>> site index

BACK CINEMAINDEX NEXT

Thunderbolt and Lightfoot 〜男三人恋模様〜

 ■ ウルサイっていうより

この作品に関しては、非常〜に、ウルサイ。(…と、思う)『映画の中で何が一番良かったか?』と問われると、他に印象的なものが有るにも関わらず、この作品を一押ししてしまうのだ。(うひひひ…)しかも、何度見ても良い。

イーストウッドが自分の映画会社のマルパソカンパニーを立ち上げて、2作目の作品だったが(1作目『恐怖のメロディ』の作品も結構イケた。ラジオのパーソナリティをやっているイーストウッドが、視聴者の女性からストーカーされるといった、サイコスリラーものでした)この2作目でやってくれたと思いましたな。
ここでの監督を無名の脚本家(当時は)に脚本と監督をさせて、自分のプロデュースと主演で制作した。俳優も曲者で実力派揃い。唯一の新人で重要な役回りを請け負う俳優に、俳優一家の次男坊、ジェフ・ブリッジス。(彼の演技力は定評があり、この作品の前には、『ラストショー』『ラストアメリカンヒーロー』の2作品が有りますが、どちらもとてもいい)おいしい事ばかりの作品です。

▼ あらすじ ▼
サンダーボルト(イーストウッドの役名)は小さな田舎の教会で牧師している。ただ、ド田舎の牧師にしては眼光が鋭く、隙のない態度で説教を行っていた。さして、いつもと変わらぬある日、2人の男がマシンガンをぶ放しながら教会に乱入し、
牧師のサンダーボルトを殺そう乗り込んできた。彼は危機一髪、難を逃れ、偶々、道を走っていた、ライトフット(ジェフ・ブリッジス)の車に無理やり乗り込んだ。車の乗り逃げ詐欺などをしていたチンピラのライトフットは、牧師の格好をした、奇妙な男に興味が湧いた。(車に乗り込むときに、脱臼して肩が外れてしまったが、自分一人で入れられる男が只者でないと、興味が湧いたから) この時、YAOI指数が上昇します。(ベルトの貸し借りで…)
 彼にしつこく彼自身のことを問いただした。サンダーボルトを、追いかけている男達はかつての銀行強盗仲間で、最後の仕事をした時に、あの二人は警察の罠に嵌って、刑務所に入ってしまった。刑務所行きになったのは、自分達を警察に売った「サンダーボルト」だと思い込み、出所後、彼の命を狙うようになった。ライトフットは彼がサンダーボルトと言われる35ミリ砲を使った伝説の銀行強盗だと知り、嬉しくなる。そして、かつての仲間の誤解を解いて、もう一度、同じ手口で銀行を襲う計画を立てようとサンダーボルトを誘った。

■ 女っけゼロ映画
まぁ、こんなもんですが、はっきり言って「女っ気はまったくないっス」の世界で、勿論通りすがりの人物や背景的に出てきはきますが、役名もありゃしないの虐げられた存在です。(ごりょん的には、最高っス!!)モーテルでサンダーボルトとライトフットが泊まるシーンが有りますがこれは、人目を凌いで泊まっているサンダーボルトに対して彼に喜んでもらいたい一心で、夜の友としての女を引っ掛けて帰ってきて、サンダーボルトにあてがうシーンです。(ですから、惚れた、はれたの、と言うものが無く、相手の女性も夜を楽しみたいからとの、清清しい(?)理由からライトフットに付き合ったというところが、いいんです)たしか、女の名前は「メロディ」だったような気がする。(ライトフットの相手の名前かもしれない)

話の筋には全くと言っていい程、関係ないが、ライトフットは自分が遊ぶはずだった女の子と仲たがいをしてしまい、思うようにいかなかったという、オチになるんだけどそのシーンも受け受けフェロンをサンダーボルトに発射していました。ただ、彼はストイックであり中々思った事を口には出さないタイプですので、無敵艦隊のように難攻不落で、流石のライトフットも攻めあぐねているようでした。(そうなのか?)

しかも、彼はこの時、ピチピチの20代で、実年齢と役の年齢がオーバーラップしていて実にいいんですよ。憧れビームは発射しっぱなしで、子犬のようについて回る。本当にそうなんですよ、彼に話し掛けたい一心で、彼の周りをクルクルと付いて回り、オマケにそんな状況を眼を細めて嬉しそうに口の端だけで笑うサンダーボルトが見れるんですよ。(いやらしすぎるぅ)

■ 二人でアイス
人生の大半を一人で過ごす事の多かったサンダーボルトは、彼のなれなれしい態度に戸惑いながらも、慕ってくる彼のことを突き放せないでいるっていう感じなんですよ。結構、普通の生活っていうのが彼らの中にあって、アイスクリームを二人で食べたり(図体のデカイ男が小さなソフトクリームを食べているシーンはさすが、アメリカだと感心しました)林檎を一袋とバドワイザーの6缶を提げて二人で擬似ピクニックにいっているような感じになってるし(只単に、芝生のあるのっぱらで軽い食事中って感じ)そこでは、余りに煩くサンダーボルトに付きまとって、彼の顔を見ていて注意力が散漫になったライトフットを嗜めるシーンがあります。
『おい、犬のウンチ踏むぞ』です。慌てて飛びのくライトフットが見れます。
それに、あんまり、イケてないのですがライトフットの女装姿が見れます。ピンクのミニスカートにパツキンのロングヘアーのカツラをつけて、エロオヤジを引っ掛けに行くというシーンです。

■ 微妙な三角関係
この映画は二人のラブラブショーのようですが、本当は物凄く根っこの方で繋がった愛憎劇だと思うんです。実は彼を殺しにきた2人のうちの一人、ジョージ・ケネディ扮する男はサンダーボルトと朝鮮戦争の頃からの付き合いで、生死の間をくぐり向けた間柄だと、ライトフットに告白するんです。しかも、サンダーボルトは朝鮮戦争で勲章を貰った英雄であると同時に、彼の命までも救った人物だと、言うんです。勿論、ライトフットは『だから、何なんだ?そんな人を殺そうしたのか?』と、責めるんです。その時、ジョージ・ケネディの答えは『友達だから…』と答え。『その友達をあんたは、殺そうとしたのか?』と尚も責める。しかしジョージ・ケネディは、はき捨てる様に『…友達だからだよ! 友達だから、許せなかったんだ!』と言った。(よすぎですぅ〜、あ〜ぁ、めくるめく感動の嵐だぁ)ここは、やはり『愛していたから、許せなかった』でしょうか?(あぁ、幻聴が)

ジョージ・ケネディの心を知っているライトフットはそれはそれは、意地悪で(青年特有の優越感ってやつですか?)何かにつけて、彼に突っかかる。業とサンダーボルトにくっついてみたり、ジョージ・ケネディがいやみな事を言ってライトフットをこついたりすると『彼が苛めるんだ』ともいいたげにサンダーボルトの陰に隠れてみたりする。(そんな状態でライトフットに手を出そうものならサンダーボルトから『子供を苛めるなよ』と逆にスゴまれてしまう)

そんな態度を面白がるライトフットは、ジョージ・ケネディをバカにして、しまいには『昨日、あんたが俺の夢に出てきたよ』と言う。どうせ馬鹿にしているんだろうと思っていたジョージ・ケネディは聞かないフリをしていると『あんたに迫られて、困ったよ』と言う。さすがにそれを聞いたジョージ・ケネディは頭にきて『俺とお前はなんでもない、なんでもないんだ!! わかったか?!』とライトフットに言い放ち『いつかお前をぶっ殺してやる!!』と爆弾宣言をぶちまける。 結局、これが、話の伏線となってラストへなだれていくんです。

■ 三様の心模様(超演歌風味付け)
これって、実に微妙だと思いませんか? サンダーボルトは昔からの仲間であり、親友であり、憧れる存在であり、英雄だというジョージ・ケネディ。もう、彼の存在は不可侵ならざるものであり、そんな彼が自分を裏切ったという事が許せない。
本当は心のどこかで、違うのではないかとう心の葛藤があるにも関わらず、殺してしまおうという感覚。

いつも、ふらふらとその日暮らしを続けていたのに、ちょっと変わった男と知り合いになった。しかもその男は新聞で読んだ、35ミリ砲を使い前代未聞の銀行強盗(勿論、死傷者はいない)をやってのけた男(憧れの君ですわ)だった。寡黙で頭がいい男の傍にいて、またもや同じ事をしてのけようとする自分がいることに喜んでいるライトフット。
誤解も解けて、又、あの頃のように全てが元どおりに蘇ってくる感覚に浸るのが心地よく感じているサンダーボルト。付き合ったことの無い、若い男との生活は何もかもが新鮮で充実しているように感じている。(戸惑いも、心地よいってか?)

だいたいやねぇ、銀行強盗しようかっていうのに、頭金がないから働いて貯めてから、しようってのは、どういう考え方なんだよ?しかも、皆、真面目に働いてどうすんだ? 前向きなんだかなぁ…。

この微妙な三角関係は、ライトフットのジョージ・ケネディに対する日頃からの反感で、脆くも崩れ去ってしまうんだけど、ラストに至る過程は、酷く悲しく痛々しいものだ。ラストシーンで流れる、音楽も乾いた風のように淡々と流れているし、画面全体の半分を占める青い晴れた空がやけに眩しくて、現実の悲しさをこんなものだと言いたげな色をしているようだった。(ちょい、文学的…)

■ 滅多にないシチュエーション
この話を映像にできるアメリカはいいなぁって思いますね。この話はアメリカ以外の国では似合わないもの。風景もアメリカだからいいのであって、決して日本の山間風景ではないんですよ。地平線の見える何処までも真っ直ぐな道。何も無く、ただただ、乾いた風と砂埃が皮膚にチクチクと刺さってくる感覚って言うのが、この映画でのバックボーンなんですよ。(う〜ん、いいっスよ)
この手の映画が昨今少なくなっていますからねぇ。

愛情は愛情で表現してしまう、ストレート表現はそれはそれでいいんですけど、重箱の隅をつつくような、トルネードでカーブしまくりのような友情が愛情だったと、悲劇の末に思い知るっていうのが好きなんですよ。(マゾかも)ジレンマに葛藤するオヤジや、持ってけドロボー受け受けビ〜ムを発射し続ける青年なんかが、中心に映画を飾ってくれるのがいいんですけど。

絶対、お勧めですから、見てくださいよ〜。
『やっぱ、へんじゃん!』と言ってビデオ代金を返せと言われても、私には返す余裕はございませんので、皆様、大変申し訳ないが、心身ともに懐に余裕がある時にでも、ご覧下さいませ。

BACK PAGETOP NEXT

Designed by TENKIYA