非幻想異端的日常
2006年 4月 1日 (土)
 よく長時間風呂に入りながら読書をしたりするが、本を濡らしてダメにしたことは一度もなかった。ところが今日、いつものように風呂で本を読んでいたら、眠くなり、気がつくとボチャ、と本を湯船に落とした。慌てて拾い上げ、引き続き読書を再開した。紙が濡れていてページがめくりにくく、また濡れた部分に裏面が透けて読みにくかったが、本が落ちたショックで目も覚め、また読み進めるうちに本も乾いてきて、問題なく読書を続けられた。風呂を出る頃には二時間が経過していた。濡れてヨレヨレになった文庫本は俺だけのフォルムに変形し、何やら愛着さえわいてきた。

壇 そんなエピソードをあいだにはさんで、沢木耕太郎の「壇」を読んだ。作家の妻の独白という形をとったノンフィクションであるが、表現者として筆をふるう文体も主観も間違いなく沢木耕太郎自身のものであり、それが私小説のようでもあり、やはり作家の妻の心情でもまたあるのだった。このような斬新な書物を湯船に浸けて自分だけのものにしてしまうなんて。思い出深い一冊だ。

2006年 4月 2日 (日)
 王子の飛鳥山公園にて、長島さん主催の花見が行なわれ、参加した。

 実は花見というものは人生初めての経験である。俺はどうも外でものを食うイベントが性に合わないらしい。昔バーベキューやキャンプなどもやったことあるが、苦痛以外の何ものでもなかった。花見も外でものを食うイベントだけに、無意識に積極性を欠き、偶発性も加わって、これまで機会を逃してきたのだと思われる。

 ちなみに人に花見をしたことがないと言うと、必ず「ええっ!」と驚かれる。先日彼女に同じことを言ったら、「わたしも!」と初めて違う答えが返ってきた。気が合うな。本日は揃って花見初体験ということで彼女も連れてきたかったが、彼女は仕事が忙しく昼間は来れなかった。

 飲食物は各自持ち寄りということで、王子駅に着くと、まずコンビニで缶ビールを買い、事前に調べておいたケンタッキーフライドチキンに行き7ピース入りお徳用パックを買った。入院していた時からケンタッキーフライドチキンが無性に食いたくて仕方がなかったのと、恐らく俺が好きなもので唯一他の人とかぶらないのはケンタッキーだけだと踏んで、食い物はケンタッキーだけにした。事実、他に買おうとアタマをよぎった食物(落花生、チーズ、コロッケ、ピザ、他)はすべて他のメンバーにより持参されていた。

 3時すぎに到着。長島さんとノムラたけしさんだけが居た。長島さんと話しつつ、ビールを飲みながら、ケンタッキーのチキンをむさぼり食った。たまに無性に食いたくなる食物の双璧がケンタッキーフライドチキンとチキンラーメンであることは以前にも書いた。
 ちなみに本日は痔の手術後初のアルコール解禁にして、2年間の禁酒生活(たまにちょこちょこ飲んではいたが)にピリオドを打つ記念すべき日でもある。
 久しぶりの酒は当然のごとく、うまかった。

 レナさんがやってきた。5年ぶりくらいの再会である。また一段と大人の女性になっていた。純米吟醸酒を持ってきていた。吟醸酒も持ってこようと思ってやめたもののひとつである。しかしこちらは金がなかったのが断念の理由だ。嬉しくなり、思わず紙コップ2杯くらい頂戴して飲んだ。旨かった。そして酔った。

飛鳥山公園にて 気がついたら食って飲んで話してばかりで、ぜんぜん花を見てなかったことに気がついた。思い出したように(実際そうなのだが)上を見ると、広範囲に渡ってちらほら桜が咲いていた。われわれの席からは桜より普通の樹の方が目立っていた(画像参照)。まあ酒と食い物がうまいので、問題はない。

 暗くなり、異常に寒くなってきた。寒くなることを見越して少し厚着してきたのだが、それでもぜんぜん寒かった。夜長さんがこちらに来る予定を変更して蒲田で飲んでいると情報が入ったので、そちらに合流することにした。われわれはそそくさと片付け、蒲田に向った。

 「花見が終わって、これから皆で風俗に行く」と彼女に携帯メールを送っておく。今日はエイプリルフールだったので、ひとつくらいはウソを付かないと何となく申し訳ないような気がしたのだ。すぐに本気にした彼女からパニックに陥ったメールが連続で届きまくる。

 蒲田の居酒屋に到着。夜長さん他、様々な人たちがいた。俺はもう飲めないのでコーラを頼み、いきなり締めのお茶漬けを食った。暫くしてちわさんもやって来た。俺は長島さんとレナさんと「ぱにぽにだっしゅ!」や「ひぐらしの鳴く頃に」などのヲタクなサブカルチャーの話に花を咲かせた。咲くのは桜ばかりではないのだった。

 彼女からメールが来て、仕事を終えこちらにかけつけようと駅まで走ったが、1分差で終電を逃したと連絡があった。かなり悔しがっているので、携帯で路線情報を調べてみたら、こちらからの終電はまだあることが解ったので、蒲田での飲み会が終わった後、小田原に出向いた。

小田原城にて 彼女の車で小田原城まで行き、本日二度目の花見を行った。飛鳥山で余ったコーラと食い物を持って来ていたので、それらを食いながら、夜桜を眺めた。画像は妙に明るいが、間違いなく夜桜である。こんなに奇麗な桜なのに、なんで人がほとんどいないのか、不思議である。

 明け方、新宿に帰った。久しぶりに酒を飲んだのと、寒い外で食い過ぎたので、腹が下っていた。帰るなりトイレにかけこんだ。下痢と格闘した後、ベッドにすべりこみ、夕方まで眠った。

 初花見にして、一日で飛鳥山公園と小田原城という、恐ろしく離れた距離でダブル花見を成し遂げてしまったわけだが、非常に楽しく、下痢はしたが、充実した一日だった。
 花見は楽しいので、またやりたいと思う。

2006年 4月 3日 (月)
 夕方起きて、梅昆布茶をすすり、読書をし、日記を書き、ごんぶとを食い、花見の残りのフライドポテトをかじり、コーヒーを飲み、テレビで「チャーリーズエンジェル/フルスロットル」を鑑賞し(DVDを持っているというのに)、また日記を書いて、寝た。

2006年 4月 4日 (火)
 退院時に貰った痔の手術後にあてておくガーゼがなくなったので、薬局に買いに行った。なかなか局部にジャストミートなものがなく、生理用ナプキンのコーナーで暫く迷ったが、男としてどうかと思い、自分で切り取って好きなサイズで使える普通のガーゼを買った。後でネタとしては最高だったかも知れないと思い直し、少し後悔した。
 てゆうか昔、痔が悪化したときもしてたっけな。

2006年 4月 5日 (水)
 最近新宿駅南口にインド料理のファストフードみたいな売店が出来た。テイクアウトが基本でイートインもできる。早速チェック。チキンカレー、ナン(ご飯はない)、サモサ、チャイは二種類(マサラ・チャイ、カルカッタ・チャイ)ある中でカルカッタ・チャイを選択。食ってみた。ナンは薄っぺらでチャチだが、それ以外はどれもポップなうまさで無難である。ファストフードにしてはちょっと高い。チャイがうまいので、ちょっとお茶する程度に利用するのが妥当であろう。


 最近つらつら思考の深さ浅さは別として、「考えすぎ」という現象は考慮に入れる要素の範囲の狭さに比例するという仮説を思いついた。つまりは時間的・空間的に目先のことしか見えてない場合、答えが出ず、人間は考えすぎるという落とし穴にはまるのだ。これを逆算すると、考慮に入れる範囲が広ければ広いほど、答えは容易に導き出すことが可能になる。「深い思考」が、広く多くの要素を考慮に容れ考えることだと仮定すると、思考の深さは考える時間の長さには決して比例せず、逆に反比例することになり、最終的に、究極の思考とはすなわち「直感」であるとも言える。ここから、人間が直感を働かせる時、無意識にどれだけの判断材料を五感から拾い集め、脳内で処理しているのかを想像すると、より正確な判断力とは如何にして培われるものかが自ずと観えてこよう。

2006年 4月 6日 (木)
 新橋のクリニックにて痔の診察。先週酒を飲んだからか、今朝から小さな脱肛が再び現れていたので診てもらうと、一年くらい様子みて考えましょうと言われた。この程度の痔核なら通院でチョキンと切れるそうだ。

 新橋でなにげに通りかかったカレー屋スマトラで食事。うまいのかまずいのかよくわからないヘンな味で、ルーは粉っぽく、色は安っぽく、チープな割にはやたら辛い。昭和初期のカレーという感じがする。カレーそのものより、カレーという食い物の奥の深さが味わえる店だった。


フィラデルフィア レンタルで「フィラデルフィア」という映画を借りて、見た。ジョナサン・デミ監督。トム・ハンクス主演。エイズにかかったホモの弁護士が、社会の偏見と戦う社会派ドラマである。
 以前フィラデルフィアに住んでいたときに制作された映画で、ジョナサン・デミがあちこち近所に出没していたので割と思い出深い映画である。今ごろになって初めて見るのが不思議なくらいだ。
 なかなか狡猾な映画で、そこいらの映画が普通ドラマチックに描いてしかるべきところを、この映画はあえて淡々と描いてみせる(主人公がエイズであることが解るシーン、解雇されるシーン、法廷のシーン、勝訴のシーン、死ぬシーン、等)。そのかわり、物語の本筋にぜんぜん関係ない部分で、この映画は執拗にドラマチックな表現を多用する(主人公が裁判の打ち合わせの途中にいきなり歌い出すシーン、家族とやたら仲が良いシーン、最後のビデオ、等)。
 つまり映画のメッセージに関わる部分は説得力を持たせるためにリアリティたっぷりに描き、しかし少しは映画として観客を感動させないといけないので、本筋と関係ないところでベタな演出をここぞとばかりに発揮しているわけだ。じつにアタマの良い映画ではないか。
 何よりも演出が面白い。なかなかの傑作じゃないでしょうか。

2006年 4月 7日 (金)
 怒っている人に「怒るな」と言うと余計に怒る、という法則を本日発見した。これは人が怒る場合、それそのものを目的としているケースは例外として、それなりの原因と理由があるわけで、「怒るな」という言葉は単純に「私は貴方が怒っている原因を理解し、改善に向けて話し合おうという意志はありません」と言っているのとほぼ同じであり、それでなくても「貴方が怒っている原因の追求は後回しにして、まずは貴方が怒っている事実そのものに対して逆に異議を申し立てたい」という密やかな反発であり、よく怒っている人に対して「まあそう怒るなよ」とか興奮している人に対して「まあ落ち着け。そう興奮しなさんな」とか言って、相手が素直に落ち着いた光景をあまり見たことがないのもよく考えてみればこれは当然のことなのだ。怒りは相手に対して何かを強く主張したいことの現れであり、あるいはそれが一向に通じないことからくる反動であり、怒っている事実そのものではなく、怒っている原因に焦点を当てなければ、その後のコミュニケーションは破綻をきたすものと言えよう。

 要するに今日は一日中ずっと事務所で仕事をしていて、書くことがないのだ。

2006年 4月 8日 (土)
 仕事の打ち合せで横浜。仕事というか仕事ではなく、いわゆるきっかけ作りで、今後の展開次第では会社の利益になるかもしれない程度のナニであった。
 帰り、山手線の中で寝ていたら、鴬谷あたりでクライアントから電話があり、池袋にトンボ戻りして、会って、コーンポタージュスープをおごってもらった。ついでに集金もした。ついでが逆である。
カレー 昼食に新宿南口地下のカレー屋でカレーを食った。上品すぎて返って下品になってしまったような味で、うまいけど好きになるにはもう一歩。また別のカレー屋に行って夕食用にカレーをテイクアウトし、事務所に戻って仕事した。夕食は当然、カレーを食った。カレーなる人生である。

2006年 4月 9日 (日)
 母の実家、秦野に行く。
 米国在住の妹2が去年末産まれた甥を連れ帰国し、秦野にて初対面という話だ。
 秦野駅に着くと、改札の向こうで母と甥を抱いた妹1とビデオカメラを回す妹2が待っていた。カメラの視線をかいくぐりつつ、甥と遭遇。俺は無闇に赤ん坊とみると可愛がる性癖は持ち合わせておらなんだが、さすがに身内ともなると、見ていて可愛く、面白い。しげしげと見つめていると、非常に賢そうで、大器を感じせる。笑ったり、いきなり泣いたり、わけのわからない音を発したり、動いたり、もだえたり、飽きない。「よく出来てる」と思わず呟いた。天からの授かり物というより、天地の創造物という気がする。
 家族そろって秦野のジャスコに買い物。ベビー用品売り場を徘徊した後、一階のカフェでお茶をした。常時甥は笑ったり泣いたり、うごめいていた。妹1と甥しかし妹2が母親になったというのも驚異である。妹というのはいつまで経っても小学生の頃のイメージしかない。それが今では一児の母だなどと。冗談にもほどがある。
 ちなみに画像は妹1と甥である。本当は俺と一緒の画像を貼りたかったのだが、いいのがなかったのでこちらにした。赤子と俺は組み合わせ的にうまくフレームに納まらないとみえる。しかしこれはこれで、この日記に相応しい画像にはほど遠い。まあいろいろな意味である種のシュールレアリズムと受け取っていただければ幸いである。

 秦野の帰り、彼女が近くに住んでいるので、小田原に寄ったが、彼女の都合が合わず、結局喫茶店で読書をし、駅のそば屋でカツ丼セットを食っただけで帰るはめになった。まったく、遠距離ってやつぁ。

2006年 4月 10日 (月)
SPIRIT 映画「SPIRIT」を見に行った。ジェット・リー主演の武侠映画というか、カンフー映画である。
 ひどく出来が悪く、キモのアクションなど下の上か大目に見て中の下といったところ。早送りやCGの処理はへたくそ極まりなく、ジェット・リーの演技はいまいち安っぽい。
 宣伝だけ見ると「HERO」「LOVERS」「プロミス」などに続く最近流行の武侠映画の超大作みたいな扱いだが、中身は昔ながらのカンフー映画の出来の悪いやつである。
 昔のジャッキー・チェンの「蛇拳」とか「酔拳」とかの方がよほど面白いし高度だと思うのだが、映画サイトのレビューなどを読むと、ロードショー公開の勢いに押されて誰もこの映画の出来の悪さに気がつかないらしい。理不尽な話である。


 夜はビデオでルイス・ブニュエル監督、カトリーヌ・ドヌーブ主演の「昼顔」を見ていた。不感症で欲求不満の若妻が売春婦になって、そこで恋のアバンチュールを経験し、それが夫にバレて、それをきっかけに、なぜか新鮮な夫婦の愛を取り戻せてめでたしめでたしという脱力のストーリーを、若妻の象徴的な夢のシーンなどでシュールな味付けをちょっと加え描いた、フランス映画らしい退屈な作品だった。


 今日は映画不作デーであった。

2006年 4月 11日 (火)
KHAMOSHI インド映画「KHAMOSHI」を見た。マニーシャ・コイララ、ナーナー・パーティカル、サルマン・カーン主演。サンジャイ・リーラ・バンサーリ監督。インド映画は長いので、忙しい俺はいつも何日かに分けて見るのだが、こればかりは夜ふかしして思わず一気に見てしまった。最初のミュージカルシーンだけでもう傑作の匂いがプンプンしていた。最後まで見たら想像以上の傑作だった。
 唖の両親の声がわりになってきた健気な娘が、祖母のピアノと作曲家の恋人との出逢いを通して、歌手の道を歩み始めるが、耳の聞こえない両親の理解をなかなか得られない。そんな少女の苦悩と夢と幸福を、宣伝文句臭く言うならば美しく繊細なタッチで描いた名作である。
 インド映画は必ずミュージカルシーンがあり、だいたいが映画の途中に休憩のような感じで挿入されることが多いのだが、これは完全なミュージカルである。いにしえのクラシック映画のような赴きある演出で、映画史に残る名シーンという感じのシーンがたくさんあった。
 最後のナーナー・パーティカルの熱演はボロボロと泣けた。マニーシャ・コイララの演技も泣かせる。みんな泣かせるのだ(サルマン・カーン以外は)。監督のサンジャイ・リーラ・バンサーリはインド映画界において、唯一インド映画の枠を超えた、世界の巨匠のひとりに数えられる映画作家だと思う。しかもこの映画は彼のデビュー作。最新作の超話題作「BLACK」がまだ四作目だ。
 タイトルの「KHAMOSHI」とは「沈黙」の意。サブタイトルに「The Musical」とつく。まさに沈黙のミュージカル。耳が聞こえなくても、歌が歌えなくても、心の中に鳴り響く愛の音楽は永遠に止むことはないのである。なんてね。

2006年 4月 12日 (水)
 千歳烏山。雨。オレンジ色の憎いやつ。

 GooTa。インド映画のドキュメンタリー。

2006年 4月 13日 (木)
 「ラリー・フリント」という映画を見た。俺が米国在住時代にもたまに購読していた、ハスラー誌の創業社長であるラリー・フリントの伝記映画である。よく考えたらミロシュ・フォアマン監督て伝記映画がやたら多いな。
ラリー・フリント 個人的には弁護士の姿に一番感情移入をして見ていた。ラリーの極端な性格と言動に振り回され、何度も首になったり自分から辞めたりを繰り返しながら、腐れ縁のように最後まで彼の顧問弁護士として付き従い、結局最後は最高裁で弁護士としての晴れ舞台に立ち、輝かしい勝利を収める。涙ぐましいではないか。映画のクライマックスは全部この男がもっていった。
 対して主役のラリーは、富と名声と表現の自由を勝ち得たが、その代償として何度も監獄や精神病院にぶち込まれ、襲撃を受け半身不随になり、肉体の自由を奪われ、最後は最愛の奥さんを失う。好き勝手に暴れまわっているようで、結果的に身を犠牲にして社会に貢献している。これを男の生き方と言わずして何としよう。
 軟派な人生も極めれば熱いのだ。

2006年 4月 14日 (金)
運動靴と赤い金魚 イラン映画「運動靴と赤い金魚」を見た。お得意先の社長さんのお薦めである。
 貧民窟の子供たちの活き活きとした何気ない日常を描いた物語で、大した事件が起こるわけでもなく、靴をなくしたり、金魚に餌をやったり、近所に鍋を借りに行ったり、親の仕事を手伝ったり、マラソン大会に出たりしてるうちに映画は終わる。子供たちは本当の貧民窟の素人の子供たちを起用し、徹底したリアリズムを追求。
 ほのぼのとした映画で、心が温まるのはもちろんだが、イランの子供たちの日常なんてなかなか見る機会がないので、内容的にも大変興味深かった。


 最近ネタがないので、映画の感想に逃避していたりする、この日記。

2006年 4月 15日 (土)
 久しぶりに知り合いのテレビ局のディレクターから電話があり、歌舞伎町の事務所を貸したいので借り手を探してくれと頼まれた。そこはかつてのうちの事務所でもあったところだ。当時は狭い事務所に三社共同で借りていて、仕事の面でも何かと協力し合っていて、いろいろ面白くやっていた。思えば遠くへ来たもんだ。その直後にまたある人から電話があり、どこか事業を始めたいので良い場所はないかと相談があった。ちょうどよいのでふたつの点と点を結びつけるべく、立ち回ることにした。それにしても最近、直接利益に関係ないが、間接的に先行き利益になりそうな可能性をはらんだことをやたら頻繁に頼まれる。何かが動き出しそうな予感。しかし、今のところ俺の生活はとても静かだ。

2006年 4月 16日 (日)
 歌舞伎町にてi-mode三国志のオフ会。金がなかったのでちょっとだけ顔出すつもりが酒がうまいのでつい長居してしまった。痔の手術以来、酒が飲めるようになって、酒が飲める機会となると嬉々として足を運ぶようになった。梅サワーを飲み、日本酒を飲み、生ビールを飲み、カルア・ミルクを飲み、瓶ビールを飲んだ。飲み過ぎて、アタマが痛くなり、帰って梅昆布茶をすすって倒れるように寝た。2年間の禁酒生活ですっかり自分のペースを見落としていた。今度から気をつけよう。

2006年 4月 17日 (月)
 二日酔いで朝六時半に目が覚めたが起き上がれず、何とか起き上がってミロを飲んで、ビーフコンソメスープを飲んで、また寝た。午後二時頃起きて、パソコンを立ち上げたが、頭痛が治らず、暫くキーボードを叩いて、コンビニ行って、メロンパンとあんドーナツとコロッケパンとカレーパンを買って来て、インド映画を見ながら食った。夜はカップヌードルのカレー味を食った。調子悪かったが、「地獄」の執筆は不思議といつになく進んだ。

2006年 4月 18日 (火)
 前日意味なく眠れず、明け方腹が減って事務所に降り、史記を読みながらかりんとうをコリコリ一気にひと袋平らげた。六時半頃やっと眠れた。かりんとうはうまかった。眠れたのは司馬遷のお陰かかりんとうのお陰か定かではない。どちらにしろすぐに起きる時間だった。

 いきなりおやじから電話があり、妹夫婦と甥を連れやってきた。近くの京王プラザホテルでカレーを食い、お茶を飲みながら歓談。カレーはうまかった。
 おやじと会うのは久しぶりだ。初孫を前にやたら上機嫌に見えたが、聞いたら機嫌は悪いそうだ。聞くんじゃなかった。
 妹の出産に味をしめたらしく、俺も早く嫁を貰って子を作れとうるさかった。それはこちらとしても望むところだが、何かと状況が許さぬので仕方がない。

2006年 4月 19日 (水)
バトルロワイアル レンタル行ったら深作欣二の「バトルロワイアル特別編」のビデオが300円で売っていたので買った。この日記をしっかり読んでおられる読者の方は「それは去年の10月に既に100円で買ったじゃないか」と思われるかと思われるが、あれは買ってから気づいたのだが、完全版ではなかった。俺が最初に見たのはこの特別編で、これは劇場公開時にカットされたシーンを復元した完全版であると同時に、後から撮影したバスケのシーンを追加した特別編なのだ。バスケのシーンは特に必要ではないが、カットされたキタノ先生と中川の河原での会話とかは重要である。ちょっと見るつもりがまた夜更かしして最後まで見てしまった。ビデオのお姉さん宮村優子が名前をひとりひとり呼びあげながら生徒たちが死地に旅立ってゆくシーンは何度見ても涙が出る。制服を着た女生徒たちが繰り広げるバイオレンスの世界に萌える。テンポよい演出と細やかなキャラ描写に巨匠の神業を感じる。割と深いテーマに考えさせられる。ちなみに今までバトルロワイ「ヤ」ルと書いてきたが、正確にはバトルロワイ「ア」ルである。ちなみに栗山千明にも言及するならば、この映画で彼女が演じた千草貴子は俺が原作で一番お気に入りのキャラで、初めてこの映画を見たとき、あまりにも原作のイメージが強すぎて「違う。貴子はそんなんじゃない」と失望することしきりで、彼女を好きになるのはタランティーノの「キルビル」を待たねばならなかった。原作のインパクトを大分忘れた今では彼女のシーンも割と嫌いではない。栗山さんは日本映画が大して好きではない俺が、深田恭子と並んで日本で一目置く数少ない女優のひとりである(よりによってというツッコミは却下いたします)。

2006年 4月 20日 (木)
 最近不眠症が続いている。前日は朝6時半まで眠れなかった。昨晩はとうとう一睡もできなかった。あまりにも眠れないので読書したりiBookを立ち上げたりコンビニ行って週刊モーニングとスーパーカップ・メロン味買って食いながら読んだりしているうちに、目覚めのアラームが鳴った。ちなみにスーパーカップはバニラ以外は大してうまくないと知りつつ、食ったことない味をみつけるとついそっちを買ってしまう俺の意志の弱さは眠れない理由と決して無関係ではないだろう。その前に深夜4時にアイスクリームを買う行為自体はどうなのだというツッコミは誰かに言われる前に書いておこう。ちなみに俺はバニラアイスに牛乳をかけて食うのが好きだが、スーパーカップ・メロン味にも思わず牛乳をかけてしまい、わかっていたことだがやはりまずかった。寝不足でもとりあえず朝は仕事がはかどる。

2006年 4月 21日 (金)
式日 レンタルで「式日」という映画を見つけた。庵野秀明監督で、主演が岩井俊二で、制作がジブリだと。知らないぞ。「なんだこりゃ」と思って借りてみた。見てみたら、感想も「なんだこりゃ」だった。拙(まず)い映画じゃないが、不味い映画である。キャストの問題かな?

2006年 4月 22日 (土)
蒼天航路クロニクル最終巻 やっと買った。蒼天航路クロニクル最終巻。これは蒼天航路をサイズもコメントも週刊モーニング雑誌掲載時と同じもので再現し、ついでにインタビューや生原稿や原作など、貴重な資料までおまけに追加した、蒼天航路のスペシャル・エディッションだ。
 発売開始当初はまだ週刊モーニングで蒼天航路の連載は続いており、まもなく最終回を迎える予定だった為、クロニクル・エディッションは「十年間の追跡を十冊に」というふれこみだったが、その後終了が1年くらい延びに延び、このぶんだと十冊に納まりきらんな絶対、と思っていた所が、本当に十冊に納めてしまいやがった。結果的にこの最終巻だけ1320ページという、前九巻と比較して倍近くブ厚くなっている。出版社の意地である。読み応えメガトン級。ネットでは立ち読みで腕が吊ったという書き込みが続出している。
 巻末のインタビューに作者の王欣太さんのインタビューが掲載されていて、お薦めの三国志関係書籍は何ですかと聞かれ、高島俊男の「三国志人物縦横談」をあげておられ、我が意を得たりと感動した。かの書物は俺も三国志関係の書籍で最も面白いと思ったものであり、また読んでて人物の解釈や視点など蒼天航路に一部共通するものがあったので、ひょっとしたら欣太先生もこの本には少なからず影響を受けたのかもしれないと思っていたのだ。
 次はこの夏発売予定の「画伝・蒼天航路」だな。金が…。

2006年 4月 23日 (日)
 友達の薫さんと西新宿のインド料理ジンナーで食事。数ヶ月前の彼女の新潟旅行のお土産を受け取るついでにめしを食ったわけだが、痔の手術で入院したり彼女も入院してたりで予定が延びに延び、賞味期限切れ三日前にしてやっとお土産を受け取れた。久しぶりにジンナーで食事ができ、薫さんも元気そうで、お土産のお菓子もおいしかった。

2006年 4月 24日 (月)
インド料理 料理など出来ないにも関わらず、定期的にインドカレーを作りたくなる不治の病に犯されている俺は、今日もインドカレーの材料を買いにスーパーへと出掛けた。豚肉、トマトジュース、ニンニク、ショウガ、コリヤンダー、クミン、発芽玄米を買い物カゴに放り込み、レジでなけなしの金を払い、事務所に戻った。
 鍋に油をひいてクミン、ベイリーフ、唐辛子、フェンネル、カルダモン、シナモン、クローブのホールスパイスを熱し香りを出し(画像上)、すりおろしたタマネギとニンニクとショウガを水分が無くなるまで炒め、トマトジュース、食塩、鶏がらスープ、そしてコリヤンダーとクミンを中心に、ターメリック、カルダモン、シナモン、ホットガラムマサラ、チリパウダーをぶち込んで調合した自作のカレー粉を入れ、軽く炒めて水を入れ(画像中)、暫く煮込んで、豚肉を入れ、また煮込んで、最後に隠し味でハチミツと麺つゆを入れて完成。炊いておいた発芽玄米と一緒に皿によそって(画像下)、食った。
 いつもメモも取らず前回と微妙にやり方を変えて適当に作るので、毎回必ず違う味になる。というより、同じ味を再現できない。のが俺のインドカレーの欠点と言えば欠点だが。本日の出来映えはまあ、食えない味ではなかった。

2006年 4月 25日 (火)
 カレーにどうもコクがないので、塩分が足りないのかと思い、塩を少々ぶち込んだら、やたらしょっぱくなってしまった。確か以前も同じ過ちを犯したことがある。応急処置として、とりあえず味を薄めまろやかにせんと、ココナツミルクとチャツネとハチミツをぶち込んだら、何とか食える味に戻った。てゆうか、最初よりうまくなったかも。

宋家の三姉妹 「宋家の三姉妹」という中国映画を見た。このDVDを借りてきた理由は他でもない。「ダルク家の三姉妹」という映画を見ようと思って、間違えたのだ(どういう間違いやねん)。借りてきてから間違いに気づき、仕方なく期待しないで見たが、期待しないで見ても、大して面白い映画ではなかった。歴史の勉強にはいいかもしれない。

 今日は空がいつもより奇麗だった。

2006年 4月 26日 (水)
 コジロウさんと某法律改正に関する講習会に出掛けた。講習会のたぐいは苦手で、まず100%、寝る。今日は特に内容的にあれだったので、1時間の短い講習でもちょっときつかった。帰り、コジロウさんと黒ごまラーメンを食った。

 夜、天野氏がやってきた。停滞している仕事の歯車を何とか動かそうとついでに寄ったようだが、歯車の回る準備さえ整っていない事務所に彼の想いは届かなかった。代わりに他のビジネスの提案をあれこれ話し合い、折角だからまずいカレーを食わせて帰した。

2006年 4月 27日 (木)
 朝起きて、風呂に入り、着替え、朝食を食い、歯を磨き、さあ一日のはじまりだと行動を開始しようと思った瞬間、突然の睡魔に襲われ、椅子に座ったまま昼くらいまで眠った。気分爽快で出社。仕事。夜、昨日までのビデオを返すの忘れていたのに気づき、落ち込む。延滞料金を支払った帰り、スーパーに寄り男爵コロッケを買い、夕食はコロッケご飯を食った。コロッケご飯というのはあたたかいご飯の上にコロッケをのせ、表面が黒く染まるほどソースをぶっかけ、箸でコロッケをつぶしてご飯と一緒に食う、ジャム・ハム・サンドやアイスクリームご飯、ラー油ご飯などと並んで俺の好きなB級グルメ・メニューのひとつである。食後オーラの泉を見て、ちょっと仕事し、寝床に入ったが、相変わらず不眠症が治らず、三十分くらいしか眠れなかった。眠れない間、こないだ蒼天航路クロニクル最終巻を読んだ勢いで、高島俊男の三国志の本を再読した。不眠症だが、そのぶん読書時間が増えて気分的にはまんざらでもない。だからいつまでも不眠症が治らないのかもしれない。

2006年 4月 28日 (金)
 昨晩は三時間。その前は三十分。睡眠時間のことだ。すっかりショートスリーパーホールドな人間と化している。ホールドは余計かもしれない。不眠と戦っている間、最近読んでる本は東野圭吾の「白夜行」。知り合いに面白いと薦められたのだが、普段読んでいる名文と比べて、この手のミステリーは単に物語を文章で説明しただけという印象しかなく、俺の尺度ではもはや小説でさえない。かったるいが、読んでて続きが気になるので話しを追える程度に飛ばし読み、ななめ読みしている。読みやすいことは読みやすいけどね。好みの問題だろうか。

2006年 4月 29日 (土)
 一昨日の日記を読んだコジロウさんから「アイスクリームご飯とは何ですか?」と質問があった。お答えしましょう。アイスクリームご飯のスペシャル・レシピの紹介。1)ご飯を炊く。2)茶碗に軽くよそう。3)冷ます。4)バニラ・アイスクリームをふんだんにのせる。5)牛乳をかける。6)スプーンで軽くかきまぜながら食う。以上である。これがうまい。以前テレビでかの服部栄養専門学校校長である服部幸應氏も「これはうまいですよ」と太鼓判を押していたので、B級グルメながら侮れない一品なのだ。ただし食い過ぎると気持悪くなるのでほどほどに一膳程度で終わらせるのが重要である。「それでは、ラー油ご飯とは?」と続けてコジロウさんから質問。ついでにお答えしましょう。ラー油ご飯のスペシャル・レシピ。1)ご飯を炊く。2)茶碗に軽くよそう。3)味付けにウスターソース(薄めためんつゆでも可)を軽くかける。4)ラー油をたっぷりかける。5)ガーッと食う。以上である。これは以前米国の日本料理屋に勤めていた時、一緒に天ぷらをあげていたベトナム人がご飯にラー油をかけて食ってたのをヒントに開発したものだ。ピリッとした味わいが食欲をそそる一品でだる。ちなみにこのレシピにラー油を抜くとソー・ライスとなる(漫画「美味しんぼ」参照)。

 夜、占い師のあたる大先生と長電話。先先月も彼女とオーラの泉な会話を展開したのは記憶に新しいが、今日もためになるお話しをいろいろ聞けた。
 最近会社の経営が悪化して貧乏に喘いでいることを打ち明けると「浅野さんは生涯にわたって芸術活動を通して人々に影響を与え続ける使命を持って生まれてきているので、路頭に迷ったりすることは絶対ありませんから、大丈夫ですよ」と言われた。また続けて「それに、実際あまり心配してないでしょう」と霊感で胸の内を看破された。この人にはかなわない。
 ちなみに具体的なビジネスのアドバイスとしては「永田萠のイラストの如く」とのこと。永田萠は知らんので、俺はそれを「蒼天航路の曹操の如く」と解釈した。とりあえず俺がわかっていればよいのだ。

2006年 4月 30日 (日)
カリーナ ミクシィでみつけた印度カラオケのオフに参加。その名の通り、インド映画の曲だけのカラオケ・パーティである。周囲にインドについて語り合える友人がほとんどいないので、最近ミクシィで積極的にインド系のオフに顔を出している。
 一張羅のクルタ・パジャマを持参し、現地で着替え、インド気分で参加(下画像参照)。カレーを食いながら、インドの曲を聴いたり歌ったり、カラオケのモニタに流れるインドのダンス・シーンを眺めたり(上画像参照)、インド映画について語り合ったりの4時間。非常に楽しく、そして有意義だった。
くるた 俺が主催するカリシュマ・カプールのコミュニティに参加している人とも初対面。あとインドの歌謡界で俺が一番好きなPoornimaという歌手のファンの人もいて、驚いた。Poornimaはあまり有名ではなく、知っている人さえみたことないのに、ファンがいるとは、如何にこの空間が凝縮されたものかがうかがえる。ちなみに歌った曲は「Tujhe dekha to yeh jaana sanam」と「Pardesi Pardesi」。言葉がよくわからないのでほとんどサビの部分しかまともに歌えなかった。次回はひらがなの歌詞でも持参するか。帰りはクルタにジャンパーというちぐはぐな格好で電車で帰った。
 この勢いでそろそろヒンディー語でも習おうかな。


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