非幻想異端的日常
2006年 5月 1日 (月)
 10時すぎ。小田急線で小田原にむかう。12時。彼女と会う。ドライブ。海に行き、海を見る。海はいいね。泳ぐのは御免だが。眺めるのは有意義だ。

2006年 5月 2日 (火)
 インドカレーをつくった。最初に油でスパイスを炒める段階でちょっと焦がしてしまい、苦くなってしまった。スパイスが少しでも焦げたら最初からやりなおせ、という意味が初めてわかった。
 なんとか味を修復しようと、ハチミツを大量に入れてみたら、苦みはそのままで、やたら甘くなった。インスタントのビーフコンソメスープで薄めてみたら、やたら旨味の際立った味になった。恐らく苦みがビーフコンソメスープの旨味に同化したのだろう。黒いインクに青いインクを混ぜたら黒が深くなるのと同じことだ。
 とりあえず苦みはなくなったが、味が濃厚すぎるので、野菜ジュースで薄めてみた。まあ最初から比べるとだいぶマシな味になった。便利だな、野菜ジュース。

2006年 5月 3日 (水)
 明日からゴールデンウィーク。制作の仕事がひとつどかんと入ってしまい、あまりゆっくり休めそうにない。地獄の執筆もせねばなるまいし、遠出の予定はないがわりと忙しくなりそうだ。

 相変わらずの不眠症にくわえ最近昼間眠くて、コーヒー豆入りのチョコを買ってきた。俺の経験では眠いときはこれが一番効く。しかし眠気もしぶといもので、ボリボリむさぼり食ってもまだ眠い。事務所で思わずうたた寝してしまい、目が覚めたらワイシャツにシミが出来ていた。

 四十年くらい前の伊丹十三の本を読んでたら、何かの志を抱く男子たる者は一日のうちテレビを見る時間が書を読む時間を越えることはありえない、というようなことが書いてあって、今どきこういうこと言う人はあまりいなくなったなとしみじみ思い、懐かしさとともに共感するものがあった。つまり活字を目で追うことなく映像をボーッと眺めてばかりいるとどうしても脳の発達が偏りがちになり、感性や思考の面で退化した脳を育てることになる。これを昔の言葉で、テレビばかり見て本を読まないと馬鹿になる、と言った。ただ映像を眺める行為が悪いばかりかというとそうでもなく、要はバランスの問題で、例えるなら読書が書き手との魂の対話であるとすると、映像を眺める行為は作り手の魂との性交のようなもので、前者を嗜む比重が充実しておれば、後者も即ち意義あるものへと昇華される。つまり後者はどちらも頭を使うことなく、からだの一部を行使するだけで行なえるが、日頃培った文化的な素養である程度深遠な快楽を追求することも可能であり、それは単独の行為のみでは培われることはなく、その行為のみに終始するならやはり脳の退化を促進する危険性を孕み、発達するのは感性ならぬ感覚のみという体たらくに陥るわけだ。かく言う俺もDVDなんてものがあるお陰で脳は最近退化しっぱなしで、不眠症でなければほとんど本を読む時間もないところだが、不眠もそれはそれで脳によくないので、どちらにしろ馬鹿になる運命は避けられないのかもしれない。日記も文章がめちゃくちゃだ。まあどちらにしろ駄文だし。ってこれ、前にも同じこと書いたような。まあいいや。仕事しよう。

2006年 5月 4日 (木)
 目が覚めたら昼だった。連休初日から寝坊である。やること多いのに困ったものだ。急いで着替え出社。削られた午前中の穴埋めに、午後から夜にかけての時間帯で仮想午前と仮想昼と仮想午後と仮想夜を想定し、一日をバーチャルに再構築し、時間の配分を計算した。その後は予定通り、仕事に執筆に凝縮された一日を送った。片方はそれなりに進んだが、もう片方はあまり進まない。如何ともはや。

2006年 5月 5日 (金)
トム・ヤム・クン トニー・ジャー主演のタイ式ムエタイ・アクション映画「トム・ヤム・クン!」を見てきた。前作の「マッハ!!!!!!」は予告編を見すぎて失敗してしまったが(2004年8月1日の日記参照)、今回は何も見てなかったので楽しめた。いや、アクション自体も前作より面白くなっている。すごくなっているとはいわないが、面白くなっている。むしろすごいと言ったら前回の方がすごかった。車とぶつかったり、炎上したり、とんでもないところから飛び降りたり、「マッハ!!!!!!」ではかなり危険なアクションに挑戦していた。しかし危険なアクションと言うのも話題性はあるだろうが、見ていて実際それほど面白いものではなく、逆にいちいちスローモーションで何度も同じアクションを違う角度から見せられたり、見せびらかす態度が鼻についたりして、マイナス面も多かった。しかし今回の「トム・ヤム・クン!」は違う。正統派のムエタイアクションの連続で、プロレスラー、カポエラ、中国拳法と、バラエティに富んだ敵を相手に、普通の格闘技の攻防がじっくりたっぷり楽しめる。それでいて長回しとか巧みなカメラワークとか、割とスタイリッシュな表現もあって侮れない。戦い方も前作は「これ、ムエタイというよりカンフーじゃん?」と思うような場面が目についたが、今回は引き寄せて抱えての膝蹴りや、いかにもムエタイらしい技が多く、格闘技マニアとしては納得いくものがあった。
 お話も前作は仏像、今回は象さんということで、戦う口実としての機能を果たすこの手の映画のストーリーにあって、実に毎回タイらしい題材を選んでいるところが好感がもてる。そして今回の敵は中国人。テーブルとお母さん以外は足の付いているものは何でも食べると言われる国民だけに、最愛の象さんをさらわれた主人公の怒りと悲しみは計り知れないものがあろう。象さんも可愛く、俳優の一部として名演技と呼ぶに足るものがあった。この映画のもう一人の主役は間違いなく象さんである。
 ちなみにこの映画、また安易な日本タイトルをつけたもんだなあ、と思ってたら、なんと原題も「トム・ヤム・クン!」だった。よし。

2006年 5月 6日 (土)
 ゴールデンウィークは格闘技ラッシュで、昨日はHERO'S、今日は亀田兄弟のボクシングとPRIDE無差別級グランプリ開幕戦と立て続けにテレビ地上波で放映があった。三つとも見た。やはりダントツでPRIDEが一番面白かった。やはり俺にとって格闘技は高度なグラウンドでの攻防が醍醐味で、この二日間でのVIPはもうノゲイラで決まりだった。ノゲイラ試合開始後数秒で圧倒的な実力差を見せつけ、しかしその圧倒的な実力差も見た目は静かな、視覚的には地味なただもつれ合って倒れるといった程度のインパクトだが、その静けさの中に宿る底知れぬノゲイラのテクニック、あの蔦のようにからみつき、敵を一度マットに貼り付けたらはがさない四肢の動きは神業と言っても過言ではない。画像は試合中俺が最も興奮した瞬間(本当に地味だ)。
 藤田はここ数年ミルコやヒョードルに情けない敗北を帰し、総合での活躍はもうだめだと思っていた。試合前の紹介VTRで随分前の当時最強と言われたマーク・ケアーに勝った試合が流され、いったいいつの話しをしとるんだと脱力の思いだったが、なんとマーク・ケアーを血祭りにあげたあの試合を彷彿とさせるパワーと迫力で勝利。なるほど、パワーがツボにハマると勝ちパターンもありえるのかとちょっと見直した。
 あとなかなか面白かったのはHERO'Sの山本“KID”徳郁とかいうやつ。俺は昔から短い試合というのが大好きなのだ。その点で、亀田兄弟のボクシングも非常に面白かった。初めて彼らのボクシングを見たが、すごい兄弟だな。今後に期待。時間の問題かと思われる長兄の世界戦は見逃すまい。

2006年 5月 7日 (日)
Vフォー・ヴェンデッタ タダ券で映画「Vフォー・ヴェンデッタ」を見に行った。マトリックスのスタッフが制作したらしい。だからマトリックスみたいな映画なのかと思ったら、ぜんぜん違った。使い古されたテーマを、特に斬新というわけでもない手法で描いた作品だが、かといって平凡な映画かというとそうでもなく、ちょっとそこいらのアメリカ映画とは違った雰囲気もあり、しかし話しは基本的に普通で、所々退屈で(寝たし)、美しくもなく、例えるなら本格的インドカレーのレシピでカレーを作ったが、肝心のカレー粉はバーモントカレーを使ってしまったため、味はほとんどお母さんの作るカレーと変わらなくなってしまったという感じである。所々スパイスは効いているので、まあ惜しいと言えば惜しいが、バーモントカレーを使ってる時点で同情の余地はないとも言える。テーマ的には大切なようで、どうでもいいようで、プロットは深いようで、浅いようで、普通に面白く、普通につまらなく。すべてはバーモントカレーのせいなのだ。とりあえず「時計じかけのオレンジ」とか「未来世紀ブラジル」とかを見ていれば、わざわざテロリストの存在を場合によっては肯定する姿勢を見せてまで、暴政や管理社会の恐怖を描く必要もないんじゃないかと、そんな野暮なことを思わせる隙を与えてしまうガードの甘い映画なのだった。
 それにしても後からいろいろ考えたらツッコミどころ満載だこの映画。

 映画の帰り、100円ショップに寄った。100円ショップというのもあまり入ったことがなかったが、こんなものまで100円で売っているのかと感心した。買うべきものもいろいろあったが、30円くらいしか持ってなかったので、何も買えなかった。高いな、100円ショップ。

2006年 5月 8日 (月)
 連休最後の日。
 読書→昼寝→執筆、って感じですごした。
 まあ可もなく不可もなく。

2006年 5月 9日 (火)
 眠いので散歩した。これは歩いて眠気を覚ます意図と、体内時計のリズムを調整する意図とふたつある。なんでも太陽の光は体内時計を調整する効能があるそうだ。睡眠のリズムが崩れたら、三十分太陽の光を浴びるとよいらしい。
 新宿中央公園を歩きはじめたら、小雨が降ってきたので、木陰のベンチに座り本を読んだ。じきに雨が激しくなってきたので、散歩は中断して帰った。
 今日こそは早く寝ようと思ったら、探し物があって、探してたらまた寝るのが遅くなった(後日、この探し物はまったく意味がなかったことが判明)。
 狂いっぱなしのリズムは数々の不確定要素により修復の兆しを思わせぶりに見せつつも、なかなか修復に至らない。とりあえず今日は新しい仕事の話しが一本。

2006年 5月 11日 (木)
 経理部長の静香に頼んで、我が社の売り上げを営業別・媒体別・制作別に毎月グラフで表示できるシステムをエクセルで作ってもらった。また最近通販の在庫と仕入れ状況もエクセルで管理するようになった。そもそも今までやってなかったのがおかしいのだが、やはり数字にしてみると、これまで見えなかったものが形になって見えてくるものがあり、いわゆるこれが陰陽道で言う“式”というやつかと納得。パソコンはさしずめ式神である。うまく使えば経済に変化(へんげ)するのだ。

2006年 5月 12日 (金)
骨付きチキンのスープカレー。人気ナンバーワンメニューだってさ。けっ 仕事で池袋に行ったついでにチェックしようと思ってたインド料理が閉まっていたので(どうせまずいだろうからいいんだけど)前に友達に教えてもらったカレー食堂「心」でスープカレーを食った。よく考えたらスープカレーをちゃんとした店で食うのは初めてだ。ブームは既に過ぎ去っているようだが、まああんなものは食ってみたら解るが普通の洋食で、高いばかりで特にうまいもんでもない。普通のカレーのほうがうまい。

2006年 5月 13日 (土)
 外出しようと思って着替えるが、どうも格好がしっくりこない。鏡を見ても、この格好で外出するのはどうも気が引ける。仕方がないので外出をやめる。人はそんなことで大切な外出を断念するのはおかしいというが、家族は気にも留めず、洋服が着られることなく無事に箪笥に仕舞われたことをとりあえずよしとする。そんなことが何度も続き、とうとう俺は引きこもりになる。これではいけないと、再び外出を決意するが、やっぱり着ていく服で迷ったあげく、外出できない。
 結局タートルネックのセーターは首のあたりが気持ち悪く、見た目の問題ではなかったことに今ごろになって気がつく。いや、最初から気づいてはいたのだが、あのセーターは大切な人からのプレゼントだったので、無理にでも着なければいけないと思い、着心地の悪さを無意識に否定して、それに合うズボンや靴がないことばかりに問題をずらしていただけだったのだ。
 さてその問題を明確に自覚し、反省した俺は、いま何を成すべきなのか。セーターを捨てるべきか、着心地の悪さを我慢して、無理にそれを着るべきか、はたまた、気持ち悪い首の部分をハサミで切り取ってしまうって手はありだろうか。
 そんなことを考えた金曜日の夜だった。

2006年 5月 14日 (日)
 先日俺の日記を読んだ従兄弟のケンちゃんが「やはり日記に画像貼ると見映えがよくてつい読んじゃいますねえ」みたいなことを言った。そういうもんかと思い、今日はひとつ派手に画像を貼ってみた。

 というわけで、ミクシィの南インド料理のオフ会で、東大和市の薬用植物園に行ってきた。南インド料理のオフ会で何で薬用植物園なのかというと、ここにはカレーのスパイスとなるウコン、クローブ、カルダモン、シナモン、コリアンダー、フェンネル、クミンなどの植物が栽培されているのだ。ついでに日本国内で唯一合法的に大麻やケシが見れるという点も、興味をそそられた。
 午後1時に待ち合わせ、まずは食事。主催の怪しいおぢさん自作の南インド料理を食った(画像左上、中央上)。怪しいおぢさんはホームページやミクシィを通じて南インド料理を日本に普及させようと活動しており、彼の南インド料理食事会には一度参加したが(1月9日の日記参照)、とてもうまい。南インド料理ってとにかくうまいものなのだ。
 食後、園内散策。画像を元に解説しよう。

南インド料理と薬用植物園【左側】上から1番目…南インド料理。/2番目…ウコン。/3番目…莪述。俺がまだ痔で苦しんでいた時によく飲んでいた漢方で(2004年4月16日の日記参照)、血脈を整え、便通が非常によくなり、女性はダイエットにもよい。/4番目…大麻。/5番目…カルダモン。/6番目…忘れた。誰か教えてくれ。

【中央】上から1番目…南インド料理。/2番目…ケシ。/3番目…ケシ。

【右側】上から1番目…コラ。解説に「清涼飲料水」と書いてあったが、ひょっとしてこれがコカ・コーラの原料なのだろうか。/2番目…カカオ。枝から直接生えるのだな。/3番目…忘れた。/以下後述。

 植物園の後、近くのファミレスで歓談。軽く日本酒を飲み、南インド料理について語り合った。インド料理関係の著作のある方もいて、皆様のマニアックさに脱帽。俺が去年食って「これが南インド料理か!」と感激して夢にまで見るほどだった八重洲のダバ・インディア(2005年11月29日)を、「あんなものは南インド料理ではない」と言い放たれ、衝撃が走った。

 ファミレスの後、解散、となるはずだったが、勢いで東池袋のエーラージという南インド料理屋に行くことになった。
 実はエーラージはつい2日ほど前、個人的に行こうと思ってネット検索したばかりだったのだ。その時は駅からやや遠かったので時間がなくて行けず、代わりに不味いという評判のインド料理に行こうと思ったらそこも閉まっていて、仕方なくスープカレーを食った(一昨日の日記参照)という経緯があったので、一も二もなくご一緒させてもらった。これも運命だ。実はファミレスでうどんを食っていたのだが、南インド料理ならいくらでも入る。

 エーラージに到着し、カレーならぬ南インド料理の奥深さを堪能(画像右下の3枚)。インド料理というとどうしてもカレーとナンという印象が強いが、実際はそんなもの一部でしかなく、しかもインドは南と北だけではない、東も西もあり、それぞれの地方に実に多彩な料理があるのだ。だいたい、ナンはしいていえば北インドの食い物だが、北インドでさえほとんど食わず、日本にいるインド人の誰に聞いても、本国のインドでナンなど食ったこともなく、見たのさえ日本が初めてというインド人が多い。ましてや南インド料理にナンなど影も形もないのだが、どうしても経営のためにナンはメニューに置かねばならず、エーラージでもナンを食っている客がちらほらいた。あれが帰って「今日南インド料理レストランでナンを食べたの。南インド料理のナンは美味しかったわ」なんて家族に話していたとしたら、目も当てられない。ちょうど外人がニューヨークの寿司屋でカリフォルニア巻を食い、やっぱり日本料理はカリフォルニア巻よね、なんて言ってるよりはるかに違和感がある。俺は十年近くインド料理ばかり食ってきて、南インド料理は去年初めて知ったが、それでもナンはほとんど食ったことがなく、インド料理マニアとして無意識に正しい道を歩んできたようだとしみじみ思った。インド料理と言うとナン、ナンって、なんなんだきみたち。そろそろ日本人はインド料理=ナンという図式を見直すべきであろう。

 そんなインド料理三昧な一日であった。

2006年 5月 15日 (月)
 最近ヘンなところで年を感じるのが、なぜか漫画を読むのが面倒臭い。高校の頃までは漫画狂で、本棚は漫画でいっぱいだったし、自分でも漫画を描いてたりした。その後もぼちぼち漫画は読まない方じゃなかったが、最近めっきり、例えばコンビ二で読みたい漫画をみつけても、読むのが面倒臭くてつい買うのを躊躇してしまう。その癖、普通の書物は少しでも読みたいと思ったらすぐ買うし、いつでもどこでも熱心に読みふける。漫画はたまに買っても暫く読むのが面倒で放置されることが多い。たまに外で時間をもてあまして漫画喫茶に入っても、まず一冊も読めず、ほとんどネットを見てたりする。なんなんだ一体。
 恐らく漫画に飽いたというより、活字中毒が悪化しているものと思われる。漫画は要するに絵が多いので面倒臭いのだ。きっと。


 一昨日の日記を読んで誤解される方が解っているだけでも1名ほど続出したのであえてお断りしておくが、俺は引きこもりにもなっていないし、タートルネックのセーターなど誰からも貰ってないし、持ってもいない。もちろん「大切な人」という単語も特定の人物を指すものではない。
 しかし嘘を書いたわけでは、ない。

2006年 5月 16日 (火)
 今日は外出せず、ずっと事務所でデスクワーク。午後はちょっと散歩した。散歩のあいだ、ずっと空の青さとお金のことを考えていた。空は青く美しいが、あまりにも遠く、お金はありすぎても困るが、無さすぎるのもやはり困る。空はただそこに悠然と浮かんでいるのが好ましく、お金は少しあるくらいがちょうどいい。お金はとにかく目下最大の問題のひとつだが、空はそのままでいいのかもしれない。

 14日の日記を見たケンちゃんに「画像がデカすぎて14日の日記は読む気がしませんでした」と言われた。デカすぎるのも考えものらしい。

2006年 5月 17日 (水)
玉子入りムルギーカレー 渋谷。打ち合せ。バナナと椅子と棒を渡され、これで何か面白いことやってくださいって感じの提案で、バナナはうまいし、椅子も座り心地いいが、棒で何を叩くのかが悩みどころである。ヘタすりゃ自分を叩いてひとりボケ&つっこみ漫談と化す危険性もあるが、それはそれで面白ければ多少痛くても結果にはなろう。なるべく痛くない部分を探すのは大事だが、つまらなかったら元も子もない。とりあえず受付の美人のお姉さんたちをまた見たいので、頑張って何か考えよう。

 帰りはムルギー。基本である。

2006年 5月 18日 (木)
 阿佐ヶ谷で某組織の会合に出席。食品衛生法が厳しくなり、存亡の危機に見舞われた宅配ピザ業者が集まって、法律に関する正しい知識を把握し、その対処法を皆で一緒に考え、あくまでも合法的にピザを販売してゆこうという主旨である。うちは天然石販売はやっていても、宅配ピザはやってないが、宅配ピザの広告を一部取り扱っている以上、無視するわけにもいかず、様子見がてら出席してみた。今回の法改正は政治家が個人的にピザが嫌いだというだけの理由で執行されたらしく、不条理な項目も多いが、かといって権力に叛旗を翻せば締め付けは余計苦しくなるのは目に見えているので、虐げられた弱者同士が集まって力を合わせ、ピザ業界の存続に向けて何とか権力と折り合いをつけていこうという姿勢は理解できる。俺もピザは嫌いじゃないので、これからも美味しいピザを日本国民の皆様に提供できるよう、がんばって貰いたいと思う次第である。尚、本日の日記はフィクションであり、実在の業界・当社の仕事内容とはあまり関係はありません。

2006年 5月 19日 (金)
 海が見たかった。しかし雨が降っていた。まあいいや。

2006年 5月 20日 (土)
 まわってなかったものがようやくまわるようになってきた。まあまわるといっても、くるくる景気よくまあわるにはほど遠く、手でおしてキーキー音をたてながらやっといびつにまわりはじめた程度である。油断してたらまたすぐ止まる。

2006年 5月 21日 (日)
青龍 予報では雨だったのにやたらいい天気なので、散歩がてら昨日文房具屋に注文しておいた額縁を買いに行った。
 額縁を購入したのは、先日買った蒼天航路クロニクル(4月22日の日記参照)についていた王欣太の青龍の絵のポスターを事務所に飾る為だ。
 よい絵はよい気の流れを作る。ましてや龍はそのものが気のエネルギーの具象だから、以前から龍の絵を事務所に飾りたかった。それが王欣太先生の描いたものならなんであろうと申し分ない。
 俺は以前欣太さんの個展に行ってこの実物をみたことがあるが、全長8メートルだかそこらの巨大なやつで、ポスターにするのもなかなか大変だったろう。
 画像はそのとき撮影したもの(2002年1月12日撮影)。



 額縁を事務所に置いて、すぐインド料理の材料を買いにでかけた。
 豚肉、トマトジュース、タマネギ、ショウガなどを買い、事務所に戻り、インド・カレーを作った。
 豚肉にはカルダモンが合うと聞いたので、いつもよりちょっと多めに入れたら、ちょっと多すぎた。
 そんなわけで出来映えはかなりカルダモン臭くなったが、それ以外はまあうまく出来た。

2006年 5月 22日 (月)
 天気がよろしいのでiBookと本だけ持って、散歩に出掛けた。新宿中央公園に行くと、フリマがやっていた。フリマはぶらぶら見て歩くだけでも面白い。その後ほとんど本も読まずに西新宿をあちこち歩きまわっていた。最後にロッテリアでiBookをひろげ、執筆をしてたら暗くなってきたので、事務所に戻った。
 そんなのどかな一日。

Saathiya 夜、インド映画「Saathiya」を見た。ラニ・ムケルジー主演。原案・脚本はあのマニ・ラトナム。だからかどうかは知らないが、雰囲気がそこらの恋愛映画とはひと味違ったクールな哀愁に満ちていて、なかなか素敵だった。しかし物語は普通の恋愛映画で、結構くだらない。演出も演技も音楽も映像もバッチリなので、ノリで楽しむところは楽しんで、ストーリーは気にしないのが無難である。ラニ・ムケルジーがまた爽やかセクシーで萌える(画像参照)。ゲスト出演が効果的で、あそこであの女優が登場しておおっ!と思ったかと思ったら、さらにあの俳優の登場でまたおおおっ!と唸って二度美味しい思いができる。インド映画にしては2時間16分と短く、さくっと見れる点も好印象。それなりの佳作でしょうか。

2006年 5月 23日 (火)
働きマン 週刊モーニングで連載中の安野モヨコの「働きマン」という漫画、ずっと読んでなかったが、数回前になにげなく読んでみたらスゴくて、それから必ず読むようになった。この作品に限らず、この漫画家の作品は絵が好みじゃなかったのでこれまで食わず嫌いで飛ばしてきたが、もったいないことをしていた。天才だったんだねえ、安野モヨコ。考えてみたらえらい夫婦だな。

2006年 5月 24日 (水)
 仕事で銀座に行ったついでに東銀座の南インド料理「ダルマサーガラ」でランチ・ミールズを食った。最近南インド料理にはまっているので、都内の南インド料理はすべて制覇せんばかりの心意気である。
ダルマサーガラのランチ ランチはカレー2種類(チキンと野菜)、ラッサム(南インドの定番スープ)、ポリヤルとかいう野菜のスパイス炒め、サラダ、ライス、プーリー(南インド風揚げパン)、パパド(インドの煎餅)、食後はチャイである。どれも極上のうまさだった。ポリヤルには嫌いなオクラが入っていたが、ぜんぜんうまくて食えた。
 南インド料理はこれで八重洲ダバ・インディアと東池袋エーラージに続いて3店舗目だが、どの店も非常にうまく、甲乙つけ難いものがある。不思議なのは、先日知り合ったインド料理マニアの人がダバ・インディアを「あんなもの南インド料理じゃない」と(5月14日の日記参照)酷評していたにもかかわらず、俺の舌には今日食べたダルマサーガラとどこが違うのかいまいちわからないことだ。もちろん、どちらもお店の個性はあるが、ダルマサーガラが南インド料理として素晴らしく、ダバ・インディアがダメだという根拠はいったいどこにあるのだろうか。それでいて、彼らがうまいと認める東池袋のエーラージは、某インド料理専門家のサイトで「あんなものが南インド料理だとは…」とさんざん叩かれていたりする。俺は三つとも俺の知る南インド料理のうまさに思えた。この問題を単なる好みの違いで片付けてしまっては南インド料理の本質を見失うと思うので、更なる探求を怠ることなく、これからも南インド料理の深遠に迫ったゆきたいと思う。

 ひと月ぶりに検診で新橋クリニックに行った。俺のおしりを見た先生、「もうほとんど完璧に回復しているようなので、もう来なくていいですよ」と言われた。現在、俺のおしりは排便後少しヒリヒリする以外はほとんど普通のおしりにまで回復している。そのヒリヒリも徐々になくなってゆくとのこと。めでたく、普通のおしりによる普通の排便が可能になり、辛いものも酒も気にせず口に出来る、普通の人間になれたという実感が少しづつわいてきた。

2006年 5月 25日 (木)
 スパイスヘブンでインド料理を食い過ぎて、新宿中央公園のベンチに座って食休み。
 最近生活パターンがすっかり昼型になり、朝起きるとまずYahoo携帯版で天気予報をチェックし、天気がいい日は事務所でじっと仕事をしたり執筆をしたりしているのがもったいなくて我慢できなくなり、何かと外に出る用事を作っては、散歩したり公園でぼーっとしたり読書したり、外ですごくことが多くなった。
 まぶしい日差しにつつまれ、風を感じ、緑や人を眺めていると、つくづく人間は自然の生き物なのだと思えてくる。
 ふと気がつくと、膝の上を青虫が這っていた。俺がこの世で最も恐い生き物と言えば、蚯蚓青虫芋虫毛虫蛆幼虫等等、蛇以外の手足の無い生き物だったはずだが、こうして毎日長閑な空間で過ごす時間をもうけていると、いつの間にか青虫さえ平然と受け入れることが出来るようになっている自分に気がつき、驚いた。
 俺は今年に入り、煙草をやめ、菊の門を修繕し、生活パターンが大幅に改善され、おまけに嫌いな芋虫さえ克服し、最近心なしか胃腸も丈夫になったきたような気がする。このままだと俺は視力なども次第に回復し、頭脳も明晰になり、偏食もなくなり、鼻炎も治り、花粉症も消滅し、耳もよくなり(そういえば最近テレビの音量の標準が明らかに下がってきている)、今年中には最強の人類になってしまうのではなかろうか。
 そんな錯覚さえ巻き起こる、水曜日の午後。

2006年 5月 26日 (金)
 給料日。劇的な給料日だった。ここ数ヶ月ずっと崖っぷちだったわが社は、ついに先月崖から足を踏み外し、今月勢い手を伸ばしてパッと岩につかまり、なんとか落下をしのいだ。足は谷底に向ってぶらぶら垂れ下がって入るが、力はつけてきたので来月から何とか這い上がれるだろう。映画で言うとクライマックス並の迫力である。

バーバー 夜、ひさしぶりにレンタルで借りてきたDVDでコーエン兄弟の「バーバー」という映画を見た。
 無口で渋くてクールでハードボイルドで、その割にはぜんぜんキレ者ではない単なる床屋が、胸の奥に秘めた後悔と、さらにその奥にくすぶった愛情を動力に、善悪を超越した静かな情熱をとびちらせ、形の定まらぬ可能性に満ちた安住の地を求めて何の策もなく老いた翼を羽ばたかせるが、果たしてその先に待っていたものは、彼の望んでいた天国か、すべての罪を報いる地獄だったのか、それは壊れて虚しく空回りする自動車のホイールだけが知っている。そんな映画で、原題の「The Man Who Wasn't There(そこにいなかった男)」の意味を考えると内容はそれなりに深く、まあ普通に面白かった。しかし「ファーゴ」や「ミラーズ・クロッシング」などにあった天才的な冴えはやはり見当たらず、「お前らって結局、この程度の才能だったのか」と思わず言いたくなるのも事実だ。
 ちなみに画像は白黒だが、俺が見たのはカラーのバージョンである。白黒バージョンの方が本物らしい。白黒で見た方がよかったかなあ。

2006年 5月 27日 (土)
十割蕎麦 夕食はなぜかあまり食欲がなかったので、蕎麦を食った。大量の水で泳がせるように茹でた十割蕎麦を生姜を入れためん汁で軽くすすり、その後に残った鍋いっぱいの蕎麦湯を飲むのが極上の楽しみのひとつである。十割蕎麦で生成される蕎麦湯はクリーミーでこくがあり、ほんのり漂う生姜の香りと相まって、とても旨い。子供の頃からの蕎麦好きだった俺が、ここ数年そうめんに浮気して滅多に蕎麦を食ってなかったが、やはり麺類の最高峰は蕎麦なのだと再認識しているここ最近の食生活である。(※写真はイメージです)

2006年 5月 28日 (日)
ベリーダンス 印度カラオケ・パーティーに参加。先月に続いて2回目(4月30日の日記参照)。四谷のリトル・インディアというインド料理レストランを借り切って、ヒンディー語のインド映画音楽を歌いまくり聴きまくり悶えまくりなひとときである。前回より参加者が少なかったが、肝心の主要メンバーはそろっていたので返って気安い仲間たちの密度が濃く、より楽しかった。あと前回、ヒンディー語が解らずほとんどサビの部分しか歌えなかったが、今回は前もってネットで歌詞をダウンロードして練習してきたので、ちょっとは歌えたのも楽しみ方がレベルアップされていたと言える。ちなみに歌った曲は「Dhak Dhak Karne Laga」。マドゥーリの官能的なダンスが悩ましい悶絶のナンバーである。あと「Chamma Chamma」を入れてみたが、これは準備しておらず、撃沈した。
 インド人の初参加の人でやたら歌がうまい人がいて、ほとんどインド映画のプレイバックシンガーそのもので、聞く所によるとインドではCDも出しているそうで、彼が歌うときは思わず会話が止まるほどだった。他にもReikoさんという妖艶なエキゾチック女性がいたり、花乃さんという19歳の文字通り野に咲く一輪の花のような乙女がいて、達者なヒンディー語で美声を披露してくれた。花乃さんとは俺の一番好きなインドの歌である「Pardesi Pardesi」をデュエットする約束をしていたのだが、かの歌は2バージョンあって、それぞれのバージョンは歌詞が異なり、しかも男性が歌うパートと女性が歌うパートがまったく逆だったりして、また運悪くお互いが違うバージョンを練習してきてしまったので、失敗に終わった。
 合間には主催のKiKiさんとインドに関係ない話題を語りあったり、インド・カレーをむさぼり食ったりチャイを飲んだりしていた。もちろん、俺は一張羅のクルタを着ていった。そんなこんなで、アッという間に3時間が過ぎた。来月もまた参加したいと思う。ちなみ画像は内容とあまり関係ない。
 彼女が遊びに来るので、9時頃帰った。

 クルタを着たまま新宿まで帰り、新宿駅で彼女と待ち合わせした。
 一緒に西新宿を歩いていると、行きつけのパークタワーのインド料理レストランのインド人の店長さんとバッタリ遭遇。この店長さんは一昨年いったん他店に移動になって最近また戻ってきた人で、俺はしょっちゅう会ってるが、彼女はまだ2度くらいしか会ったことがない。しかし俺より先に彼女が気がついた。うちの彼女は天然のくせに、なぜか人の顔を覚えるのは達人なのだ。2度しか会ったことのないインド人の顔を即座に見分ける能力というのもスゴい。
 今ちょうど印度カラオケなるパーティーの帰りだと報告すると、「次回は私もぜひ連れてってください!」とえらく乗り気で、次回一緒に行くことになった。彼はインド映画業界に顔が広く、多くのインド映画スターや有名歌手や映画関係者と知り合いなので(2004年12月30日の日記参照)、ちょうどいい。
 彼女とはその後デニーズに行き、とりとめなく朝まですごした。

2006年 5月 29日 (月)
あろはなますて料理 ミクシィのインド料理のイベントに参加。「アロハ・ナマステ・ナイト」と称し、「カレーな薬膳」等の著書で有名な渡辺玲さんという方が主催の、ハワイ料理と南インド料理を混合させた食事会である。阿佐ヶ谷の区民センターの調理室で行なわれ、またインド料理マニアがぞくぞく雁首揃えてアジアの食を熱く語っている空間に首をつっこんでしまったという感じである。まあ俺も同じ穴の狢だ。とりあえず画像にそって解説してゆこう。

【左側】上から1番目…オニオン・パコラ。インド風タマネギかき揚げ。奥は渡辺氏が揚げているところで、手前が完成図。パコラは俺が初めて食べたインド料理で、大好物である。フェンネルなどのスパイスが効いていて、かなりうまかった。/2番目…コーンごはん。もち米にコーンをちりばめたおにぎり。/3番目…豆腐のラウラウ。小松菜に食物を包んで蒸したハワイ料理で、豆腐が入っている。ちまきのよう。/4番目…スンダル。ひよこ豆の南インド風サラダ。豆がこりこりと歯ごたえがあって、やめられないとまらない旨さ。/5番目…バジ。インドの野菜フリッター。

【右側】上から1番目…なんちゃって肉サテー。肉のように見えるが、豆でつくったなんちゃって肉である。味も肉そのもの。/2番目…ナスとほうれん草の南インド風香味炒め。ココナッツが効いてて柔らかく、絶品。/3番目…サンバル(南インドの豆と野菜のカレー)とレモンライス。南インド料理の神髄である。うまくて、もういっそ殺してくれと叫びたくなる。/4番目…グォイクン。いわゆる生春巻き。揚げ茄子、香菜、その他いろいろ野菜などを包んで、チャトネ(チャツネのこと)をつけて、食う。/5番目…デザートのかぼちゃのプリン。トロトロのプリンとほくほくのかぼちゃが究極にマッチして、超美味。/6番目…お土産に貰ったサンバル・カレー。これの他に、タイの香り米も貰った。最後の最後にむちゃくちゃ嬉しいことだ。

 以上、もう「ウマい」しか言い様のないひとときだった。品数豊富で、どの料理もことごとくがウマい。さすがだ。値段がちょっと張るのでまた参加できるか解らないが、まったくもってグルメで撃沈である。願わくば食後にチャイかコーヒーか、お茶がほしかったなあ。

2006年 5月 30日 (火)
 なんだかべらぼうに忙しくなってきた。デスクワークもたまりまくってるのに、今日は歌舞伎町、六本木と外出。クライアントとくだらないことや人生について雑談したり、道草食ったりして、極めて効率悪く外出先をまわり、事務所に戻り、仕事した。なんとか今日の仕事は終わらせた。夜は昨日食事会で貰ってきたうまい南インド料理を手でたらふく食った。その後、疲れているのになぜか興奮して朝まで眠れなかった。今日はいつになく普通の日記だな。忙しくてひねる暇がないのだ。

2006年 5月 31日 (水)
 今村昌平監督がお亡くなりになったと知り、驚いた。
 彼女の近所のスーパーのいなり寿司がうまい。
 夜、つまらない日本映画を見た。
 そんなとこかな、今日は。
 さ、仕事仕事。


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