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1)涙の出張手当

2週間に及ぶ出張がやっと終わった。
広島と大阪にそれぞれ一週間、ホテルで寝る時間以外を工場の一室でひたすら機械と向き合って過ごしていた。慣れているとはいえ、こんな日が続くと自分自身までもが機械の様な気がしてしまい、人間らしい感情がどこかへ消えてしまう。自分の担当は関連会社ばかりなので、いつもなら気心の知れた仲間と楽しく過ごす時間の余裕があるのだが、今回は会社の都合で納期が遅れた事情もあり、かなりの仕事量をこなす必要を迫られ、正に苦行の様な旅だった。
ビル
新大阪駅で会社で配る土産を買い、最終ののぞみに乗り込む。
少し空腹感を覚えるが、不摂生な食生活が祟って胃の調子が悪い。キオスクで買った菓子パンとミネラルウォーターで胃薬を無理やり流し込み、眠る体勢に入る。幸い車内は自分の様なサラリーマンが大多数で静かに眠れそうだ。このまま爆睡して、家に帰ったら撮りだめしたDVDでも観ることにしよう、久々に自分のベッドに入って……。

そろそろ品川に着く頃、携帯を見ると部下の春原からメールが入っていた。
「○社の件、システムエラーの修復がまだできていないので、申し訳ありませんが明日見に来て頂けませんか?」
またDVD鑑賞が一日先送りになった。

電車を乗り継ぎ2週間ぶりの我が家にたどり着く。もう12時をまわっている。
アパートに隣接する駐車場に見慣れた車が止まっている。この車がこの前ここに止められたのは1ヶ月以上も前の事だ。

ポストにたまった郵便物を全部掴むと、キャリーケースを小脇に抱え急いで階段を駆け上がった。弾む息で鍵を開けると、
自分のものではない、上等な男物の靴が揃えてあった。あの車の持ち主の靴だ。

「裕貴、帰ったのか?」
ソファに座っていた男が振り向いて立ち上がった。
「来るんだったら何で電話くれなかったの? 品川まで迎えに来て欲しかったのに」
「電話したけど繋がらなかったんだよ」
「だったらメールくれればいいじゃない」
「おじさんはメールは苦手なんだよ。そう言うお前だって、いつもメールの返事なかなかくれないじゃないか」
「僕もおじさんだもん」
「そうだな、お前ももう33になるんだもんな」

そういう男は今年48歳になる会社の上司だ。

自分が働いている会社の役員で、所属している部の事業部長を兼任している。私生活ではバツイチで、高校生の息子は元妻が引き取っている。この年代の男性にしては珍しく自分より背が高く、身なりに無頓着な人間が多い技術系にしては服装センスや身のこなしが垢抜けており、年齢よりもずっと若く見える。そして自分はといえば、10年前からこの男の愛人なんかやっている。

恋人の顔を久々に見られて一瞬ほっとしたものの、この前ここで一緒に週末を過ごしてから一ヶ月もの間、自分からは全く連絡してこなかった事を思い出すと、束の間の安堵感は徐々に怒りへと変わっていった。

「長期出張お疲れ様。寿司買ってきてるんだけど、食うか? もうこんな時間だけど」
怒りのオーラに気付くでもなく、背後から肩を揉んでくる。
「要らない。全然食欲ない」
肩を揉まれるまま、郵便物を仕分ける。
「風呂は?」
「朝入るからいい」
鞄の中の洗濯物を取り出しながらそっけなく答える。
「……じゃあもう寝るか?」
今度は、腰に手を廻してきた。

「……あのね、嵯峨さん。僕いま出張から帰ってきたばかりで、片付けものとか用事がいっぱいあるんですよ。寝たいならお先にどうぞ」
「お疲れなのはわかるけど、ずいぶんご機嫌ななめだね、周防美さん」
「人のこと一ヶ月以上も放っておいてよく言えるよ。出張先が田舎だと食事する店もないし、ストレスたまりまくりなんですけどね」
「それはお気の毒に。だけどお前が広島に行く前から私もLAやら台湾やら行ってたの知ってるだろう。今日だって、ご接待の夕食会終わってすぐ横浜から車飛ばして来たんだよ」

そう言いながら両腕を掴まれたので振りほどこうとしたが、相手は中年になった今でも自分より遥かに力強い。片手で一瞬にして向き合わされ、その胸に収められるように抱きしめられてしまった。久々に嗅ぐ懐かしい匂いに気が遠くなりそうになる。既に準備が整っている下腹部を押し付けながら、空いている方の手でシャツのボタンを外され、その指で乳首を弄ばれると思わず声が出てしまう。帰宅直前まで自分を守ってきた緊張感の鎧がガラガラと音を立ててくずれ落ちた。

「これからたっぷりご褒美をあげるから」
耳元で囁きながら、片手で自らのベルトを外し武器を取り出す。
「これがご褒美なわけ?」
「欲しかったんだろう、これが」
「ご褒美って、貰う者よりも与える者の方が喜ぶものなのかな?」

皮肉を言い終わらないうちに唇をふさがれた。息も出来ないような長く濃密なキスに全身の力が抜けて膝が震える。必死で懐かしい匂いにしがみいたまま膝をつくと、目の前に差し出された、愛しい男の一番愛しい部分にむしゃぶりついた。

今まで何人もの男を咥えてきたが、この男のモノが一番自分に合っている。いつもなら喉の奥に届くように根元まで深く咥え込んでやるのだが、今日は体調が悪いからディープなのはしない。両手を添え、竿の途中まで咥え込んでは先端まで戻り執拗にしゃぶる。何度か往復するうちに愛しい上司が甘い息を吐き、部下の口に男の精を吐き出そうとする。長年付き合っているのでこのタイミングが判っているのだが、今飲み込むと吐いてしまいそうなので、発射される直前に竿を口から抜き出し、顔面に噴射されるように振ってやる。そうした方がこのヒトは喜ぶから…

ご奉仕を終え、張り詰めたまま放置されていた自分のモノを慰めようとすると、
「ダメだよ、裕貴。久しぶりなんだから私の口の中で出しなさい」
軽々と抱き上げソファに座らされるや否や、自慢の舌技でもってしゃぶられ、根元まで咥え込まれた。この淫乱な中年の男性経験は自分とは比較にならない筈で、その賜物である性技の虜になっている自分もまた淫乱なのはわかっている。
「んっ、ああん、崇……僕もう、イっちゃう……」
股座にぐいぐい押し入ってくる頭の髪を掴んでやっと離すと、相手は、口の中で出せと言っておきながら自らにも顔射というメニューを選んでいた。

「良かったよ裕貴。今度は下の口で咥える番だ」
白い液が光る顔で見上げながら、後ろを向くよう促した。ソファにうつ伏せになり何のためらいもなく秘部を突き出すと、そこに指を滑らせてきた。1ヶ月ぶりに使うローション、1ヶ月放置されてきたその場所はそれだけでも十分に反応する。さっきのフェラの時とは裏腹に、わざと緩慢な指の動きでじらされる。ここまで来るともう意地を張っていられる訳もなく、涙目になり懇願してしまう。

「もうダメ、崇……ハヤク、チョウダイ……」
「そんなに腰振っちゃって、さっきあんなに怒ってた子はどこ行ったのかな。チョウダイって何を? これ? これが欲しいのかい?」
後ろから覆い被さり、嬉しそうに耳元で囁きながら、既に元気を取り戻した自慢の武器をぐりぐりと押し当ててくる。一月振りの挿入……を途中で止めて嵯峨が再び耳元で囁いた。
「なあ裕貴、やっぱり顔が見たいから正常位にしないか?」
「どっちでもいいから早く挿れて!!」

こうして、1人静かにDVD鑑賞するはずだった夜は、予期せぬ「出張手当て」の支給のために、甘く激しく、眠れぬ一夜となっていった。

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