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対照的な二人 / PRICK UP YOUR EARS

今、思うと「よく、この映画を前売りを買ってまで、劇場に行ったよなぁ」としみじみ回想すします。そんな映画なんですよ。
窓口で、前売りを買ったときの驚き(前売券のパンチラ画像に釘付け…)は、今は懐かしい記憶ですが(笑)
 「前売り、大人一枚ね」(…って、復唱かいっ、大人しか入場できないのと違うんか?!)…というツッコミは『もぎりのお姉ちゃん』にいっても無駄なので、心の中で叫びました。ただ、見た時はインパクトの強さに圧倒された(話の内容のヘビーさも)のと、ラストの辛さに見終ったあとの重苦しさに、どんよりとしました。テレビの深夜枠での放送(ゴールデンタイムは、やっぱ、無理っしょ?)で何度となく見ました(もとより、ビデオでも)が、何度見ても、ラストは変わらないんだという、当たり前のことに思い当たりましたが…。

公開当時はかなりショッキングな内容でした。今、もしこの映画が公開されてもそれほどショッキングではないでしょう。時代は変わったもんです。(ほお〜)

-------------------------- あらすじ ----------------------------
ロンドンの演劇学校で知り合った、ジョーとケネス。正反対の性格だったが同棲生活を始める。そして共同作業で戯曲を書き上げることで、ケネスはジョーとの愛を共有していると思っていた。しかし、ジョーの性生活が破天荒を極め、次第にケネスを精神的に追い詰めるようになる。二人が離れて暮らした間に、ジョーは劇作家の道を上り、有名になっていったが、ジョーを有名にしたのは『ケネスとの赤裸々な生活』を描いたモノであり、、ケネスはそのこととジョーへの愛情との間で悩み、精神が崩壊していった。
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話の内容はホモ同士の痴話げんかの慣れの果てなんて言う、ものの見方をしてはいけません。これは「ジョー・オートンとケネス・ハリウェルの無理心中事件」とう実話を元に制作されたものですが、私は見ていて、男同士がどうのこうのというよりアルフレッド・モリーナ演じる「ケネス・ハリウェル」に感情移入してしまい、見ているだけでかなり、辛かったです。
 彼のおかれている立場や状況は私自身とは全く持ってかけ離れたものですが、彼が切なくゲイリー・オールドマンの「ジョー・オートン」を見つめるたびに、 天国への階段を一歩一歩昇っていくように見えたからです。

ゲイリーが好きで、この映画を見に行きましたが、私はゲイリーよりもアルフレッド・モリーナの演技に感動してしまいました。ただ、最初から最後までとうしで見てしまうと、悲しさ100倍になってしまうのでここ数年はビデオで飛ばし飛ばし、見ています。このケネス役のモリーナは最近では「スパイダーマン2」でドクターオクトパスの役をしています。ゲイリー・オールドマンはカメレオン俳優といわれていますが、この映画でのモリーナは彼に負けず劣らずの役者魂で彼の演技が光っています。 (ツルッパゲモードですよ)

 これはあくまでも映画であるので、本当に彼らの間になにがあったのかは判りませんが、ケネスが寄せる愛情とジョーの愛情(それが愛情と呼べるものならなのですが)は次元が全く違うのです。ジョーの破天荒ぶりはケネスの愛情を踏み台にしてケネスの才能を吸収し、自らの才能を開花させていく。しかし、その貪欲で自由奔放なジョーの魂に冒されるように自らの精神を病んでいくケネスが哀しいんです。ラストシーンで、ケネスがジョーを殺害し、自分も自殺をし(図ったかどうかはわかりませんが、成行き上、そうなってしまったのでしょうね)二人の死亡後、対照的な葬式が全てを物語るようです。大勢の参列客で盛大に荘厳に行われるジョーの葬式に対して、ケネスの参列客はたったの2人…。ケネスに対する世間の見解と彼への偏見ゆえに、です。なんだか、書いていて又、よけいに悲しくなってきた…。

話は変わりますが、噂には聞いていたあのイギリスの公衆便所…。
ジョー(ゲイリー)が男と関係を持つシーンで公衆便所でのシーンが有りますが、ゲイリーが通りすがりの男と目配せするやいな、小柄な彼を抱えて天井にある電球に手を伸ばして、電光石火のごとく取り去って辺りを暗闇にする場面にはビックリしてしまいました。(…凄い、早業です)これには、メガトン級のトンカチで殴られたぐらい、インパクトがありました。
 それと、彼が有名な劇作家ってことはわかっていましたが、ビートルズと関係がある(名前は同じだが、全然気付いてなかった…)劇作家だということに 因縁を感じてしまいますね。

 彼は当時、ウルトラ有名人であるビートルズの映画脚本をする予定だった人なんですよ。この話も映画の中でちゃんと出てきます。結局、彼の脚本は却下(当然だわねぇ、あんな内容、許されんでしょう…ただ、私は「激惜しい!」と思いますが)その結果ビートルズの映画は 平凡な映画になっちまったじゃないですか?(…非常に、惜しいなぁ)

監督はスティーブン・フリアーズで、この「プリック・アップ」の前作品は「マイ・ビューティフル・ランドレット」(主演:ダニエル・デイ・ルイス)です。両方ともイギリスのホモ映画ですが、とってもいいですね〜イギリス特有の妙な『暗さ』がです。

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