この作品には男同士の(かつ、複数相手の)性行為を描写した部分が存在します。
なので十八歳未満の方は(十八歳以上でも高校生の方も)閲覧を禁じさせていただきます(うっかり迷い込んでしまった男と男の性行為を描写した小説が好きではないという方も非閲覧を推奨します)。



島の遺跡で戦い〜おまけ1
「っ!」
 ハヤトはふいに体を襲った寒さにぶるりと身を震わせ、はっと寝転がっていた草むらから飛び起きた。
「やっと起きたか。……ったく、お前酒弱いから飲みすぎんなっつったろうが」
 傍らから苦笑気味にそんな声をかけてきたのはガゼルだった。ぐい呑みに注がれた酒を舐めるように呑みながら、自分を見下ろして肩をすくめる。
「……今、何時ぐらいだ?」
「さぁな、けどまぁまだ夜中だろ。おっさんたちがそろそろ潰れるか、ってくらいだから」
「お前は平気そうだよな」
「俺は最初から潰れるつもりで呑んでねーんだよ。ガキどもの面倒見なきゃなんねーだろ? お前も含めて、な」
 にやり、と意地悪そうな笑みを浮かべて言ってくるガゼルに、ハヤトはちょっと唇を尖らせつつも言い返しはしなかった。めったに飲めない酒にハイになって、口当たりのよさも手伝いかぱかぱ杯を空けてしまったのだから反論のしようもない。
 のろのろと立ち上がり、周囲を見渡す。視覚だけでなく魔力による感覚でも走査してから、訊ねた。
「キールとソルがどこに行ったか、知らないか?」
「……なんでその二人だけなんだ?」
「クラレットとカシスは鬼の御殿の方にいるみたいな気配があったからさ。けどキールとソルは気配そのものが周囲に感じられない。ってことは二人は俺に聞かれたくない、かどうかは知らないけど二人っきりで話したいことがあるんだろ」
「だったら放っといてやりゃいいじゃねぇか」
「あの二人の邪魔をする気はないけど、俺はあの二人がどんなことを話したか知っておきたいんだ。あとでキールに聞いてもいいけど、キール絶対話し渋るからな。最終的には話してくれると思うけど。だから今のうちに盗み聞きできるならしとこうと思って」
「……お前って本当大物なのかただのバカなのかわかんねぇ時あるよな」
「ははっ、褒め言葉として受け取っとくよ。で、どっちの方に行った?」
 ガゼルは小さく嘆息し、すいっと指先で森を示した。
「あっちの……狭間の領域、だっけか? そっちの方に行ったぜ。二人で、こそこそ人目はばかりながらな」
「そっか、ありがとな」
 言って背を向け、指差した方向へ歩き出す。が、その後ろからガゼルがついてくるのに気づき、ハヤトは目をぱちぱちと瞬かせた。
「ガゼル?」
「そんなまともに歩くのもおぼつかねぇ足元で盗み聞きなんてできるわけねぇだろ。それに向こうには川がある、いまさらうっかり足滑らせて溺死なんてしまらねぇ話になるのは勘弁だからな」
「そっか? 悪いな」
「ケッ、悪ぃと思うんだったらちったぁまともに働きやがれ」
「うわぁ、言っちゃいけない一言を……」
 苦笑しつつ、連れ立って狭間の領域へ向かう道をそぞろ歩く。森の中の道はひんやりとして、酔いを覚ますにはちょうどよかった。
「狭間の領域にはマナを溜める鉱石が山のようにあるからな、それを使って俺の感覚をごまかしたんだろうな」
「そんなに簡単にごまかされちまうのかよ、当てにならねぇ誓約者様だな」
「しょうがないだろ、こういうのの技術に関してはキールたちの方が俺よりずっと上なんだから。魂の真名に呼びかけて無理やり呼応させれば簡単だけど、それだと向こうもこっちに気づいちゃうし……っ、と」
 ガゼルが唐突に自分の唇に掌を当てるのに、ハヤトはうなずいて口を閉じ、身をかがめた。ガゼルが指差す先をそろそろと見ると、そこにははたしてキールとソルがいた。二人揃って川辺の岩陰に腰かけ、なにやらぽそぽそと話している。
「よく聞こえないな……ガゼル、聞けるか?」
「はぁ? まぁ、聞けるけどよ。俺はあいつらの会話盗み聞く気ねぇぞ」
「まぁ、そう言うなって。不穏な空気になってるかどうかだけでも聞いてくれよ」
「……ったく、しょうがねぇなぁ……」
 小声でぶつぶつ言いながらも、ガゼルは耳を澄ませて二人の会話を聞き取ろうとし始めた。
「……大したこと話してるわけじゃねぇな。お互いの離れてた間のことと……ソルは、キールにとってお前がどういう奴か、ってのを知りたいみてぇだな」
「キールにとっての、俺?」
「ああ……って、おい、キール、あのバカ……!」
「なんだそれはっ!」
 ソルの絶叫に、ハヤトは目をぱちぱちとさせた。なんだか、ソルの声に、すさまじい怒りがあったような?
 そろそろと近づいて耳をすませる。キールはいつもの囁くような声で、訥々と、だがきっぱりと言っていた。
「僕は、ハヤトを愛している、と言ったんだ。……ハヤトは、僕を愛してはいないだろうけれど」
「なんだそれは……なんなんだ! 兄上、正気で言っているのか!? それは、要は、兄上はあの誓約者と男色の関係にあるってことなんだぞ!?」
「……わかっている。けれど、少なくとも僕にとっては、ただ欲望に任せただけの関係じゃない。僕は、彼を、愛してるんだ……」
「愛、か。耳障りのいい言葉だな。愛していれば色欲に任せて酒色に耽溺することも許されると?」
 ソルの声の調子が一転して、以前聞いたような冷徹な調子に戻る。おいおいなんだか不穏な展開だぞ、と思うやキールがばっと立ち上がり泣き出さんばかりの顔で訴えた。
「違う、そうじゃない! 僕にとっては、欲とか、そういうことじゃないんだ……!」
「なにが違う。色欲を愛という美名でごまかしているだけじゃないのか。子供も生まれない、結婚することもできない。そんな相手と関係を持つことに、なんの意味がある?」
「それは……っ!」
 キールの泣きそうな声。今にも消えてしまいそうな頼りなげな声。この世界に来る時にも聞いた、助けてやらなきゃって思わずにはいられない声。
 それを聞いたとたん、ハヤトは立ち上がり、ガゼルが血相を変えて目配せするのも無視し、堂々とキールとソルとに近づいた。
「どうしたんだ、キール、ソル? なんか喧嘩するようなことでもあるのか?」
「……ハヤト」
 キールが今にも消え入りそうな儚げな声で言ってうつむくのに、ソルはあからさまに苛立たしげな顔でハヤトを睨みつける。
「とぼけるな、聞いていたんだろう。あんたにもちゃんとわかってるはずだ」
「なにが?」
「なにが、だと……!?」
 その一瞬でハヤトを睨みつけるソルの視線が鋭さを増すが、ハヤトはあくまで堂々とソルと向き合い、告げる。
「聞いてたけど、俺には本当にわからないよ、ソル。男が男を愛して、なんの悪いことがあるのか」
「………!? 誓約者、まさかあんた男色家というわけじゃないだろうな!?」
「だから、そういうことじゃなくてさ。もっと単純なところで……ソル。君はキールを愛してるだろう?」
「な……俺は兄上とそんな関係になりたいと思ったことなど一度だってない!」
「うん、それはわかってるよ。でも、愛してるだろう? 命を懸けて護りたいと思っちゃうくらい」
「……それは、そう、だが」
「うん。だからさ、わかるだろ? 人が人を好きな気持ちを、いちいち型に嵌めちゃうなんて馬鹿馬鹿しいって」
「…………」
「男だから、家族だから、敵だから、他人だから。好きになれないわけじゃないし、好きになれるわけでもない。好きって気持ちは、もともとすごく単純っていうか、身近なものなんだ。大層な理由がなきゃ人を好きになっちゃいけないってわけでもないし、その逆もしかりだろ? なら形に囚われる方が変だって俺は思うけどな。人によって好みはあるだろうけど、男同士だっていうのは、少なくとも俺が愛情を抱くのには絶対的な禁忌じゃないよ」
「ご立派なご高説だが、実際に男色関係を持っている人間に言われても言い訳にしか聞こえないな。一時の欲望のままに刹那的な快楽に身をゆだねている人間が、ほざいていい台詞じゃないだろう」
 ぎっ、とこちらを睨みまくしたてるソル。その視線の中には男と男の性行為に対する強い嫌悪と、快楽に流される人間に対する強烈な軽蔑が感じられた。
 やれやれ、とハヤトはぽりぽり頭を掻く。言動なんかから真面目で潔癖な奴なんだろうなぁとは思っていたが、ここまで男同士のあれこれを嫌う奴とは思わなかった。
 というかたぶん、これは無色時代にトラウマを抱かされたんじゃなかろうか。エロいことに根深い嫌悪を抱くくらいえげつないことをあれこれと。そんなようなことをキールもソルも少し言ってたし。
 そういうのはなんとかしてやりたいし、それにソルに嫌われるのも切ない。どうしようか少し考えて、ソルを見据えて言ってみた。
「ソルは気持ちいいこと、嫌いなのか?」
「……っ!? なにを」
「一時の欲望のままにっていうけど、俺にとってはそれってそれなりに大切なものだからさ。そりゃ子供はできないけど、好きな相手と気持ちいいことをするっていうのは、俺にとっては生きる楽しみだし、明日また頑張るための糧だ。そういうのって、いけないことか?」
「……っ、そういう問題じゃない! 第一、なんでそれが兄上で……男である必要があるんだ!」
「だから言っただろ? 好きって気持ちは必要≠ナ生まれてくるものじゃない。男でも女でも、人間でもそうじゃなくても、俺は好きって思ったらその気持ちを抑える気はないよ」
「っ……」
「だから、ソル。君のことも好きだって思うから、触りたいなとも思うよ」
「………っ!?」
 にこっと笑顔でソルに言うと、ソルは目を見開き絶句した。
「な……ハヤ、ト?」
「おい……ハヤト、お前な……」
 愕然とするキールと眉をひそめるガゼルに軽くウインクをしてみせてから、ソルに向き直り真剣に言ってみせる。
「俺はソルが好きだ。ソルと気持ちいいことをしたい。互いに触れ合って、幸せな気持ちになりたい。そう言ったりするのは、君にとってはそんなに許せないことなのか?」
「な……っ、許せるわけがないだろう! あんたは兄上と……その、そういう仲なんじゃなかったのか!?」
「キールももちろん大好きだよ。大切だ。でもそれでも、ソル、君が好きで大切にしたいって気持ちにも、触りたいって気持ちにも俺は嘘をついてない」
「っ……」
「それでも、駄目かな。触ったら」
「…………っ〜〜〜っ!」
 怒りのためか羞恥にか、顔を真っ赤に染めてこちらを睨むソル。ハヤトはそれをしばし真摯な眼差しで見つめ返していたが、やがてじれったくなってすっと一歩ソルに近づいた。
「っ! ちょ……なにをっ」
「ソルの頭、撫でてるんだよ」
「そういうことを……言ってるんじゃないっ! だから、なんで撫でてるんだっ」
「愛情表現。ソルのこと好きだぞーって気持ちを込めて、ソルに触ってるんだ」
「だから、そういうことでもなくてっ! なんで俺が、お前に触られなくちゃならないんだっ」
「さっきも言っただろ、必要でやってるんじゃないって。触りたいって思ったから触ってるだけだよ。それとも、俺にこんな風に触られるの、ソルは嫌かい?」
「い…………っ、嫌、では、ないけどな……」
「そっか。よかった」
 にこっと笑って頭を撫でつつ、さらに一歩近づいて背中を撫でる。
「じゃあ、こういうのは?」
「い………嫌、では、ないが………」
「そっか、よかった。じゃ、こういうのは?」
 さらに一歩進んで、ソルの小さな体をぼふっと腕の中に収める。キールが小さく呻いたような気がしたが、まぁ気のせいだろうと腕の中のソルにすりすり頭を擦りつけた。
「ちょ……っ、誓約者っ、やめろ、こらっ」
「誓約者じゃなくて、ハヤト。だろ? ちゃんと名前呼ばないと放してやんないぞー」
「っ……、わかった、ハヤト。懐くのをやめて、放してくれ」
「えー、なんで? ソル、俺にすりすりされるの嫌なのか?」
 悲しそうな表情になって(実際、こういうハグを拒否されるということはほとんどなかった経験なので、悲しかったしちょっとショックだった)、ソルを哀れっぽく見つめると、ソルはわずかながらも慌てたような表情になってから、咳払いして言う。
「嫌、というほどのことはないけどな。少なくとも愛人関係にある相手の前で、こういうことをするのは慎め、と言っているんだ。相手が不快に思うだろう」
「え?」
 ハヤトはきょとん、として、疑問を前面に出した表情で訊ねた。
「ガゼル、嫌なのか?」
「いんや、別に。んなもん気にするほど繊細な神経でお前とつきあってられるかよ」
「そうだよな。キールは? 嫌なの」
「ちょっと待て。誓約……いや、ハヤト。お前、そっちの……ガゼルとも愛人関係を結んでるのか?」
 腕の中でゴゴゴゴゴとすさまじく不穏な空気を発しながら言うソルに、ハヤトはうわ、と驚きつつも腕は放さずにこっくりとうなずいた。
「そうだけど?」
「……っ、あっさり言うな! お前はそれでも人間か!? 男同士とかいう以前の問題だろう、多人数と一度につきあうなんてっ……」
「え、なんで?」
「な……なんで、って……」
 大きく開けた口をぱくぱく開け閉めしてなんとか反論しようとするソルに、ハヤトは笑顔で告げた。
「ソルだってキールだけが好きなわけじゃないだろ? カシスだって、クラレットだって好きじゃないか」
「そ……そういう問題じゃないっ! 家族愛と、その……恋愛は違うだろうっ」
「うーん……恋愛、か。そう言われるとちょっと困るな。俺、やらしいことしてる奴と、恋愛してるつもりってあんまりないからさ」
「なっ……それはつまり、性愛だと」
「そういうんでもなくって。俺さ……この世界、すごく好きなんだよな」
「……は?」
 ソルがぽかんと口を開ける。ハヤトがこういう話をするとたいていの人間がそうなるだろうように。
「好きな世界の中で、縁があって一緒にいることになって、その中で好意を抱いた人っていうのは一人やそこらじゃない。そんなちょっとに絞れない。この世界には俺の好きな人が、それこそ山ほどいるんだ」
「……だから?」
「俺は好きな人とは仲良くしたい。俺にとっては、やらしいこともその方法のひとつなんだよ」
 真面目な顔できっぱり言い切ると、ソルはまたもぽかんと、さっきよりも大きく口を開けた。そんな目の前のソルの顔が微笑ましくて、ハヤトはちゅっとその額にキスを送った。
「なっ……!」
「なぁ、ソル。俺とやらしいことするの、嫌か?」
「なっ……なっ……お前、なにを、考えて……」
「君がどうしても嫌なら諦めるけど、俺はソルとしたいな。だって、好きな人と肌を合わせるって、すごく幸せな気持ちになれることだろ?」
 そう言ってにこっと微笑みかけると、ソルはぐっと言葉に詰まり、視線を逸らし、うつむき加減の顔でぼそぼそと言ってきた。
「兄上の前で、そんなこと、できるわけ……」
「ん? キール? キールとしたいのか?」
「な!? ちっ、違うっ、そういうことじゃなくてだなっ!」
「おーいキール、こっち来いよー。一緒にヤろうぜー」
「な、な、お前、本気でっ……」
「う……うん。君が、いいと、言うのなら……」
「なんで顔を赤らめながら素直にやってくるんだなにを考えてるんだ兄上ぇぇ!!」
 じたじたと暴れるソルをしっかり抱きすくめながら、ハヤトは近くにやってきたキールの細い腰をもう片方の腕で抱き寄せ、ちゅっと軽くキスを落とした。恥ずかしそうに頬を染めるキールに、ちゅっちゅっと頬に、鼻に、唇にキスを落としてから、すかさずソルの方にもちゅっちゅとキスを落とす。
「ちょっ……待て、俺は、そういう……」
「なぁソル、お前恋人以外に口にキスされるのは嫌! とかいうこだわりってあるか?」
「は? 別に、そんなものはないが……」
「そっか、よかった」
 言うや顎を引き寄せ、唇にキスを落とす。ちゅっちゅと上唇とした唇を交互に吸ったあと、舌を口内に挿入した。
 ちゅ、ちゅ、ねろ。じゅ、ちゅ、れちゅ。
「ん……ン、こら、や……ンッ、めろっ、俺はまだ……ア、ふぅっ」
「ン……う、ソル、キスうまいな……俺、なんか一気にけっこうキちゃったぜ」
 そう笑うや、くいくいと袖を引っ張られる。キールが上目遣いで(背はハヤトよりキールの方が高いのだが、キールは甘えたい時などには上から見上げるという高等テクニックを使うのだ)こちらをねだるように見つめているのだ。
 可愛いなぁ、とにやけるような気分で思ってから、少しだけ背伸びして唇を奪う。ちゅ、ちゅ、と音を立てて唇を吸ってから、こっちにもやっぱり舌を挿入。れろねろくちゅくちゅ、と舌を絡め、吸いあって、いつも通りの心地よさにしばし浸った。
 それから二人を脱がすのに取りかかる。誓約者の筋力でゆっくりと二人を押し倒し、時にはソルの首筋にキスを落とし、時にはキールの耳を食みながら、二人の服を剥いでいく。
「ちょ……待て、ハヤトっ、んっ……本気で、このまま、二人で……っ、あぅっ」
「んー、二人でっていうか、三人で、かな? せっかく二人ともこっちがその気になってるんだし……」
 言いながら股間を軽く揉みしだく。そこには確かな熱さと硬度があった。
 ソルはぱっと、キールはほんのりと頬を染めるが、そんなところもまた可愛い。ローブを脱がし、下のズボンやらシャツやらに取りかかろうとするや、背後からさわっと腰を触られた。
「え? ……んっ、ガゼルっ?」
「一人で二人を相手するのは大変だろ? 俺が手伝ってやるよ」
「え、ちょ……ンっ、そういうこと別に……っく。……まぁ、いいけどさぁ」
「いいのか!? 本当にっ……ン、ぁっ」
「ヤられながらだとヤる方に集中しにくいんだよな……ソルは、特に、ンッ、初心者だから、ちゃんと馴らしてあげたいし……ん、う、ゥっ」
「……ハヤト……ぁッ」
「そーんな心配そうな顔するなって、キールもちゃんと可愛がってやるからさー。あ、それとも俺に挿れる方がいい? キール俺とは挿れる方しかやったことないもんな」
「ぼ、僕は……君となら、どちらでも……ンッ」
 さわさわ、と股間を撫でてから、ズボンをゆっくりと引き下ろす。その下の下帯を、二人同時に両手を使って解いていくと、二人の驚くほど白い肌身がさらされた。
「いやー……なんていうか、こういう風にタイプの違う可愛い子が目の前に二人並んでるのを見ると……ハーレム! って感じがするよな!」
「は? はーれむ、ってなんだ?」
「ああいやなんでもない気にしないでくれ。よっし……じゃー、二人とも、こういう風なのは……どうだっ!?」
「っひ!」
「っ……くッ……!」
 ハヤトは潤滑剤をたらーりと仰向けの状態の二人の股間に垂らし、自分の指にもたっぷりと潤滑剤を取った。そして軽く後孔を撫で回してから、一気につぷっと指を挿入する。
 予想通りにかなり柔らかく拡がっている二人の後孔は、ハヤトの指をごくあっさりと受け容れた。ひくひくと震える二人の穴を、同時にずっずっずっと前後にやや勢いよく指を動かして犯しながら、中のイイところを探る。
「ひっ、うっ、はっ、は……ハヤ、ト……!」
「やめ、ろ、そん、な……ひっ!」
「お、ソルのいいとこって、この辺? この辺をぐーりぐーりって動かされたら、感じちゃう?」
「ひっ、やっ、ぁ、やめ、やめろ……っ! 駄目だ、って、なにをっ……ぅぁっ!」
「キールの方はどうかな? 入り口近く出し入れされんのとか、好き? それともこう、もっとずずっと奥に挿れられる方が好み?」
「ひっ、あ、ハヤ、ハヤトっ、ぁ、ぁっ、ぅ……は、ぁっ」
 二人を同時に可愛がる、という難易度が高いながらも楽しい仕事を笑みながらこなしていると、唐突にハヤトの後孔にも濡れた指が触れた。
「っ! ……ガゼル〜、そこ触るなら触るって言えよ」
「こんな時にんなことくだくだしく言うのなんざ興醒めだろ。お前だってやってるこったろうが、よっ」
「っあ! ……のやろ、こっちが手出せないと思ってぇ……」
「おら、ちゃんと前見てそいつら可愛がってやれよ。手が遊んでるぞ」
「わかってる、よっ」
「ひっ……ぁ、そ、こはっ」
「ぁ、ぅ……っ、ハヤト、ハヤトっ」
 全員いい具合に蕩けてきたのを見計らって、繋がることにした。今回はガゼルがハヤトに、ハヤトがキールに、キールがソルに挿入する形だ。ガゼルとハヤト、ハヤトとキールは後ろから、キールとソルは正常位で交わる。
「ん……ぐっ」
「う……は、ぅ」
「はっ……あ、ぅっ」
「くぁ……あ」
 なにせ四人が一気に繋がっているのだ、大きく体を動かすことはできない。それでもハヤトは小刻みに体を揺らし、さっき探し当てたキールのイイところに自分のものが当たるように心がけた。
「はっあ! ハヤト……そこ、はっ」
「ん……キール、ここ、イイ?」
「駄目だ、そこはっ……出て、しまう、から」
「あ、そう? ……あ、っ」
「お前もそんな余裕かましてられんのかぁ? お前もこの辺を、ずんって突かれると……」
「あっひ……! ちょ、ま、ちょっとタンマ! そこは駄目だって、俺は前も後ろも感じさせられてんだからな、マジ出ちゃうって!」
「一発くらい出しても問題ないだろ。おら、おら、おらっ」
「あっ、やっ、駄目だって、出るって……!」
「あっ、ハヤ、ハヤト、そこ、突かないで……!」
「っく、あ、あに、うえ、そこはっ……!」
「おーら誓約者さま、手が遊んでんぞ? 前の奴のこと可愛がってやったらどうだ?」
「う、く、ふ……そ、だよな……っ、ソル、これ……どうだっ?」
「っ! な、そんな……やめ、しごくなぁっ……!」
 四人繋がって、前も後ろも気持ちよくて、ゆっさゆっさと四人まとめて揺れて、締められ、突かれ、締めて、しごいて――
 キールが「あっ、あっ、駄目だっ!」という言葉と同時に体がぶるるっ、と震え、ぎゅうっと後孔を締めつけたので、ハヤトも「っく……!」と呻き声を漏らしながら達した。
 ……それからガゼルがゆっくりと自身を抜くのに従って、ハヤトもキールから身を離し、キールもソルから離れる。ソルは後孔からぽた、ぽたりと白濁をこぼしながら、真っ赤な顔で目を逸らしつつ言った。
「もう、いいだろ……お前の言いたいことはわかったから、だから……」
「なに言ってんだよ。こんなの序の口だぜ?」
「は?」
 ぽかん、と口を開けるソルに、ズビシ! と親指を立ててハヤトは堂々と言い放つ。
「せっかくソルが仲間に入ったんっだから今度は俺がソルに挿れる番だろ? それにガゼルにも、やられっぱなしじゃ面白くないからな」
「……お前どんだけ絶倫なんだよ……」
「絶倫ってほどじゃないだろこのくらい、若い男なんだからさ。じゃ、今度はキールが俺に挿れるか?」
「え! う、うん、それでよければ……」
「おいちょっと待てそれでいいのかこれが普通になって本当にいいのか兄上っ」
 勢い込んで体を起こすソルのうなじにキスを落として(さっきのうちにソルはここが弱いというのはなんとなくわかっていた)「はぁぁ……」と力を抜かせる。そんな自分たちをみて、ガゼルは肩をすくめた。
「ま、諦めた方が得策だと思うぜ。こいつとつきあってる以上」
「そ、んな、あぁっ……!」
 ……なーんてことをやっていたので、四人でヤっている時にすぐそばにまでライがやってきて交接の場面を見てしまっていたのは、四人の中の誰も気づかなかったのだった。

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