2011年11月29日

お知らせ

編集さんから予定通り発売になりますよのご連絡を頂けたので、ご報告。

12月12日発売予定
大誠社 リリ文庫
『愛だけをうつす瞳』
挿絵は みずかねりょう先生です。

書店で見かけましたら、お手に取ってみてください。
よろしくお願いします!

[投稿者:yugi] 18:10

2011年08月12日

新刊情報!「闇に煌めく花」

闇に煌めく花

芹生はるか / イラスト:緒田涼歌
2011年 8月 12日 発売
出版社: リリ文庫
本 定価:630円(税込)

闇に煌めく花

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 しかし恭也の手を取っただけで、柾和の手はその指を握ることはない。
「──お食事をなさいましたか?」
  恭也の手を布団の中へ戻しながら告げる柾和に、悲しげに首を振る。
「それはいけませんね。直ぐに運ぶように伝えましょう」
「食欲がない…」
「では医者を」
「いい…。──食べる…」
「承知いたしました。──では、わたくしはこれにて下がらせていただきます。
明朝には戻りますので、警護は先だってもお知らせしました野坂が廊下に
おりますので、御用の際にはお呼びください。失礼いたします」
「まっ…! 待って、柾和…っ」
  掠れた声で呼び止める恭也の声が、まるっきり聞こえていないかのように、
後はお願いします、と孝弘に事務的に告げて柾和が部屋を出ていく。
その背の高い、がっしりとした後ろ姿を今にも零れ落ちそうな涙を落とさない
ように見送った恭也は、両手で顔を覆うと静かに嗚咽を洩らした。
「──恭也様…」
  あまりに悲しげな泣き声に、たまらずに孝弘が恭也の両肩をそっと抱く。
「まさ…かずが──」
  孝弘を振り返り、搾り出すような声で恭也は言った。
「柾和が…、好きなんだ……」
  大粒の涙をぽろぽろと零して、恭也が孝弘の腕に縋る。
「お願い…、孝弘兄さん…。柾和を──、柾和を僕にちょうだいっ…! 
柾和が好きなんだ。僕は柾和が……。柾和が手に入るならなんだってするよ。
だから僕に柾和をちょうだい……っ!」
「恭也様…」
「お願いだよ…、孝弘兄さん……」
  恭也の指が痛いほど孝弘の腕に食い込む。
「──柾和とはこれきりになされた方がよろしいかと…」
「嫌…っ! 嫌、それは嫌……」
「柾和は恭也様のことなど、少しも想ってはおりませんっ!」
「そんなこと、わかってるよっ…!
──そんなこと…、言われなくても…わかってる…」
  言って恭也は両腕で震える己の身体を抱き締めた。
「柾和は僕のことなんて好きじゃない…。わかっているけど……。
わかっているのに、駄目なんだ…。この身体が、柾和じゃなきゃ嫌だって言うんだ…。
好きな人に初めて抱かれて、身体が溶けるくらい気持ちがよくて…、
胸が痛いくらい幸せで……。キスも、愛撫も、好きな人と結ばれる痛みも悦びも…。
この身体が覚えてる…っ! もう一度柾和に愛されたい、あの腕に抱かれて、
なにもかも忘れて──」
「ご自分が伏見天皇をご継承なさったことを、お忘れになりませんよう。
──わたくしは柾和に恭也様をお慰めすることは許可しましたが、愛し合うことを
許可したわけではございません。柾和とのことはご結婚までのお遊びとなさいませ」
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[投稿者:kuma] 07:10

2010年12月28日

新刊情報!「エスケープコード」

エスケープコード

芹生はるか / イラスト:一夜人見
2010年 12月 13日 発売
出版社: リリ文庫
本 定価:590円(税込)

エスケープコード

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  どれくらいの時間が流れただろう。
  否、沈黙が時間を長く感じさせていただけかもしれない。
  ふいに立ち上がった康之が、飲みかけのペットボトルをテーブルに置くと、
  いきなり晄の腕を掴んだ。
「え…?」
  腕を引かれるままに立ち上がった晄が、どうした? と戸惑ったように
 問いかける。
「――なに…? どうした、急…」
  言葉が、康之の唇に飲み込まれる。
  突然のことに見開いた晄の瞳に、自分を見つめる康之の瞳が映った。
「う…んんっ…」
  康之の舌が、口の中に入ってくる。
「んっ…! んんぅ…!」
  腰を引き寄せる康之の手の感触。
  腕の中にしっかりと抱き込まれて、晄は混乱した。
「う…っん…!」
  握り締めた拳で康之の肩を押しても、きつい抱擁を解くことはできない。
  逃げる舌を探られ、引き寄せるように絡ませてくる康之の舌の動きが、
  生々しく感じられる。
「はっ…、あ…っ!」
  キスをしているというより、口中を犯されているような気がした。
  震えるほどに生々しくて、怖いくらいに感じてしまう。
  それは相手が康之だからなのか、いままで経験したことがない口付け
  だからなのか、晄にはわからなかった。
  腰が抜ける、という表現を聞いたことはあるけれど、実際にキスひとつで
  腰が抜けたようになることなんて、あるはずがないと晄は思っていた。
  それでもいまの自分の状況は、確実に腰が抜けている状態にあると、
  おかしいくらいに冷静に頭の中で考えていた。
  唇が離れて、互いに視線を合わせても言葉はなかった。
  言葉を忘れてしまったのか、それとも声すらも失ったのか、ただ何度も
  繰り返し唇を重ねて眼差しを交わしていくうちに、晄は康之に応えている
  自分に気がついた。
  逃げていたはずの舌が、康之の舌に応えていく。
  康之の舌を追って、その愛撫を求めて舌を差し出す。
  拒絶していたはずの手を彼の背にまわして、その確かな筋肉の感触にハッ
  とした晄が、身体を離そうとした瞬間、康之の強い腕に引き寄せられた。
  真っ直ぐに自分を見つめる康之の瞳から、そっと視線を外すと、もう何度目
  かわからない口付けで唇を塞がれる。
  抵抗はしなかった。
  なぜ彼が自分にこんなことをするのかも、考えなかった。
  彼が求めるままに唇を重ねて、彼に引き寄せられるままに彼の腕に身を任せた。
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[投稿者:kuma] 03:18

2010年07月18日

新刊情報!「切ない忘れたいでも愛してる」

切ない忘れたいでも愛してる

芹生はるか / イラスト:兼守美行
2010年 7月 12日 発売
出版社: リリ文庫
本 定価:560円(税込)


切ない忘れたいでも愛してる

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 胸がツキン…、と痛むと同時に、自分の身体の芯が熱く甘く痺れるような
感覚を覚えて、日和はひどく狼狽えた。
 ―――や、やだ…。僕は一体…、なにを……。
 頬が火照って、頭がクラクラする。
 室谷とはまだ一線を越えられないでいる自分なのに、もしかしたら心の
奥底では彼とそうなることを望んでいるのかもしれない、と日和は思う。
 だからこそ、こんなふうに室谷に抱かれる自分の姿を想像してしまうのかも…。
 そっと手を伸ばして、熱くなっているそこに触れてみる。
 元々、あまり大きくないそこは、硬く天を突くとそれでもそれなりの大きさには変化する。
「――んんっ…」
 自分で慰めたことなど、一度もなかった。
 日嵩と暮らし始める前までの記憶は全くないから、以前の自分がどう
だったのかはわからないけれど、きっと性に関して興味もなかっただろうと思う。
 室谷と付き合うようになって、インターネットで調べて男同士のセックスや
自分で慰める方法を覚えた。
 それでも自分でそこを扱いたり、あそこに道具のようなものを挿入して
慣らしたりする、などという文面を読んだだけで頭が沸騰しそうなくらい
クラクラして、どうしても行動に移してみようとは思えなかった。
 勃起した自分のそこを見たことがないわけではない。いつだったか、朝、目覚める
とそういうことになっていてひどく驚いて、日嵩に泣きついたことがあった。
 男の子の身体はそういうもので、それはごく自然なことなんだよ。
日和の身体が健康な証拠なんだ、とやさしく教えてもらって安心できたけれど、
生理現象とはいえそうなってしまう自分の身体に違和感を覚えたし、罪悪感
でいっぱいになった。
 それなのにいま、室谷を想って身体が疼くのだ。
 疼いてたまらなくて、自分で触れて慰めてしまう。
「あ…っ! あっ、あっ…」
 ―――ヒロさん…。ヒロさん、ヒロさんっ…。
「ヒ…ロ、さん…っ!」
 甘く掠れた声で恋しい相手の名を呼んだ瞬間、そこから勢いよく迸ったもので
日和の指が濡れた。
「――あ…」
 日和は唇をわななかせて、濡れた自分の指を愕然と見つめた。
 なんだかひどく、ひどく自分が汚れてしまったような気がした。
「……や――!」
 ベッドから跳ね起きて、日和はバスルームへ走った。
 寝巻きを脱ぐのももどかしく浴室へ入った日和は、シャワーを頭から浴びた。
 ボディソープを泡立てて、必死になって手を、身体中をこれでもかと擦り
つけるようにして洗う。
「汚い…。汚い、汚い…、汚い――」
 綺麗でいなければならないのに。清らかでいなければならないのに、こんな
ことをしていたら堕ちてしまう…。
 帰れなくなってしまう――。
「……帰る?」
 自分の内から湧いてきた、いっそ恐怖にも近い想いに日和は首を傾げた。
 ―――どこへ…?
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[投稿者:kuma] 19:43

2010年04月11日

新刊情報!「信じてる愛してる そう言いきれる」

信じてる愛してる そう言いきれる

芹生はるか / イラスト:兼守美行
2010年 4月 12日 発売
出版社: リリ文庫
本 定価:590円(税込)


信じてる愛してる そう言いきれる

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 要するに、自分の心の叫びを聞きつけた天祐が、自分をあの場から連れ出す
ために連絡をしてきた、ということなのか? と絶句した日嵩を、天祐が小首を
傾げて見つめた。
「―――もしかして、オレの勘違いだった…?」
叱られた飼い犬のようにシュンと尻尾を垂らした天祐に、日嵩は笑おうとして、
なぜだか鼻の奥がツン…、としてくるのを感じた。
「………バーカ…」
言った声が涙に濡れている。
「――日嵩…」
 おずおずと天祐が差し伸べてくる手を、掴んだかと思うと、強く引いて彼を抱き
締めた日嵩は、天祐の肩口に顔を埋めて小さく啜り上げた。
「せっかく、これから盛り上がるって時に呼び出しやがって…」
「――ごめんね…」
「今日の同窓会、楽しみにしてたんだぞ…」
「……悪かったよ」
「よくも台無しにしてくれたな…」
「あぁ…、すまなかった…」
日嵩が恨み言を言うたびに、天祐の身体が大きくなり、その声も少年のものから、
低くてよく響く男の声に変わってきている。
しかし天祐の肩に顔を埋めて泣いている日嵩に、その変化がわかるはずもなかった。
 否、確かに聞こえてくる声の位置が高くなって、胸板も厚くなっているような気
がしないわけではなかったけれど、それを確かめる心の余裕が日嵩にあるはずもなく、
人の―――天祐は人ではないけれど―――身体がそんなに急激に成長するなど、
気のせいでしかないと思っていた。
「責任取れ、バカヤロウ…」
「――わかった…」
しかし深い声音に、ようやく天祐の異変に気づいた日嵩が顔をあげた瞬間、
すっかり大人の男に変貌した天祐の唇が日嵩の唇に重なった。
「―――っ」
驚くくらいに巧みな口づけ。
怯えて逃げる日嵩の舌を探り当て、深く絡めて吸い上げてくる。
「んっ…! んんっ!」
厚い胸板は、力を込めて叩いてもビクともしない。
「…日嵩――」
耳に囁かれる声は低くて甘く、頬を撫でる手は大きくてあたたかい。
なぜ、どうして天祐がこんな姿になったんだ? と混乱する日嵩を、すっかり一人前
の男の姿に成長した天祐が抱き上げた。
「ちょっ…! 天祐っ おいっ…! てんっっ…! どうするつもっ…!」
 うるさい、と言わんばかりに唇を塞ぎ、『犯すような』という言葉が最もこの状況を
的確に表現すると思われる深いキスで黙らせた天祐は、軽々と抱き上げた日嵩を
彼の寝室へと運んだ。
そうしてポイ、と軽い荷物を放り投げるようにして日嵩をベットに落とすと、まるで
タマネギの皮を剥くように日嵩の服を剥ぎ取って素っ裸にしてしまう。
その間、ジタバタと抵抗を繰り返した日嵩だったが、殴りかかる拳も、蹴り上げる
キックも、天祐には全く効果はなかった。
「――日嵩が泣くと、オレが辛い…」
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[投稿者:kuma] 09:04

2009年05月27日

新刊情報!「半月刀に誓いのキスを」

半月刀に誓いのキスを

鈴木カタナ / イラスト:兼守美行
2009年 6月 1日頃 発売予定
出版社: イースト・プレス アズノベルズ
本 定価:893円(税込)

半月刀に誓いのキスを

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  「日本人は、これを接待と言うのではないか?」
  「僕は枕営業なんてしませんからっ!」
  27歳、恋愛経験ゼロの晶は、来日した中東の
  小国の王太子、カシムを女装して接待するよう
  に命じられる。
  カシムに気に入られた晶は、ホテルの彼の
  部屋に呼ばれて─── ! !
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[投稿者:kuma] 10:42

2008年12月01日

新刊情報!「君の愛は僕の罪」

君の愛は僕の罪

芹生はるか / イラスト:石田育絵
2008年12月10日頃 発売予定
本 定価:560円(税込)

プランタンさんのwebサイトは↓
http://www.printemps.jp/servlet/Satellite/p/index.html


プラチナさんは表紙の装丁がキラキラしているので、キラキラの半ケツが目印です。
桂一の半ケツgout

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[投稿者:kuma] 14:23