非幻想異端的日常
2007年 8月 1日 (水)
道産子赤飯 最近の主な食生活は、昼→ふりかけのおにぎり(自作)、夜→カップラーメンとざく切りキャベツ、である。平日は働きに出てるので、昼食は自分で作って持っていった方が経済的だが、料理の出来ない俺には、おにぎりくらいが関の山というわけだ。帰ってからも仕事をするので、夜はさくっと麺類と野菜で片付ける。
 今日はふいに北海道の赤飯が食いたくなり、朝、餅米に食紅を入れて、甘納豆を乗せて炊いた。何度も言ってるが、北海道の赤飯は豆の代わりに甘納豆が入っていて甘く、色は食紅でほのやかなピンク色に染まっていて美しく、俺はこれが普通の赤飯と同じくらい好きなのだ。弁当箱に詰めて(画像参照)、会社で食った。
 不思議なことに、なぜか赤飯は昼食うと眠くなり、夜食うと眠れなくなる。

2007年 8月 2日 (木)
 プロレスの神様、カール・ゴッチ先生が7月28日にお隠れになった。享年82歳だそうだ。合掌。
 カール・ゴッチと言えば、ルー・テーズと並んでプロレス最強伝説をつくりあげた、プロレス史に燦然と輝く二大巨星のひとりである。
 あまりにも強すぎるがゆえに、アメリカでは相手がいなくなり、つまり仕事がなくなり、不遇の極貧生活を送ったが、日本でアントニオ猪木やUWF系列の団体からプロレスの神様と奉られ崇められ、日本では確固たる地位を築いた。
 プロレスはただ強いだけでいいというものではないので、その強さばかりにこだわった彼のスタイルがプロレス界に受け入れられなかったのは当然のことである。しかしその反面、観客にはあくまでもプロレスは最強の格闘技であり、最強を目指すアスリート達の戦いのドラマであることを演出しなければならない。その演出に、海を越えて渡ってきた生きる最強伝説の証として大いに貢献したのがゴッチという人物なのである。ゴッチ本人は演出が下手だったが、ゴッチを利用したアントニオ猪木は演出の天才だった。
 まだプロレスに夢があった時代の話しである。

2007年 8月 3日 (金)
★★★★ ヤン・シュワンクマイエルの短編集のビデオを見た。
 今までシュワンクマイエルの作品はおもしろいと思ったことがなかったので、まったく期待せずに見始めた。最初の方はゲロ詰まらず、やはりと思ったが、最後の方の短編は実におもしろかった。
 なるほど、シュワンクマイエルとはこういう映像作家だったのか!
 やっと理解できた。今まではたまたま詰まらないものに当たっていたらしい。とてもじゃないが「アリス」なんぞでシュワンクマイエルの魅力はわかりようもなかったな、これでは。
 これからシュワンクマイエルに接する方は、ぜひ80年代に入ってからのイキの良い短編から見るべし。

2007年 8月 4日 (土)
★ 「ドッグヴィルの告白」を見た。これはラス・フォン・トリアー監督の映画「ドッグヴィル」のメイキングである。単独の映像作品としてレンタルにDVDが置いてある。
 これがえらく詰まらない代物だった。そこいらの映画のDVDに特典映像でついているメイキングにもこれほど詰まらないものはない。
 つまり、特典映像のメイキングとは、あくまでも作品ではなく、作品の裏舞台を覗くためのオマケなのだ。メイキングを単独の芸術作品として完成させようとすれば、これはタダのメイキングである以上の何かがなければならず、逆説的に「ただ普通に裏舞台を見せてくれりゃあよかったんだよ」的な詰まらない作品になることは有り得ることなので、そう考えると納得がいく。
 まあ映画制作に携わる者として、興味深く見れたので、見た甲斐はあった。

2007年 8月 5日 (日)
 フレンチ・ポップス
 村上龍(69)
 ひかり荘(笛田さおり
 夢の中へ(園子温)

2007年 8月 6日 (月)
 ヒノモト監督の新作自主映画のリハーサルに参加。場所は板橋。十年ほど前このあたりに住んでいたので、なつかしい光景が行き帰りにちらほら目に入った。
 とりあえず出来ることがあったら手伝おうと思っての参加だが、どうやら俺はカメラ担当らしい。
 軽いミーティングの後リハーサル。俺はカメラを回した。ついおもしろくて役者が演技してない時もカメラを回しまくった。撮影は楽しい。
 役者さんは意外と良い人たちが集まったようだ。後はヒモノト監督の演出と編集次第かと思われる。

笛田さおり 夜、事務所でシンガーソングライターの笛田さおりさんと「音楽で映画をつくる」コミュニティのヤスダさんとコンノさんで集まり、今後の制作ミーティング。コンノさんは笛田さおりさんのミュージック・ビデオを制作し、俺は彼女の曲を元にした自主映画を制作する運びになっている。
 今日1日のミーティングで撮影規模や段取りなど、なかなか具体的なところまで決められた。ほとんどが都市でのロケになるので、かなり難しい撮影となりそうだが、下調べをみっちりやって、何とか形にしたい。

2007年 8月 7日 (火)
LOGITEC 映像制作活動をやってると、自分とこでDVDが焼けなければ何かと都合が悪いと思い、思い切ってDVD-Rを購入。LogitecのLDR-MA18FU2/WM。ヨドバシのポイントで1万円ちょっと。割と安いものだな。
 早速こないだ秋葉原で撮影して編集も終わっている着衣緊縛イベント(7月30日の日記参照)の映像でDVDを制作してみた。
 焼き付けに思ったより時間がかかったが、Macに標準でついてるソフトiDVDなどを使って本格的なメニュー画面も作れたりして、なかなかおもしろい。また新しいオモチャが手に入った。

2007年 8月 8日 (水)
 キューブリックのDVDをふたつ見た。
 68年の名作「2001年宇宙の旅」と、64年の白黒映画「博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」。どちらもほぼ20年ぶり。
★★★★★ 「2001年宇宙の旅」はいま見ると思ったよりファッションとかテクノロジー描写とか古臭かったが、それ以外はもう圧倒。ツァラトストゥラの流れる宇宙空間をただ眺めているだけで感動的な映画である。
 冒頭の猿人のシーンで、大人の猿人は人間の俳優が着ぐるみを着ていて、子供の猿人は本物の猿を使っているようなのだが、一緒に画面に映っていて違和感がまったくないところが凄い。
★★★★★ 「博士の異常な愛情」も改めて見るとたいそう見事な映画である。この天才的な演出力、まったく、キューブリックはバケモノだな。天才と言わず、あえてバケモノと言ってしまいたい。このカンの良さ、ツボの押さえ方、バランス感覚、異常と言うしかない。きっと脳のどこかが怪獣みたいに発達してるのだ。
 ちなみに原題は「ストレンジラブ博士」と人の名前なのだが、これを邦題は「博士の異常な愛情」と意訳している。これが意図的だとか誤訳だとか諸説あるらしいが、配給会社が映画本編を見てないわけないし、こんな間違いは有り得ないだろう。映画の内容と比べたら意味は通らないのに、何故かしっくりくる邦題である。

2007年 8月 9日 (木)
 先月から種をまいて育ててきた実がやっと今日ひとつ成った。
 たわわに実るまでにはまだ時間かかるかな。

2007年 8月 10日 (金)
 毎日同じパンツばかり履いてたら、ゴムが緩んできた。当然だ。新しいパンツもたまには履かないといけない。てゆうか、パンツは毎日替えるべきだ。そうなのだ。このまま毎日同じパンツばかり履き続けると、ゴムがゆるみきり、ズボンの股上にパンツをただ乗せているだけの状態になってしまう。これではもう、パンツを履いているとは言えなくなる。パンツを付けている、である。しかし悪いばかりではない。ゴムが緩めば緩むだけ、しめつけるものがなくて、ずり落ちてこない限りは履き心地は悪くはない。どちらにしろ大事な部分は隠してくれるので、パンツの用途は果たしていると言える。問題は新しいパンツを買う金がないということだ。
 そんな夜中、友人から「パンツを貸してください」と電話があった。「自分で作れよ」と難色を示すと、「では一緒に新しいパンツを作りましょう」という話になった。
 果たして新しいパンツは出来るのか。それとも俺はこのまま同じパンツを履き続け、あげくドロドロと異臭を放ちはじめ、パンツごと腐っていってしまうのか。いつの間にか少し期待している俺がいた。
 とりあえず暫くはパンツの穴からまったり世界を眺めているような今の生活を続けてゆくしかなさそうである。

2007年 8月 11日 (土)
★★☆ 1986年のロシア映画「不思議惑星キン・ザ・ザ」を見た。不思議な世界観あふれるカルトなSFコメディだが、この映画そのものの存在も実に不思議だ。旧ソ連でこんな映画、いったい何のつもりで作られたのだろうか。カルト映画というより見事な珍品である。
 シュールでギャグっぽくて、無意味で大したストーリーがなく、それなりによく出来ててそれなりにチャッちい。真面目に作ったのか遊びで作ったのか、真面目に作ったのだろうが、いま見ると遊びで作ったようにしか見えない。しかし宇宙船などのデザインや、奇妙ながら細かな設定はよく練られてて、それなりに創造性にはあふれている。
 階級に対する批判や、マッチ一本で宇宙船が2台買えるという、あたかもマッチ一本も無駄にしてはいけませんとでも言いたげなメッセージ性(?)などに、旧ソ連っぽさを感じる。しかしそんなこと、今となってはどうでもいい。
 退屈で死にそうになるか、このまったりとした不思議な空気を楽しめるかで、評価は二分されそうな映画である。

2007年 8月 12日 (日)
 自主映画のヒノモト監督の撮影初日。
 先週どこかの会社の事務所をロケ地に探してると相談され、俺がいま働いてる出向先の事務所を紹介した。どうせだだっ広い事務所に俺ひとりしかいないし、ここの社長さんはいいひとなので、うるさいことは言わない。
 というわけで本日、この出向先の事務所で撮影初日をむかえた。
 出社時間は午前11時なのだが、撮影に合わせて朝9時に代々木八幡駅で待ち合わせ。やってきたのはヒノモト監督、そして女優さんひとりと俳優さんひとりの計4人。この撮影にはやっさんも参加しているが、今日は朝帰りだったとかで、撮影が終わる頃に遅れてやってきた。
 撮影はほんの2分くらいのシーンだったので、さくっと準備してさくっと終わらせた。同じ会話シーンをアングルを変えて数パターン。
 撮影後、近くのフレッシュネスバーガーで皆と昼食。スパムバーガーがいま話題だが、初めて食ってみたがまあうまかった。スパムもタチの悪いものばかりじゃない。

2007年 8月 13日 (月)
 予定が無くなり、というより、最初から予定は無かったのにあると勘違いしててそれが昨晩判明したのだが、とにかく1日空いたので、ゆっくり編集作業ができた。
 夜、いきなり国重が近くまで来たとか言ってやってきた。「Re」の仮編集などを見せていろいろと貴重な意見をもらった。彼の指摘はやたら細かかったが、俺が撮影で撮りこぼして編集で誤摩化した点や、創意工夫が足りないと思っていた点を的確に指摘してきたので、さすがである。
 それにしても「Re」の仮編集をかれこれいろいろな人に見せているが、誰も違うことを言うので、どこがマズいのかよくわからない。ただ全体として平均的な評価レベルみたいなのは何となく解ってきたような気がする。
 その後でレイさんもやってきて、三人で明け方までワイワイ雑談。二人はゲームヲタらしく、俺はゲームやらないので、ゲームの話題はさっぱりわからず、二人で勝手にもりあがっていた。

2007年 8月 14日 (火)
 邦画「ハザード」を見た。園子温監督。オダギリジョー主演。こないだ見た「夢の中へ」は終始ギャーギャー騒ぐばかりの演出に辟易したが、演出はあれよりはだいぶマシなものの、ひとり英語をしゃべる日本人の男の演技がやたらクサくて見てて恥ずかしいやら、白けるやらで、困った映画である。

2007年 8月 15日 (水)
 お盆休みをもらったので、こないだ撮影したライブ映像の編集にあけくれた。
 調子が良くて、編集してて気持ちがよかった。
 ルネサンスを代表する彫刻家のミケランジェロが、彫像は既に石の中に有り、自分はただそれを掘り出すだけだという名言を残しているが、まさにそれは事実だとわかる。
 動画の編集をやっていて、調子が良いときは、映像に切れ目が見えるので、俺はその切れ目に沿って映像を切った貼ったしてゆくだけでよいのだ。小説を書いてる時も、ノッてくると登場人物が勝手に動き出すし、そう考えると、きっと真の画家は絵を描く前に画用紙に絵が見えるのだろう。
 俺の好きな中国文学の「列子」に皇帝が真の画家を求めて大勢の絵描きを宮廷に集めて絵を描かせたら、ひとり白紙を残したまま、ぷいと退出して隣の部屋でグースカ寝てしまった人物がいて、皇帝はそれを見て「なるほど、彼こそが本物の画家であったか」と感心した、というエピソードがあったが、きっと彼にはハッキリと白紙の上に絵が見えていたのであろう。すると、動画編集も極めたらその行き着く先は「編集しない」ということになってしまうのだろうか。中島敦の「名人伝」のラストをふと思い出す。
 映像に切れ目が見えて、その通りに動画を切り刻んでウハウハ楽しんでるくらいでは、まだまだ先は遠いということだ。

2007年 8月 16日 (木)
 編集長とタケシさんと歌舞伎町で飲みながら、仕事の打ち合わせ。タケシさんから仕事をもらい、編集長にふったのである。
 やたら不調和音の鳴り響く会合で、編集長は風邪をひいてて何をしゃべっても漫才師のツッコミのようだし、タケシさんは体調が悪く、チューハイ一杯でゲロゲロになっていた。ふたりがボチボチ回復してきたところで、俺は眠くなり、頭は妙に酒が回っていて会話どころではなかった。
 それでも何とかふたりの間で話しはまとまったようだった。よかった、よかった。

 本日、インド友達の花乃さんが満を持してインド留学に出立した。俺の交友関係では最近、有名俳優を器用して初のVシネを撮ることになった阿部監督に次ぐエキサイティングな展開である。

2007年 8月 17日 (金)
 アニメ「天使のたまご」を見た。押井守の初期監督作品で、天野喜孝が原画を描いている。
 押井守がこの作品をきっかけに数年間まったく仕事がこなくなったという曰く付きの作品だが、なるほど見てみて納得。著しく抽象的でつかみどころのない作品なのだ。
★★ 観賞する側からしたらこの抽象的な雰囲気が良いわけだが、仕事を頼む側からしたら、例え過去に「うる星やつら/ビューティフル・ドリーマー」みたいな傑作を作った実績があっても、この後どんなものをこさえられたものか皆目見当もつかず、ちょっと恐くて仕事を頼む気にならないもの頷ける。
 アニメとして動きや細部が雑で、天野喜孝の魅力が十二分に発揮されていないように見えたが、それは俺が天野喜孝の絵に何の思い入れもなかったからかもしれない。しかしところどころはっとするような美しい表現やカットがあり、とても印象に残った。
 押井守の「神話を捏造したかった」というコメントが、この作品をひと言で表す最も適切な言葉だと思う。まさに捏造された神話なのだった。

2007年 8月 18日 (土)
 ご近所のレイさんが彼女の友達のあゆみさんという方と1年ぶりくらいに再会して彼女の家で飲むことになり、それがまたご近所さんなので、一緒に飲みましょうと誘われて顔出した。
 仕事は終わっていたが明日も仕事なのでちょっとだけのつもりが楽しくて、音楽を聴いたりDVDを見たりしながらとりとめない話しで朝まで飲み明かした。
 俺もレイさんもかなり頭オカシイが、あゆみさんもそれに輪をかけて頭オカシイ人で、頭オカシイのが三人集まれば、楽しいのも道理である。このごろ頭のオカシイ友達が西新宿の近所に増幅中なのだな。

2007年 8月 19日 (日)
 俺の周囲に“信じられないくらい金の無い人々”が増加中である。
景気付け 「金が無いんです。仕事ください。今日もまだ何も食べてないんです」と深夜3時すぎに2回も電話をかけてきたTくん。
 給料日まで一銭も無い、と言うので、たまたま入った仕事をふったら「クライアントの所へ向かう190円の電車賃さえ無い」というHさん。
 「支払いが十五万あるのに、全財産が二万円しか無い」とブログに書いてたAさん。
 支払いに追われ、親戚やら知り合いやらを金策にかけずり回る日々をすごし、「最悪、ビルから飛び降りる手があるから大丈夫」と笑顔で言ったSさん。
 そして俺は今月も社員に払う給料は間違いなく足りず、毎日を数百円の食費ですごし、入金はすべてアコムへの返済に消え、返済伝票の「お利息数千円」の文字に人生の矛盾を感じつつため息をつく。
 これは類が友を呼んでいるだけなのか、日本経済が崩壊している証明なのかは、定かではない。

2007年 8月 20日 (月)
 ヒノモト監督の自主映画「夏を終わらせる儀式」の撮影にカメラマンとして参加。俺が参加するのはこれが2日目である。照明はやっさん。レイさんが見学でついてきた。
 昼頃から学芸大学で室内の撮影。夜は隅田川まで移動して外の撮影。
 やたら段取りが悪く、昼間の撮影は2時間遅れくらいで終了し、ささっとめし食って隅田川に移動。時間が足りなくて結局、最後まで撮りきらなかった。ヒノモト監督は帰りずいぶん落ち込んでたご様子。気を取り直して頑張って最後まで完成させてほしい。

2007年 8月 21日 (火)
 アニメ映画「パプリカ」を見た。今敏監督。主人公パプリカの声は林原めぐみ。やっぱり江守徹の声はいいね。
★★★ ストーリーをもう少しわかりやすくしてくれたら、この映画の魅力が伝わりやすくなってたかもしれない。単純なストーリーなのだが、情報を出してゆく順番が間違ってるのか、セリフに問題があるのか、とにかく最初の方は話しがわかりにくかった。だから何となくこの映画と俺の間に距離みたいなものが出来たまま、最後まで見た。
 映像は美しく見応えあるが、宮崎駿や押井守の諸作品で見たことあるようなシーンが多くて、見ていてつい比べてしまう。押井守の「イノセンス」のリアルなフェスティバルや、宮崎駿の「千と千尋の神隠し」の八百万の神たちの宴会などに比べると、この映画のパレードのシーンも安っぽくさえ見えてしまう。
 こんなよく出来た映画がイマイチに目に映るなんて、日本のアニメってなんてクオリティが高いんだろう。ジャパニメーション恐るべし。

2007年 8月 22日 (水)
 レイさんの奢りでゴールデン街で飲んだ。店は最初シネストーク、後半は場所を変えて談SINGシネマ。シネストークのカウンタでは着衣緊縛の乙女が酒を作っていた。縛ったのはもちろんレイさん。見境ない。談SINGシネマでは映画のプロデューサーの方とお会いして、軽く映画談義。帰り松屋でカレーを食って帰った。

2007年 8月 23日 (木)
 レイさんからゴールデン街で下関マグロさんと飲んでると連絡が入り、仕事が終わってから合流。俺は体調を考えて連日で飲まない主義だったのだが、最近マグロさんとご無沙汰だったので、特別に禁を破ったのだ。店はエイプリルフール。三人で1時すぎくらいまで飲んで、帰り神座でラーメンを食って帰った。

2007年 8月 24日 (金)
 給料日。毎月この日は精神的な地獄を体験する(これまで日記参照)。
 今朝も気分が重くてなかなか起き上がれなかった。なんとか身体を起こし、朝の支度をしていたら、誰かがドアをノックするので出ると、宅急便だった。オンライン書店BK1から注文していた本が数冊届いたのだ。本が届いた嬉しさに、一気に心は軽くなった。机の上に届いたばかりの本を並べ、好きな一冊を手にとり、支度をしながら読みはじめる。
 支度が終わり、並べた本から思いの二冊を鞄に入れ、外出。
 社員の給料をおろしに銀行に行くと、残高が数万円しかない。これではしょうがないので、アコムへ直行。先月の給料を払った時につまんだ借り入れの返済が終わっておらず、上限いっぱい引き出してもまだ足りない。困って出向先の社長に今日ちゃんと給料出るか携帯を鳴らしたが、出ない。彼も苦しいのだ。実はまだ先月の給料ぜんぶ貰っていなかったりする。
 以前は給料日とは、ひと月のあいだ血汗流して働き稼いだ金が一気に無くなる日だった。今はひと月のあいだ少しづつ返済してようやく減ってきた借金がまた数倍になる、ふりだしに近付くことさえ許さない、非情な運命を骨身に痛感する日である。
 とりあえず出向先の会社に向かったが、頭の中は、行きの電車で買ったばかりの本を読むことが楽しみで仕方なく、足取りは軽かった。
 なるほど、これからは給料日の到着に合わせて、ネット通販で本かDVDを買えばいいのだ! そうすれば、俺は毎月この日の地獄から解放されるのだ。敵は内にありとはよく言ったものである。
 さて、根本的な解決はと(果てしなく続く)

2007年 8月 25日 (土)
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 邦画「SURVIVE STYLE5+」を見た。「サバイブ・スタイル5+」と読む。キャストがスゴイ。浅野忠信、小泉今日子、荒川良々、千葉真一、阿部寛、橋本麗香、岸部一徳、麻生祐未、他。
 “日本映画じゃないニホンエイガ”というキャッチで公開され話題になったらしいが、キャッチの通りこれまでの日本映画にない感覚を取り入れた、キッチュでカラフルでその実かなり安っぽい映像に、登場人物がすべて変態で、5つのエピソードが入り乱れるオムニバス的パルプフィクション的ストーリーは破綻しまくり、演出もカメラワークも凝りに凝ってるが雑そのもの、ストーリーの破天荒さと勢いだけで、呆れたり失笑したりしながら、最後までそれなりに楽しんで見れるという映画である。
 こういう映画は好きだが、如何せん、出来が悪すぎる。しょっぱなから陳腐なセリフとバカな演出と下手クソな編集が恥ずかしげもなく、最初の2分で駄作の臭いがぷんぷんしてたが、素晴らしい豪華キャストと勢いだけでなんとか最後まで楽しんで見れた。ちゃんと作ったら傑作になったのに、そう思うと多少なりとも楽しめても素直に褒めたくない映画だ。
 俺的にキャッチは“バカ映画じゃないけどバカな映画”と改めたい。

2007年 8月 26日 (日)
 押井守の昔のOVAアニメ「御先祖様万々歳!」の第一話を見た。時期的にはパトレイバーの直後あたりの作品。
★★★ 押井先生はこれを作った時、人から「真面目にやれよ」と叱られたらしいが、確かに不真面目にいい加減な仕事をしているようにも見える作品ではある。が、押井守のインタビューを見ると、ちゃんとそれなりの創作意図があってこんな作品に仕上がっていることがわかる。しかし絵は簡略的で手抜きのごとくシンプル、アクション無し場面転換無しの会話劇のみ、その中に突如として現れるフザケてるとしか思えないようなギャグや前衛的な音楽の使い方。やっぱり真面目に作っているとは思えない。
 「明朗家庭崩壊喜劇」というコンセプトといい、押井守テイストは生きてる。一応、この後の展開は気になるな。

2007年 8月 27日 (月)
GOLDEN FESTA ゴールデン・フェスタ2007に参加。
 これは新宿ゴールデン街37店舗が参加し、37店舗のうち好きな15店舗を回ってドリンクを一杯飲むごとにスタンプを押してくれるという、ゴールデン街飲み歩きスタンプラリーなフェスティバルである。
 俺はYOYOという店でひと月前から前売り券を4500円で買っていた。チケットを購入した店は飲み放題、それ以外の店は一杯づつのみというシステムである。
 まず受付を済ませ、ゴールデン街に突入。すぐにレイさんと合流し、一緒に回った。彼女は既に6件ほど回ってて、酔っていた。
 以下が飲み歩きのアラマシである。カッコ内は飲んだドリンク。後半キツくなって、非アルコール類ばかり飲んでいた。
 一件目。Hair of the Dogs(カルアミルク)。パンクとプロレスとウルトラマン他サブカルの店。レイさんはどこに入っても知り合いばかりらしく、ここも初来店ながら知り合いだらけみたいだった。
 二件目。YOYO(ジン+コーラ他)。レイさんがここのチェーン店であるシネストークのカウンタの美女を縛りたいので縄をとりに寄っただけのつもりが飲むはめに。カウンタには先日の飲み会で知り合った美女ラーイさん。
まきんこさんの緊縛 三件目。シネストーク(スクリュードライバー)。プチ緊縛ショー(右画像)を眺めながら飲んだ。
浴衣美女 四件目。QUNAI BROS.(たぶん焼酎+コーラ)。“おっぱいと三国志の店”というフレコミに誘われて入ってみたが、確かに店主が三国志関係の著書を書いてたりはしたが、おっぱいは何処にも無かった。浴衣姿の美女(左画像)がウヨウヨしているだけだった。
 五件目。クラクラ(モスコミュール)。15年前初めて夜長さんと会った時に来た、初めてゴールデン街で飲んだ店。15年前夜長さんが座った、タコ八郎の銅像のすぐ横の席で飲む。俳優の店主さんは相変わらず。
 六件目。M2S(ヨーグルトリキュール+オレンジジュース)。店内所狭しとフィギュアが並べられているヲタクな店。カウンタの女性もコスプレ。店主に「ひぐらしの鳴く頃に」の続きをやるよう熱弁された。ひぐらし、去年から止まっているのだ。
 七件目。呑家しの(ウーロン杯を数滴)。甘い酒が無いというので、何を注文したものか迷っていたら、何も言わずにいきなりウーロン杯を出された。俺は烏龍茶が飲めないので、飲まずに話しだけして出た。
 八件目。GOLDEN DUST(たぶん焼酎+コーラ)。今年新しくできた店らしく、店長さんは良い人。
 九件目。チキート(たぶん焼酎+コーラ)。もうこのあたりになるとどこがどこやらよく覚えてないのだが、二件目のYOYOで出会った園子温の映画にも出演した美しい女優さんがカウンタにいたのは確かこの店だったかな。
 十件目。花うさぎ(たぶん焼酎+コーラ)。ずっとエヴァのDVDが店内のテレビに流れている店。
 十一件目。BARCA(トマトジュース)。そろそろアルコールがきつくなってきた。パンフにモーツァルトと書いてあったのでモーツァルトを期待して入ったが、モーツァルトは流れておらず。イギリス人がいて、英語で話してた。俺「この店にはよく来るんですか?」イギリス人「いや、初めてだ」俺「どうしてこの店を?」イギリス人「嗅覚さ」
 十二件目。ナマステ(トマトジュース)。インド系の店で、アジア系の店内だったが、インド映画のサントラはほとんど踊るマハラジャしか置いてなかった。
 十三件目。ふたたびシネストーク(忘れた)。あまり記憶がありません。
 十四件目。ふたたびYOYO(たぶん焼酎+コーラ)。カウンタは天然美少女のヤマダさん。またレイさんが縄で縛っていた。
 以上、というわけで、十四件だった。思ったより回れたな。こんな飲んだのはひさしぶりだ。あと、なにげに美女度が高かったな。
 帰ってカップラーメンを食って寝た。

2007年 8月 28日 (火)
萌え♪ 最近のマイブームは柳原可奈子である。仕事場で昼休みとか、YouTubeで彼女の芸を何度も繰り返し見ては笑っている。人間の特徴の捉え方、演技力、これらをすべて自分でやっているのだとしたら、間違いなく天才だ。誰か演出家がいるのだとしても、これだけの芸を実体化させ笑いにつなげるには天性の演技のカンの良さとか想像力が必要だろう。これで21歳とは末恐ろしい。俺の予想ではこの才能がお笑いに留まるはずも無く、いずれ日本を代表する個性派女優に成長することは間違いない。

 というわけで本日は柳原可奈子特集である。
 上から「合コン前の女子大生」「総武線沿線の女子高生1」「総武線沿線の女子高生2」「カリスマショップ店員1」「カリスマショップ店員2」。おすすめ順に並べてみた。

http://www.youtube.com/watch?v=cm5Tz6wjEEk
http://www.youtube.com/watch?v=6h-VATt5gLU
http://www.youtube.com/watch?v=FCKIthJKVQ4
http://www.youtube.com/watch?v=anz0HykuMjE
http://www.youtube.com/watch?v=Omf595cssWE

 ちなみに彼女のブログでは彼女がまだ無名の18歳だった頃から日記が綴られていて、芸人として成長してゆく過程が伺い知れて興味深い。
 ひとつ、俺が去年何度か足を運んだ新宿バイタスの舞台にも立っていたと知って驚いた。もう少し早くバイタスに通ってたら初々しい彼女の芸が見れてたかもな。

柳原可奈子のブログ
http://yaplog.jp/yanakana/
http://diary8.cgiboy.com/0/dietism/

2007年 8月 29日 (水)
 そもそも不景気で自分の会社の経営がまわらなくなり通いはじめた出向先であるが、出向先も不景気で、まともに給料が出ていない。
 これでは何のために働いているのかわからないので、昨日今日と休みをもらって通常なら外注にふるはずだったホームページ制作の仕事をやっつけた。
 まだまだ支払いが追いつかないので、現在、他にバイトを探している。生きるのが辛くて、何ごとにも気力がわかない。今朝もなかなかベッドから起き上がれなかった。
 今日テレビをつけたら、どこかの外国の貧乏な人々のドキュメンタリーがやっていた。その悲惨な生活を送る人々に自分を重ねあわせていると、不思議とやる気が出てくる俺がいる。
 いつか業績が復活して儲かったら、きっと彼らにお礼をしたいと思う今日この頃である。

2007年 8月 30日 (木)
 ずっと前にレンタル落ちで買ったアメリカ映画「フライド・グリーン・トマト」の中古ビデオを見た。メアリー・スチュアート・マスターソン、ジェシカ・タンディ、キャシー・ベイツ主演。
★ 16年前、アメリカに住んでいた時に劇場公開され、映画館に見に行った作品だが、あの時は字幕が無かったので、ストーリーがよくわからなかった。今日、初めてちゃんとストーリーを把握しながら見てみたら、なんともこれは、ヘンな映画じゃないですか。
 一見、ちょっと悲しく悲惨で、最後はほのぼのとさせてくれる、普通の感動もののドラマに思えるが、やたら人は死ぬし、殺人あり、カニバリズムあり、片腕切断あり、黒人差別あり、レズっ気あり、ツッコミどころありの、何が言いたいのかよくわからん映画である。しかもエピソードはすべてが中途半端で浅く、そのことごとくが納得いかない。
 目指すものが制作者の器からあふれ出たか、器の底に穴が空いてたか、はたまた田舎の暗黒に巻き込まれてしまったかで、どこか間違えてしまったものの、不運にもカルト映画にさえなりきれず、しかし幸いにも普通の映画の範囲には納まることが出来た、典型的なアメリカ映画と言えよう。
 フライド・グリーン・トマトを食ってみたい。

2007年 8月 31日 (金)
 出向先の会社から給料が出ないので、もうひとつバイトを見つけようかと、知り合いの会社に面接に行ってきた。
 最近の日記を読んで、うちの会社はそれほどまでに窮地なのかと思われていることであろうが、実はうちの会社はここ数年ずっと悪くて、ここ数年の中では今はそれほど悪い方ではない。これまでは窮地に陥ると融資を受け、その金が底をつくとまた融資を受けを繰り返してきた。もう切りがないのでここらへんで融資を受けるのはヤメて、最悪バイトしてでも凌いでみようと考えてもたらされたのが今の状況なのだ。だから今の苦しさは単に融資を受けずに自力でやってるからであって、会社そのものの赤字の度合いは減っている。僅かな赤字でも蓄えが無かったので、融資なしでは斯様に辛いだけなのだ。
 もともと俺は芸術至上主義なので、事業に興味は無い。会社を経営したのも、どこの会社に勤めても勤まらず、すぐに辞めたくなってしまい、二十代の頃はいろんな会社を転々としていた。ちょうど三十歳の時に新しく転職した際、もう切りがないのでこの会社が続かなかったら就職は金輪際辞めようと決意した。一年半後、やっぱりその会社も辞めたくなり、就職しないのなら独立するしかないので、独立した。それがいつの間にか会社になってしまっただけのことなのだ。どこまでいっても俺の会社経営はフリーターの延長戦上なのである。
 以上の就職や融資の話しを聞いてもわかる通り、俺は同じことを繰り返してると、そのうち思い切った方向転換をしたくなる性分らしい。
 こうしてバイト生活に身を投じてみようかと一瞬思ったのも、決してそれほど切羽詰まっているからではなく、同じことを繰り返す周期を断ち切るための方向転換のひとつなのである。とりあえず俺は芸術活動が出来て、それ以外の生活は経験になりさえすれば、それでいいのだ。芸術活動はどんなに忙しくても時間は作るし、経験は定期的に人との出会いがあって、あとは変化があればそれでよい。
 と、ここまで書いた文章を読み返して、この文章をどう締めようかと悩んでいる。実はバイトは結局、様々な理由でやらないことになったのだ。バイトをやらないことに決めた上で、バイト生活をさもこれから続けてゆくかのような釈明文を綴っている。いったい俺は何が言いたかったのだろうか。この文章を書きはじめたときの記憶が既になかったりする。
 ああ、オチがない。申し訳ありません。


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