グランバニアの兵士が言うことにゃ
 山と森の国グランバニアは、もう一つ別の側面を持っている。それ即ち、職人の国という高名である。
 山国ゆえかグランバニアにはドワーフの血を引く者が多い(エルフと異なりドワーフは世界各地にその存在が伝えられ、ドワーフとの混血もそれほど珍しいことではない)。その者たちの多くは先祖から伝えられた技術を今なお残し、それを用いて身を立てている。
 人間より格段に優れた鍛冶、細工、魔力付加の技術。その技を学ぶため世界中から職人が訪れ、切磋琢磨してその技術をさらに発展させる。その技術を学ぶためまた職人が訪れ、とそういうことを繰り返し、いつしかグランバニアは(国家として確認されている限りでは)世界一の職人の国、ということになっていたのだった。
 これはラインハットなどに発展している工業などとはまったく異なるものだ。工業は大量生産、大量消費を基本方針とするがゆえ品質は平均的なものをよしとせざるをえない。つまりそこそこのできのものを大量に作ることができればそれが最上なのである。
 大して職人というものは、自分の作るどんなものにも(気に食わない客の注文の時を除いて)最高の技術を費やす。一つ一つに手間をかけて、魂を込めるわけだ。真に優れた職人の技は、すでに芸術と呼んでもいいだろう。
 どちらがよいというものではないが、ひとつの製造品に限ればどちらがより優れたものを作り出せるかは明白だ。優れた戦士にとってグランバニアの武器防具は憧れの品であり、グランバニアの職人の作品は財を成したものにとって一種のステータスであった。

 そんなグランバニアの名工の作りし武器を携えたグランバニアの軍人がここに一人いる。名をオーギュ、グランバニア陸軍近衛隊長である。
 グランバニアの陸軍は防衛する区域によっていくつかの隊に分かれている。近衛隊は王城警備の担当だ。数こそ少ないものの、特に選りすぐられた精鋭で結成されている。
 近衛隊長ということはそこのトップ。グランバニアでも有数の剣の使い手ということになる。
 事実、オーギュは戦士として一人前になったと自認してから、剣で負けたことは数えるほどしかない。そのうちの一回がパパス王との勝負である。
 二十五年前、近衛隊に取り立てられたオーギュは、パパス王と剣を交える機会を得た。近衛隊の人間は必ず一度は王と剣を交え、互いに力を確認するのが当時の習わしだったのだ。王家以下国を挙げて尚武の気風が強い、グランバニア以外の国では考えられない習慣だろう。
 オーギュは当時十八歳。大してパパスは二十五歳、その年ですでにグランバニア歴代最強の戦士と言われていた。
 周りの人間はみな胸を借りるつもりで、とただ経験を積ませるだけのつもりだったようだが、オーギュとしては決死の覚悟で臨んでいたのだ。オーギュも幼い頃から必死に修行を積んできた身、自らの腕を恃みとする気持ちは誰よりも強い。パパス王なにするものぞ、勝ってグランバニアにオーギュ・ランチェスありと世に知らしめてやる、とひそかに誓っていたのだ。
 が、結果は惨敗。五度やって取れたのはたったの一本。それも自分でもまぐれとわかるような勝ち方だった。
 だがパパスは一本でも取れたことを大したものだと褒めた。パパスは十五になってから、一本も取られたことがなかったというのだ。
 驚愕するオーギュに、しかしパパスは笑った。一本取られた悔しさなど微塵もない笑顔で。
 そして、オーギュの腕に対する賞賛の証として、グランバニアの武器屋でも最高額の商品、まどろみの剣を下された。グランバニアの職人が技の粋を費やして作った武器防具は、兵士に支給されるものとは値段の桁が違う。兵士の給料で買えるようなものではないのだ。
 慌てていただけませんというオーギュに、パパスは言った。
「本来なら軍にいる全員にこのくらいの武器を支給したいのだが、それではさすがに国庫が傾く。だからせめて私が力を認めた人間には、強力な武器を渡したいのだ」
 なんと器の大きい方だ。そう感動したオーギュは、それ以来全身全霊をかけてパパス王に仕えてきた。パパスが国を留守にするようになっても、パパス王のいない間のグランバニアを守るのだ、という一心で尽力してきた。
 そして、今も――

「いよいよだな!」
「ああ、半年振りのお帰りだ。セデルさまもルビアさまもさぞ大きくなられたことだろう」
「アディム王はやっぱり見つからなかったんだろ?」
「ああ、まあわかってたことだけどな。でもセデルさまもルビアさまもご無事なんだ。それがなによりだよ」
 オーギュは浮ついた表情でそわそわしている部下たちをじろりと睨みまわした。
「黙らんか。半年振りにお会いしたセデルさまたちにだらしのない顔を見せるつもりか? しゃきっとしろしゃきっと」
 近衛隊員たちは顔を見合わせ、にやりと笑う。
「そういう隊長の顔も緩んでますぜ?」
「む……」
 思わず顔に手を当てるオーギュに、隊員たちは笑い声を上げた。
 グランバニアの城下町に住まう町民、官吏、軍人のほとんどが集まった広場では、ありふれた光景だった。ほとんどの人間がやや浮かれ気味で、仲間同士友人同士で笑いさざめいている。
 それらは全て、グランバニア王子セデルリーヴ・グランバニアと同王女ルビアレーナ・グランバニアの帰還を出迎えるためであった。御年わずか七歳のセデル王子とルビア王女は、一年前から父であるグランバニア王アディローム一世と、母ビアンカを探して世界中を旅しているのだ。
 ビアンカ王妃はセデル王子とルビア王女を出産した直後、魔物に誘拐された。それを追ったアディム王もまた行方不明となってしまった。
 つまり、王子も王女も両親の顔を知らない。両親に会いたい、ただそれだけの想いで世界中を回る健気な二人の子供に対するグランバニア国民の同情は深く、人気は高かった。両親譲りの優れた容色、性格も当然のように大変よろしい。城下町を走る元気な二人の姿は、城下町に住む者なら何度も微笑ましい気持ちで見守ったことがあるはずだった。
 もとより王家と民草の距離の近いグランバニアのこと、城下町の者たちはほとんど自分の子供か孫を見るような目で二人を見ている。城下町に残っているものはパパス王の御世を知る年を食った人間が大半、一番年下なのが昨年近衛隊に入隊したピピン(十六歳)となればそれも無理はないだろう。
 当然、オーギュも近衛隊隊員たちも、セデルとルビアが可愛くてならないのである。
「でも、いつまで旅をお続けになるつもりだろうな、お二人とも」
 ふいに、隊員の一人がそんなことを言った。
「そりゃ、王と王妃が見つかるまでだろ?」
「だがな。この七年というものグランバニアが国を挙げて行方を捜しているというのに、手がかり一つないんだぞ? ……こんなことを言ってはなんだが、王はもう……それよりセデルさまが王として立ち、オジロンさまが宰相として国を運営した方がいいんじゃないか」
 他の国なら不敬罪になりかねない発言だ。だが、オーギュは眉を寄せただけで、咳払いもせずその発言を看過した。
 国民の多くが似たようなことを考えているのはわかっていた。アディム王は即位してすぐ姿を消してしまったため、自分たちの主であるという意識は薄い。ここにいる人間たちをまとめていたのはパパス王に対する忠誠心である。
 パパス王亡き今、それよりも赤ん坊の頃から見てきた、セデルとルビアを主として頂きたいのは当然といえば当然だろう。
 だが、オーギュは―――
 ぱーぱらっぱっぱっぱっぱぱぱぱぱららぱっぱららっぱっぱららっぱっぱっぱー。
 軍楽隊のファンファーレが鳴り響き、広場中がわっとどよめく。
 セデル王子とルビア王女の帰還だ。
「お帰りなさいませ!」
「よくお帰りになりました!」
「よく戻ってきなすったねぇ!」
「お帰りをお待ち申し上げておりました!」
 王子と王女がサンチョと魔物たちを従えて城下町大通りを歩いていく。町中の、城中の者たちが上げる歓喜の声に、セデル王子は嬉しそうに、ルビア王女ははにかむように笑って、手を振った。
「みんな、ただいま!」
「……ただいま」
 セデル王子の元気な声に、ルビア王女の優しげな声に、町民たちは割れんばかりの歓声を上げた。
「セデルリーヴ王子とルビアレーナ王女に、敬礼っ!」
 二人が前を通るときに合わせてオーギュが号令をかける。近衛隊の精鋭たちが一斉に見事な敬礼を見せた。
「オーギュ、みんな、ただいま!」
「ただいま……」
 前を通る時に王子と王女が手を振ってくれる。その可愛らしい仕草、凛と伸びた背筋、なによりいきいきとした表情に、どこの国の王族よりも我が国のお二人が一番ご立派だ、と近衛隊たちは思わず相好を崩しかける。
 それをたしなめるべき立場であるオーギュは、セデル王子が自分の名を呼んでくれたということの嬉しさのあまり緩む表情を引き締めるのに必死で、とてもそんなところまで目が届かなかった。

「まあまあまあ本当に! セデルさまもルビアさまもよくお帰りになられたこと! ちゃんとお食事はお召し上がりになられました? 歯は磨かれました? お風呂で耳の後ろは洗われました? サンチョさまがいらっしゃるから大丈夫だとは思いますけど、トォーワはもう本当に心配しておりましたんですよ!」
「大丈夫だよ、ボクたちちゃんとしたもん。もう七歳なんだよ?」
「セデルさま、本当のことをおっしゃいなさい。セデルさまはしょっちゅう歯磨きをお休みになられていたでしょう?」
「ときどきだよ! 普段は、ちゃんとやってたもん!」
 久しぶりに広々とした王宮の食卓ににぎやかな声が満ちた。給仕をするのはトォーワ、サンチョは王子たちと共に食事をしてはいるもののあくまで下座、と臣下の礼は守っているが、にぎやかにお喋りをしているのではたから見たらそうは見えまい。
 出される料理も王家の食卓にしては質素だろう。質実剛健がグランバニアのお国柄、グランバニアでは特別な日でもない限り王族でも贅を凝らした食事≠ニいうのを食べることはない。というかグランバニア料理には贅沢な料理というのがほとんど存在しないのだ。
 山の幸をふんだんに使ったシチュー。それにパン。付け合せにジャガイモの揚げたの。香辛料はサラボナから流れてくる分が庶民にまで行き渡って豊かだし、違うところを挙げるとすればサラダとデザートがつくぐらいか。
 だがそういう国民とほとんど変わらないものを王子も王女もおいしそうに食べ、文句も言わない。生まれた時からだから当たり前だといえばそうだが、オーギュにはそれもまたこの二人の得がたい資質のように思えて口元を緩ませてしまうのだった。
 食堂の入り口を警護しているオーギュと部下の一人に見守られながら、王子たちは楽しげに食事を続けた。
「ルビアさま! にんじんを残してはいけないと申しましたでしょ?」
「だって……わたし、にんじん嫌いなんだもん」
「お兄さまはちゃーんと食べておいでですよ? おいしいんですから」
「うそ。おいしくないもん」
「ルビアさま。ちゃんと食べないと旅に連れていって差し上げませんよ?」
 サンチョにそう言われ、王女は悲愴な顔つきになってうつむき、うなずいた。
「……わかった。食べます」
「偉いですよ、ルビアさま。さすがグランバニアの王女さま」
 それは関係ないと思うが、とオーギュは内心呟く。
「……でも、本当にセデルさまもルビアさまも旅はおよしになられたらいかがです?」
 トォーワがそう言うと、王子も王女も一瞬で表情を固くした。
「よさないよ」
「……よしません」
「でもねぇ。お二人ともまだお小さいんですから。アディムさまたちを探すのは兵士たちや魔物たちに任せて、お城でお勉強をなさっていた方がいいと思うんですけど」
「ボクもう七歳だよ! 一人前だよ!」
「そんな無茶な……」
「わたしたち、絶対にお父さんたちを見つけたいんです」
「ですからね、そういうことは兵士たちに任せて……」
「なんて言われても、絶対にやめないよ」
「絶対にやめません」
「そんな、セデルさまルビアさま」
「トォーワさん」
 サンチョが割り込んだ。
「別にその話は今日でなくともいいでしょう。お二人ともお疲れなんですから、今日はぐっすり休んでいただいて」
「ああ、そうですねぇ、本当に」
 それでその話は打ち切りになったが、王子も王女も、食事の間中、それから一言も口を利かなかった。

 王子と王女が寝室に引っ込んで、オーギュの今日の仕事は終わった。二階の宿舎に戻ってさっさと寝るか、それとも寝る前に一杯ひっかけるかを思案しながら王子と王女の部屋の下を通る。
 その時なんの気なしに空を見上げて、ぎょっとした。王子と王女が自室のテラスから、空飛ぶ魔物に乗って宙へと舞い上がろうとしているのだ。
「セデル王子! ルビア王女!」
 思わず叫ぶと、王子はあわわわとひどく慌ててバランスを崩した。肝を潰して落下予測地点に走ったが、王子はなんとかバランスを回復し、オーギュのいる屋上庭園脇通路まで降りてくる。隣には王女も一緒だ。
 オーギュは二人に向けて、遠慮会釈ない怒鳴り声をぶつけた。
「なんという危ないことをなされるのです! お二人とも一歩間違えばお命をお落としになるところだったのですぞ!」
「てめぇが声かけなきゃんな危険なかったんだよ」
 やさぐれた口調で言い捨てるメッキー(二人は彼の上に乗っていたのだ)を、オーギュはぎろりと睨んだ。
「貴公には話しておらん」
「そーですかい」
「オーギュ、セデルやメッキーを怒らないで。わたしがわがままを言ったの。物見台まで行きたいって」
 泣きそうな顔で言うルビアに、オーギュは渋々表情を緩めた。
「なぜそのようなことを。明日になってからきちんとサンチョ殿にお願いすればよいではありませんか」
「だって……あのまま寝たら嫌な夢を見そうだったから……」
「嫌な夢?」
「……お父さんとお母さんに、二度と会えない夢」
 オーギュは息を呑んだ。
 王子と王女は、うつむいてぼそぼそと言う。
「ときどき、ときどきね。すごく怖くなるんです。どんなに探しても見つからない。お父さんとお母さんは、もうこの世のどこにもいないんじゃないかって」
「町のみんながもうお父さんたちを探すのは諦めた方がいいって言ってるの知ってるよ。みんなお父さんたちのことを気にもしなくなっていってる」
「でも。わたし、わたしたち。お父さんとお母さんを助けたいんです。お父さんとお母さんがわたしたちに会いにこれないのは、きっとそういう理由があるんじゃないかって思うから」
「お父さんとお母さんはどこかにいる。それでボクたちが助けに来るのを待ってるって、信じてるんだ。みんながどんなに違うって言っても、ボクたちだけは絶対に信じてるんだよ」
「きっとわたしたちじゃなきゃダメなの。お父さんとお母さんを助けられないの」
「お父さんとお母さんのこと、一番信じてるのはボクたちだから。なにがあっても、やり遂げなくちゃならないんだ」
「……どうしても、待てないのですか?」
 オーギュの問いに、王子と王女は首を振った。
「だって……」
「お父さんとお母さんに、早く会いたいから」
「…………」
 泣きそうな瞳に、揺れている瞳に決意を込めて。小さい体を必死の想いでいっぱいにして、じっと前を見つめる。
 王よ。
 オーギュは拳を握り締めた。
 聞こえていますか王よ。あなたの子供たちのこの叫びを。
 産まれた翌日に姿を消した父と母に会うために、わずか七歳の少年少女がなにをしようとしているかわかりますか。どんなに血を流しても、苦しくとも、このお二人はあなたたちに会いたいという、ただそれだけの想いで世界中を回っているのです。
 本来なら両親の愛に包まれて、なに不自由なく、なんの心配もなく暮らしているはずの御子たちが。
 王子と王女は、おずおずとオーギュを見上げた。
「オーギュも、わたしたちには無理だって思う?」
「お父さんとお母さんには会えないって、思う?」
「………………」
 オーギュは一回小さく息を吐き出すと、静かな口調で言った。
「私が一人前の戦士と自分を認じてから剣の勝負で負けた相手というのは、四人しかいません。そのうち一人がパパス王です」
「……パパスおじいさま?」
 急に飛んだ話にきょとんとしながらも、王子と王女はオーギュを見上げる。
「はい。強いお方でした。自分などとは器が違う。まさに王となるべくして生まれついたお方でした」
「そうなんだ……」
「はい。そして私が負けたもう一人の人間というのが、アディム王だったのです」
 王子と王女は大きく目を見開いた。
「お父さん?」
「そうです。私も年を経て、剣の腕も上達し、人間相手に後れを取ることはまずあるまいと思っていました。ですが、アディム王とお会いして、その考えが自惚れだったことを知りました」
 オーギュはしばし目を閉じて、その時の様子を思い起こした。
「お許しください、セデルさま、ルビアさま。私はアディム王に勝負を挑んだのです」
「勝負?」
「はい。私に負けるようなことがあれば、グランバニアの王になる資格はない、と言って」
 王子と王女はぎょっとしたようだった。
「私はパパス王のお帰りをずっとお待ち申し上げておりました。ですからいかにご子息とはいえ、いやパパス王と血が繋がっているということすら信じられず、パパス王以外の人間が王座につくなど許せなかったのです。それで勝負を挑みました。なんとしても打ち負かして化けの皮を剥いでやる、そう決意して」
「それで……どうなったの?」
 オーギュは苦笑してみせた。
「完敗でした。あの方は私などとは位の違う戦士でいらっしゃった。二、三度打ち合っただけであっさり剣を跳ね飛ばされました」
「……それから?」
「屈辱と悔しさに耐えかねて唇を震わせる私に、アディム王はおっしゃいました。『あなたの剣は、とても真っ直ぐですね』と」
「……真っ直ぐ?」
「はい。それからこうおっしゃられました。『もし僕が道を踏み外しそうになった時は、その真っ直ぐな剣で僕を叩きのめしてください』と」
「…………」
「軍人は王に仕えるのではない、国に仕えるのだというごく当たり前のことを忘れていたことを、思い知らされた気がいたしました。あの方は、パパス王とはまた違った、生まれついての王でいらっしゃったのです」
 ここでオーギュはにっこりと笑った。
「そんな方が最愛の子供たちを放ってこの世からいなくなるわけがありません。絶対に会えますよ。世界のどこかでお二人が迎えに来る時を待っていらっしゃいます」
『………うん!』
 声を揃えてうなずく二人の頭をそっと撫でて、オーギュは二人の手を引っ張った。
「さあ、寝室へ戻りましょう」
「え……メッキーに連れていってもらうんじゃダメ?」
「駄目です。そういうやり方は危ないと申し上げているでしょう?」
「ちぇーっ」
「ちっ、いちいちやかましい奴だぜ」
 メッキーに睨まれながらも、オーギュは二人の手を引きながらもときた王宮へと向かう。その途中で、セデル王子がふいに聞いてきた。
「ねえ、オーギュ。負けたのは四人だって言ってたけど、一人がパパスおじいさまでもう一人がお父さんで、あと二人は誰?」
 オーギュは思わず憮然としてしまった。
「ピエール殿と、スラりん殿です」

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