2010年04月11日

新刊情報!「信じてる愛してる そう言いきれる」

信じてる愛してる そう言いきれる

芹生はるか / イラスト:兼守美行
2010年 4月 12日 発売
出版社: リリ文庫
本 定価:590円(税込)


信じてる愛してる そう言いきれる

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 要するに、自分の心の叫びを聞きつけた天祐が、自分をあの場から連れ出す
ために連絡をしてきた、ということなのか? と絶句した日嵩を、天祐が小首を
傾げて見つめた。
「―――もしかして、オレの勘違いだった…?」
叱られた飼い犬のようにシュンと尻尾を垂らした天祐に、日嵩は笑おうとして、
なぜだか鼻の奥がツン…、としてくるのを感じた。
「………バーカ…」
言った声が涙に濡れている。
「――日嵩…」
 おずおずと天祐が差し伸べてくる手を、掴んだかと思うと、強く引いて彼を抱き
締めた日嵩は、天祐の肩口に顔を埋めて小さく啜り上げた。
「せっかく、これから盛り上がるって時に呼び出しやがって…」
「――ごめんね…」
「今日の同窓会、楽しみにしてたんだぞ…」
「……悪かったよ」
「よくも台無しにしてくれたな…」
「あぁ…、すまなかった…」
日嵩が恨み言を言うたびに、天祐の身体が大きくなり、その声も少年のものから、
低くてよく響く男の声に変わってきている。
しかし天祐の肩に顔を埋めて泣いている日嵩に、その変化がわかるはずもなかった。
 否、確かに聞こえてくる声の位置が高くなって、胸板も厚くなっているような気
がしないわけではなかったけれど、それを確かめる心の余裕が日嵩にあるはずもなく、
人の―――天祐は人ではないけれど―――身体がそんなに急激に成長するなど、
気のせいでしかないと思っていた。
「責任取れ、バカヤロウ…」
「――わかった…」
しかし深い声音に、ようやく天祐の異変に気づいた日嵩が顔をあげた瞬間、
すっかり大人の男に変貌した天祐の唇が日嵩の唇に重なった。
「―――っ」
驚くくらいに巧みな口づけ。
怯えて逃げる日嵩の舌を探り当て、深く絡めて吸い上げてくる。
「んっ…! んんっ!」
厚い胸板は、力を込めて叩いてもビクともしない。
「…日嵩――」
耳に囁かれる声は低くて甘く、頬を撫でる手は大きくてあたたかい。
なぜ、どうして天祐がこんな姿になったんだ? と混乱する日嵩を、すっかり一人前
の男の姿に成長した天祐が抱き上げた。
「ちょっ…! 天祐っ おいっ…! てんっっ…! どうするつもっ…!」
 うるさい、と言わんばかりに唇を塞ぎ、『犯すような』という言葉が最もこの状況を
的確に表現すると思われる深いキスで黙らせた天祐は、軽々と抱き上げた日嵩を
彼の寝室へと運んだ。
そうしてポイ、と軽い荷物を放り投げるようにして日嵩をベットに落とすと、まるで
タマネギの皮を剥くように日嵩の服を剥ぎ取って素っ裸にしてしまう。
その間、ジタバタと抵抗を繰り返した日嵩だったが、殴りかかる拳も、蹴り上げる
キックも、天祐には全く効果はなかった。
「――日嵩が泣くと、オレが辛い…」
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投稿者 kuma : 2010年04月11日 09:04
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