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「バーディ」〜鳥になりたかった青年〜

1985年 BIRDY
カンヌ国際映画祭特別グランプリ受賞
監督: アラン・パーカー   Alan Parker
原作: ウィリアム・ワートン William Wharton
音楽: ピーター・ガブリエル Peter Gabriel
出演: マシュー・モディーン Matthew Modine ニコラス・ケイジ Nicolas Cage

------------------------あらすじ-----------------------------
主人公の(アル)ニコラス・ケイジと(バーディ)マシュー・モディーンはひょんなことから、友達同士になった。内向的なバーディと明るく快活なアル。性格の違う二人だったが、なぜか気はあった。アルは何かとバーディを誘って遊んだりしたが、内向的な彼は 、話をするものの相手がアル以外の人になると心を閉ざしてしまう。
 しかし、そんな彼が唯一、夢中になれるものがあった。それは「鳥」で彼は空を自由に飛び回る「鳥」になりたかった。 日に日に、心が内へ向かい「自分が鳥になること」を唯一の願いとし、自らを社会と隔離していった。
そんな二人に、戦争が押し寄せ、出征したアルはバーディと別々の道をたどってしまう。
 ヴェトナム戦争で顔に重傷を負って帰還したアルは、バーディが精神錯乱を起こして病院に入れられている事を知り、見舞いに訪れる。バーディの精神は崩壊し「鳥」になることを夢に見つづける余り、自身も「鳥」であると思い込んでいた。そんな彼を心配し、彼の精神を元に戻そうとバーディの元へ通い、二人の出会いや遊んだことなど、青春に彩られた平和だったころの時間を語って聞かせるのだった。
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大方、18年前に公開されたといえば、大抵の方は「ヨチヨチ」の頃でしょうし、管理人は「ピチピチ」の頃ですわ。(今は「ヘロヘロ」ですが…)当時、あまりの出来のよさに、ロードショー公開で(勿論、前売りを買う)観ましたが、ビデオなんてないご時世でしたので、もう一度アゲイン!(長嶋さん風)といってもテレビでは放送もしてもらえるにはあまりにも、神頼み的でした。(哀)

しかし、当時は「番館落ち」というものがありました。(別名、貧乏人のオアシスです)今の映画のシステムが殆ど、アメリカナイズされたシネコン形式に取って代わっている昨今、なくなっちゃうのは残念な気がします。(未だ、残っている地域もあるんでしょうねぇ〜、羨ましい限りです)シネコンもそれはそれでいいかなぁ、と思っていますが…。

こちらの地域は殆どの映画館が単館公開で、いわゆるミニシアター系もなくなったり、合併されて変わってしまいました。(悲しいわね〜)2番館上映館といわれるシアターは殆どが閉鎖になってしまって、なくなってしまいました。ポルノ映画館もミニシアター系になっちまうご時世ですからねぇ。番館落ちの「ありえない組み合わせ」映画の2本立てっていうのが結構、笑えるんだけどなぁ。それに、どちらか1本だけがお目当ての場合(しかも最終上映だったら)かなりお得で半額ぐらいでみれました。(600円とか800円とかです)

 話がそれちゃいましたが「BIRDY」に関しても大変いい映画だったのでロードショー公開と番館落ちでも観ちゃいました。それに、番館落ちのときでしたか、「BIRDY」のポスターも当時売られていた(300円だったかしら?)ので、ゲットしました。図柄は半券のチケットと同じものです。

ウィリアム・ワートンの原作をアラン・パーカーが監督をして制作しましたが、ここでもやはり「ミソ」はアラン・パーカーでしょう。 この監督の作品郡はけっこう「ツボ」のものが多くて、なにかしら収穫はあるものです(笑) 

海外旅行に水を差すような「ミッドナイト・エキスプレス」(1978)や、もったいないおばけがでそうな「エンゼルハート」(1987)(ぶたさんの血や臓物を使いすぎです)ビリィ・ホリディの「奇妙な果実」がダブっちゃう「ミシシッピー・バーニング」(1988)、やっぱり、普通の家庭のパパ役はできない「ライフ・オブ・デビッド・ゲイル」(2003) などなど……。この関連で芋ずる式に映画をみるのがお徳かもしれませんね。
…で、肝心の「バーディ」ですがよかったです。(それだけかい(~_~メ))まず、ラストから言うと「衝撃のラスト」です。(笑)これが意外や意外で、びっくりとも拍子抜けともとれるものです。ただ「クライング・ゲーム」のラストの感じがよく似ています。私個人としては好きなラストです。(どうも、救いの無いラストはやはり見ていて、キツイですから)

この映画のみどころといえば「衝撃のラスト」もさるものながら、バーディが「鳥」になりたいと願い、夢想するシーンは、美しいのひとこと。大きな鳥かごの中に身を横たえて、自身が「鳥」(この時、カナリヤになっていた様に思います)として、空を飛ぶシーンは本当に幻想的だった。レンガ造りの低層マンションの間を抜けていくところや、青い空に白い綿菓子のような雲が見えるところは、ジーンときましたね。

 「腐れ下道」としての見所としては、アルとバーディを誘って出かけ、女を引っ掛けたその後のシーン。勿論、内向的でオクテであるバーディが声をかけるはずも無いので、一人前に女に興味のあるアルがバーディの分として、2人組の女に声をかけるんです。  暗くなった外の土手のあたりで、アルともう一人の女は大盛り上がりだが、もう一組のバーディの方は、盛り下がり状態…。 バーディときたら、女にはテンで興味がなく、女は「当然、期待すべき事」を願っているのに、全然、進展しないので、目が点 のありさま。まさに、「おいしい展開」とは、このことかっ?! 結局、バーディの方は「女と何をするんだ?」の勢いでその場を後にする。(退場の仕方も…「えっ?!」ものですが)このあたり「真夜中の相棒」のジョニーに似ていますが、小説の発表された時期が違うので 、こんな感じとでも言うべきでしょうか? このシーンで「腐れ下道」の方達(いや、私だけか???)の触覚はピンピンに働いていると思います。

そうなんです、バーディは女に興味がない。(いや〜、座布団10枚はあげたい)アルには興味がある…が、アルは自分の性向に気付いていない。…と 、いうことはです…絶対に、これは二人の純愛物語なんだわ、と心で、握りこぶしを高々と挙げていました。(BY.ラオウの最期より)

映画は、ベトナム戦争から傷つき、帰還してくるアルから始まり、友人のバーディの状態を知ることになる。そうして、アルは彼の病室へ行って、ベッドの側で昔はこうだったとか、こんな事もあっただろう?と、彼の正気を取り戻そうと努力する回想の場面から始まるのです。彼らのなれ初めや、女の子とのシーンなどが入ってきて、現在に戻るといったものです。
 しかし、当時、この映画が封切られた時は、戦争で傷ついた友を同じく戦争で傷をおった友が癒して、現実の世界に連れ戻すといった、美しい友情ヒューマン映画と絶賛されたんですよ(皆、本気にしてたんだろうか?)絶対に「純ゲイ物語」やんな〜と、当時、友達同士でプッシュしておりました。しかし、これはあくまでも一部のマニアのみの見解…大多数の意見ではありません。(口惜しい…が、楽しい)

そんなことを思っていると、当時、某新聞の映画コラムを「淀川長治先生」がやっておいでで、それに「バーディ」が載ったんです。(激驚きでした)そして、もっと驚いたのはその内容…。(えぇ、本当に驚きましたよっ!)先生はそのコラムのなかで断言しています。

「ホモセクシャルを鳥に狂った若者と顔面負傷の若者ということにして、ナゾめいた手探りの映画に仕上げている。そして、それは隠す為に鳥に憧れたり、顔半面傷ついたという二人にしたてたのではなくそのことが、より一層ホモセクシャルの心理をわからせるという方法をとったのであって、自由に飛べる鳥に憧れるその自由を掴めぬ苦痛がこの映画の鍵である」       
(「淀川長治の映画談〜英米の現実を見つめたニ作〜」より引用)

記事をスキャンして乗せることも考えましたが「先生」の記事の著作権の事もありますので、掲載はしませんでした。(…ごめんなさい)そう〜なんですよっ!! 流石は「先生」。まさに、これですねっ!(脳みそが沸騰するぐらい、喜んじゃいました)…あまりの嬉しさ、私はその記事を切り抜いて保存しちゃいました。(勿論、今も大事に保存しております…ふふふ)

本当に、そうなんだ〜(うん、うん)と、納得してしまいました。
「先生」の記事を読んだ時の感動もさることながら、「おいらのカンは間違っちゃいねいぜぇ」と小躍りしました。(BY.エースのジョー風)

当時、「動物的カン頼みの映画探し」で、生きてきましたが(これからも、変わらんでしょうが)偉い先生に褒められたようで嬉しかったのを覚えています。今のように喜んでくれる理解者も少ない不遇の時代でしたので。(ヤオイなんて言葉すらなかったなぁ〜…遠い目)でも、映画って奥が深いですね〜今更ですが、そう思う今日この頃です。

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