神宮寺レン

「完璧だね。
レディの作る曲が楽しみだ。
早く聴かせて欲しいな」
神宮寺さん……。
今のテスト聴いていてくれたんだ。
嬉しいなぁ。
早くいい曲を作って
神宮寺さんに聴いてもらおう。

「いいね。うん。素敵だよレディ。心の底から音楽を楽しめたのは初めてだ。
君との出会いは
「運命」そういうことなんだろうな」
「楽しんでもらえて何よりです。
もっともっと一緒に楽しみましょう」
……わたしも神宮寺さんと会えたこと
神様に感謝しています。

「やっぱり君はすごいな。
レディを失わなくてよかった。
これからもオレに曲を作ってほしいな」
「もちろんですっ」
いっぱいいっぱい曲を作って
神宮寺さんに歌って欲しい……。

「君の心にオレのリズムを刻み込んだら、
もっとすごい音楽を聴かせてくれるのかな？
なんてね。ふっ、冗談だよ」
「心に……。
それですごい音楽が出来るのなら
是非そうしてみたいです」
そう言ったら、何故か神宮寺さんに
笑われてしまいました。
わたし、何か変なこと言っちゃったのかな？

「知識はないよりあった方がいいね。
それに、頭のいい子は好きだよ。
知的な子っていいよね」
「あ…ありがとうございます」
あぁぁ、テストの報告しに来てよかった。
久しぶりに笑いかけていただきました。
嬉しいなぁ。
これからも予習復習はかかさないようにしよう。

翌日、わたしは作った詞を神宮寺さんに
見てもらった。
「君となら作れると思ったんだ。オレのオレだけの音楽をさ。
引き止めて悪かったね。でも、後悔は
していない。ふたりでデビューしよう」
「はいっ！
絶対絶対デビューします」
そのための努力は惜しみませんっ。
どんなことでもやらなくちゃ。

「いい演奏だったね。実に君らしいまっすぐな音楽だった。
君の作る曲はやっぱりいいな。
歌っていて楽しくなるよ」
「ありがとうございます。
今後もそう言っていただけるよう
頑張って曲を作りますね」
わたしに出来るのは曲を作ることだけだから
せめてそれだけは自信を持ってやっていこう。

「この程度で喜んでもらっちゃ困るな。プロの世界は厳しいからね。
もっと上を目指してもらわなくちゃ。
オレを失望させないでくれよ」
「はいっ！」
神宮寺さん……。
わたしのことプロとして認めてくれているんだ。
その期待に応えなくちゃ。
この仕事、なんとしてでも成功させよう。

「最後まで君には驚かされっぱなしだね。
でも、そういうのも好きだよ。本番が楽しみだね。
君のために歌うから、聞き逃さないで欲しいな」
「もちろんですっ。
絶対聞き逃したりなんかしません」
ぎゅっと握りこぶしを作って力説したら
神宮寺さんに笑われてしまいました。
ちょっと力み過ぎだったかもしれません。
でも、そのくらい神宮寺さんの歌が
楽しみなんです。