俺たちが海に出る時、船を嵐で沈めちまったっていう商人が船の積荷を回収してくれねぇかって頼みに来た。けどそいつ船の沈んだ場所がわからないってんで困り果てていると、サマはそいつから詳しい話を聞いて、船出して一週間ちょいで実際に宝を見つけてしまった。 見つけても俺たちだけでどうやって引き上げるんだと思ったら、水の中でも呼吸できる呪文と手を使わないで物を動かす呪文を使って、俺はほとんどなにもしてないのに無事引き上げちまった。 それからさらに一週間かけてルプガナに戻り、なんか礼にしょぼい笛をもらっていた。けっこう時間かけたんだからそんな礼じゃ損してねぇかって気もするんだが、まぁ船を動かす練習にもなったからよしとしよう。 結局ルプガナに着いてから二週間後、改めて俺たちは大海原に出航した。 「いい天気だな………」 キラキラと輝く海原を見ながら、俺は一人ごちていた。 船旅ってのは初めてだが、悪くないもんだな。最初は死ぬほど船酔いしたが三日で慣れた。この船は長距離を走る船にしちゃ小ぶりで、俺たち三人だけでも十分操れるところがいい。 それに海の風を切って走る感覚ってのは、馬とはまた違った気持ちよさがあった。魔物はけっこう強いしあとからあとから湧き出てくるが、そんなのはいまさらだ。 「ロレー!」 サマが駆けてくる。今の操舵主はマリアだ、俺は最初マリアに舵を任せるのがかなり不安だったんだが(普通舵を取るにはそれなりに力が要るもんだろ)、サマが言うには魔船の舵は魔力を扱い慣れている人間の方が楽に操れるらしい。 「なんだよ」 「ラダトームが――アレフガルドが見えてきたよ! もうすぐラダトームだ!」 「おお!」 俺は目を輝かせた。船旅は嫌いじゃねぇが、やはり陸が見えたという話を聞くと心が浮き立つ。 それが旅のとりあえずの目的地だとすればよけいだ。 「マリアは舵とってんだよな? そっち行こうぜ、行く先にあるんだからそっからでも大陸見れるんだろ?」 「うん」 俺たちはマリアのところへと甲板を走った。この船の甲板は普通の船より揺れが少なくて走りやすい。 「マリア!」 「あら、ロレイス。サウマリルトも」 マリアがこっちを見て小さく笑う。 ……めっずらし。俺に笑ったぜ、マリアが。 「見て。ここからアレフガルドが見えるわ」 俺たちはマリアの隣に駆け寄った。マリアの脇に並び、マリアの示す先を見る。 ――あれが、アレフガルドか。ラダトーム王家の治める大陸、竜殺しのアレフとローラ姫の故郷。 まー別にだからどーってわけでもねぇが……どんなところなのかはちっと楽しみだな。 「あそこに、ロトの剣があるのね」 心なしか震えた声でマリアが言った。 「そうらしいな。……どうした?」 「……なんでもないわ。ただ……これでようやくハーゴンを討つ目的に一歩前進できると思うと……嬉しくて」 ふふ、と笑うその顔は、確かに嬉しそうと言えなくもないが、どちらかというと怖がってるみたいに見えた。仇討たなくちゃって思いすぎて、いざ目の前に差し出されるとびくついちまうんだな。……難儀な奴。 俺はぽんぽん、と軽くマリアの背中を叩いた。マリアがびくんと震え、顔をやや赤くしてこちらを見やる。 「な、なに?」 「俺たちがついてんだからよ。そう気ぃ張んな」 「…………」 「見てみろよ、アレフガルドの全景が見えるぜ。なかなかいい眺めじゃねぇか」 俺は前の方に目をやる。アレフガルドは起伏の少ない大陸らしく、かなり奥まで景色が見えた。 潮風を浴びながらじっと行く先を見ていると、ふいに小さく「ありがとう……」という声が聞こえた。 ……こいつにまともに礼言われたの、初めてじゃねぇか? いや、そういやこの前ルプガナで服褒めた時言われたな。……こいつ、なんのかんの言って俺に慣れてきてんじゃねぇか。……嬉しい、かも。 そんなことをちらりと思ってから猛烈に恥ずかしくなって、俺は「おう」とぶっきらぼうに返事をしてからやたらと鼻をこすった。 ……その数分後にはまた魔物に襲われたりしたんだが。 ラダトームの港に船を入港させる。ルプガナでみっちり練習した甲斐あって、回頭も接舷もうまくいった。 「ようこそ、ラダトームに! 通行手形はお持ちですか?」 どこの国にもある入国審査。サマがにっこり笑って手形を取り出す。 ローレシアとサマルトリアで発行された、俺たちがローレシアとサマルトリアの王子、そしてムーンブルクの王女で世界を救うために旅をしているんだっていう証明書だ。このおかげで俺たちはどこへ行っても基本的には出入り自由。 入国審査のため船に乗り移ってきた兵士は、それを見て仰天した。 「あ、あ、あ、あなた方は……ロトの勇者の子孫の方々なのですか……!?」 「……そうですが?」 「お帰りなさいませ! 我らがラダトームに!」 お帰りなさいませ、って……別にここ俺たちの故郷じゃねぇんだが。ご先祖の故郷ってだけであって。 だがその兵士はこっちの話なんぞ聞きゃしねぇだろうなーというぐらい興奮して盛り上がっていた。 「今この苦難の時に、ローラ姫の血を引く方々がおいでになったことこそルビスさまのおぼしめし。どうか王城へお越しくださいませ!」 ……って、おい。それに書いてあんだろ? 俺らは世界を救うために旅してんだから、王族の儀礼は一時的に無視されて、行った先行った先の権力者にいちいち挨拶に行かなくてもいいことになってんだぞ? 「俺たち急いでんだけど」 「なにとぞ! なにとぞ城に! ロトの勇者の子孫の方々に伏してお願い申し上げます! どうか城に!」 ほとんど土下座せんばかりの勢いで頭を下げる兵士。 「……どうする?」 サマがこっちを向いてくる。 「っつわれてもな……」 「宿は探さなきゃと思ってたんだから、別にいいかなって気もするんだけど」 王家の人間なんぞと会ってただ宿借りるだけで済むわけねぇだろ。 「……大げさなことにはしないでいただけるなら……」 マリアの言葉に、兵士は涙を浮かべて勢いよく頭を上下に振った。 「もちろんですとも! ……というか、できませんので」 「え?」 「いや、こちらの話です。……では、いざラダトームの城へ!」 「……王が、逃げた!?」 城の奥の隔離された会議室で、案内されていきなり出てきた話に、俺たちは目をむいた。 内務大臣だという男が悲痛な顔でうなずく。 「そうなのです。ムーンブルクの城が落とされたという報告を受けてより、王は夜も眠れぬほどお悩みの様子でした。最初は魔物の凶暴化に対処するべく指示を出していらっしゃったのですが、次第次第にお気持ちがお弱りになられたようで……一ヶ月前、城から姿をお消しになられました。王位は私に譲る、という書き置きを残して」 「もちろん、お探しになられたのでしょう?」 「むろんお探し申し上げました。しかし……兵士たちが探索に不熱心なことはなはだしく。もとより王は先王のごり押しで王になられたお方、こう申してはなんですが、その……政務にいくぶん不熱心でいらっしゃいまして。この上逃げ出されては王として主と仰ぐこともできない、と多くの者は考えているようでして……」 「至極もっともなことですね。かまわないと思いますが、それならそれで。自らの責務を果たさず逃げ出す王に労力を裂くこともないでしょう。あなたに王位を譲ると言ったのだからあなたが王にならればよろしいのでは?」 ……おい。そりゃいくらなんでもヤバいだろ。 つうか、サマのやつなんか……すっげー気迫っつーか殺気っつーかを感じんだけど……これって気のせいか? なんかめっちゃ怒ってるみてーに見えんだけど……。 「ご、ご冗談を! 封印の一族ラダトーム王家の血を絶やすわけには――」 「封印の一族というのはあくまでその役目からそう呼ばれるだけのこと。血に何か特別な力があるわけではありません」 「し、しかし王しか知らぬ特別な技が……その力によって勇者ロトの時代ラルス一世は結界を張られたわけですし」 「王が突然死した時などに備えて技を伝える方々がいるはずでは?」 「そ、それは……確かにそうですが。しかし正当でない王が王座について国が安定するはずはありません!」 「このまま空の王位を抱き続けるよりよほどマシだと思いますが。……確かに、公文書としての効力を発揮しない文章ひとつを頼りに王になるのは無茶でしょうね。けれどあなたは宮廷内でも実力のある人間とお見受けしますが?」 「……は……」 「現在五歳の王子が成人されるまで、王位を預かったとして働かれるのは別におかしなことではないと思いますが」 ……あ、そういうオチか。そりゃそうだよな、いっくらなんだっていきなり大臣が王になるのは無茶だよな。わかってたんだサマの奴も。 だが大臣は顔をしかめた。 「確かにそういう意見はありますが、しかしまだお若い王を作るのは傀儡政治に陥る危険が――」 「傀儡政治けっこうではないですか」 「は……?」 大臣があんぐりと口を開ける。俺たちも驚いてサマを見つめた。 サマは、全身から気迫と殺気を放出してはいるが――瞳は怖いくらい冷静だった。 「国の民は実質的な王が誰だろうと気にはしません。日々の暮らしが平和で豊かであればそれでいいはず。傀儡の操り手が真に国と民を守ろうとしているのならば、それでかまわないのでは?」 ……確かに、そうだな。 「し、しかし……!」 「傀儡政治が忌避されるのは、真に政治を動かす人間が責任逃れができるからです。ならばこれ以上ないほど責任を背負い込んでしまえばよろしい。王子が成人されるまで自分が国を運営する、文句がある人間は全て自分に言うように――と国中に宣言してしまえば傀儡政治が陥りがちな危険は避けられると思いますが」 サマがそう言うと、大臣はぽかんと口を開け、それから次第に目を輝かせ始めた。 「そうか……そういう方法もあるのか」 「あなた一人が権力を担うのを忌避する人間がいるならば、その者も役職に就かせ、同時に文句を言うべき人間の名簿に乗せると言えばよいと思います。いざという時に責任逃れをしないと心に決めている人物ならば、助けになりうると思いますが」 「なるほど……」 感心したように何度もうなずき、大臣は頭を下げた。 「ありがとうございます、サウマリルト殿下。ご提案、検討させていただきます」 「いえ。ご参考になれば幸いです」 そう言ってサマはにっこり笑った。 ……なんか話が終ってるみたいだが。 「で、結局俺らはなんで呼ばれたんだ?」 「……あ」 大臣はちょっと顔を赤くしてから咳払いして、頭を下げた。 「申し訳ありません、それを説明するつもりだったのですが……兵士たちの間には、ロト三国の王子たちが旅立たれたと知って、ローラ姫の血を引くそのお三方、ないしその血縁の方々をラダトーム王として戴きたいと考えているものが多く……ラダトームには勇者ロトと竜殺しのアレフの物語がいまだ強く支持されているのです」 「……なんだそりゃ」 物語を支持するのは別に悪いこっちゃねぇとは思うが……そんなもんこーいう話に持ち出してこられてもなぁ。 「つまり俺たちは別に来なくてもよかったのか。阿呆らし、帰るぞ」 「いえお待ちください! いかに今は王家の身分は無視されるといっても、世界を救う勇者の方々が来ていただけたというのにそのままお帰しすることはできません。他国の賓客としては扱えませぬゆえ城にお泊めすることはかないませんが……せめて、今日は我が家にて宿をお取りいただけませんか。城のもてなしには遠く届かないかとは思いますが……」 そっちの方がありがたい。 「んじゃ、頼むか?」 「そうだね」 「今日一日、よろしくお願いします」 その言葉に、大臣は喜色を満面に浮かべた。 「はい! ロトの子孫の勇者さまたちをご招待できるなど、身にあまる光栄。感謝いたします!」 ……こいつも結局ロト伝説大好き野郎じゃねぇか。 大臣一家にひとしきり歓待されてから、俺たちは用意された客間へ引き上げた。 「すごい歓待ぶりだったね」 「……あいつら絶対全員勇者物語大好き野郎だ……ここまで話せがまれたの初めてだぜ」 「そうだね。ラダトームの人たちみんながこうではないとは思うけど、やっぱり本人たちが目の前にいないと妄想も膨らむのかな」 話し疲れてベッドに寝っ転がる俺の横に、サマが腰かける。その姿を見て、俺はなんとなく聞いてみた。 「サマ、お前大臣の話聞いた時なに怒ってたんだ?」 「え?」 サマは思いっきり驚いた顔をした。思ってもみないことを言われたという、ぽかんとした顔。 「……怒ってなかったのか?」 「ううん、すごく怒ってた……けど、なんでわかったの? 僕が怒ってることわかる人、今までいなかったのに」 「は? だって雰囲気がもろ怒ってたじゃねぇか」 「……………」 サマはじーっと俺を見ると、にこーっと顔一面に幸せそーな笑みを浮かべた。……こいつはまたわけのわからん反応を……。 「ありがと、ロレ」 「なんで礼言われなきゃなんねぇんだよ」 「だって、ロレが僕をわかってくれたってすごく嬉しいことだもん。お礼言わずにはいられないよ」 「……なんだそりゃ」 「……抱きついてもいい?」 ……真剣な顔でんな阿呆なこと言うなっつの。 「駄目だ」 「え、なんで!?」 ……なんでって聞くか、こいつは……。 「ウザい」 「………そっ、か………」 サマはそう言って下を向いた。今にも泣きそうな顔で。 顔の形は笑いの形を作ってるが、雰囲気がまるで違う。ほとんど今にも手首切るんじゃないかってくらい落ち込んだ雰囲気に、俺はやむなくがりがりと頭をかいて言った。 「わかった、抱きついていいからそんな顔すんな」 「え……」 サマがおずおずと顔を上げる。泣きそうな顔で。 「……そんな顔、って?」 「なんだよてめぇでわかってねぇのか? ……お前今にも泣きそうな顔してるぜ」 「…………」 一瞬顔を泣き出すかと思うほど歪ませたかと思うと、サマはベッドの上の俺に抱きついてきた。なんかこれってはたから見たら誤解されそうな体勢じゃねぇか? と思ったものの、いまさら突き放すわけにもいかないので、好きなようにさせた。 翌朝、俺たちは武器屋と防具屋をのぞいて装備を整えることから始めた。サマがラダトームなら魔法の品物がある程度あると思う、っつったからだ。 俺はなにも買わなかったが、サマとマリアは防具を新調した。つうかマリアは布の服しか着てなかったんだが、今度のは魔法がかかってて敵の攻撃をかわしやすくなるとかなんとか。マリアは杖も買ったみたいだった。 昼近くになってからラダトームの港から出航する。出航っつっても街からも見える竜王の城に行くだけなんだから、数時間の船旅だが。 「話を聞いてみたんだけど、やっぱり竜王の城に近づくような人はずっと誰も見たことないみたい。ロトの剣はほぼ間違いなくあの城にあるよ」 「そうでなきゃ困る。……あそこの城って、魔物出んのか?」 「出ると伝えられてるそうだよ。誰も帰ってきたことないからわからないけど」 ふーん。ま、どっちでもいいけどな。 竜王の城は古びてはいたが、崩れ落ちてはいなかった。精霊歴で百年も前に建てられた城だっつーのに、丈夫だな。 開かれた門から中に入る。中は魔物がうじゃうじゃ出てきたが、大して強い奴は出なかった。 あ、ゴーゴンヘッドとかいう奴がうじゃうじゃ出た時はちょっと参った。あいつら元からめっちゃ固い上にガンガン固くなる呪文唱えやがって。攻撃呪文もろくに効かねぇし、しょうがねぇからマリアの呪文で眠らせた隙に逃げてきたんだけど。ちっと悔しかった。 ともかく俺たちはどんどん奥へと進んでいった。 「おい、サマ。どこにロトの剣があるかわかってんのか?」 「わかってはいないけど。たぶん一番奥にあると思うよ」 「ふん……竜殺しのアレフと同じ道をたどることになるってわけか。ラチェルが聞いたら羨ましがるな」 「ラチェル?」 「ああ、異母妹。こいつもロト伝説大好きっ娘でよ、将来は勇者になるんだって女のくせにガキん頃から剣の訓練してたんだぜ。今もガキだけどな。俺が旅立つ時も一緒に行くんだって泣き喚いてたぜ」 「女のくせにって、そういう言い方はやめてちょうだい」 「んだよ」 「まぁまぁ。……そのラチェルさんと、仲いいんだね」 「そうかぁ? しょっちゅう喧嘩吹っかけられてたんだぜ?」 「それだけ遠慮のない仲ってことじゃない。僕はロレのさっきの言葉、とても親しげに聞こえたけどな」 「……まぁ、一応異母妹だしな。あいつは特にこっちを目の仇にして突っかかってくるから、話すことも多いし」 「そのラチェルって方、おいくつ?」 「確か、今年十三」 などと話しながら洞窟の奥へ奥へと進み、階段を下りると――床張りの、宮殿みてぇな場所に着いた。どうやら湖の上に建っているらしく、階段のすぐ脇には湖を望むテラスがあった。 「……ここか? 竜王のいた階層ってのは」 「たぶん」 「アレフはここにロトの剣を封印したあと、どこに行ったのかしら」 「ここに住んでたんじゃないの?」 「ここに? だって魔物がいるのよ」 「魔を統べる者がいなければ魔物は自分の縄張りに入ってこない人間はめったに襲わないからね。それにここには結界が張ってあるみたいだし」 「でも、いくらなんでもこんなところに……」 だよなぁ。普通住まねぇだろ。 「本当に住んでたのかどうかはすぐにわかるよ」 「なんでだよ」 「聞けるから」 「誰に?」 「……一番奥にいる人に」 「……は?」 誰だよ、そりゃ。 「サウマリルト……なにか知っているの?」 「……確かなことは言えないけど。とにかく、今は前に進もう。ぬか喜びさせたくない」 はぁ。 そんなわけで、俺たちは前へ前へと進み――一番奥へとたどり着いた。 「―――誰かいる」 一番奥の間には玉座があった。豪奢と言うよりは素朴な雰囲気のその玉座に、人が座っている。 褐色の肌をした黒髪の、壮年の男だ。体つきはがっしりとして、眼光も鋭い。かなりできる、と俺は読んだ。 「……なんでこんなところに人が?」 「あいつ……こっち見てねぇか?」 俺たちが近づきながらぼそぼそと言い合っていると、サマが一歩前に出て朗々と叫んだ。 「アレフとローラ姫の子らより遠き兄弟に挨拶を送る! 竜王の子孫よ、つつがなきや?」 「………は?」 竜王の、子孫!? 仰天する俺たちの前で、そいつはゆっくりと立ち上がってにやりと笑った。おもいっきりクソ偉そーに。 「我は王の中の王、竜王の曾孫。そしてアレフの子。遠き兄弟よ、挨拶を受け入れよう」 ……今気づいたけど、遠き兄弟ってなんだ。っつか、アレフの子ってなんだ。 |