイロットになる夢を 阻む最大のものだと考え、家を飛び出す事ばかりを考え、寄宿学校に入る事を考え始める。だが、寄宿学校に入るには勉強が出来なくてはいけなかったし、良い方法が彼には思いつかなかった。
 そんなある日、一家は夏休みを別荘のある村で過ごすことになり、出かけた。そこで、チャールズは運命的な出会いをする。顔の半分を火傷で覆われて、村人から変人扱いをされている男、ジャスティンに。彼は顔の火傷の傷から村人達から『顔のない男』と呼ばれていた。
-------------------------------------------------------------------

■ 映画化されています。
この本のあらすじだけでは判らないと思いますが、いいんですよぉ〜。 この本は1993年に制作された『顔のない天使』という映画の原作本です。 主演のジャスティンを演じるのはかの、メル・ギブソン(おいしすぎますぜぇ)ですが、彼はこの原作に入れ込んでいまして、版権を取得して映画を製作したのですが、ご自分で出演、監督までやっちゃいました。(ところで、『フロント・ランナー』の映画化はどうなったんやろ?)

原作本がこれほど出来がいいとなると、映画の方はダメな場合が多いのに、これは結構イケましたな。(メル・ギブソンという贔屓がなかったとは、強くいえないところが苦しいが) ただ、原作とは細かい設定が違っていて(例えば、ジャスティンには色々な村人の噂が氾濫していて、何で生活しているのかは判らないといったところは同じだが、本当は画家 だったのは映画。本では小説家になっている。トールキンに匹敵する新鋭の小説家といっている、もちろんチャールズ談)

■ 妄想炸裂か?!
できれば、原作に忠実にっていうのは難しいのかもしれないが、ここは遭えて挑戦して欲しかったと思うんですよ。映画の話のエンディングだと、只の感動物語で終わってしまうのに対して、原作の終わり方は『こんな終わり方できたかぁ?!』と結構予想外の展開になってくれるので最後までドキドキが維持できます。って言うか、考えたわ、こんな風にラストを作る作家がいたのかと、感心ました。

 紹介した本はハードカバーではありますが変形本で字も大きい方です。 だって、児童文学だもの。絵本のコーナーにあったんで驚いたわ!  内容的には、翻訳ものもというのも手伝ってか、表現が曖昧な部分が多く『アレはあったのかどうか』という肝心な部分がぼやけているんです。それは、原作がそういった表現になっているがゆえ、そうならざるを得なかったと、言われれば仕方がないのですが、読み手は注意深く読まなくては深い意味を見出せないのではないのか、という問題にぶつかります。(どれも同じかもしれませんが)しかし、翻訳ものの短所は、長所でもあり、読み手があらゆる感覚を駆使して、想像していくことの楽しさがあると思います。(YAOIの面目躍如というか、腕の見せ所って感じですな)想像なくして、深読みは出来やせんぜぇ♪

■ 進んでるぜェ〜
余談ですが、私の叔母さんの一人息子は、映画が好きで小さい頃から映画館に通っていたが、中学生になった時、一人で映画館に行くといった息子に叔母はまじめな顔で息子に注意した。「○○ちゃん、劇場のトイレに行くときは十分に気をつけて行きなさい。トイレに 行くなら前もって、デパートなどでトイレを使いなさい。映画館ではなるべく使わないように…」と、きつ〜く言い聞かしたそうです。
 因みに、叔母は職業柄、外国を飛び回っておりましたので(スッチーではありません)その手のことは十分に理解しておりました。当時の子供に対する注意が劇場のトイレだったってのは、今だから笑える。 我が家の母はその話を聞いても、「?」で判っていなかった。(まぁ、これが普通だわな) で、その後のその息子は現在26歳で無事成人して、バンドで一旗挙げようと、音楽活動に勤しんでいるが如何せん、デビューできずに貧乏街道まっしぐら。その為、生活費を浮かそうとメンバーの男と同棲中、いや、もとい、メンバーの男性と寝食を共にして日夜奮闘中。 (…あかん、あかん、親戚にいたら…激嬉しすぎ…)

■ やっぱり、マイナーか…
しかし、この作者の本は沢山出ているんだけど、多分この本しか翻訳されていないと思う。 大体、アメリカでもタブーな話を書いてしまう人なので、従って商業ベースに乗りにくいってことなんですよ。(いわゆる、マイナーどころってことか)しかし、評価は高いんだけど売れないって(そんな事は、きっと、ご本人は気にしていないんだろ)いうジレンマが付きまとうので、この本を読んでどうしても他の作品も読んでみたいと興味を持たれた方は、申し訳ないが、原本を購入する事をお勧めいたします。 英語が私のように苦手な方は、辞書と首っ引きで読むか、自動翻訳でパッと一発変換で読んでいただくと宜しいかと思います。(いや〜本当にいい時代になりましたなぁ…)

 本の方よりも比較的手に入りやすい映画の方から責めていくのもアリなんじゃないかとも思いますな。(レンタルビデオには大概あるでしょう『ロッキーホラーショー』のように『たった1本しか当店には置いておりません』って店員に言われる事も無いでしょうし、しかも私は『その一本でいいから貸してください!』っていったら『テープがはみ出てしまって、現在修理中です』って威張って言われたわ!!…ふ〜う、あれは夏の日の遠い思い出ねぇ。

映画は、メル・ギブソンのステキな瞳が見られます。好きなんですよぉ〜、私、彼の瞳ばっかり見て、映画の筋を覚えていないってこともあったんですよ〜ォ。それぐらいキレイな瞳をしています。もちろんYAOIにとって入門編的な映画『マッドマックス』の主演男優です。(くぅ〜っ、嬉しすぎですぅ) 

 INDEX PAGETOP NEXT

Designed by TENKIYA