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アメリカン・ビューティ

 まずタイトルを見た時に「女の話か」と思い、あのケヴィン・スペイシーが、「美少女に恋をする話」と聞いて興味を削がれ、その作品が「アカデミー賞5部門」も受賞してしまった事でますます「アカン」と思った私は愚か者でした。

なぜならば、そのタイトルが薔薇の銘柄である事からも判るように、これは正真正銘のホモ映画だったからです。なんとも複雑で不思議な良く出来た大人の映画なので、話を短くする為にもここでは主人公レスターの命を絶った真犯人である「隣のおやじ」視点からのみ語ってみます。

全編に渡ってホモホモなので、妄想力を駆使する必要はありません。

郊外に洒落た邸宅を構えるしがない中流中年リーマンの主人公レスター(ケヴィン・スペイシー)の朝は、シャワーでの手仕事から始まります。隣に住んでいるのは、どちらもジョンという名の、とってもリバシなカップル。仮面夫婦である妻の運転で出勤し、リストラ推進の為にヘッドハンティングされてきた年下上司には「ご奉仕をしなければクビだと言われたと言ってやる」などと脅して会社から金をぶん取ります。これがすんなり通るあたり、多分この上司もホモなのでしょう。

そんな彼はある日、娘の同級生の美少女(?)アンジェラに一目惚れし、彼女の一言でマッチョな体になるために奮闘する、というのが一般の筋ですが、物語の鍵を握るのは彼女ではなく、娘のBFであるリッキー君です。最近レスター宅の隣に引越してきた彼は、その不気味系のルックスの通りミステリアスな過去をもち、現在は薬の売人をやってる高校生です。

彼の厳格な父親(クリス・クーパー)は軍人あがりで「ホモ嫌い」を豪語するホモ。彼は一目会ったその日からレスターに恋し、息子が撮ったビデオに収められていたレスターの筋力トレーニング風景に目が釘付けになります。そしてその想いは、息子がレスターにヤクを売りに行った様子を窓から伺って、二人がイイコトしていると勘違いする(またこれが笑っちゃう位にそう見える体勢で撮られている)ことによって爆発します。帰宅した息子にジェラシーの余り暴力を振るって勘当しその勢いで「もう我慢できない!」とばかりに雨の中レスターに会いに行く、マニア垂涎ものの「雨に濡れた半裸のおやじの抱擁キスシーン」がここで展開されるのであります(うひょ〜)

先立っての「不幸な」勘違いに続き、ここでも思わせぶりなレスターのセリフがあります。(ここでのやりとりは余りにベタなので個人的には気に入りません)「カミさんがよその男と寝て平気なのか?」との問いに「自分らがノーマルだという事を装う為の見せ掛けの夫婦さ」だとか「どうして欲しいか言ってごらん」などと言われたもんだから、オヤジはその胸に飛び込んでキスしたのに「何か勘違いしてるのでは」(するやろ、そら)なんて言われたものだから…。その愛を受けとめていたらレスターは殺されなくて済んだのに…。そして我々はメジャーな映画では稀有なオヤジ・プレイを目にする事が出来たのに…。

余談ではありますが、私がこの映画を最初に観たのは機上で、しかも最初に観たシーンが幸か不幸かこのハイライトシーンでした。あまりに希望どおりの展開に、酔っ払って幻覚を見ているのかと一瞬不安になりましたが、すぐにこの映画だと判った瞬間「嗚呼私はやおいの神様にだけは見守られているのだ」と感動しました(笑) 一人一台あてがわれたモニターで連続上映される他の映画達をそっちのけ、私はこのシーンだけはしっかりと4回観ましたっけ。隣席でパソコンをいじくるリーマンの目を気にしながら・・・・。

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