お ぱ ん

2006年01月06日(金)

まるでてんですみません [日記]

線や点が主人公で、かれらの生活ぶりの話。

写実的というか、個人の個性をごくシンプルで簡単なことばづかいで描いていて驚きます。こんなに少ない言葉でこんなに複雑なことができるなんて佐野洋子すげー。ひじょうに抑制された絵で描いているところもすごい。長新太すげー。

言葉が短くても生活も性格もそれまでもそれからも描けんだなぁ。折々挟まれる言葉がせつなくて、なんか涙が出てきます。こんなに短いのに泣かせられるなんて佐野洋子ったら、もー。そして、こんなに複雑なのに全く押し付けがましいことを描いてない。幸せになりましたとも、不幸になりましたとも、それがいいことなのか悪いことなのか、そんなことは読んでる人が考えればいいことなんだ。そして考えてもそれは自分の考えで、丸にも点にも全然、まったく、関係ないんだ。クールにそこんとこ完全に切り離しているところも素晴らしい。

いやほんと、すごくストイックな表現方法を用いた名作でした。感動したー

この本には大事なことが描かれてます。
なにがどう大事なのかはっきりくっきりした言葉にできないんだけど、なんか大事なことがある。
大事なことがない本もある。何がないのかこれもはっきり表現できないんだけど、なんかがない。
話でも絵でも彫刻でもなんでも、「ある」「ない」はなんとなくだけど確実にあって、あるものが好きです。

あたしにとっては「ある」なので見えてるけど、見えない人もいるかも。
ゴーストだ。
ひとそれぞれにゴーストが見えて、あたしに見えないゴーストが見える人もいる。あたしが「ない」と思ってるものに「ある」(見えてる)という人もいる。

簡潔にいうと「好み」の話なんですが。
でもさー、横文字とか使って大仰にいいたいさー。一番の選ぶ基準で、すごい重要なことだもの。

幽霊見たんだ、信じてよ!と言われても信じないのと似てる。信じられなくても納得なんだけど、見た本人にとっては重大な話だ。重大なのに簡単にポイッとされちゃう。怖いわー
『まるでてんですみません』はすごくシンプルな言葉と絵なので、人によってはもしかしたらポイッとされちゃうかもしれない。ポイッとされるのは怖いから、面と向かって人に勧めにくい。そんな恐怖を押しても「よかった!」と声に出して言いたい、すごくいい絵本でした。

Posted by こさ ささこ

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